13「五里霧中 -ごりむちゅうー」

「第一回、しの壁部ミーティングを開始する!!」

 高らかに宣言した、丸眼鏡ぱっつん前髪の”部長”。拍手を送る、膝丈白靴下の”ソックス”。金髪小麦肌の”あひる”。

 異色の三人が集まるこの部は、もちろん非公式だ。そもそも、クラスの天然男子を推しとして様々な障害から守る活動が、部活動として成り立つはずもない。

 三者三様に、推しに癒され、何かに導かれるように終結した。


「んで、具体的には何すんの?」

「”神”を付け狙う毒牙から守る!!」

「わたしたちに、守り切れるでしょうか。神は、あの神々しい微笑みで眷属を増やしています」

「それな。推しを守るためにストーカーでもする?」

「シャラップ!! 我々の活動は犯罪にあらず!! 崇高なる活」

「んで、結局どうすんの?」

 あひるの問いに、誰も答えられなかった。



五里霧中ごりむちゅう:ものごとの手がかりなく、方針・手段に迷うようすのたとえ』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る