13「予言から三日目、幽体離脱した姫が田舎の村で」

(絶対に、自分で見つけて見せるわ!!)

 姫は、ぐっと拳を握った。


 姫を産んでから十年後。母である王妃は流行病はやりやまいで亡くなった。

 それから六年後。生涯王妃一筋の王が後妻をめとりたくないからと、姫に呪いをかけた。

『一週間後、目を開けた際初めて見た異性と恋に落ちる』と。

 友人の魔法使いに頼んでまでして。

 わざわざ、姫が寝ているであろう深夜に忍び込んでまでして。


(お父様の思い通りになんてさせないんだから!!)

 眠りが浅く狸寝入りしていた姫は、全て知ってしまっていた。だからこそ焦る。

 初日に猛特訓して幽体離脱できたものの、誰とも目が合わない。つまりは、交流を深められないのである。


 自分を見つけてくれる人を捜し求めて、城から遠く離れた田舎までやってきた。

 村の外れのさらに奥、深い森の中でようやく、ばっちりと目が合う異性を発見。すぐに近づこうとしたら、何もない場所で弾かれた。

 疑問に思っていると、黒紫の何かがふわりと目の前に迫る。姫は思わず身構えた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る