12「ナトゥシュ」

 王都から滝を下ると、そこは大自然。滝壺のある湖の周囲は様々な木々がある。大森林だ。


 木々の間や、太い枝の上にはちらほらと建物が見える。梯子はしごを使って登ったり、吊り橋を渡って家に行くようだ。どうやら人は、空中で過ごしている様子。建物の数も少ないから、一つの家に複数の家族が暮らすのかもしれない。


 では、地上は……?

 木々の間や伐採されてひらけた地上部分には、作物や動物、花畑。道は全く整備されておらず、小石や雑草もそこかしこにある。区画はあってないようなもので、作物の周囲だけ動物が入れないように柵が設置されていた。


 自然に囲まれて暮らす都――森の都の中心部に、ぽつんと小さな穴がある。その穴には梯子がかけられていた。地下深くへと繋がる梯子を下りていくと、そこには森の都らしからぬ”工場”が……。

 この場所は、王都や他の都から太管パイプで届く汚水や不要屑ミュルを処理し、有機肥料にする施設だ。そして地上の畑に、この肥料を使うのだ。

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