04「一日千秋 -いちじつせんしゅうー」

 今日は朝から大忙しである。


 二週間前に注文した、巨大なテディベアの店頭受け取り。大人と同じ身長の特注品だ。どこかに引っ掛けて穴が開かないかと心配するなら、自ら取りに行く方がいい。熊のぬいぐるみが好きな、娘の喜ぶ顔が目に浮かぶ。


 夕食までに、部屋の中も装飾しておかないといけない。確か、裏庭の倉庫にLEDライトがあったはず。それを壁と椅子に取りつけて、豪華さを演出しよう。


 あぁ、そうだ。知人から子猫を引き取ることも忘れてはいけないし、あの子の好物である和菓子もバリエーションに富んだ種類を用意しなければ。


「お父さん。そんなに張りきらなくても」

「だって母さん! 一年ぶりだぞ? 留学で溜まった疲労を癒してあげないと!!」


 全ての準備を終えた頃、玄関の扉が開けられた。大急ぎで移動すると、娘の傍らに知らない外国の男が一人。そいつを無視スルーして、娘に笑顔を向ける。



一日千秋いちじつせんしゅう:一日が千年のように長く感じられるほど、非常に待ち遠しいこと』

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