14「ヴェルシュ」

 広大な平原。山肌が剥き出しの休火山きゅうかざん。清らかな大河。永遠に続……かない海。陸地に近い部分は珊瑚礁が見える。しかしそのずっと先の海は先が見えない。まるで割れ落ちてしまったかのように、海が直線状になっていた。


 ここは、石の都ヴェルシュ。五つの都の中で最大の面積を誇り、大自然が自慢だ。自然の恵みがあるということは、石の魔導師が扱う鉱物の材料が豊富であるということだ。


 水晶や翠玉すいぎょくなど目で見てわかる程大きい鉱石が混じった、石造りの住宅。様々な鉱石がちりばめられ、光に照らされてきらきらと輝く石の道。ふもと、川や海沿い等、鉱石が採れる付近に街ができていた。


 自然が溢れる石の都で一か所、真っ白い場所がある。近くに石切場がある、山の一角だ。そこにはかつてみやこ内で一、二を争う技量を持った石工シュタインメッツの家族が暮らしていた。

 両親の愛情を受けてすくすくと育っていた女児は、もっと褒められたくて、ある『事件』を起こしてしまう。

 そして少女は、両親に守られて生き延びた。


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