3シカク
伐採している人間たちを後にして、キツネは森に入ろうとした。そんな時だった。
バササ、バサッバサッ
「よお、そんな醜い体して何してんだーい」
「あ?誰だおめえ」
「俺か?俺はカラスだよカラス」
キツネが上空を見上げると、青々としている空の上に、真っ黒の体をしたカラスが、こっちに向かってにやりと笑っていた。
「カラス?鳥か、お前なんで初対面のやつにそんな口悪いんだよー」
キツネはまだ遠くにいるカラスに向かって大声で話しかける。
「へへっ癖でな。それより俺もそこ降りていいか?」
そういうと、カラスは急降下して地面に降り立った。
「何しに来たんだよカラス」
「いや、暇だったもんでな、地面をぼーっと見ていたら面白そうなやつがいたから、話しかけた。そんでさ、今何してたんだ?」
「いや、住みかが人間によって壊されてしまったから移動中なんだよ」
「そんな体で?フフッ、笑わせてくれるじゃねーか」
「だからおめえ口が悪いんだよ!」
「ハハッ失敬失敬。でもよーキツネ、その足、なんでそうなったんだ?」
「お前になんか教えたくねーよ」
「いいじゃねえかよ君も暇なんだろ?」
「…まあいいか、これはな…」
キツネはカラスに自分の足の負傷について話した。昨年の冬に、爆音がなって急いで逃げていたら足に枝のようなものが後ろから刺さってきたこと、倒れこんでいたら木のようなものが落ちてきて負傷した足にヒットしてしまったこと。そこから今日まで負傷した足が全く動かなくなってしまったこと。
「災難だな…」カラスはそうつぶやいた。
「同情なんかいらねえよ」
「でもよ、じゃあなんでそこまでして生きているんだよ」
「それはな、知るためなんだよ」
「何を?」
「人間だよ、彼らのあのパワーが知りたい」
「あんな自然破壊の種族のことを知りたいだと?」
「そんな風に言うなよ」
「まったく、君はほんとにおもしろいね、人間なんてつまらんものに興味を持つなんて」
「だってな、俺なんてこのでっかい木をよー、片時も、倒せるなんて思わなかったんだぞ!奴らはすごい、今は敵かもしれないがきっとすごい力を秘めている、俺はもっと彼らのことが知りたいんだよ!」
「君ってホントに何も知らないんだね、井の中の蛙君」
「うっせーな俺は蛙なんかじゃねえよキツネだよ」
「はいはい、じゃ、俺帰るわ、またどっかでなー」
「お前みたいな口悪いやつもう会いたかねえよ!」
カラスはその真っ黒な翼を広げて飛び立った。上空に少し漂った後
「君は本当に何も知らないんだね」と言い残してどこかへ飛んで行ってしまった。
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