15「チャロン領」

 十字路がある。それは大きな通りで、幅は大人五十人が腕を広げても端から端まで届かない。

 石造りの家には必ず広大な庭があり、皆ガーデニングを楽しむ。中には、庭園と称しても何ら支障のない場所もある。珍しい、青い薔薇バラを育てている家もあるという。


 十字路から南に下って行くと、甜菜ビートや麦の畑がある。放牧された動物が路上を塞いでも、急がない。日光浴をしながら、道が解放されるのを待つ。


 十字路の先に、チャロン辺境伯とその家族が住むベルンガム城がある。しおの香りが時折届くこの場所は、門を抜けてから城に至るまでの道のりが長い。芝の道を抜け、左右対称シンメトリーで五ヤード(約455m)もある庭園が三つ続く。


 庭園を抜けると、ようやくベルンガム城が見えてくる。古くからこの地を守るこの城には、ある噂があった。

 青く光る少年、徘徊する貴婦人、騎士の行進等々。

 そしてそれは噂ではなく、ベルンガム城を訪問すると五回に一回は目撃されるという。

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