6.何だよ、気が効かないシステムだな。運営に文句言ってやる。


前回までのあらすじ。

大食い猫又を『ミルフィーユ』と名付けた。

人工翼蛇アーチファクト・ケッツァコアトルを『バッハ』と名付けた。



◇ ◇ ◇ ◇



そういえば、この異世界ってどれくらい文明が進んでるんだろう。


もし俺のいた世界と変わらないくらい文明が進んでる国があるなら、そこで働いてゲーム買うのもアリだな。


というわけで教えて人工音声さん。



――――――――――――――*――――――――――――――

この世界の文明は、命さんの世界の中世に少し毛が生えた程度です。

ゲーム機どころかトランプすらありません。

――――――――――――――*――――――――――――――



うーん、DPを稼ぐしかないのか。


DPの効率良い稼ぎ方ってある?



――――――――――――――*――――――――――――――

ダンジョンの内に高ランクの魔獣の牧場を作り、毎日定期的に数頭殺す、などですかね。

――――――――――――――*――――――――――――――



うわ、セコッ!



――――――――――――――*――――――――――――――

あるいは、殺さず毎日じわじわ痛めつけてDPを搾取するとか。

――――――――――――――*――――――――――――――



鬼畜の所業だ!



――――――――――――――*――――――――――――――

ダンジョン内に外から人などを移住させ、住まわせて、自然死亡者からDPを取る、という気の長いことをした方もいます。

――――――――――――――*――――――――――――――



ダンジョンで生まれた子どもは、ダンジョンの魔獣扱いじゃないのか?



――――――――――――――*――――――――――――――

ダンジョンの魔獣扱いなのは、そのダンジョン内でスポナーやエッグで生み出された者のみです。

ダンジョンの魔獣の子どももダンジョンの魔獣扱いです。

――――――――――――――*――――――――――――――



なるほど。

俺が生み出した魔獣だけがダンジョンの魔獣扱いなのか。


ところで、現在の俺が出来る最大効率のDP稼ぎを教えてくれ。

今のままだと、収入が少なすぎる。



――――――――――――――*――――――――――――――

そうですね……

――――――――――――――*――――――――――――――



――――――――――――――*――――――――――――――

討伐 ゴブリン(10DP)x3

手持ち60DP→90DP

――――――――――――――*――――――――――――――



ん? またゴブリンが来たのか?



――――――――――――――*――――――――――――――

いえ。死にかけのゴブリン3匹を、ダンジョンで仕留めたのです。

ミルフィーユさんが。

――――――――――――――*――――――――――――――



なるほど。外で魔獣を探して、ダンジョン内で殺すのか。



――――――――――――――*――――――――――――――

討伐 クリムゾン・ワイバーン(7,000DP)

手持ち90DP→7,090DP

――――――――――――――*――――――――――――――



……ミルフィーユがやったのか?



――――――――――――――*――――――――――――――

いえ。人工アーチファクトTレックスが持ち帰った魔獣にバッハがとどめをさしたようです。

――――――――――――――*――――――――――――――



おお、帰ってきたのかティラノちゃん。

というか、7000DPってすごいな。自然回復が500DPだから14日分か。



「キエェェェエエエエエ!」



ボス部屋から俺に雄たけびを上げるメカティラノ。


――――――――――――――*――――――――――――――

人工アーチファクトTレックス Lv:120

スキル:【光子銃マスター】【上級剣士マスター】【自動HPMP回復】

HP 2120/2120 MP900/900

力665 頑丈さ781 素早さ932 知識240 魔法力127 器用さ106


絶滅した最強の恐竜を機械で再現したもの。

爪を剣のようにして戦うことができる。

――――――――――――――*――――――――――――――



「お疲れさん。ありがとうな」



「キャキャキャーーー!」



人工アーチファクトTレックスが喜んでるように見える。

そうだ、ついでに名前を付けてやろう。



「お前の名前は『食い倒れ』だ」



――――――――――――――*――――――――――――――

人工アーチファクトTレックスを『食い倒れ』と名付けました。

――――――――――――――*――――――――――――――



「キエェェェエエエエエ!」



うんうん。狂喜の声を上げている。



「にゃ!(またトンデモネームをつけてるよこの人)」


「おかえり、もう腹はいっぱいなのか?」


「にゃ(これから食べるところだよ。ところで彼らはご飯食べないの?)」



機械のご飯って何だ。電気?



――――――――――――――*――――――――――――――

種族人工アーチファクトは、ダンジョンの壁から常時充電しているため、ダンジョン内で飢えることはありません。

――――――――――――――*――――――――――――――



その言い方だと、ダンジョン外のティラノは腹減ったから帰って来たということか?



――――――――――――――*――――――――――――――

いえ? ダンジョン外でも数百年は活動可能のはずです。

おそらくダンジョンマスターのために帰ってきたものと思われます。

――――――――――――――*――――――――――――――



そうか。俺のDP稼ぎのために遠征してくれたわけか。



「よし、せっかくだからこのDPを有効利用させてもらおう」



まず安物無限収納袋(1,000DP)を購入だ。



――――――――――――――*――――――――――――――

購入 安物無限収納袋(1,000DP)

手持ち7,090DP→6,090DP

――――――――――――――*――――――――――――――


俺の手元に茶色い皮袋が現れる。


そいつに部屋の隅にあるアイテムを入れてゆく。


アイテムの重さも緩和されるみたいで、携帯食料を全て入れても全然平気だった。


部屋のアイテムをすべて収納して、すっきりだ。



「よし」


「にゃ!(ボクはお食事してくるから、用があったら呼んでね)」



白い猫又は部屋から出て行こうとする。



「待て。これから大事な用事だ」


「にゃ?(ん? 何?)」


「お前を副ダンジョンマスターに任命する。

そして、ダンジョンの基本運営は全てお前に任せる」



――――――――――――――*――――――――――――――

ダンジョンマスターの権限やDPを他者へ譲渡するのは不可能です。

――――――――――――――*――――――――――――――



何だよ、気が効かないシステムだな。運営に文句言ってやる。



――――――――――――――*――――――――――――――

過去には許可されていましたが、働かないダンジョンマスターが多数現れて、これではいけないということで、運営が無許可へと修正したらしいです。

――――――――――――――*――――――――――――――



ふむ。つまりミルフィーユに3000DPほど与えてダンジョン運営させるなどは不可能ということか。


いや、待てよ?



「おい、ミルフィーユがダンジョンの運営に口出しするのはOKなんだよな?」



――――――――――――――*――――――――――――――

特に制限はありませんが。

――――――――――――――*――――――――――――――



「人工音声が、DPで何を買うことができるかをミルフィーユに教えるのは問題あるのか?」



――――――――――――――*――――――――――――――

DPの買い物リスト閲覧も、ダンジョンマスターのみ可能です。

――――――――――――――*――――――――――――――



買い物リストだけ見せて選ばせて、俺がDPを使うという行為も対策済みってことか。


人工音声さんがダンジョン運営してくれないかなー。



――――――――――――――*――――――――――――――

ダンジョンアドバイザーは、あくまでサポートのみです。

ダンジョン運営はダンジョンマスターのみ許可されています。

――――――――――――――*――――――――――――――



まあ対策されてるよなー。


さて、どうしたものか。




◇ ◇ ◇ ◇


今回の成果。


増減前60DP

―――――

収入7030DP

支出1000DP

―――――

現在6090DP


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る