どうやら異世界ではないらしいが、魔法やレベルがある世界になったようだー装甲機兵:武装ロイド編ー

ボケ猫

第1話 装甲(武装)機兵:武装ロイド






北米の街。

レアたちが去り、少しして北米艦隊が完成しようとしていた。

イメージさえしっかりしていれば、魔法により戦艦などすぐに建造できる。

レアたちがいたときには、職種に生産職が少ないと報告していた。

多くはないがある程度はいたのだ。

会話などで理解していた。 錬金術師がいればいろんなものが作れる。

それに生産職の中に、物をコピーできる能力を持ったものがいた。

見た目だけでなく、その内容まで完全にコピーできる代物だ。

1つ完成すれば、後はこの者に任せればいい。

ただ、その者のレベルを超えるものができないのが残念なところだが、その者のレベルを優先的に向上させ、レベル25程度のものならば、簡単に生産できるようになっていた。


軍事工場とでも言えばいいのだろうか、一つの街を完全に工業都市に使用している。

その街を国防長官と大統領が訪れていた。

「大統領、こちらの建物です」

「トーマス、その武装機兵というのはそれほどか?」

「はい・・・」

トーマスはにっこりと微笑み返事をした。


街には戦艦が20隻、空母も2隻並んで待機している。

海の上ではなく、地上にだ。

その間を通って、一つの大きな格納庫に入って行く。


格納庫に入った時に、大統領がその景色を見て立ち尽くす。

「・・・トーマス、これが動くのか・・」

「はい。 後で実働実験を行います」

トーマスは答える。

今日は、武装機兵の機動及び戦闘実験を行う予定だった。

黒く輝く装甲兵器。

大きさは3メートルくらいの高さだろうか。

人が完全に搭乗というほどではないが、その外殻を覆って保護しつつ、人の意思のまま動くロボットのような機体。

それがずらりと並んでいる。

ドローン技術を利用して、基礎は完成していた。

だが、人が搭乗して戦うものは完成していなかった。

それが、魔法によって可能となった。

その武装機兵の方から歩いて来る人がいる。


大統領と国防長官の前まで来ると、敬礼をした。

「わざわざ足をお運びいただき、ありがとうございます」

「セーラ大尉、行けそうかね?」

トーマスが聞く。

「はい、問題ありません。 今から私が実演いたします」

セーラはそういうと武装機兵まで戻って行く。


武装機兵が背中を開けて待っている。

武装機兵から出ている小さな椅子に腰を掛け、両足を武装機兵の足の部分に入れる。

両腕も同じように入れていく。

武装機兵がセーラの身体を覆うように閉じていく。

違和感はない。

重量感も感じない。

フルフェイスのような頭部が前方から移動してくる。

セーラの頭に被(かぶ)さり、武装機兵が起動する。

セーラが搭乗すると、軽く光ったような感じがした。

セーラは毎度搭乗する度に、変な違和感を覚える。 すぐに消えるのだが、何か人の中に入って行くような、誰かに包まれているような妙な違和感。

少し気になるが、完全の覆われてしまえば気にならなくなり、忘れてしまうのだが。

武装機兵が大きな音を立てることもなく、スムースに動き出す。

自分の意思で、自分の身体を動かすように動く。


その武装機兵の方から、白衣のようなものをまとった男と作業着を着た男が近づいてきた。

大統領はその者たちを見る。

トーマスが説明。

「大統領、彼がこの兵器を考えた技術者と、横の者が作成した能力者です」

そういうと、白衣を纏った男が話し出す。

「大統領、技術士官のホイです。 この兵器ですが、我々は武装ロイドと呼んでいます。 人の武装を強化したスーツです。 スーツのように装着するのとは違い、搭乗するような感じになりますが・・・・」

ベラベラとしゃべり出したので、トーマスが片手を挙げて制止した。

「ホイ士官、詳しい説明は後でお願いします。 早速、実験を見せてもらいたいのだがね」

トーマスがそういうと、ホイはセーラの出て行った方へ案内してくれた。


かなり広い空間が確保されている。

戦艦が数隻は入るような大きな空間だ。

その中でセーラの搭乗する武装ロイドが待っていた。

少し長く待たせたようだ。

また、ホイが説明しだす。

「大統領、前方に見える戦艦ですが、イージス艦型のものです。 装甲、重量、強度などは同じものです。 ただ、動くことはありませんが、今からこの武装ロイドで攻撃を仕掛けます」

大統領と国防長官は驚いた。

まさか、こんな小さな機体があんな巨大な戦艦に向かって行くとは思ってもいなかった。

「トーマス、彼の言っていることは本当かね?」

「・・いえ、私もこの実験を見るのは初めてです」

小声でそんな会話をする。

ホイはお構いなしに話を続けている。

・・・・

話が長く続きそうなので、トーマスが実験を頼んだ。


ホイはセーラに指示を送る。

セーラの乗った武装ロイドが片手を挙げて、ゆっくりと移動開始。

急に加速したかと思うと、左腕のバルカンを発射。


ドガガガガ・・・・!!!!!


戦艦に当たり爆発が見える。

大統領とトーマスが驚いていた。

ホイがすぐに声をかける。

「ご安心ください。 こちらの前面には防御魔法が張り巡らされております。 被害はありませんから、落ち着いてご覧ください」

大統領とトーマスはホイを見ながらうなずいた。


セーラの搭乗した武装ロイドが戦艦に向かって行く。

戦艦の艦首に向かうと、右手に装着しているブレードを稼働させて、艦首に斬りつけた。

艦首がゆっくりと動いて、戦艦から離れ倒れる。

「「おお・・・」」

大統領とトーマスから声が漏れる。

セーラの攻撃はまだ終わっていない。


武装ロイドはそのまま大きくジャンプし、艦橋の高さまで飛び上がっている。

そのまま上空からバルカンを発射し、甲板に着地と同時に縦横無尽に斬りつけていた。


ギン! ガン!

ドガガガガ・・・・!!


戦艦を斬り裂く音と、バルカンの音や爆裂音が響く。

大統領のいるところには、その爆音と振動が伝わり響いている。

その爆発がだんだんと大きくなり、戦艦が爆発光に包まれた。


ドッゴォォォーーーーン!!!!


大統領の目が大きく見開かれ、笑いながら震えていた。

「ト、トーマスよ。 ものすごいものを手に入れたな」

「ありがとうございます!」

トーマスはそう答えつつ、大きくうなずいていた。


戦艦のあった場所は、煙が立ち込めている。

その煙の中から武装ロイドが現れ、近寄って来た。

防御魔法はホイによって解除されている。

近寄って来る武装ロイドをみて、さらに驚いた。 黒く輝き、傷一つないようだ。

大統領たちの前に来て、セーラが降りて来る。

セーラは大統領に敬礼をする。

「セーラ大尉、ご苦労だったな」

大統領が声をかけると、セーラは武装ロイドに戻り、そのまま格納庫の方へ移動して行く。


大統領の横に白衣を着た男が近づいてきた。

「いかがですかな、大統領」

ホイが聞く。

「ホイ士官、素晴らしいものをありがとう」

ホイにはその言葉で十分だった。

そして、ホイの次の一言が大統領たちを狂喜させた。

「大統領、あの武装ロイドですが、今この街にだけでも約500機ほど存在しています・・」


大統領とトーマスは大満足し、心は決まった。

これで世界に発進し、また世界を取り戻せる。

誰もが疑わなかっただろう。

ただ、レアの言葉を皆忘れているようだ。


魔核のレベルを超える力は得られないということを。


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どうやら異世界ではないらしいが、魔法やレベルがある世界になったようだー装甲機兵:武装ロイド編ー ボケ猫 @bokeneko

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