「これからは手に職の時代。わたし、漫画家になる！！」

「何を言っているんだ。いつの時代も安定した生活を送れる仕事に就くべきだ」

「美術の成績が１なのに、絵で生きていくのは無理よ。諦めなさい」

「お兄ちゃんも反対だな。お前が働かなくても、お兄ちゃんがずっと養ってやるぞ」

「安定した生活よりも、自分が死ぬときに後悔しない人生の方がいい。それに絵は練習すればいいし、お兄（にい）に養われるだけの生活なんて絶対に嫌！！」

「自分の力で生活するなら、保育士はどうだ？　子供はかわいいぞ」

「名案だわ！　そのお仕事をしたいなら、結婚して孫を見せてちょうだい」

「「なっ！？　まだ彼氏は早い！！」」

　話の論点をずらす家族を見て、わたしは溜め息をこぼした。

『四面楚歌（しめんそか）：周りが全部敵や反対する者ばかりで、だれからも援助のない状態のこと』

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