第4話

咲希はずっと考えていた。今日再会したばかりの幼馴染みと、これからどうやって接していくか。お互いの呼び方もそれなりに問題だったが別れ際、大きな問題が発生した。

残念ながら、あれが咲希のファーストキスになってしまった。イケメンに成長した幼馴染みに突然キスされる――――字ズラだけ見ると少女漫画にありそうな、トキメキ必須の展開だが、現実に起こるとトキメキよりも戸惑いの方が何倍も大きかった。それに、関係ないが咲希は王道の少女漫画があまり好きでない。


諒には謝られた。それ以外に言葉もなく、彼の真意も分からない。彼は私の事が好きなのか。咲希は必然的にそう考える。彼女が鈍感すぎる少女漫画の主人公になる訳にはいかない。だが正直、それ以外の可能性を考えたくなかった。私を好きでもなかったとしたら、諒はひねくれ過ぎている。試したとか、ただのちょっかいだったとか、そんな諒の像を咲希は考えたくなかった。


とりあえず、明日、聞かなければいけない。今日のことをなあなあにしてこれから1年間、諒と同じクラスで過ごすのは嫌だった。彼はそんな性格ではないと思うが、イケメンだからといって何をしてもいいと思っているのであれば、咲希は彼をしばき倒してやりたいと思っていた。

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