05「日曜日の昼から夕方、老婆が平屋で」

 団子粉に水を入れ、弾力がでるぐらいまでねる。大鍋に足付きの台を置き、竹のざるの上に丸めた団子を載せ、隙間から湯を注ぎ、布巾ふきんくるんだ蓋をする。


「じいさん。若い子はどんな味が好きだろうね?」

 長年連れ添った相棒は何も答えない。いつものことだ。いつも、優しく微笑んでいる。


「あたしはやっぱり、粒あんだね」

 そう言いつつも、老婆は粒あんやこしあん、甘めの味付けのみたらしも用意する。


「若い子は、和菓子よりもケーキかねぇ」

 日曜日の昼。近所の子供達がいつも遊びに来てくれる。庭の木に登ったり、たたみの上で大の字になって昼寝をしたり。

 いつも元気な子供達と交流できるから、いつまでも元気でいられる。




「じいさん。また、早く日曜日になるといいねぇ」

 老婆の呼びかけに、白髪しらがが混じり始めた相棒は何も答えない。

 写真の中で、いつまでも老婆に優しく微笑んでいる。

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