03「金曜日の朝から放課後、女子高生が学校で」
(絶対……今日、こそは!!)
意気込みすぎて、まだ誰も登校していない教室にポツンと一人。朝練に来る人もまだいない。
衣替えしたばかりのセーラー服から出る腕を抱きしめるように、自分の席で聞き耳を立てる。廊下からは、誰の足音もしない。
とんとんと軽やかな足音が聞こえてきた。
立ち上がり、廊下に出る――待ち人の隣を通過して、女子トイレの個室に入って、姿を見ただけで跳ねる鼓動を落ち着かせた。
クラスが違うから、次のチャンスは放課後。
菓子作りの本を捜して行った図書室で、偶然会えた。それが金曜日だったから、それから毎週金曜日の放課後に通っている。
放課後。
窓の外からは野球部が活動中のようだ。朝よりも少し音が増えて、緊張する心もまだ余裕がある。
窓際に近づくと、夏の日差しがきらりと何かを光らせた。
「危ない!!」
バリンッと大きな音を立てて割れた窓ガラスの破片から守るように、いつの間にか好きな人に抱きしめられていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます