第8話
GWの長期休暇期間ということもあり、PCR検査数の母体も少ないのか、感染者数は47人と減少傾向。恐らく、5月の連休中もPCR検査実施数が減少する影響で感染者数も必然的に減少するのだろう。
もしそれで、政府の誰かが『皆様の外出自粛のおかげで数字的にも感染者数も減少傾向にあります。これから少しずつ外出制限の緩和をしてまいりたい所存です』とかしたり顔で豪語して、そこからまた人々が出歩くようになってクラスター感染・感染爆発が多発して、ロックダウンが起こるなんていう事があったら、マジで許さないからな?
一応、俺が通う大学は5月11日から授業開始が予定されている。
しかし、緊急事態宣言が延長となれば、さらに授業開始日が伸びるのは間違いないだろう。
萌恵奈の大学は、当面の間オンラインで授業を行うとHP上で発表されたらしい。
つまり、萌恵奈との同棲生活はまたしばらく続くということだ。
まあ、萌恵奈は実質的に授業が始まってしまうので、今までよりもイチャイチャベッタリという時間は減ってしまうけれども、一緒にいられる時間が増える見込みなのは、正直嬉しかった。
あくまで、俺の通う大学の授業開始日が延期すればの話だが……。
「あーっもう! オンライン授業面倒くさい! 柊太代わりにやってー」
「いや、自分で受けなきゃ意味ないでしょ……」
「じゃあ一緒に受けよ?」
「それ、一緒にいて大丈夫なの? 向こうに顔とか映らない?」
俺はそもそも、オンライン授業というのシステムがどういったものなのか分かっていないのだ。
心配する俺をよそに、萌恵奈はケラケラと笑う。
「大丈夫に決まってるんじゃん! 教授の方が一方的に配信するものを、私達が各自自宅で見ながら受けるタイプなんだから! 別に家で何してようが音も聞かれることないし、極端な話セックスしながらでも受講できるよ」
「いや、極端すぎんだろ……受けるどころの話じゃねぇよそれ」
まあ、オンライン授業とやらの仕組みはなんとなくわかった。
つまりは、東○予備校的な感じで、モニター授業を生配信でやるのがオンライン授業というものらしい。
「まあでも、大学はGW明けからなわけだし……今日は何しよっか!」
萌恵奈はテーブルの上に置いていたノートPCをぱたんと閉じて、隣に座る俺の方を見つめてくる。
この二日間、イチャイチャ以外ほとんど何もしてない。というか、エッチしかしてない。
二日間盛りっぱなしだったので、さすがにイチャイチャ系でも今日はソフトなもので済ませたいところだ。
「うーん……最近外に全く出ないから、運動全然できなくて、身体が少し訛ってるんだよなぁ……」
「え? 運動ならしてるじゃん、ベッドの上で」
「いや、セックスは運動じゃねぇ」
「でも、ヤったら疲れるじゃん」
「それは、俺達の体力がねぇからだよ」
そこで、俺はピンと閃いた。
「そうだ、体力作りしよう!」
「えぇーヤダぁ……」
心底嫌そうな顔をする萌恵奈。
「でも、このままだと恐らく、外出自粛制限が解除されたとき、駅まで歩くのさえままならない身体になってる自分が想像できる。なんなら、外に出れないストレスで、ご飯一杯食べてるから太ってる可能性まである」
「うっ……」
太るというワードに反応して、苦い顔で眉を引きつらせる萌恵奈。
「そうだね……確かに、適度なトレーニングはしておいた方が良いかもしれないね」
萌恵奈も心当たりがあるのか、俺の意見に傾き始める。
「それじゃ、二人で一緒に軽い筋トレでもするか。一緒にやれば、少しは頑張れる
だろ」
「うん……私、柊太に求めてもらえる身体にシェイプアップできるように頑張る!」
いや、元々萌恵奈の身体はほどよい肉付きで柔らかくて、充分魅力的なんだけどね。
萌恵奈がやる気を出してくれたのだから、理由なんてどうでもいいか!
基礎代謝を維持するために、筋トレを二人で始めたのはよかったのだけれど……。
「二十五、チュ……二十六……チュ……二十七……チュ……」
筋トレにも目標やご褒美がないと頑張れないと萌恵奈が駄々をこねたので、イチャイチャしながらトレーニングしている。
今は二人一組の腹筋。俺が萌恵奈の脚先にお尻をのせて、膝を抱えるように抑えながら、腹筋1回ごとに、身体を上げてきた萌恵奈とチュっとキスを交わすという謎のルールの元、イチャイチャトレーニング(健全)は実行されていた。
「二十九……チュ……さん……じゅう!」
三十回を三セットの腹筋を終えた萌恵奈は、大の字に倒れ込む。
「はぁ……つらっ……」
「お疲れさん」
俺は萌恵奈の脚先から降りて、四足歩行で萌恵奈に覆いかぶさるように四つん這いになる。
「んっ……」
ご褒美代わりのキスを交わした後、そのままの状態で次のトレーニング腕立て伏せへと移る。
萌恵奈の首横あたりに両腕を置き、萌恵奈が開いてくれた脚の間に俺は足を入れてつま先で身体を支える。
そして、そのまま萌恵奈の顔に近づいていくように腕立てをしていく。
回数は15回を三セット。1回ごとに萌恵奈の唇にキスをしたら1回のカウントになる。
「チュ……チュ……チュ……チュ……」
ハイペースでキスと腕立てを進めていき。あっという間に15回1セットを終える。
「はい、次! 萌恵奈」
「えぇ……もう!? 柊太早すぎ……」
ぶつくさ文句を言いつつ、萌恵奈は身体を起こして、今度は俺が寝転がって、萌恵奈が覆いかぶさってくる。
「い、いっくよ……」
「いーっち……チュ……」
ゆっくりのペースで萌恵奈も懸命に腕立て伏せをしていく。
「さーん……チュゥゥゥゥ……」
しかし、三回目の時、キスしたまま動きが止まってしまう。
俺は萌恵奈の脇腹を掴んで持ち上げてやる。
「はい、頑張って!」
「うぇーん。柊太が鬼教官だよぉぉぉ!」
「十五回出来たら、萌恵奈の好きなあのキス、してあげるから」
「うん……頑張る!」
それを聞いて俄然やる気が出たのか、萌恵奈は懸命に腕立て伏せを再開する。
「よーん……チュ……ごーお……チュ……ろーく……チュ」
そして、10回目のキスをしようと萌恵奈が腕立てをしようとした時だ。
「じゅぅっ……あぁ、もう無理!!!」
「ぐっ……」
萌恵奈が力尽きたように俺の身体にドサっと落ちてきた。
胸のあたりに強い衝撃が走り、思わず苦しげな声を上げてしまう。
「ご、ごめん! 大丈夫?」
咄嗟に起き上がり、心配そうに見つめてくる萌恵奈。
「うん、このくらい平気、平気」
「私は、限界だよ……」
萌恵奈の腕はぷるぷると震えており、今にもまた俺の身体にドスンと落っこちてきてもおかしくない状態だ。
「無理しなくていいよ」
「で、でも……! ご褒美がっ!」
「目標は達成できなかったとしても、萌恵奈は萌恵奈なりによく頑張ったよ。だからほら、おいで。ご褒美上げるから」
俺が優しく両手を出すと、萌恵奈は誘惑に負けたように、腕の中に身体を収めてきた。
今度は両手で萌恵奈をしっかりキャッチ。
先程のような衝撃は受けずに済んだ。
「萌恵奈……」
「ん? はむっ……んっ!!」
俺は萌恵奈にご褒美のついばむようなキスをしてあげる。
萌恵奈も俺のキスに応えるように、チュパチュパと俺の唇をついばむようにキスしてきた。
そして、俺はそのまま舌を出して、萌恵奈の口の中へと入れていく。
「んぁっ……こらぁー。んんっ、チュ……」
こらといいつつも、萌恵奈は俺の舌を受け入れて、自分の舌と絡め合うようにキスを続ける。
こうして、俺と萌恵奈のイチャイチャトレーニングはゆっくりと進んでいった。
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