03「凱津 -がいつー」

 眼下に見えるのは、小さな森と大きな公園。緑と白の間には、カラフルな戸建ての屋根が見える。

 下り坂になるとアスファルトが近づき、上り坂になると空が近づく。


 空中散歩を楽しみながら、窓の外に自分の家を捜す。友人の家を捜す。好きな人が住んでいる地域を捜す。

 上から見ると、凱津がいつ周辺は坂に囲まれているとわかる。


 懸垂式のモノレールは、天災に強い。でも何度か、よくわからないタイミングで止まった。ジェットコースターみたいに恐怖感はない。普段はスィ~っと通り過ぎてしまう場所で止まると、何かを発見する。上から見ないとわからない、何かの動物や文字に見える木の形や配置とか。線路はやっぱりまっすぐ延びているとかとか。


 動き出したモノレールは、駅前の賑わいの上をゆっくりと通過していく。魚八うおはちと書かれたエプロンをつけた人が見える。腕まくりをしている人も見える。

 魚か肉か。付け合わせの野菜も買っていこう。


 駅を出て、数日分の食糧を購入。献立を考えながら帰宅した。

 

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