第2話 何度でもサクサクラ
満開に咲き乱れる桜の花びらが、季節をより感じさせてくれます。
出会い、別れ、風が吹く度に1枚、1枚と散っていく花びらのように、人は別れを繰り返しながら、そして地に落ちた花びらには誰も見向きはせず、踏まれ、やがて土に還る。
散っていった花びらにとても、切なさを感じるこの季節。
今日も多くの人が、花見で訪れて居るみたいですね。
こんな楽しげな雰囲気の中、重々く憂鬱な表情を浮かべてる青年がいますね。
見てみましょう
「はぁ....」
(溜息しかでねぇ
今頃、彼女と花見するはずだったのにな....
お互いの家から丁度間にあるから、現地集合で集まる予定だったのに「ごめん!行けなくなった」って集合時間ギリギリに言う??
そう言うところ、直して欲しいんだよなぁ)
付き合って、1年が過ぎお互いに束縛も少なくなり、それぞれに自由な時間が増え始めてから愛梨はドタキャンが多くなってきた。
彼は、優しい男だった。
そんな彼女に対して、怒る事もせずに「そっか、わかった。」と理由も聞く事なく、返事をしていたのだった。
そんな彼は、いつも通り早めに集合時間に来ていたが、ドタキャンで予定が無くなり、この公園で時間を過ごすことになった。
連絡の後に、すぐ帰ることも出来たのだけれど、桜が満開なのを見ると、このまま帰るのは少し勿体ないんじゃないか?と思いこの場に留まることにしたのだった。
しかし、周りを見ればカップルや家族連れが多く、この花見シーズンで今の状況を鑑みればどんどんココロは重くなり暗くメランコリーな気分にさせていったのだった。
「俺も、この花びらみたいに散っていく存在なのかな....」
男心と言うのは、難しいのだった。
これは女心も同じであるが、女性は常々、男性に対して「女心が」と言いマウンティングモンスターになるのだが、やはり男にも心はあるのだ。
気付いて欲しい気持ちはあるのだ。
女性達のその言葉で、男は自分の気持ちを簡単に口にするのが難しくなっているのだ。
何か、口にすれば「女心」「女々しい」などと言われ、軽々しく口にできなくなっている。
そんな影響を受けている彼も口には出せないで居る1人だった。
だから、1人公園でメランコリックしているのだった。
でも、やはり男、それを受け入れてこそモテる男だろうと自己暗示する事で、自分のココロを押し殺し、彼女に尽くしていく彼なのだ。
(ドタキャンはないなぁと思ったけど、まぁまた会えるし、また来ればいいか桜が散る前に)
そう心の中で呟き、そろそろ帰ろうと携帯を取り出し時間を確認する。
ピロンと1通のメッセージ
「黄昏てる人発見」
振り返ると、ドタキャンしたはずの彼女が息を切らしながらそこにいたのだった。
散っていく花びらは、やがて雪の様に地面に降り積もり、散り踏まれて汚れた花びらを覆い隠し、まだ綺麗なピンク色の花びらは、それを無かった事の様にしていくのだった。
やがて、それは土へと還り、また実を付け花を咲かし、またこの季節を何度でも迎えるのだった。
悲しい事があっても、それは思い出となり、自分の糧になり、彼を育てていく
そして、彼女が笑顔になる度、彼のココロは、何度でも咲き乱れるのだった。
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