13「フォイシュ」

 宙に浮くその島は、南北で様子が違っている。


 まず、北側。こちらはまるで線を引いたかのように、規則正しく等間隔に建物が並ぶ。中央の一軒と東西南北の四軒が一つの組み合わせになっているようだ。上空から見ると、十字の固まりに見える。

 どの固まりにも属さない部分には、流れ出ないように囲われたマグマ。街灯よりも明るく周囲を照らす。


 ここは、火の都フォイシュ。火の魔導師が暮らす島。煉瓦れんが造りの建物も、家とは色合いの違う煉瓦道も、全て燃えない素材でできている。

 南北で統一されている道が、様子の違う町並みを同一の島だと認識させた。


 続いて南側はどうかといえば、穏やかな場所に思える。北側との境にもなっている公園を抜けると、一軒一軒がゆとりを持って建築されていた。

 庭付きの邸宅もあれば、ロの字型の広場付きの集合住宅もある。入口は三つ。大きな門の奥、共通の広場から建物に入っていく。

 門の上部は、左右の建物を繋げる渡り廊下になっているようだ。

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