第6話
朝、陽光の光がカーテンの隙間から差し込み目が覚めた。
目を開けた先に映ったのは、こちらをつぶらな瞳で覗き込む可愛らしい俺の彼女。
「おはよう、柊太」
「うん、おはよう萌恵奈」
お互いおはようの挨拶を交わし、どちらからとでもなく挨拶代りの口づけをする。
俺と萌恵奈のイチャラブ自粛生活も五日目を迎えようとしていた。
都内の感染者数はニュースによると13日ぶりに二桁となり、昨日は28日ぶりに50人を下回った。
しかし、元々日曜日と月曜日はPCR検査の検査母体数自体が減少するため、自粛要請の効果により、大幅にウイルス感染者が減少したと過信してはならない。
感染人数で重要な曜日は、木曜日や金曜日の週末に出る感染者数であろう。
その数字が二桁かつ50人を下回るまでは、感染が減少傾向にあるとは言えない。
知事は、先週『STAY HOME週間』と名を打ち、出来る限り家にいるよう多くの国民へ呼びかけた。
今ツウィッターでは#STAY HOMEが流行っているらしい。
スマートフォンを没収されているので、詳しくは分からないけれど……。
ちなみに俺と萌恵奈は今、俺のベッドの中に仲良く入り、一緒に眠っていた。
初日の朝、二人でお休みのキスをした後、成り行きで一緒に寝ることになった。
初夜は隣から漂ってくるお風呂上がりの萌恵奈の女の子特有のいい香りと、スヤスヤと可愛らしい寝顔で寝息を立てる萌恵奈が可愛すぎて、緊張して寝付けなかったけれど、翌日以降はすっかり慣れて一緒のベッドの中で眠れるようになった。
三日目の夜には――
「柊太……腕枕して?」
と懇願されて、萌恵奈に腕枕をして一緒に寝た。
翌日には……
「柊太の事ぎゅうぅぅって抱きしめながら一緒に寝よ?」と言われて、お互い抱き合いながら一緒に寝むりについた。
そして、昨晩は……
「頭なでなでしてぎゅぅってして欲しい」
と言われて、腕枕とハグと頭ぽんぽんのトリプルコンボで一緒に眠りについた。
今まで一緒に寝たことすらなかったくせに、五日間でこのイチャつきっぷり。
俺達の三年間を回顧してみると、ホント今まで萌恵奈とイチャイチャしてこなかったんだろうと後悔の念に駆られる。
まあでも、今こうしてくっつけて幸せーって思えて、三年間してこなかった分、愛情たっぷりにイチャイチャしてるから、それはそれでいいのかな。
「起きる?」
「うーん……まだ柊太とぬくぬくしてたい」
「わかった」
俺はふっと笑みを浮かべて優しく萌恵奈の華奢な身体を抱きしめる。
「んんっ……はぁ~」
幸せそうな嘆息を漏らす萌恵奈。
あぁ……俺の幼馴染彼女やっぱりかわいい。
「今日はこの後何しようか?」
「ずっとこのままくっついて、ベッドの中でイチャイチャしよう」
「え……一日中?」
「そう、一日中♡」
「えぇ……」
「……何か不満でもあるの?」
「いやだって、いきなりイチャイチャするって言っても、何からすればいいのか分からないし……」
「ったく、柊太は相変わらずヘタレね……察してよ」
えっ?
察するって何を!?
俺が何のことか分からずに困惑していると、毛布を口元まで被った萌恵奈がぽしょりと呟く。
「布団の中でイチャイチャっていったら、アレしかないでしょ……」
「あっ……」
萌恵奈の意図していることをようやく理解する。
確かに、今までの萌恵奈との関係性からはありえないほどのスキンシップをこの五日間取ってきた。
リビングのソファの上で何をすることもなくキス。
一緒に料理しながらキス。
映画鑑賞をしながらキス。
DS版の『おいでよどう森』を久しぶりに起動して、一緒にスウィッチ版『あつまれどう森』気分を楽しみながらキス……。
全部キスしかしてねぇ……。
ってかどう森も、DS版とか何年前に流行ったやつだよ。
せめて3DS版の『とびだせどう森』版をプレイした方がまだマシだよ。
――今どう森の話はどうでも良くて!
「その、ちょっと待って、色々と準備が……」
一応彼女持ちの男たる者、もしもの場合に備えて購入はしてある。
でも、相当前に購入したものだし、使用期限大丈夫かな。
それは、この五日間事あるごとにくっついてはチュッチュ、チュッチュしてる上に、ほとんど萌恵奈の目を盗んで発散する機会もなかった。
悶々とした欲望が溜まっているのは当たり前のことで……。
ベッドの中で無防備な状態で、いいよと向こうから誘ってきてくれている。
これ以上、我慢できる気がしなかった。
俺はゆっくりと萌恵奈に覆いかぶさるように四つん這いの体勢になり、見つめ合う。
そして……ゆっくりと顔を近づけていき、キスを交わす。
キスをしながら、俺は片方の手で萌恵奈の乳房を服の上から揉みしだく。
「んんっ……」
悩ましい声を上げる萌恵奈にさらに興奮が高ぶり、俺は既に臨場体制に入っているモノを萌恵奈の下腹部に擦るように押し当てる。
「あっ……っつ! んっ……柊太ぁ」
嬌声な可愛らしい声を上げて、トロンととろけるような目で見つめてくる萌恵奈の顔を見て、俺は理性は完全に吹っ飛んだ。
こうして俺は、萌恵奈が彼女になって三年目にして初めて、営みを育むのであった。
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