08「レマラカ」

 王族はなぜうやまわれるのか。王は、なぜえらいのか。

『血』が人々を崇拝すうはいさせるのではない。した『偉業』が尊敬の念を集めるのである。


 レマラカには、天空受皿サマーボハイラと呼ばれるものがある。それは乾燥地帯のこの国に、潤沢な水の恵みをもたらす。

 人の数十倍もある、石造りの四角錐しかくすいの建造物。その上部には人口の貯水湖があり、国を横断するように水路橋すいろきょうが整備された。オアシスがない地域にも生活用水として運ばれている。


 名前の所以ゆえんは、その形だ。庶民の居住区や商業区にもなっている四角錐の側面から空へびる石柱。いくつもの柱に支えられ、まるで空からの恵みを全て享受するかのごとく、逆四角錐になっている。そこで受け止めた雨の恵みを、貯水湖に流していた。


 王族は雨を呼ぶ一族の末裔とされている。そして、人々の生活が潤うように整備した天空受皿サマーボハイラ。これが、人々の尊敬の念を集め、王が偉いとされる所以ゆえんだ。

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