20.ダンジョンマスターの初期生活環境くらい用意しといてくれよ。運営さんよ。
前回までのあらすじ。
食い倒れが出発し、ミルフィーユが帰って来た。
◇ ◇ ◇ ◇
「にゃ(それで、町へ出かけて素材を売却した結果、530万MAほど稼いだよ)」
「何?! MA硬貨を手に入れたのか!」
ゲームセンターの設置を検討せねばなるまい!
こいつを設置するチケットは渡さずに取っておいたのだ。
「にゃ(稼いだうち、200万MAくらいは使っちゃったけどね)」
ミルフィーユは、金貨を30枚ほど出す。
「にゃ(どうぞ)」
「10万MAって書かれているな。なるほど、これがMA硬貨か」
「にゃ(あとは生活用品)」
ベッド、机、椅子、絨毯、食器に食器棚、本棚、水がめ、
「にゃん(そして食料!)」
小麦っぽい粉の入った袋、野菜の入った袋、香辛料の入った壺が数点、肉の入った袋、油入りの壺など。
「たくさん買ったんだな」
「ゴロゴロゴロ(ボクも使うからね!)」
そういや、料理スキル持ってたな。
「早速、適当に1食、作ってくれよ」
「にゃ(おっけ。さっき採ったイビルホーネットを使ったフライを作ってくるよ)」
げ、ハチ料理とかゲテモノ臭がするんだが。
「だ、大丈夫なのか? そんなもん食って」
「にゃ!(昆虫は栄養価高いんだよ。
それにエビに似た味がしておいしいから、期待しててよ)」
うーん……断りづらい。
俺から頼んだことだからなおのこと。
ま、まあ大丈夫だろ。
「にゃん(カキアゲ、天丼、親子丼~♪)」
ミルフィーユは歌いながら部屋を出ようとする。
「おい、ここにある調理器具忘れてるぞ」
「にゃ(ボクは自分用にも買ってあるから、そこにあるのは全部、マスターのだよ)」
「そうか。なら遠慮なく使わせてもらう」
俺はベッドに転がり、ゲームすることにした。
うーん、ふわふわ。良い気持ち。
というか、ダンジョンマスターの初期生活環境くらい用意しといてくれよ。運営さんよ。
◇ ◇ ◇ ◇
イビルホーネットの天丼は美味だった。
肉厚のプリップリな食感がたまらない味だった。
あれは金を払ってでも食べる価値がある。
「にゃ(じゃあね。ボクは部屋にもどるから)」
「おう。お疲れ様」
俺はギャルゲー『FFF(フォルテフォルテッシモ)』の続きを始める。
ギャルゲーという言い方は俗称で、本来の呼び名は恋愛シュミレーションゲーム、だ。
攻略対象の女の子と仲良くなって、一緒に遊んだりデートしたりにゃんにゃんしたりする。
そんなゲームだ。
今作では攻略対象はざっと20人。
文章のクォリティは一流。
ウィットに富みながらも軽いタッチの読みやすい文章は、ライトからヘビーの幅広いプレイヤー層に受け入れられている。
で、俺は現在7人ほど攻略している。
二次元はいいなぁ。三次元の醜さを知れば知るほどなお二次元が輝いて見える。
「ん……はぁっ……」
画面の女性が喘ぎ声を出す。
俺が遊んでるのは18禁版。俗に言うエロゲー。
そういやあまりエロゲーは買わなかったなぁ。
気になってたエロゲーを買いあさるのもアリか。
喘ぎ声を上げている二次元ヒロインを眺めながら、そんなことを考えていた。
◇ ◇ ◇ ◇
「設置する前に、ゲームセンターの効果を知りたい。
人工音声さんお願い」
ギャルゲーしつつ尋ねる。
MA硬貨も手に入ったし、忘れないうちに設置してしまおうというわけだ。
――――――――――――――*――――――――――――――
説明 「ゲームセンター」
MA硬貨を投入して遊ぶことができる機械が置いてある。
維持には発電所から発電された電力を消費する。
勝てば基本MA硬貨が手に入るが、機械によっては景品が当る。
(景品補充は宝箱と同じ原理)
機械に入ったMA硬貨は、ダンジョンマスターのものである。
――――――――――――――*――――――――――――――
なるほど。こいつはあくまで冒険者をおびき寄せるための餌みたいな施設なのか。
「入ってる機械は、ずっと変わらないのか?」
――――――――――――――*――――――――――――――
施設カスタムによって、機械の種類、機種変更の時期などを調整することができます。
――――――――――――――*――――――――――――――
「よし、じゃあ俺の部屋の奥……はうるさいな。
ボス部屋の前の小部屋の隣に設置だ」
――――――――――――――*――――――――――――――
10階層にゲームセンターが設置されました。
――――――――――――――*――――――――――――――
「このギャルゲーが終わったら遊びに行くか」
学生のころはゲーセンによく友人と遊びに行ったのだが、社会に出るとそういう機会がないため、あまり行かなくなった。
「こ、こんな所で……恥ずかしいよぉ……」
懐かしい日々が思い出される。
クレーンゲームで勝負したり、格闘ゲームの練習を専用コントローラーまで買って家でやったり……
「やっ、あっ、あぁあああああ?!」
本当に、懐かしいなぁ。
――――――――――――――*――――――――――――――
……エッチシーン流しながら、よくそんなことを考えられますね。
――――――――――――――*――――――――――――――
そりゃな。
眠気を押さえつつゲームしてたら集中力も性欲もなくなるってもんだ。
――――――――――――――*――――――――――――――
そこまでしなくても。
――――――――――――――*――――――――――――――
大丈夫だ。気に入った子のルートは2週目もやるからな。
もっとも、1週目が終わったらしばらく休ませてもらうが。
俺はあくびしつつギャルゲーをやっていた。
◇ ◇ ◇ ◇
今回の成果。
増減前5,321,490DP
―――――
収入0DP
支出0DP
―――――
現在5,321,490DP
ダンジョンマップ(10階層)
入:入口
小:小部屋
大:大部屋
小1小2
┃ ┃
┗ 大1(ボス)
┃
ゲ━小3
小1:猫又の部屋
小2:命の部屋
小3:元入口。小部屋に変化した。
9階層に繋がる動く床がある。
配下用階層エレベーターもここにある。
ゲ:ゲームセンター
大1:ボス
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます