11「10月16日、町娘が魔法大会の会場で」

 屋台で果実水を買った町娘は、観覧席へ行く。

 魔法を使えない王が年に一度、間近で魔法を見て楽しむために作られたと噂の魔競技場マギートライテンツ。場内にあることを忘れさせる大きさで、収容できる人数は数千人と言われている。正確な数はわからない。年に一度しか開催されないから、観客は皆熱狂する。


「っ!?」


 最前列にいた町娘の目の前に、大量の水が迫ってきた。思わずぎゅっと目をつぶるが、何も起きない。恐る恐る目を開けると、半透明の膜のような壁が守ってくれていた。同時に、『魔導師長による守護膜が張られているため、皆さまに被害は出ません。安心してお楽しみください』と放送される。


 数十段ある一階席、そのすぐ奥にある立ち見空間、個室がある二階席。王族や選ばれた審査員が、会場の様々な場所で披露された魔法を審査する。だから過剰な演出もよくある話だと聞いていた。

 実際に観覧すると、どきどきやわくわくが止まらない。次は、どんな魔法を見られるだろうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る