09「伯楽一顧 -はくらくいっこー」
周りには、ほぼ灰色と茶色しかなかった。
でも、ある日気づいたの。空が、一色じゃないって。季節によって、時間によって、空の色が変わる。
空の色の変化に気づいたら、岩肌も色の変化があると気づいた。
(……でも、それだけ。根本的なことは変わらない」
魔導師として歴代最高峰の魔力を持つのに、わたしは『魔法』が使えなかった。
水? 操れるわけがない。
鉱石の素材の力を引き出す? 何それ、わけわかんない。
わたしには魔力がある。でも、みんなのような魔法が使えない。だから、落ちこぼれ。
ある日、薄紅梅色と鶯色を手の中で転がしていたら……
「手の中に、春があるみたいだ。春の温かさと、冬から春へ移行する風の冷たさが感じられる。キミは、色を扱う魔導師だね」
って、晴れやかな笑顔で言われた。
そう、か……。わたし、ちゃんと魔導師なんだ。
『
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