02「菎榠ーこんめいー」

 東側が海と接するこの国は、老湖ろうこを中心に六つの地域に別れている。五つの州と首都のそれぞれが自治を行う。


 首都の菎榠こんめいには、全州から人が集まっていた。その中でも巨大な宮闕きゅうけつと隣接する広大な敷地に目が行く。


 二丈程約6メートルの高さの石塀に囲まれるその場所には、運動場を囲むようにおつ字型の学舎がある。学舎の境にはそれぞれ、霊亀れいき応竜おうりゅう鳳凰ほうおう麒麟きりんかたどった木の彫刻が置かれていた。


 四瑞しずいの彫刻が見守るのは、六歳から十八歳までの子供たち。

 女子は筮女せいじょになるために。

 男子は筮女をまもるために。

 それぞれが、自分の未来のために学ぶ場。


 恋の駆け引きも糸玉もそこら中に転がる、筮瑞学舎せいずいがくしゃ

 爽やかな汗も激しい剣戟けんげき音もある、護持学舎ごじがくしゃ



 二つの学舎と様々な人間模様。そこでは今日も、誰かが笑い、泣いている。

 それでも前を向き、進んで行くのだろう。

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