28.運営も、俺の考えつくことくらいは対策していたか。


前回までのあらすじ。

機械ゴブリンメイジにゲーム企画書作成を命じたが、なぜかダンジョンマスターがたくさん攻めてきた。



◇ ◇ ◇ ◇



侵入者は、ダンジョンマスターと思しき25人の男。

そして、ダンジョンアドバイザーと思われる色とりどりの竜15体、あとは魔法使い(大賢者ってやつか?)6人、エルフ4人。


それらを率いる金髪の鎧騎士の女。


人間型の者は全員、竜に乗っている。彼らの高速移動は、竜への騎乗によるものだったらしい。


機械ファフニールさんは心臓部が弱点だったみたいで、ダンジョンアドバイザー達によってそこを集中砲火されていた。可哀そうに。


そして侵入者達はよく分からないアイテムでダンジョンを迷わず攻略して、ボス部屋へたどり着く。


現在侵入者達は、機械蜘蛛と対峙中。


――――――――――――――*――――――――――――――

人工蜘蛛神アーチファクト・アトラクナクア Lv:80

スキル:【光子銃マスター】【呪いマスター】【自動HPMP回復】

HP 1700/1700 MP750/750

力310 頑丈さ520 素早さ1145 知識170 魔法力169 器用さ336


蜘蛛の神を機械で再現したもの。

人間サイズのその体からは想像もつかないほどの力を有する。

深淵に巣を作り続ける、非常に勤勉な魔獣である。

――――――――――――――*――――――――――――――


2階層、アトラクナクアはレーザーで出来た巣を張ってその上に待機していた。本人はもっとたくさん巣を張りたいらしい。

巣は完成しているが世界が終わったりはしない。


確か2階層はイチの管轄だったはずだ。

ということは、ボス部屋の温度は……


――――――――――――――*――――――――――――――

マイナス600度ですね。

――――――――――――――*――――――――――――――


監視カメラ越しに様子を見る。


連中は声が出せないみたいだな。

そりゃそうだ。空気すら液体化、固体化するほどの温度だ。

おまけに絶対零度よりも下の温度。マイナスのケルビン温度が支配する空間。


ダンジョンマスターと思しき奴は、何か宇宙服みたいなのを取り出す。


ダンジョンマスターは不死とはいえ、痛みも苦しみも緩和されるわけではない。

寒さを緩和するためにそれを着る。


アトラクナクアがレーザーを撃っているが、すべてダンジョンアドバイザーと思われるドラゴン達によって防がれている。


その合間から、ダンジョンアドバイザーと思われる魔法使いから魔法が放たれる。


機械アトラクナクアの体力が3割を切った。



「あ、そうだ。機械アトラクナクアの名前は『深ちゃん』な」


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人工蜘蛛神アーチファクト・アトラクナクアを『深ちゃん』と名付けました。

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ちょっと試したい実験があったんだよな。


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ボススポナーから発生したボスが倒されても、同一個体が再発生するだけですよ?

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俺の考えを先読みした人工音声さんによって、期待が崩れる。


チッ。運営も、俺の考えつくことくらいは対策していたか。


つまり、ボススポナーが3日後に別の個体のボスを発生させた後、名前を付けたボスを復活させると、あら不思議、ボスが増えちゃった、という作戦だったのだが。


同一個体が発生するだけなら、ボススポナーからのボス量産作戦は無理か。



「仕方がないな。おい、深ちゃん、撤退だ」



俺の命令を聞くやいなや、機械蜘蛛は階層エレベーターまで走り10階層に上がり、俺の前までやって来た。


【自動HPMP回復】のスキルにより、戦闘終了後すぐに全快する。



「キキッ(申し訳ないのですよマスター。

あの連中、かなり手強いのですよ)」



深ちゃんは赤い目をチカチカさせて、しょんぼりしている。



「そりゃ、やみくもにレーザー撃ったり、無策で挑むからだ。もう一戦、戦う気はあるか?」


「キキー!(もちろんなのですよ!)」


「よし、3階層のボスと共闘して戦うぞ」



俺が侵入者について観察して気付いたことなどを配下全員へ伝えるよう、人工音声さん頼む。


3階層のボスは人工殺人赤帽子アーチファクト・レッドコームだ。

そして階層担当者はニー。つまり階層のあらゆる場所に光の虚像が仕掛けられている。


3階層のメイン罠は、光の虚像によって見えないはずの床が見える、落とし穴トラップだ。


しかし彼らは迷わずボス部屋へ直行しているらしい。

攻略マップ見ながらダンジョンを進んで楽しいのだろうか?

俺なら自分でマッピングしたいけどな。


まあいい。俺の|安寧(あんねい)を邪魔するのなら容赦しない。



「おいバッハ! 骨のある相手だぞ! お前も行け!」


「グォオオオオオォオオオ!(ふん、所詮しょせんは雑魚が数に任せて暴れているだけではないか。我の敵ではないぞい)」


「まーまー、強い敵をけん制して、余裕があれば戦闘不能にしてくれ」



バッハと深ちゃんは階層エレベーターで4階層へ移動する。

そこから3階層へ降りていってもらうつもりだ。



「そうだ、人工殺人赤帽子アーチファクト・レッドコームの名前は、ふんたーな」


――――――――――――――*――――――――――――――

人工殺人赤帽子アーチファクト・レッドコームを『ふんたー』と名付けました。

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3階層では、斧を持ち赤帽子を被った、真っ赤な服に身を包む機械老人が、ニタァとしていた。


――――――――――――――*――――――――――――――

人工殺人赤帽子アーチファクト・レッドコーム(ふんたー) Lv:80

スキル:【ブリンクテレポート】【斧マスター】【自動HPMP回復】

HP 1700/1700 MP750/750

力380 頑丈さ360 素早さ1038 知識60 魔法力67 器用さ103


恐ろしき殺人鬼を機械で再現したもの。

その帽子の赤色は返り血で染まったものだと言われている。

――――――――――――――*――――――――――――――



俺はモンふん用コントローラーを握る。



「ふんたー、今からお前の行動は俺が支配する。いいな?」



監視カメラごしに3階層のふんたーに問う。



「好きにすればよかろう」


「ふんたーに、モンふん用コントローラーをリンクさせ、俺が操作できるようにしろ」



――――――――――――――*――――――――――――――

ふんたーと、モンふん用コントローラーをリンクしました。

――――――――――――――*――――――――――――――



「お出ましのようだ」



侵入者一行が3階層のボス部屋へたどり着く。


それと同時に、階層エレベーターから4階層へ降りたバッハと深ちゃんも同じ3階層のボス部屋へ着く。



「さぁ、リアルモンふんとしゃれこもうぜ」





◇ ◇ ◇ ◇



今回の成果。


増減前4,909,020DP

―――――

収入0DP

支出0DP

―――――

現在4,909,020DP



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