1刺客

「はぁっはぁっはぁっ」

 北海道のとある山中、午前11時。

「はっはっはっはっは」

 黒いごみ袋のようになってしまった小動物が走る、雨。

「くっぅはっはっはっはぁぁ」

 ブロロロロロロロロ バシャン ガタン プロロロロロ 軽トラックが道路を走る、気温5度。

「はぁ、もう無理だ、何だあのひょろい熊は、はぁ、多過ぎだろ、はぁ、」

 小動物は嘆く、逃げる、嘆く。そして、


ヒュン


「痛ッ」

 小動物の足に何かが当たった。おそらくは枝か何かであろう、必死に逃げていたその体は、一気に走力を失った。

「はぁっはぁっはぁっクソっ」

 瞬間、寝転んだ小動物は空を見上げる、上空には黒いゴマのようなものがふわふわと浮いていた。小動物は出血が多すぎて、意識が朦朧としてきた。

右上には、枯れに枯れた針葉樹のようなものが揺らめき、雨に負けたのか、ゆっくりと、しかし着実に倒れてきた。

「う、うわああああああああ」


 ズシャシャシャ、近くにあった松ぼっくりが転がりだす。

「うおわっ、な、なんだ、夢か、なんか最近、増えてきたな。」

 キツネは近くにあった地面を蹴り、夢から覚めた。

「うぅ、気持ちが悪い、ふぅ、朝飯でも見つけに行くか、」

 キツネはのっそりと動き出し、朝ご飯を見つける旅に出る。道中では、エゾシカやタンチョウといった野生動物たちと朝の挨拶を軽く交わしていた。

「よおシカ、元気してるか?」

「おはよー今日もなんか人生に疲れたような眼をしてるねー君。」

「うるせーな、愛くるしい顔だと言えよ。」

「あ、あっちに小さな動物がいたよー。」

「お、まじ?サンキューな」

「あ、タンチョウ先輩!」

ファサッ

「どうしましたキツネ君」

「いやー今日も美しいっすねー」

「あらそう?今日はこの後羽の手入れをするの。あなたも見る?」

「あー。遠慮しときます。腹減ってるんで。」

「あらそう…。」

「さあ、飯食おう。今日はウサギ行っちゃおっかなー」

 キツネはシカが教えてくれた方向へ向かった。向かった先にはかわいいうさぎの集団がいた。

「か…かわいい」

 雪だるまの作りかけのようなその姿を見て、キツネはついついその姿を見て顔がほころんだ。

 何分かして、キツネの口の中には果物がぎっしり詰まっていた。

 

 

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