16「魔物ハンター」

 王は言った。年明けから年末までの一年間、最も多くの魔物を倒した人間を姫の伴侶とする――と。

 国中の男達が湧いた。王の一人娘は美姫、絶世の美少女、傾国と噂が絶えない。姫の絵姿は、家族を持つ親でさえ隠し持っていると言われている。


「ありがとう。また姫様に近づけたよ」

 昼夜問わず魔物狩りが行われる中、少年は倒した魔物に敬意を忘れない。木の根元に墓を作る。生きていたことを証明するため、画帳にその姿を描き残す。


 棚の中に入りきらなくなるぐらいの画帳が溢れるこの部屋には、十四、五の少年だけが住んでいる。しかし日用品に使われている色は、全てに「渋」とつけたくなる物しかない。

 ささくれた机や椅子、カーテン、畳まれている服でさえ、とても若者が好むような色合いではない。まるで老人がいたかのような部屋だ。好みはひとそれぞれだが、机に置かれた画帳の中には色鮮やかな魔物がえがかれているのだ。どうにも違和感がある。



 ――ここはきっと、【秘密を抱えた魔物ハンター】の部屋。

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〇〇の部屋 いとう縁凛 @15daifuku963

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