第2話

上連雀の現場午前11時

「おっせえなオイ昨日何処えいった?」と冨士さんが田宮に尋ねる。

「ハァ~?ちょっと飲みに・・・・・」「何処へ行った谷保とおかかい?」

「あ、あの、、、、」

「一発、抜いて来たべ、?ガハハハハ」上機嫌の富士さんである。

(ブオーンバァーンフォンフォン)「おう馬鹿がやって来たべ」冨士さんニヤリと笑う。

「おう、諸君、オハヨー」 「てめぇ何時だと思ってんだ!」

「ヘェ~まだ昼だんべ」 「そこに直れ!!」気お付けする幸司。

「トリャ~」と富士さん。(ベシッ)鈍い音がした。

「いてぇ~、ケツガ死ぬ~」と幸司がのたうつ。

冨士さん得意のケツ蹴り、「フハハハハ」冨士さん大笑い。

「おんめぇ、遅れてきて、でけぇ顔スンナ!!」

「ふぁ~い」と幸司涙声。

落合雪

天海幸司の姉23歳、職業ツアーガイド、ライディング良し。

NSR400R、奥多摩午前4時。

幸のデリカステーションワゴンから降ろしたマシンで、周遊道路にてテストライディング。

の前に奥多摩の天海家にて投宿、奥多摩天海家は天海幸の兄が隠遁する屋敷がある、兄幸一は66歳、辞め検弁護士で、気難しいが物分りのいい幸にとって良い兄貴である。

柔道4段、剣道は昭和の剣聖伯道の門下生、8段位。

エピソード。

割り箸を投げ林檎を刺し貫く、手裏剣術、、戦後まもなく銀座で愚連隊15人と争いになり一撃も受けない、戦前に剣道の全日本王者を非公式ながら負かす。

有楽町のクラブで、プロレスラー、【アームストロング・山上】を、雨傘一本で倒す、池袋に空手道場を持っていたが人に譲る。

戦災孤児を養育し養子にしている、天海幸司は甥。

立川で、飲み屋【一休殿】を経営している。

戦前、趣味で異種格闘技、柔拳試合に出場し、セメントマッチで全勝している、何事も不敗神話を持つ。


話は元に戻り、近所に住む走り屋、ペプシのトン平こと山田勝男が遊びに来ていた、周遊道路のテストライディングに勝手に着いて来たのだ。

幸と雪が、エンジンに火を入れる(キュル、スパパパパドリュリュパーン、バリバリバリ)エンジンは快調である。

見事なライディングで、各所コーナーをハイスピードでクリアしていく雪。

ペプシのトン平もGSX400Eも着いて来る、(バリバリバリ)音が良い。

2週目に差し掛かる、ラップを計る天海幸の前を黒と黄色RZV500が通り抜けた、まるで獲物を追うタイガーである。雪とトン平の後ろにあっという間に着く。

ペプシのトン平がいち早く気付きガードする、一瞬、クリッピングポイントが遅れて抜かれる、RZV500はスルリと激しく追い上げるRZV500、猛烈なスピードで振り切ろうとする雪のNS400R改。

追いすがる追いすがる、これでもか、これでもか、と煽り立てるRZV500、雪もサーキットで走る経験があるから上手い。

ガンガン行く2台、華麗な舞を見せる雪のNS400R、黒いRZV500スリップに入る、直線でもブロックを激しくする、前にRGγ250が走っている、軽く抜く。

丹精込めて作り上げた幸のNS400Rは直線で息継ぎをし追いすがるBlack Swallow、東山周一抜かれた、直線で諦める雪。

4本出しのマフラーから白煙を噴き去る周一。

「少し悔しいなっ」と雪クスリと笑う。

NS400Rはヒート気味で戻ってくる「お父さん周一君見たいな子に追い抜かれちゃった。」

「RZV500だろう?」

「速いったらありゃしないよアノ子」

「幸司より腕がいいな」

「それよりNS400速くなったろ、来月号の【メーターサイクリスト】に載せるからな~」

「速さより私の腕だね」と雪。

「キーンて感じだろう?」

「乗りやすくなったけど加速性能が落ちたわ」

「そんじゃ、またセッティングだすか」


昨日の今日

天海幸司は武三の現場で働いていた。

「よう、昼いくべぇ」

「あと何日くらいでこの現場終わるのん?」

「一週間だんべぇかな?」

田宮ポマードで頭テカテカ。

「冨士さん三日休みくんない?」

「佐藤さんに来てもらうか、休んで良かんべ」

吉祥寺にお昼しに行った、ホープ軒で三杯食った幸司。

「よう幸司」

「何?冨士さん?」

「俺のボトルで飲んだべやか?」

「少しだけだよ、田宮君がイッパイのんだかなぁ?w」

「いえ、その~・・・・・・」顔を赤らめる田宮。

「次はマリリンでも空けたな?」ニヤツク冨士さん。

「ふえ~お見通しかよ!」


午後7時仕事じまい。RX-7(ボボボボボババババ~)

今日も快調。

雨が降ってきた、ワイパーを作動させる(ウィーンウィーン)

「帰りドンキ寄っていこ」


(イラッシャイイラッシャイ本日のタイムセールは・・・・・・・・)

「エアークリーナーはっと」幸司は探す。

型番が合うのが無いFCのばかり。RSのプラグも買う。

表示間違えで7000円になる。「おう、店長呼べや」

「はぁ~でも7000円なんです・・・・・・」「店長よべや」

「いやぁ~天海さん申し訳ない。」と店長謝罪。

〆て3000円也、VIZUカードを使う。RX-7で帰宅した。

「お帰りなさい」午後8時頃帰宅、普通の旦那をしている幸司である。

(ルルルルル~ルルルルル~)電話が鳴る。

「ハイ天海です」と直子でる。

「あ!お義姉さん、え?今名古屋?」

「姉ちゃんか代わってちょ」

「幸司、お父さんのバイク近々雑誌に載るわよ」「うん?NS400?」

「そう、だから協力してあげてね」「えーやだなぁ・・・」

「エンスーのマシンでもあるまいしw」

「だからNSで0-400やるらしいわよ」

「ん~考えておく。」

「じゃ気が向いたらでいいわ」

「あ!ウィロウよろすく」

「あ!幸司相変わらず奥多摩行ってるの?」

「んだべ」

「それなら、Black Swallow  とは会っても勝負しない方が良いわよ」

「え!アノザコまだ走ってたのウヒヒヒ」

「幸司いい加減街道レーサーの真似は止しなさいね!サーキットでも行ってやりなさい!」

「後ね、洋次って人怪しいから付き合うの辞めなさいね」

「ね~ちゃん煩いね!」

「そんじゃ明日早いからバイバイ」ガチャリ。」


土日休みが取れた、十月下旬、一郎と河口湖に行く予定であった。

RSのエンジンに点火する、キックで一発で火が入る、(ボボボボボフォーンフォン)良い吹け上がりである。

午前3時、タンクバッグにナップザック釣り竿を差込み後部座席に荷を積み、白いジェットヘルにブラウンのシューティンググラス黒い革のジャンパーに風林火山のエンブレム、ライディンググラブに白いスカーフ、RSは今日も絶好調である。

天気は晴天、星空は青い。

RSを一路、砂川家に向ける、東八道路を走る、一直線で180キロまで出す。

国分寺のアンダーパスを抜ける、大カーブが見える一気に国立府中ICを抜ける、国立府中IC付近で200キロオーバーする、スタリオンが130キロほどで先行してるが一気に追い抜く。

聖蹟桜ヶ丘でR32スカイラインを認めるが、一瞬でパスする、R32スカイラインGTSは競い立つ、200キロ近くにアクセルオンして、アクセスしてくる、東八も野猿街道に入る。

GTSはまだ追ってくる、煽りが入る。

野猿の山道絹ヶ丘登る、釣具と荷物があるのでバランスがとりにくい一気に登り切る、途中の信号で止まる。

途中ソアラの2,8を追い抜く、スカイラインGTSは無闇に飛ばしてくる、R32右折する、野猿街道を降る、北野街道に合流する。

北野に出る、八王子バイパスに合流する。

北野の信号で左折する、一本目の路地に入る。

砂川工務店に着く、(フォーンフォンフォンフォン)

敷地に入る、一郎が出てくる、RSのエンジンを止める、「よう時間通りじゃんか」

「はえー気がするけど何か食わせてぇん」

「インスタントラーメンならあるけど」

「それで良いから食わせてぇん~」

事務所の鍵を開ける。「ひゃーメッキリ冷え込んできたな!」と砂川一郎。

「ヤキそばバゴーンが、良いな」

「バゴーンか勝手に作れ!」

「お湯お湯」

「今日は、マス釣りで行くぜ」

「マスか俺初めてだぜ」

「ルアーは持ってきてちょ」

「俺のバス釣り用のしかないな」

「しょーもないなベイヴェイ」

「竿とリールは持っていくよ」

(ゾロゾロゾロ~)バゴーンを食べる2人。

「何か食い物もって行くか?」

「いや、昨日の夜母ちゃんがにぎりめし作ってくれたから」

「そりゃ、お金がかからなくテイイヤ」

「ヨシ良くか!」

一郎の愛車はSRX600、一応少しカスタムしてある。

「れっつらGO」「ビク持ってきたか?」「一応クーラーBOXあるけどねぇ」

(フォンフォンフォン、キュルドッドッドッド)ZⅡ750RSが咆哮すると、負けじとSRXもエキゾーストサウンドを響かせる。

リアに、荷重がかかり安定してる。

(ドッドッドドバババ)

SRX600、42ps/6500rpm最大トルク4,9 OHC4バルブ、砂川一郎は後部シートにバイク便用の箱を積んでいる。

(ドドバババドリュンドリュン)二十号を一路河口湖へ。

途中に、地元のドライブイン[銀玉ラーメン]に寄る。

千人町にあるその店は24時間営業である。

トラックが店の前に(ドン着け)されている、5台は止まっていようか?

店前の歩道に止まる二人、サイレンを鳴らしてパトカーが通り過ぎる。

(ボボボボボボーボボー)空いてる道を、ローダウンしたローレルが通り過ぎる。

箱をロックし店に入る、喧騒が木霊して、耳をつんざく、酔っ払ったトラックの運転手ががなり声で喋る。

「イクッペェよ、オラなら広ん島まで寝ないで行けっペえよ」

「よう、広島までなら俺が行くダニ」

「ヘイラッシャイ」と店のオヤジ、一見して元極道の顔つきである。

「オレ羊ちゃんラーメン大盛り!」

「俺はどーしようかな?」

「早く決めんべ、魚が逃げちまう。」

「じゃあ餃子一枚とチャーシューメンとライス」

「ヘイ」と店のオヤジ。

(ジュージュージュー)餃子を作り始めるオヤジ。

「よう、兄ちゃん夜釣りかいな?」

「ほう、坊主釣りか?ドコ行くの?」

「河口湖っす」と一郎。

「今河口湖ICで工事だんべ」「夜間だけどもよぉ」

「へぇ~おっさん良く知ってるね」と幸司。

「いえ、下で行きますから・・・・・・・・・」

「下じゃ時間食うぜよ」

「下でも単車なら一コロで行きますよん」と幸司。

「表の単車アレおめえぇらのか?」

「いいなぁ~遊べて、俺なんか休みの日爆睡よんなぁ源さん」

「んにゃぁ」

「ヘイ、おまちどう」と注文分が全部来る、タクシーの運ちゃんが入ってくる。

紺色のブレザーに、卸たてのワイシャツにネクタイが中途半端にぶら下がり、パンチパーマに薄いブラウンの遠近両用メガネをかけている。

年の頃は40半ばである中年臭い!。

場が静まり返る、「よう、洋一さんビール一杯頼んまぁ」

「ダメだよ晴さん仕事中だろ?」

タクシーの窓が少し開いてい、無線の音が漏れ聞こえる。

(八一号から弁さんへ先ほどのセリーネの客キャンセルです宜しくどうぞ)

(え~バカヤロウドウゾ)

「オイ運ちゃん無線うっせーから切れよ!」

トラックから歌うのヘッドライトが流れ聞こえていた。

(ドライバーの皆さんお早うございます今日は金曜日午前3時半今日子です、最近私の凝ってることはね・・)

「オイ文句あんのか、雲助野郎、だれでぇ今ほざいたの!」

「誰に向かって言ってんだコノヤロウ!」

「オイ、俺は東八の北晴夫だ、」

「え!・・・・・・・・・・・」

「オイ、やるなよ晴ちゃん、またムショ行きだぞ!」と店主がたしなめる。

「オイ表出ろ雲助野郎共、んん~?野田交通の俺をなめんなよ」

後ろに幸司が回っていた、顔面に口に含んだ水を吹きかけた。

「あちゃ~小僧良くやるなぁ~」とトラック運転手の一人が感心した。

と言う間もなく、エンピが腕に直撃。

「いて~つぅうう~~~~~~~」と地べたに蹲る。

「よう、ボウズ大したもんだ」「兄ちゃん今のうち逃げんと後が怖いぞ」と店のオヤジ。

「勘定は、俺らが払っておくわい」

「源さん何してんの?」チンポを出す源さん、放尿する。

「この素人ども[山元野会]にヤキ入れさせるぞ腕いてぇ~つつつつ、ションベンかけるなっ」

「ヘェ~、山元野会かぁ~俺は天海幸司てつーんだ、一度金山には挨拶しに行くぜ」

「へぇ、お前さんが東八のフセインか、ガキ大将が極道に歯向かえると思うなよ!」

「誰がセイントセイヤじゃ!」とローキックが決まる。

「いたいよぉ~もう勘弁してください、ゴメンなさい(涙」

「へぇ~お前さんが街道荒らしの天海君かぁ」

と山平と言う多摩の運送業者が言う。

「今度ムサムラの山ディーウドン奢るぜ!!」と山平大盤振る舞いのつもり。

黙々と食べる一郎。

「一郎、到着遅くなるから早く食えよな」

「晴さん大丈夫か?」店主のオヤジが肩を貸して奥に連れて行く。

「ヤマディ~奢ってねん」と幸司携帯の番号を山平に教える

「お~し、若ぇの気に入ったぜよ。」「ワシの助手やるか?」

よう、兄やん有名人だすな~」「いっぺぇ奢るだでよ。」

「いっぺぇ位ならいいか」「オイ単車だぜあぶねぇよ」と一郎。

山元野会幹部野中が来る。

粋なダブルのスーツ、黒い、左胸がチャカで膨らんでいる、手下2名居る。

「幸司くん久しぶりだね」

「よう野中さんか、この間キャンディーでボトル失敬したよ。」

「いいよ、約束したからね」

「所でウチの破門したタクシー屋の晴の落とし前ちゃ悪いけどね、2~3発殴らせてやれ。」

「ん~タイマンで勝負ならいいぜ?ん?」(ピーポーピーポーピーポー)救急車が通る。

「タイマンでお前みたいなのに勝てる奴がこの辺にいるか・・・・」

「アイツ、口の利き方悪いのは勘弁してやんねぇ」「嫌だ!」

「じゃぁ俺の四天王テコンドーの松本と勝負するか?」

「壊していいならやるよん」

「一応言っておくが韓国の大会で準優勝してんだが。」

「ふ~ん」

と言う間もなく、松本、幸司の顔面を目掛けて正拳を放つ。

ノンステップブローで、風を裂く音がする。

平手で軽く受け流す、そのまま拳を握り締める、その際松本の小指の関節をヒネる。

素早く拳を引っ込める松本、右上段回し蹴りを後退しながら放つが、かわされ空を切る次に連続技後ろ回し蹴り。

一歩前にタイミングよく進む幸司、後ろ回し蹴り脆くも崩れる。

その、転瞬、松本の体に絡みつく幸司、コブラツイストが決まる。

「オイ、幸司もぅやめておけよう」と一郎。

「ウグググ、、、アイゴウ~」

手下2号の元吉が、幸司の顔面目掛けて椅子で殴りつけるが、幸司体を入れ変え、松本の顔面を持ってくる。(ゴツン)

松本は序でに肩の関節を外される(ポキリ)ダラリとなる右の肩。

元山がすかさずパンチしてきた、また拳を掴み外側にひねる、「アイヤ~」と、呻く右手は戦闘不能に、やる気がなくなる。

「オイオイ、良い加減にしろよガキが」と野中青い顔をした野中達也。

素早く幸司は接近し、野中にチョーパンを入れる、鼻を押さえて蹲る野中。

「オイ、通報したぞ、ワケぇの早く出て行けぇ」とオヤジが迷惑そうに怒鳴る。

五千円札をカウンターに投げて出て行く二人。

後に分かったことだが、元山は元東日本のウェルター級の新人王を取った土佐犬太郎と言うボクサーであった。

(バオオオンドドドドド)エキゾーストノートを発して去る二人。

甲州街道を下る、高尾山口の前を過ぎる。

途中で【高尾愚劣】の多可さんを見かける。

後ろからNSR250 88年式が追いついてくるが如何せん登りの坂がキツクテ上手くいかない。

大垂水の駐車場で一服する。

「幸司よ山元屋会の幹部ノしちゃったけど良いの?」

暴走族【甲州タイガーズ】の集会が見えるが相手にしない。

「吉本良美って言いますけど、天海幸司さんでしょ?」と4人組の女子高生風の少女たちから声を掛けられる。

「お!彼女たち~今日は河口湖に行くぞ、一緒にランデブーする?」

「いえあの、幸司さんと2ショットの写真撮りたくてぇ~」


「別にいいけどお~」

一緒に写真を撮る、「キャーやったあ」「あ~私も~」と写るンデシの使い捨てキャメラで撮る。

「じゃぁ私たち、先に帰ります~アリガトウございます~」「気をつけていけよ~」

4人と2人別々になる。

「よう、一郎君よ、タンクバッグ以外の荷物箱に入れてくんない?」

「え!良いけど何で?」

「アソコの自販機の前の黒と黄色のRZV気に入れねぇ。」

「また悪い癖が・・・」

幸司、黒と黄色のRZV500に近づく。「オッス」

「よう。」

「風林火山の天海君だね」 「何時かの時は俺の勝ちでしたなヌハハハハ」

「あ!その件で会いたかったんですけど。」

「やっぱな、マシン変えて待ってたのか?」

「ふん、アンタには負けてないですよ。」

「サーキットじゃ知らんが、公道最速は俺だぜ、デカイ顔すんな。」

「アハハハハ、じゃあ、アンタの姉さんのNS400チギッタケド、アンタの方が遅いぜ!」

「関東はおろか、日ノ本一は俺でスよん」

「風林火山のダンナ、一回戦しますか?その中古(チュウブル)のZ2で、アハハハハ」

「ふ~ん、そのセンス無い中古RZVそんなに速いのか?ニャハハハ」

「腕が違うぜ、センスよ、マシンが同じでも負ける気がしないよ、マシンじゃないですよ」

「根性ヤキの刑にしたいけど、そんな趣味無いから、一息に止め刺してやるよ!ウヒャヒャヒャヒャ」

「じゃぁ此処一週で良いですか?」ニヤリと笑う東山周一。

「ヘン、俺は忙しいから河口湖まで付き合えよ。」

「んじゃ、行きますよガソリン満タンにしておいた方が良いんじゃない?w」

ニヤツク東山周一。

「へんっハイオク満タンにしてきたぜヨ」

「ガス欠で負けても恨みっこ無しですよ」

「んじゃ行くか」(ドドドドフォーンフォーン)

(パパパパドリュリュリュバララララ)ニブイエキゾーストノートが辺り一面に響く。

2人駐車場で並ぶ、「んじゃ、砂川先輩よぉ河口湖の何時もの場所で」

「分かったよ、)2人とも、事故るなよ!」

「レディーGO」一郎が手を上げた!(バババババフォーンーフォーン)

一気呵成に公道に出る2台(パパーン)120キロ程でアリストが煽りに入ろうとしたが後の祭り2台すでに160キロ程で上がって行った。

アリストかなり突き放されるが、フルアクセルで追撃に入る、目の前で、小馬鹿にされたような気分になりアリストの運転手血が頭に上がる。

アリスト怒りの走行に入る。

(パパァ~ンパァ~ン)100メートルほど後ろでアリストパッシングして煽りに入る。幸司と周一無視する。(フォオーンオオオンフォーンボボボボーン)アリスト煽りまくる。

(キュッキュッ)タイヤがグリップして鳴く。

周一前に出ようとせず、煽りを煽る、ロールを切る。

山梨に入る大月まで23分。

大月の駅前の交差点を過ぎる、左に折れる、ストレートでデッドヒートする、アリストの本領発揮だ、ツインターボが唸る、230キロは出ていようか、追い掛けて来る。

背中の風林火山のエンブレムが風になびく(パーンフォーン)

ソニックブームの様に風を切る風を切る3台。

Z2RS750は200k付近で息継ぎする、RZV余裕の230キロ付近で針が揺れる、人気の無い信号を3つ目を無視しパスする、グングン差が開くがアリストも負けてない。

RSの何処かのネジが緩む、カタカタ音がするが無視する、前を軽四輪トラックが走る片側一車線の道だ一瞬でパスする、対向車が見える。

Y31グロリアが向かってくる、Y31とグロリアの間をRSがすり抜ける、実にバッドタイミング、空力で左右に引っ張られる幸司、ビームをハイに切り替える夜明けは近い。

が日の出の遅い時期である後ろから、アリストがまだ来る、「ウヒヒ、腕が違うわいなぁ」と幸司。

ミラーで後方をチラチラ見る周一。

スピードを少し緩める、190キロ付近で走行する、畑道が続く、前に大型トラックが3台並んで走る列になっている。

対向車が来る、東山大減速、(パオーンパーオン)エンジンブレーキと前後2輪ブレーキを併用する、キャリパーがきな臭い。

大型車はユラユラ走る、後ろから無理抜きする幸司、対向車が5台列を成してくる大型トレーラーを一気にごぼう抜きしようとする幸司車体と車体スレスレデ180キロ付近まで届く。

(フォーンゴゴゴゴゴ)後ろにピタリと周一着く。

体にトレーラーのステイが触れる、少し左によろける最前列のトレーラーに一瞬ひるむ幸司、開き直りアクセル全開で抜く、スリップの体勢の周一、視界が開けた。

RZVすぐさま追い抜く、遅れる幸司のRS、アリストは後方に消えた。

河口湖方面に右に折れる、河口湖周囲を回りだす、一向に追いつかない幸司、前をトンボのようにひらひらするRZV。

3週目でブレーキに異常が現れた(カタカタポリンッポリン)

ゆらっとするRS【グン】とブレーキを握るとポロリと前輪ブレーキが取れた、「オイヒヤヒヤスルゼ、うひひひひ」

エンジンブレーキとリアブレーキで大減速する、エンジンブローの音がする(キューンカンカンカンカン)「ちっしょーがねいやい」

エンジンがブローしてしまう、路肩に止まるRS750ZⅡ赤いタンクに黒いライン下から煙が立ち上がる、熱くて逃げる幸司。

キルスウィッチは切れてある。

ブローオシャカであった、200k走行からの大減速が裏目に出たのか?ポンコツなのか?謎である。

(パリパリバリバリューン)RZVが一周回って戻ってきた。

「ありゃ、やっちゃいましたねぇ」 「ブレーキが外れて200キロからの大減速さっ」

「ブローしてますよ、良くコケナカッタデスネ、大丈夫ですか?。」

「レッカーを呼んどいて」 「了解!」 「あとボート小屋に砂川居るから呼んどいて。」(パリパリパリーン)遠のく周一。

RSはオシャカになった、どうしようか?金の工面に頭を悩ます幸司であった。

                                             地獄からの使者RZV 終

借金返済計画

10月○×日幸司は意気消沈していた、仕事も上の空である。

借金総額300万円以上。

「どーしようか?砂川ちゃん?」

「あんな馬鹿買いして、挙句に750オシャカにしてるからだ」

「うぃ~」 「うはははは~」砂川一郎は大爆笑。

「あのさ~幸司君、お金は計画的に使わなくちゃな、ウヒョウヒョヒョ」

「変な笑い方スンナよん、金この現場終わっても残らないしよ」

「金金うるさいなぁ」

「しょーがねぇんだよ金ねーから」 「RX-7売れば~?ウハハハ」

「しょーがねぇなバイトするか?」

「何か良い仕事アンノかよ?」

「ラーメン屋なんてどう?」

「ラーメン屋って天門か?」

「うむ人手不足らしいし行ってみたら?」

「現場も今日終わるし行くかな・・・」

「行って来い来い。」

【台湾ラーメン天門】

(ガラガラピシャン)天門のドアを開くと店主のオバちゃんが居た。

「イラッシャイ、あらワルガキかい、力也ならまだ寝てるよ」「いやねぇ、おば様、ラーメンライス一丁」

「また、ラーメンライスか、しけてるねぇ」 「あのオバサン・・・」

「そーいやねぇ、力也が店でワルともめてお前さんの名前出してたよっ!」 「へぇー」

「あのね、オバサン・・」 「それでねそいつら力也の名前聞いて驚いてたの何のって。」

「いやそれでね」 「それから直子ちゃんが竜司連れて遊びに来たよっ!」 「それはともかく・・」

「んでね竜ちゃんたらオシッコ漏らしてオオワラワ。」 「はぁ~そうですかぁ~」 「休憩時間だよ食ったら帰ってよ!」

「あのぉ~お姉さん用があって来たんですけどぉ」 「ん?お前さんが用とは?金のこと?」 「うん、直子がバックにジュエリーだの買って借金が出来て・・」

「へぇ~で幾ら入用かい?」 「直子の分で60万円くらい・・・・」 「へぇ~可愛い顔して子供いるのにそんなに!」 

「今銀行〆だから月曜日取りに着なさい、金利は12%だよ」 「12パーでも何でも・・」 「それより車買ったんだってお姉さんにも時々乗せてね!」

「ハイサッサ」 「ハイ、ラーメンライス!」(ドン)と丼に指に入れて置く。

「RX-7買ったんだ、今からでもドライブ行く?」 外で2階に住む洋次という男が何かしているのか、時々見える。

(チラチラ)外を見る幸司、「んでねそうそう、あんたの家のママ大変な事したのよ!」

「右翼の街宣車にブツケタのよ今日、アハハハハ」 「ウヒャイヤダネェ」

「右翼って何処の?」 「瑞穂の神身会員愛国何とか、馬鹿みたい、そうだタバコ買い忘れてたわ。」

力也が降りてくる「オハァーッス」 「おはぁ~じゃなくて幸司君来てるよ。」 「久しぶりん子」 「ようRX-7見せてよ」

「見るだけならなぁ~ウヒャヒャヒャ」

「お姉さんと力也に相談があるのだが今良い?」 「良いけど気味悪リィ~な」 

「イヤそれがね、直子の借金で首が回らないのヨン、それでオレ様がバイトしなくちゃ食べていけないのよん此処で働かせれ」

「オヤ?前に来た時は3日で辞めたのに?」 「う~ん 幸司この仕事辛いぞ」 「特別にやってやりたくて、洋次のアニキからも頼まれてな。ヌハハハハ!」

外で洋次が中の様子を見ている。

「まぁ、態度が悪いけど皿洗いと出前からだね!」 「おう!そうか、遂にラーメン道を極めたくなったか」 

「そうそうそれだっ!」と幸司調子が良い。「豚骨スープの作り方教えてやっからね」 「ワカッタス」 

「それよりなぁ、、幸司、東八連合とまだもめてるんだって、この間、一利が愚痴りにきたよ」 「何もシテナイケドネ、ヌヒャヌヒャ」

「んじゃあ、何時から来れる?」 「明日からでもイイヨ」 「じゃぁタイムカード作って持ってるから」 「んじゃ明日にしょーがないからくるねっ!」と外に出る幸司。

「アレ?鍵が開いてるじゃん」シフトからハンドルまで無くなっていた(ガ~ン 奴だ!)後部左でホイール外してる男がいた、ブロックを積んで車高を上げていた。

「コラ オッサンヤメレ」 「なぁ~んだ幸司おめぇのか派手なハンドル着けてキャハハハ」 

「コラ早く治せっ!」 「ヘェ~イン、よっこらのしょん」 15分後元に戻す!「そいじゃねん」と闇屋の洋次が去る。

【闇屋の洋次】(本名・岡田 洋次)

力也の紹介で【天門】の2階に隠れ住むようにして潜む。

怪盗第765号として警察が捜している。

特技・鍵開け、鍵型作り、車窃盗、転売、密航、後方破壊活動、流言、監視、尾行、ピストル密造、eto

裏カジノの支配人、八極拳の使い手、関節外しをしての縄抜け、手錠抜け。

爆発物製造の疑いで指名手配中らしい。

愛車、ランサーセレステボルトONターボ改、シャレードデトマソ。(仕事マシーン)

妻が四国にいるらしい、子供が2人いるらしい、過去に幸司に2段蹴りを教授したらしい。


幸司は甲州街道を西へ20分で帰途に着く。

取りあえず、三堀町の実家に行く。

ゼファーのチョッパーで3段シートの族車が置いてある、(ありゃ誰のだ?と幸司いぶかしむ。)

家に入ると母が出向いた、「コウちゃぁ~ん、大変なことがあったのよぉ~ん」

居間に入ると、ソファ~に寝そべる【鈴木君】がいる、学ランを着て、パンチパーマの頭が見え隠れする。

「変な奴きてんなぁ~」と幸司でかい声で言う、「あら、鈴木君コウちゃんきたわよ~」と幸司の母が呼ぶ。

奥から出てきて、洋間で対峙する2人。

通称【鈴木君】17歳】奥多摩在住

本名、鈴木一竹、西部多摩地区青梅線沿線で有名なワルがき、テコンドー1段!

飯能方面で5人で15人相手に闘い倒す!

一人で福生で5人倒す!

青梅線立川駅ホームで、2人殴って倒したら5人になり5人殴ったら8人になり不良総勢10人の乱闘になり、青梅線がとまったらしい。

テコンドー流ヌンチャクが得意。

都立福生熊川学園在学中。

高高度回転後ろ回し蹴りが必殺技!バイトしても1時間で飽きるから働かないのが有名。

巨人ファン。


「おぅおめえか、ゼファー相変わらずセンスねぇな」

「うっせーなフセイン!」

「何しにきたのぉ~ん?」と幸司フザケル。

「それが、先輩伊藤一矢って奴知ってます?」

「知らんよ」

「先輩のこと〆たって言いふらしてんですよ言いふらしてんですよ」

「一矢、ってつおいのん~?」

「ツオイも何もローキックの一矢って16で福生ペスタで売り出し中の、福生、羽村のヤンキー総なめにしたのよん。」

その時、ケーキとコーヒーを運んでお母ちゃんが入ってきた、「コウちゃん今日事故起こしてねぇ、相手が怖いのよ~お父さんに相談しなくちゃぁんもぅ」

「相手が右翼じゃなぁ」

「右翼ですかはぁ~」と鈴木君。

「オレの親父町会議員だけど話だけしておくねぇ」

「ちょっとママ大事なお話中なの、席外してね」と幸司。

「ハイ~今日は明文堂のカステーラ買ってきちゃったん、お上がり。」

「んで、先輩福生ペスタ〆んの手伝いますよ」

「〆るって鯖じゃないんだからなぁ、オレって走り屋のシティーボーイだから、族など相手しないヨン。」

「でも福生では先輩のこと〆た〆たと大騒ぎですよっ」

「そいつが、史上最強なら何時でも挑戦にに乗るけどなぁ、走りでな、ウフウフフ」大爆笑を堪える幸司。

「でも、奥多摩のトンビィーズも助っ人しますよ!ピシ」

「トンビィーか洋輔はは元気か?」

「ハイ、昨日も一緒に飲みに行きましたよっ」

「チェっ生意気だな!」

「話変わるけど、車は70年式が最高ッスよ」

「何ん?70年型って何だよ?」

「カペラロータリーとかってカッキイですよ。」

「カペラってジジィマシンジャン」

「てゆーか、ロータリー最高っすよ」

「オレ、乗ってんの知ってんの?嫌味かよ?」

イキナリ幸司(ガツン)と拳骨する。

「イテ、何すんだよ!!」

正拳突をし返すが外れる、ビュっト空を切る。

「ウフフフフ甘いな」と幸司、悦に入る。

「畜生、腹ボテオヤジめ」と口の中で罵る鈴木君。

「いいから帰れよっ」

「そんで、奥多摩の勝美ちゃんが狙われてるんだな」

「そうだ良輔さんも狙われた」

「良輔なんかドーデも良い」

「よっしゃよっしゃ、取りあえずお前がそこまで言うなら今から探して話し合いすんべ」

「取りあえず、単車置いて、俺の、横座れ!。」

RX-7をスタートさせる、(キュルボボボボボーン)

20号線に躍り出る、立川日野橋の交差点を右折する、立川通りに出る市役所前までノンストップで着く。

中央線のアンダーパスを抜ける。

ケイタイ電話で【奥多摩の天海家】に電話する。

「ハイ天海ですけど?」

「こんいちわオレです」と答える。

「あ!幸司兄ちゃんどうしたの?」

「勝美帰ってるか?」

「ん~まだ見たい」

「まだガッコか、そしたらガッコの方に帰らないように連絡しておくれ」

「ハイ、部活だから遅いと思うよ!」

「ふ~」(ガチャリ)イキナリ通話を切る幸司。

天海勝美は幸司の鳩子である。

「オイ、拝島よるぞ」

通行人が話す声が聞こえる。

「ねぇ川崎さん、立川って何処でお買い物するの?」

「そおね、第一デパートなんか良いぞ」

「う~ん、そこお洒落なのかしら?」

話しながら、通行していく中年と少女のアベック。

幸司路駐させ、通行中のヤンキーに眼をくれる。

睨みあいになる、ヤンキーそそくさと逃げる。

追い討ちに罵倒する「おいテめぇ人の面じろじろ見んなよ!」

「ケッ 珍獣が!」とヤンキーも行き過ぎて罵る。

鈴木君車から飛び出してヤンキーの胸倉掴む。

「おめーらウチのチームでマークしてここら辺、走れなくするぞ!」

「上等だ人気の無い場所にさらうぞ!」と鈴木君。

「ご、ゴメン、悪気があって見てたんじゃなくてすみません」と土下座する。

「さらうのだけは、勘弁してください。」

「喧嘩はよくないよ~ん鈴木君」

ヤンキーはこの隙に逃げる」

モスバーガーでハンバーガーとかを買う。

「会計は2462円です」

「たけーよ、姉ちゃん、原価の3倍以上じゃねーのか?」

「でも、今のお店の設定金額が・・」

「店長、~」

「私店長の飯田ですが、言いがかりは辞めてください」と鈴木君に言う。

「たけーから近い将来危ないよこの店!」

「オイ鈴木君いい加減にやめたまへ」

「ねーちゃんゴメンな、店長もコノあほに付き合わせてわりーね」

と会計を払う幸司である。

「いえいえ、確かに原価の3倍かも知れませんが、人権コストもありまして、あーだこうだうだうだ」

「分かったよん」

「お持ち帰りですね、此れでは、どうもありがとうございます。」

路上駐車で紫の【180SX】がとめてある。

運転席から赤い髪の毛をした男が出てくる、幸司の車のギリギリに止めている。

180SXのタイヤを、鈴木君がける「オイコラ邪魔じゃ、出れねーだろう髪の赤い鶏!」

「何かと出すよ」

「ヘイ小僧、コノ程度で出れないのか?ど下手かよ?うははは」

「誰だてめぇ、ここいらのモンか?」鈴木君怒り心頭。

「オレは山越っつーもんだけど、テメエラナンダ?」

「ほほう、福生ペスタの山越か、餌食にしてやろうか?」

「そこのデカイ旧式マシンの男、何処かであったよな?」ええ~クソやロウ?」

その瞬間鈴木君の膝が鳩尾に炸裂する!。

「うげっげいでぇ」と山越胃液が逆流する。

3分ほど、様子見ている2人。

「ペスタの一矢知ってんべ?家か溜まり場教えろやい」

「一矢なんか知らないよ」涙があふれ出る山越。

「じゃぁこれでどう?ウヒヒ」と指固めを決める幸司。

「イテテ、矢吹さんにお前らのこと〆て貰うぞ・・・」

「矢吹の奴まだ生きてたの、今日が命日だなウヒャヒョ」鈴木君が、イキガル。

「分かった言うよ、言いますよ~」

「羽村の小作って場所の、スカイアークに何時もコノ時間に居るよ~(涙

(ボキッ)一本小指の関節を抜く。

「じゃぁ行くか鈴木君?」

「行って〆ましょう」

「〆ても良いけど泣きっ面見たいな」

「泣かせるも一緒ジャンうははは」

「ふ~面倒臭いからとっとと泣かしちまおう」

と幸司やる気が沸かない。

「カレー食いたいな、スカイアーク行くついでに食うか!!」

「余裕か増してると手強いですよ、一矢は」

RX-7に乗り込む(バタム バタム)

小作か~ガソリン代ヨロッ!」

「ヨロってお金三千円位しかありませんよ!」

「二千円でいいお」 「ふへ~」 (キュルバボボボボボボーン)

イグニッションをキーでまわしエンジンに火を入れる。

立川南口から、東京街道に出る、車列が多く渋滞気味だが錦町から柴崎町に抜ける裏道に出る。

諏訪神社前で東京街道に戻る、新興宗教の建物が並ぶ。

一気に道路が空く、、車が疎らに走ってる、途中、街道沿いのラーメン東京豚骨によりネギチャーシュー大盛りを食べる。

上品で身なりのいい、中年のお姉さんが厨房ネギを一生懸命切っている。

「あらカッコイイ車ねアナタノ?」鈴木君に言う。

「いえこちらの先輩のです。」

アメリカンの単車が、通り過ぎる。

「アラRX-7ね、いかすわね、私も随分前だけど乗ってたのよ」

「ヘェ~凄いですね~」

大盛りのネギチャーシューが来たネギの長さが20センチがあるだろうか?大盛りである。

チャーシューも分厚くとろけていて美味い。

(ゾロゾロズズズ~)3分ほどで食べる二人。

「幸司先輩ゴチです!」

「しゃうがねーな」

「ゴチですた」

「ご馳走様~」

「お会計ね、〆て2000円です」

「2人一緒でね」と幸司。

「鈴木君また悪さしたんだって?」

と店のオバサン。

「してないけどどーして?」

「お母さんが良く愚痴こぼしに来るのよ、あまり泣かせないでね!」

と店のオバサン釘を刺す。

幸司出て行き、車を出す、助手席のドアーが開くスペースを開ける。

「先輩から奢って貰うの初めてですね」

「行くべぇ」走行車をやり過ごし、スタートさせる。

(バボボボボーンヒューーンヒューーン)

昭島球場の前の信号が赤になる、駐車場から出てくるカムリが前に出る、カムリのおじさん手を上げて割り込みの挨拶をする。

青になる東中神に行く三叉路の信号で直ぐに赤になる、イラット来る幸司(ボム)裏拳を鈴木君に入れる。

「イテ、何なんだ~よぉ~何時もコレダもんなぁ~」

「ネミィ」

東中神の駅前を越え、日産のディーラーを過ぎ、中神駅前の青梅信金の信号で止まる。

右折バカボンがが3台いてヘボぞろいが車間が無くて詰まっていた。(パパーン)ポルシェホーンを鳴らす幸司。

前のオバサンが微動だにせず止まっていた。

鈴木君が車から降りた、助手席の窓を叩く(ズゥ~)パワーウィンドウが下がる。

「あら、何かしら?」 

「コノ広さなら余裕でいけんべぇ、免許アンノかよ?」

「こんな狭いの行けないわよ」

「イケンベェ ヘボ 運転スンナ」

「なにぃ~ガキの癖に生意気言うな!」

「オレなら120キロで行けるなヘボ!」

「じゃぁ動かしてよっ!」

「やったらーな!」

(パパーン)前が空いてRX-7に急かされる。

「アンタ見たいな不良はクタバレ!」

「なにぃ~」

(ドスン)タイヤをける。

「キャッ110番するわよ!」

「してみろ!」

「いい加減もどれ一竹」と幸司。

「はい、でもババァが」

「うっせー速く行くぞ」

「ハイハイ、トホホ」

「死ね、ガキ!」(ビビビビー)

フォーンを鳴らして逃げていくおばさんミラ。

(バタン)「幸司先輩、アイツ死ねとか。

「ウッセーな早く死ねよお前!」

「う~~」

(ボボボボボ)走り出す、昭島朝日町まで緩やかに流れていく、子供病院の信号で止まる、後ろからアルトが来る。

イトーヨーカ堂の客が列を成している。

3分ほど信号を待ち、拝島へ向けた、道が狭まる、工場街になる。

二又の道が合流し拝島に出る、郵便の支局を左に見て商店街に入る、少し込む、ゲームセンターが左手に目立つ。

学生がワラワラ歩いてくる、拝島駅を越え、緩やかな左カーブに差し掛かる。

福生ペスタ支部の落書きが16号線の壁に書かれている、16号を潜る道幅は狭いが、120キロオーバーでダッシュ&ストップを繰り返す。

対向車が来るが軽くヒール&トゥでかわす80キロまで落とす。

橋の手前の信号で一時停止する。

橋を右折し渡る、緩やかに左にカーブする。

制限速度30キロの道であるが(ビューン)

真直ぐ行くとコイン洗車場がある、洗車場を右に曲がる、直ぐに図書館通りに入る、空手道場の看板がある、直進すると住宅街に入る(ババババボボボボ)

RX-7は好調である、福生の旧赤線地帯に入る赤線方面に右折する、色とりどりの看板がある、外国人が目立ち始める。「おう、プアマンズポルシェ」と大声で怒鳴る黒人兵。

シェルの大きなスタンドが、産業道路のドン突きにある、産業道路に出る左折する、片側2車線の大きな道だ。

前をギャランVR-4が走っていた、軽く何の気なしに抜く、(パパパ~ン)フォーンを鳴らして追いかけてくる5速でフルスロットル、180キロ付近で針が揺れる、VR-4も後ろにピタリと着く。

加速ではVR-4の方が上だ、、製造時代差があるがチューニングで補っているRX-7、前にエテルナが居て、(ドカン)とブレーキングする、急接近、素早く左によける、VR-4がエテルナに激突!!。

「こえーこえー」と鈴木君。「アレ、ペスターの奴の車ですよ(汗

「知ってるよ、ジェットストリーム・アタックだろうギャハハハハ」 「そうですよ当たり屋です~」

「前のが機動会の江藤だろよヌハヌハ」 「へぇ~良く知ってますね」

「知らいでかぁ~」

「先行きましょう、」

神明台の二丁目北の信号で赤になる、止まる、産業道路を西へ西へ栄町まで、R31スカイラインと競争をしていた、少し渋滞してきた5台前がのろい、末広町2丁目西の交差点を左折、アンダーパスの手前のスカイアーク、に車を入れる、(バタムバタム)ターボタイマーでアイドリングする。

(ピンポーン)お店に入るとチャイムが鳴る、ウェイトレスのお姉さんが来る。

「何人様でしょうか?」

「ちょっと店長呼んでください」

「失礼ですけどお名前は?」

「天海幸司というんだよん」

「はぁ~天海様ですね」

「店長~」

「ヒソヒソヒソ」

「ハイ、店長の渡辺ですが、どの様な御用件でしょうか?」

「ちょっと、呼び出してほしいんですけど客を」

「お名前は?」

「伊藤一矢って言います、俺の名前は鈴木て言います。」

「はい、鈴木様ですね」

5分ほど待つ、出入り口に赤く染めた鳥頭の伊藤が出てきた。

「よう、伊藤、天海幸司さん連れてきたぜ」

「え?・・・・・・ハジメまして。。。」

「ハジメマシテじゃねーだろ、〆たんだろコノ人?吹かしか?」

伊藤の後ろに4人着ている、福生ペスタ、ヘッドの矢吹、サブの力石、スタンセン・又吉、吉田由夫、福生ペスタ四天王だった。

「お!東八のフセインじゃないか?」

「オイテメーラ表でロ!」ムカムカする幸司。

会計してきますと伊藤。

「おう良い度胸してしてるな!」

「先にお前ら出ろやい!」と鈴木君。

「おう後ろから襲うなよな」とヘッドの矢吹!

駐車場の人気の無い場所に行く、

店長着いてくる、ガダルカナル・タカさん風の店長であった。

「おう、天海さん!!」

という間に後ろから、伊藤のローキックが炸裂した、が次の瞬間ジャンプ一番避ける序に、着地と同時に後ろ蹴りが炸裂した後2段蹴りが顔面と鳩尾に当たる。

一方鈴木君は。

矢吹と力石を相手に、対峙していた。

一方幸司は顔面と腹をやられた一矢の次に又吉が後から羽交い絞め(フルネルソン)の体制を作る、吉田が右ストレートを一発入れた、ビクともしなかった幸司。

矢吹に苦戦する鈴木君、矢吹のジャブが入るが、足にタックルをする、大ゴケする矢吹。

吉田はノビテ居た。フルネルソンが解ける。

「おお!感嘆する店長、伊藤一矢、意識が回復するがノビタ振りをする。

又吉は驚く!眼を見張る又吉、腕をとって関節を決めようとする又吉、逆に腕を決められた又吉危うし!!

(ドドーンドーン)卍固めに入る、技が決まるまで5秒とかからない必殺技だ。

卍の体勢からコケル(ボキボキボキ)腕が軋む又吉痛くてイヤになる、地面をタップする。

矢吹恐ろしくなり、ノビタ振りをする。

力石と店長渡辺、解説つきで観戦していた、「私が見た限りでは、1970年代の猪木VSドリーファンクJR以来の関節技の応酬だった、学生の時蔵前国技館にラーメンを一週間我慢して見に行ったもんだ!」

「私の見る限り、2,11R木村VSストロング小林の金網デスマッチ以来の迫力ですなぁ」力石も語る。

「おぉう力石お前やんのか?」

「イエ スンマセン 僕仕事があるので これで~お疲れ様でした~」

(スッタカター)と逃げる。

「さよならっ」とそあらでのツインターボで逃げていく。

店長「オレの若い頃よりマシな喧嘩だな」と大笑いする。

「いやいやプロレスごっこですよん」と幸司。

「店長の渡辺、認定のチャンピオン、鈴木君と天海君、カンカンカンカン~」

「それってプロレス?」と鈴木君。

「オレテコンドー最強チャンプだぜ」

「うひゃひゃひゃ韓国空手かよん~」と渡辺さん。

「オイ、矢吹起きろよ」と蹴飛ばす。

「はいごめんなさいごめんなさい」

「又吉も起きろ、皆起きろよ」

「オイ帰ろうぜ鈴木君」

「しかし、落とし前付けさせないと」

「それにしても、オレのことセイントセイヤって言っただろ?」

「フセインダヨ」と小声で言う。

「悪口以外で呼び出しまでして殴るなんて卑怯だぞ!」

「お前ら天海先輩〆たって吹いたからだよ!」と鈴木君。

「うんうん」と店長の渡辺さん。

「店長~何してんですか~電話ですよ~」

ウェイトレスに呼ばれる、「ハイハイそれじゃまた~」


「てかよ」

「吹いたのは一矢だけだぜ!!!」

「オイ一矢?」

「アレいない??」

「まだノビタ振りしてるよ」

「ハイハイ天海さんの蹴りで目が覚めましたよ、福島でも噂が響く天海さんだども、やっつけたらさぁハクさつくど思いハンカクサイまねしたどもよ」

「謝るれよ4人とも、噂流して只で済むと思ってたのか?上のモンがしっかりしなきゃ駄目だんべぇ~?」

「謝るよか、飯おごってぇ~ん」

「すみません、ステーキでも何でも食べて下さい、この場のことは秘密にして置いてください~~」

「あの店長渡辺さんが噂流ししなきゃな~」

と鈴木君。

6人で食事会をした・・・・・・次の日へ


次の日のこと

午前11時頃、起床、顔を洗う、軽く歯を磨く、直子はもう出勤している。

幸司は身支度をし、ブルゾンを羽織って出掛けた、バスで府中駅まで出た、府中から新宿方面の列車に乗る途中東府中で五分待つ。

午前11時50分ごろ調布に着く。調布の改札口でワルそうな5人組が幸司の顔を見て陰に隠れる。

無視して、北口の改札を潜る、一駅分キセルしてたので、自動改札ではなく、切符きり場に投げた少し歩いて少し走る、駅員気付かず。

左へ折れて歩く、5分ほど歩いてタバコ屋【ミヤザキ】を左に曲がり歩く、古い路地裏である、寂れた感じの建物が並ぶ、一番奥に中華料理【天門】がある。

店の前でシャレードデトマソから何やら持ち出してる男が居る、昔馴染みの【高島工事】である、二階に住む洋次の助手をしていた男である、年齢は良く知らない、。

「よう、幸司じゃないかい?」 

「おう 盗人かと思ったら工事くんじゃにゃい」

「「ハウ~あの日以来だねぇ~」

「お!お!東八と武三やっつけた時か!」

「懐かしいな~」とハグする2人。

「今日何しに来たんだ?」

「何しにって、此処のボロ中華料理屋、しょうがないからバイトに来てやったんだ」

「ははぁ借金でもあんだな ウフフフフ」

「てかお前パンチパーマすげ似合ってるよ!」

「金があったら貸すけど 今オケラなんだ」

「いやぁ~たかだか200万くらいさっ」

「ウヘ~ ガキが居るんだろ?大丈夫かよ?」

「心配後無用!此処で当分働くからだいじょーび」

「家にもちゃんと帰れよっ、お前まだ未成年だし気を引き締めれよ!」

「てか中学の時以来あってねーけんど何処にいたんだよ?」

「少し海外で修行してきた」

「へっ?アメリカか?」

「ウム、メリケンのシスコさ」

「んでまた 洋次のデッチすんの?」

「ウンにゃ違う、中古車屋やってんのよ!」

「へぇ~速く知ってたら車買ってんのによ」

「お前RX-7に乗ってんだろ,SAの?}

「うぃカリカリチューンしてんだが」

「暇があったら今度乗せてくれ、エアロとかアクセサリー着いてたら少しだけ高値つくかもねぇ」

(ガラガラ)店の扉が開く、店主の金平豊子さんが出て来た、

「あら幸司、天海の方!ボヤボヤしてないで出前と皿洗いしな!」

「ヘイヘイウィ~ス」(バカン)とアルミ板で、殴られる、「イテテ」

「舐めた口聞いてないで早くしなさい忙しいのよ昼で」 「そんじゃオレ二階にいっから用が有ったら呼んでくんねい」

「ウィッス」

中の控え室に入る。


金平豊子(46歳)

調布駅付近商店街にある、中華料理、【天門】店主、社長、出前多し。

元○×△組幹部。

元スケ番でやり手、四葉航空工業の社長の3号、子供2子有り。

温和で真面目で努力家、市内に4店舗有り、

本店、出前員8名、カブ、メイト8台、板長、小林力也!若いが実力主義。

台北料理専門。


力也が待っていた、他に5名、自己紹介する、「本山田ですよろすく!」

と小太りの年配といっても40代の男が言う、「川田ッス先輩!」「おう、本町の川田かヨロ」

「上田三郎ですよろ」と握手を求める、握手するギュウと力一杯握られるが、幸司関節決めする、「イテテテマイッタ、オレ23歳、空手少々の二段、君も何かしてんの?」

「フ~ン、少林拳を少々ね」 「段位は黒帯?」 「チョット上田さん、幸司さん禅行印流の少林拳ですよ、失礼だから喧嘩売る様な真似は止して下さい」と川田。

「あ!禅行印流ですかスミマセン、」 「因みに初段だが何か?」 「黒帯ですかはぁ~凄いッス恐れ入りまして」 「ハイ次は誰ん?」 

「ハッピー池田ですよん、ハッピーデスカぁ?」 「あ!予想屋のお?」 「あっ知ってましたかハハハハハ」 「幸司君は力也さんお友達だよね~東八連合解散事件の時見に行きましたよん。」 「あ!幸司、ハッピーさんて、ルート政堤に居たんだってぇ」と力也。

「ヨロピクお願いしますねん」 「後3人居るけど夜勤」

「じゃぁなにしよかいなぁ~」 「取り敢えず待機しておいて」

「よう幸司」と階段を降りて来る。「おはー洋次」と幸司も返す。

「上田君、ちょっと幸司と組手してしてよ?」 「え、勝っちゃいますけどイイスカ?」と上田三郎。

「へぇ~上田君泣かせて良いなら」 「泣かせられるならやってみな」 「ふーんじゃやりましょっ」ジリジリ間隔を縮める2人。

「トリャ」上段蹴りが上田から繰り出された、幸司前へ、出る回し蹴りが不発に終わるヨロケル上田、左のガードで脛を打つ、次の瞬間鳩尾に正拳を打つ。

左の正拳を打ち返す上田、幸司キャッチし腕をひねる、逆手固めが後ろに回る、「イテテテ、参りましたヨ」

「へぇ~大したもんだな幸司」と洋次感心する。

「下らない事やらさないでくれ!」と洋次を一瞥する幸司。

「強いっすね天海さんこれからも宜しく」と握手を求める上田三郎。

「誰か出前に行って来てよ」と店主豊子さん。

「じゃぁ一番速いオレ行きます!」と上田三郎。

「たのんだぜ!」と力也。

「上石原2丁目の立石さん」」 「ヘイ」 「餃子3つにラーメン3つね」と豊子さん。

「幸司は皿洗いしてくれ」 「チェッつまんねーの」 上田は出て行く。(ブロントトトトトト)スーパーカブが発進する。

店には、カブ5台にメイト3台の陣容である。

ハッピーさんが厨房に入る。幸司一服する、「ナア、本山田さん腕相撲しない?」 「良いけど怪我するよ!」

「じゃぁこの台で」っと木の机を指差す。

本山田さんヤル気満々、腕が太い、体重は80キロはあるだろうか。

「ヨシ、レディーGO」と腕と腕が組み合う、(ガチン、グ、グ、グ)本山田押す、ワザと幸司劣勢に持っていく(ニヤニヤ)する本山田。

(グギ)本山田の腕が鳴る、(バタン)一気に幸司が決める、「イテテ」 「オレの勝ち!」と手を上げる幸司、脇で洋次見ていて呆れる。

「おう、幸司出前頼むぜ」と力也「市役所だ」「ヘイヘイ」「タン麺二つに餃子三つライス4つ、チャーシュー麺三つだ」「多すぎやしないか?」

「お前働けるだけマシだと思え!」と豊子さん、「ヘイヘイトホホ」

岡持ち2つ付けて幸司に割り当てられたメイトに乗る、ノーヘルである。

サングラスを掛ける、「水道部の岡田さんか、後他、」と独り言を言う。

メイトは2ストローク単機筒、アンダーボーンフレームはプレス板をモナカに合わせにした側面形状からUボーンフレームと呼ばれシリーズ名にUが冠せられた。

荷の重さで車体が傾ぐ。

(パパパパトトトトトトブー)鶴川街道を急ぐ、途中で前の車にブツカリソウニなる。5分ほどで着く、ロビーのお姉さんに水道部の場所を聞く。

岡持ちを二つぶら下げて歩く、後ろから本山田さんが来ていた。

「ありゃ幸司君まだかノビちゃうから早くね!」 「うぃ~」

「こんちゃ~毎度天門ッス」 広いオフィスの一角に水道部がある、「岡田さんてだれぇ~?」 「お!来たか、早いな、新入りか?学生か?」と幸司の尻を叩く。

「ウィス、2650円ス」 「おう和田に石黒に小島、昼着たぞ」と岡田さん喚く。

「じゃぁ3000円で」 「お釣り350円ス」と釣銭鞄からお釣り出す。

「これチップ」と飴をくれた、「あんがと御座います」 「君の名前なんてぇーの?」と岡田さん聞く。

「天海幸司ッス」 「じゃぁこれから君が指名でウチ頼むよっ!」 「ウィース」 長い廊下を歩いて帰る、途中でエレベーターに乗って降りる。

悠々と歩いた、帰り掛けにタバコ屋【みりん】に寄る、18,9の娘が店番をしていた。

「マルボロ2つ下さいな」と幸司、「はい」と白くて美しい手が伸びてタバコを2つ取り出した、その手をワザと触る幸司、「ねぇ今度デートしないオレの7で」と幸司。

「ウフッ 何処の子なの君?」 「天門て中華料理屋だ今度食べにきなっ!」 「エヘッ面白い子ね、天門なら良く行くわ」白い手に赤いマニキュアが色っぽい。

「じゃぁ、これチップ」と岡田さんから貰った飴を渡す。「アハッありがとうー」 「名前なんてぇーの?」 「みかん」て呼んでねウフフ」 「じゃぁみかんちゃんまたね~」

と幸司メイトに乗る、(パラパラパパプププぶー)チープなエキゾーストノーツのメイトである「お帰りー」 「何だ遅いな何処で油売ってたの?」と本山田さん。

「はい、次の出前だよ~」 「場所は~?」 「ヨンミュージックスタジオだよ」 「はい、俺が行きます、幸司君に指導するから連れて行くよ~ん」

「丁度良いや岡持ち二個だからな」と力也「ホイサッサー」と幸司、メイト出前六号、岡持ちをONするとプラーンプラーンと揺れる。

メイト6号旧甲州街道に出る(ドム)っとチューブタイヤが軋む。

7号続く(ドタム)と岡持ちが揺れる。

「オウオウ遅いヨン新人君~」と本山田さん、鶴川街道に入る、黒石石材店の手前を左折、路地を少し入ると大きい【ヨンミュージック】のビルがある。スタジオに入る。

幸司コケル、が岡持ち水平を保つ、「オラオラ新入り気を抜くない」 「オッス、オラゴクウ」と門衛に言う。

「アンタ何しに来たの」 「オラゴクウだんよ」 「誰だ貴様!?」 「おうチョウさんで前だよ」 「ふざけた小僧も仲間か?天門さん」

「チョット1円貸して?」と幸司。

「ホレッ何に使うんだよ?」 と本山田さん、人差し指と親指で挟む、「クゥ~」と力む幸司~2分ほど集中する(凝視)する2人。

(グニャ)っと一円玉が二つに折れる、「うひゃ~」と門衛のジジイチョウサン。

「これお守りに取っておきな」と幸司、「ハイ了解しました」ピシとお辞儀する。

「おぅ本山田いくぜぇ」 「ヘイヘイ」と本山田さん。

第三スタジオ、スタッフルーム、、「毎度天門ですチャース」と本山田さん。

「あ!山本好子だ!」 

「馬鹿、野本聖子だよ!」と本山田さん。

「サインくだちゃい~」

「あら私のファンなの?」

「ワンフーです!」

「じゃぁこれで」チュッとホッペにキスする野本聖子ちゃん。

「私、天門の餃子好きよ!」

「実は私が仕込んでるのです!」と幸司法螺を吹く。

「ワァーオ ステキネ」

「では背中にサインしてちょ」

「書き書き」(シュッシュッ)とペンで白衣に書かれる。

「ウワ、やったぜベイビー」

「オイ、早く勘定済ませろ!ボケ新人」

「ウィス」

「〆て1680円どすえ~」

「あら、面白い子ね」と控え室ら出てきた岡田雪江ちゃん。

「雪江ちゃんさいんしてぇ~ん」

「あら、私の私の横浜ラブで愛しいララバイ買ってね!」

「今手渡しで買いまふ」

「ちょっと、マネージャーの林さん呼んで」

5分ほど待つ。

「あ!はいはい雪江ちゃん!」とヘルペスノバッグから取り出す。

2500円で二つサイン入りを買う。

「あ!もう10分以上居るなけえるぞ新人小僧!」と本山田さん。

「アラ、私の【青春マネー】も買っててぇん」と身をくねらせる聖子ちゃん。

「おうよっ」っと3000円集金バッグから出す。

何れもサイン入りだった。

「じゃぁあんがとうございます~」と引き上げた。

その日の午前の部は7件走った。

昼飯午後2時半、チャーハンとラーメンの残りのマカナイ飯を食べた。

準備中

「よう、幸司今日は配達で小忙しいけど土日は厨房に入ってみないか?」

洋次が何やら動き回っている。

「洋次さん手伝おうか?」力也の話は風に飛ばされていた。

「幸司、人の話きいてんのか?」

「あ!別にどっちでも良いよん!」

「ち~この新人生意気ですよね力也君」と、本山田さん。

「うるせい、本山田、幸司は俺の大事な友達だ、だぁ~とれ!」と力也怒る。

「それに、幸司さんの方が先輩ですよ、本山田さん。」と本町の川田。

「え?ナンデェ?」 「だって幸司先輩中三の頃から此処に来てるんですよね。」

「うむ、お前よりベテランだ!中古車セールスしているお前より使えるぜ!」

と、力也、日頃から気に食わない本山田を〆る。


洋次に引っ付きまわる幸司「邪魔ですよ~コウジちゃわん」

「邪魔せんから仕事の内用おせ~て?」 

「おい幸司、部屋に戻って来いよ~」上田三郎が言う。

「ヘイヘイトホホホ」 

三郎もチャーハン位作れるようにならなきゃな」と力也。

「そうだ!力也たんのレパード見せてぇん?」と幸司キモイ。

「おうよ、まだ一時間休憩があるから、ドライブ行くべぇ。」

メイト7号と力也のカブ一号で駐車場まで行く、1分ほどで着く。

「おーナイスヤンキー」と幸司褒める?

「そう褒めるなよ~ん」と力也。

82年式、レパードZGXターボスーパーエディション、直列6気筒SOHCターボ、最高出力145PS最大トルク21,0KGM/3200rpm。

バリバリスモークのフルスポイラーAMG仕様である、ニスものステッカーが張ってある。

「コレッテ5速MTだろん?」

「ウフフフ、通はMTに限る」

(ガチャン)とキーで、ドァロックを解く、「オウ、入りなぁ」

「おう、土禁かセケーナ」 

「ヌハハハハ」と2人上機嫌で笑う。

「行くぜ」(キュルルル、バボーンバボボボボボボボーン)

(ボホーンボホーンボボボボ)

大音量のエキゾーストノートが響く。

(キャッキャ)タイヤ音を残し、【ZGXターボ】は発進する。

旧20号から鶴川街道を行く、後から来た28ソアラが急に飛び出してきたレパードに危うく追突しそうになる。

(パオーン)ハイビームを当て煽るソアラ、ロールを切るレパード(キュッキュル)

(パパパパァーン)もう一発フォーンを鳴らす、28ソアラ、(ドカン)とブレーキを踏みビビラセル力也追突しそうになるソアラ、橋の上に出る。

橋の上で追越を掛けて、幅寄せでレパードの前をふさぐ。

急ブレーキング、レパードZGXターボ止められる。

即行で、助手席から降りる幸司、「チェッ、あまり痛めつけるなよ幸司」

2,8lソアラの運転席から、イカにもチンピラ風の男が出てきた。

「オイ、コラ、ここいらで、俺の車煽ると、仲間が来てさらうぞ!」

「良く、知らねぇけどアンタダァ~れ・ウヒャ」

「良く聞け、俺は族の、甲州ルートの池上だ!」

「ふ~ん」

「言って置くけど、俺喧嘩強いヨ!」

「へ~~」

「オイ!馬鹿にしてるのかよ、殴るぞ!」

「ホイホイ」

池上の右ストレートが唸る、スピードの乗った良いパンチだが。

両手ブラリから左ストレート一閃。

(ドキューンキュンキュン)今度は内側から放ったクロスカウンター!

右ストレートが外に流れたパンチは6倍?の威力でお見舞いされた!

池上君は白目をむく、後続車は溜まり渋滞に・・・

「ヘヘヘヘ」と笑う幸司、「オイすげーぞ幸司一発だ!」

顎に一発くらい池上はボクサー生命を絶たれた・・・・。

「おっちゃん、けえるぜ!」

「だれがおっちゃんじゃ~」タッタと逃げる2人。

ソアラが邪魔で動かす幸司(ガシャン)歩道に当てる、凹むソアラ。

失神してる池上君のポケットに千円札を入れる力也、ソソクサと助手席に乗る幸司、ローギアに入れて発進、ホイールスピンするレパードZGXターボ。

「オイ、アレ池上て言う族の頭プロのボクサーだぜ、ハァハァ」荒い息を吐く力也。

「へぇ~アレでボクサーかおっちゃん」

「誰がおっちゃんじゃ!」

「あんなウルフのコンニャクパンチ目じゃねーぜ!ウフフフフ」

矢野口の踏み切りで一時停止する。

「ウルフじゃねーよ」

踏み切りを行き過ぎる。

「バトルモードで突っ走ったぜ!」

「え?バトルフィーバー?」


甲州ルート頭 池上良太(18歳)

名打ての武闘派暴走族、東八連合傘下、構成員32名ほど、

検挙数多数、72年結成、現21代目。

プロボクサー、6回戦ボーイ、コメント「後楽園ホールで待ってます、ハハハハハ」


RZ1が逆車線に出て追い抜き去る。

矢野口の信号で右折する、長いストレートで流れに乗り60キロ付近で走る。

「おうよ、幸司真面目に中華料理習わないか?」

「食うだけだんべ、後なぁ俺には世界一のホセが居る!」

「なんじゃそりゃ?あしたのジョーごっこはいいから・・・」

「ホセ知らないのか?」

「しらねーよ、メキシコのチャンプなんて」

「しってんぢゃン」

「そーいや、RX7の借金大丈夫か?」

「余裕だよッ」

「VIZUカードの請求が半端じゃないって、直子ちゃん言ってたぞ。」

「それ、憶測だべ」

「それにしても、見事なクロスだった!」

「クロス屋だもんな、俺腕がいいから!ビシ」と幸司意味不明。

「良いか、建築なんてあと少しで不況になるぞ、今だけなら良いが、食い繋ぐため飲食業が良いぞ。」

「へ~~~ホントにぃ?」

「そうだ、土地は有限だが、食い物は生きていくために必要だ。」

「う~む、天骨ででもバイトしよーかな?」

「やめれ、族の巣だぞ!」

「う~ん」珍しく考え込む幸司、聖蹟桜ヶ丘に着く。

「オイ、路駐して焼肉屋イクベ」

「何処の店だよ?」

「小江戸だよ、いくべ、今日はおごるぞ財布あるし!」

「それ店のジャン!」

「テヘッ」

「テヘッじゃないよ!」

「小江戸過ぎたから、Uターンすんべ」

「ヨシ!早くしろ!」

「今日のパンチ、何打アレ?」

(チッチッチッチ)ウィンカーの音が車内に響く。

「パンチってクロスカウンターのことか?」

「ああ、アレ何処で覚えた?」

「国の秘密機関だよっ!」

「なんじゃそりゃっ!」

駐車場は満車状態である、前5台目に駐車スペースが空いていた、そのまま突っ込んで路駐する。

(バタム、バタム)二人降りる(スチャ)鍵を掛ける力也。

(コツコツスチャスチャスチャ)と歩く。

途中でヤンキーと出くわす、目線を避ける、ヤンキー。

焼肉【小江戸】に、入る、席が二つ空いていた。

BOXで二人座る、「なぁ幸司、子供も居るんだから、喧嘩とかバイク辞めて天門で働けよ!」

「う~む」

「そうそう、クロス屋も止めてウチ来いや、豊子さんも喜ぶし昔の仲間も居るし、良いじゃないか?」

「俺にラーメン屋になれってか?」

「うむラーメン屋でもウチは一流だ」

「うーん、どちらかと言うと洋次さんの方に興味あるけどなぁ!」

「ヤバイ奴に近づくなよー、ふぅ~」

「ヤバクナイヨ、良い奴だべ?洋次さん、この間から何の仕事してんだろう?」

「それよかお前、東八の頭中嶋がお前を追いかけてるぞ、いい加減不良ごっこ止めろよ」

「不良じゃなくて、893の方が悪者ジャン?」

「893はワル者が商売だろうが!」ビシ

「それよりさぁ、俺レプリカ欲しいけど良いの無い?」

「知らん」

「う~む400cc以上のが欲しい。」

「うっせぇなバイクキチめ」

駐車場にインフィニティQ45が入ってくる、3人組だ、坊主頭に茶髪のパンチパーマだ、背広を羽織、肩で風を切って入ってくる。

オーナーの息子、金丸広吉(19歳) 双子の弟金丸博也だ。

「いらっしゃ~い」と客に愛想が良い。

幸司を見つけて目付きが厳しくなる。

「オイドブネズミ表でろ!」と広吉、3人が囲む。

「誰が、ネズミ年だ?」

「オイオイ、俺たち客だぞ」

「表に出ろ天海に小林!」

「じゃぁ会計してぇん」

「いらねぇや、てめーらの汚い金など」

「お!ラッキーちゃん♪」

「誰が汚い金だてめぇ」と力也怒り出す。

「表って寒くてイヤダネェ金丸君。」と幸司。

茶髪の博也が幸司の肩を掴む、その手首を握る、痺れが来る博也「ツ~」

「おんも出ても良いけど、病院代出さないよん」

「良い度胸だ来い」


駐車場の桜ヶ丘

「オイ調布から連絡来てお前ら〆ろって言われてんだけど、止めた、2万一人づつ払ってくれたらチャラで俺らにワビ入れた事にしてやる、それで勘弁してやるぜ」

「え?2万とか何の話かな?」と力也とぼける。

「じゃぁ1発ずつ殴らせてくれ、それで体裁が取れるから頼むよな」

「俺だけならいいぜ金丸さんよ!」と幸司ニヤツク。

「早くやれ!」

広吉渾身の右ストレートを放つ(ビシッ)

(ドキューンキュ~ンキュン)

幸司のクロスが唸る、広吉の渾身の力を込めた右ストレートが外に逸れ、頬に数倍のクロスカウンターが食い込む。

その隙に力也2人の顔面に上段回し蹴りを入れる、一瞬倒れる、脳震盪で5分は気絶してるだろう。

その隙に逃げる、。(スタコラサッサー)

(キュルルルドドフォーン)急いでトンヅラする2人。

一気に表通りに出る、川崎街道は空いていた。

川崎街道を東上する稲城方面に行くと見せかけ、関戸橋の交差点を左折するZGXターボ。

パワースライドする、(キャッキュルキュル)タイヤがわめく。

関戸橋の手前に濃いグリーンのシーマが止まっていた、スモークが全面に張られて中が見えない。

レパードを認め急発進して来た。

関戸橋を渡る、渡り終えるとアルシオーネが通せんぼする、業を煮やした力也は端に寄せて車から降りる。

後のシーマから4人、前のアルシオーネから2人降りる。

「オイ、落とし前付けれ、幸司」

「おっちゃん、ヤーさんが来たぜ、ヘッヘッヘヘ」

「「誰がオッちゃんじゃ~」

「オイ、俺を忘れたか?」とシーマの後部座席に座っていた【中嶋一利】が出てきた。

「あ!一ちゃんか、ヌハハハ」

胸倉を掴まれてシャツが引き裂かれる幸司、次の瞬間チョーパンが炸裂する、池田と言う男が鼻血をたらして突っ伏す。

力也、前の男と、山本と本田の脇腹を2人同時にける!

「ウグ」と蹲る。

空手4段の力也の必殺、旋風蹴りが炸裂する。

3人残るがシーマで逃げようとする、が中嶋が制止する。

「おめーら逃げないで闘え!」と一喝するが浮き足立つ。

後を向いている二人に走りながら二段蹴りを食らわす、杉山と金城と言う男達がシーマに激突する。

幸司薄ら笑い浮かべる、「よ、、よしタイマンでやるか幸司?」

「いいぜ、力石よぉ~」と幸司ジョー気取り。

「誰が力石じゃこの馬鹿」

「打ってきなウルフ」

「俺はウルフジャー」とヤケクソデ右ストレートを一閃する中嶋。

(ドキュンキュンキュン)目の前が黄色くなる、内側から抉りこんだ幸司の左ストレート中嶋の頬に食い込む、中嶋の右ストレートが幸司の顎にわずか届く。

(ヨロリバタリ)と中嶋一利が倒れるガードレールにもたれる幸司。

「ヘヘヘヘやったぜオッチャン」

「オッチャンは良いけど後で警察が煩いぞこれ」

「行くぞ幸司」

(バタムバタム)

オイ後15分で店に戻らないとドヤされるぞ!」

「勝手にシナオッチャン」

「そのオッチャンやめろよな~ガハハハハ」

帰りはスムースに行った。


月末が、近づいてきた、金が無い!

幸司は真剣に悩んでいた、午前8時眼が覚めた。

コーヒーメーカーでコーヒーを入れる。

「あら、早いわね、オハよっ」と直子トーストで朝食をとる。

「あのなぁなおたん」 「ん?何?」

「これ借りてたから返すよっ」とVIZUカードを返す。

「あ!これ探してたんだわ、借りたって何時からなの?」

「ん?今月頭からかな?」 「幾らくらい使ったの!」と易しく言う直子は心中穏やかではない。

「40万くらいからかな?オレ一生懸命働いて返すからごめんチャイ・・・」

「ふ~ん・~」

沈黙する直子。

「ご飯とトーストどっちが良い?」 「えっ」となる幸司。

「トーストでいいおナオタン」

「ハイっ」と明るくなる直子。


喫茶火の車。

今日は、内装の仕事が入っていた、マルボロを買う。

現場は国分寺西町付近、5件並びの住宅街の現場だ。

「おはっ」 「よう幸司、下地からやってくれ、部材は2階だ」

「ウィー」と幸司、眠い。

午前10時半、仕事開始、(シュッシュッ)ペーパーがけをする。

無言で、お昼まで仕事に没頭する、「よう幸司、隣の現場に冨士さんが来てるから一緒に飯に行こうって!」

「ウィ~」

「おうよ、おめ~らはよ来い」

「あと少し、下地終わるから10分位まってぇん。」

「分かった」砂川も二階に来る(また無駄話でもして邪魔してやるかヒヒヒ)一郎はほくす笑む。

「よう、先週レパードの通り魔と言う話し聞いたぞ!」

「へぇ~でどんなの?」

「こんなの」と幸司を指差す。

「ウハハハハまた一利虐めタンだウヒャヒャヒャ」とはしゃぐ一郎。

「苛めたとユーか、詰まり必殺技の練習代。」

「クハハハハ」と一郎笑いすぎ。

「ルートの奴等、またおめ~狙うってよ!」

「ムフフフフ、イチコロデ倒す!」

「それよか、支払い大丈夫か?」

「ん~ヤヴァイ」

「ふ~ん、困ったら良い店紹介するよ」

「良い店って良い事おねーちゃんと出来るの?」

「バカヤロウ違うよ!っ。」

「はよせい!」と冨士さん。

「ホーイホイ」 「ヘーイ」

「幸司ようおめぇ運転しろ!」と富士さん。

田宮君と一郎後部座席に座る」。

「よう、幸司今度でかい物件、詰まりマンションな、一個やるから、責任者やるか?」

「ふ~ん金になるの?」

「ざっと見積もってお前一人分で200か300万の金だなぁ~」

「夜天門に行くけど場所何処?」

「祖師谷だんべ」

「何時現場入り?」

「7時には行かないと駄目だ」

「時期は何時ごろ?」

「再来週からよぅ」

「じゃぁ7時から19時上がりかな?」

「好きにシナ」、と一郎に目配せする冨士さん。


支払日が近づいてきた、24日の事。

10月24日午前6時起床、ソファーで寝ていた直子が起きる。

「今月の小遣いの残りちょっ」と幸司。

「はいチョット待ってね。」

「うぃーコーシィ~入れるかナオコタン」

「ハイ一万円」

「ウハハハハ」と幸司、高笑う。

流しで顔を洗う直子。

後から抱き付く幸司、「あん、やめてよ、朝っぱらから。」

と肘で小突く直子、「シューン」となる幸司。

「今週から現場祖師谷で夜は天門だ、帰りは0時過ぎかなぁ~」と幸司。

朝7時メイトで出勤。(ポンポンポンパララララボ~)

黄色ナンバーにしたが中身は50ccだ、出前7号である。

紫のニッカポッカーに紫のチョッキの上に黒いMA-1ジャケットのいでたちだ。

人数は8人入る、安全第一の黄色いヘルメットで走る。

現場監督は、山一さんの監督、【田山五郎】(28歳)。

(パララララー)と現場であるマンション、【スネークマンション】に、入る。

現場事務所に寄る、「おぅ、おせーよ小僧」と大学出の監督田山に、イキナリ怒られた。

「え?8時半集合じゃないですかねぇ~?」と幸司。

「ガキが責任者とはねぇ、ヌハハハ、山一のやり方叩き込んでくれる!」

「塗装屋の番さんじゃないすかヨロオハ!」 「よう砂川内装の幸司君じゃないかおはよう!」

「番さん、オレ責任者だからヨロシク教えてねん」

「おう、小頭、平NO1のお前さんか、良くやってくれ!」と番さん。

(矢吹、佐伯、田辺、二ノ宮、田中さん、一条、由利さん)

と、内装業者揃う、水道屋の水野さんが来る。

瓦斯屋の東郷ガスの斉藤さんも来る、瓦斯屋は一同20名入っている。

水道屋の水野さんも10名くらい出入りしてる。

現場掃除のバイト5人。

「おう、内装屋の諸君お早う、体操してくんねぇか?」

「ふ~ん」 「いらねぇよそんあの」 「ぷっ」 「うっせーな小僧ナメンナヨ!」 

「ガキじゃあるめぇーしやるかよ!」と内装屋勢一蹴する。

「うううクソクソクソ・・・」と涙ぐむ監督。。


「天海さん何処からやんべぇ?」 

「うう~部材分配して101号室からだんべぇ~」

「うぃす~」

「101号室はオレがやるから、他分散してやってくれや」と田中さん。

「よう水道屋の水野さん、何処から始めるの?」と矢吹さん、現場は活気付いてきた。


一方、直子の働く、スーパー【丸ゲッツ】東八府中本店。

朝礼中。

「今月の売り上げが~ライバル丸忠屋より云々云々」

「ねぇ今日の店長素敵ね」と同僚の啓子が言う。

「うん、カッコイイわと直子。

「あら、直子、御主人より店長の方が好きみたい、御主人の話滅多にしないもんね!」

「だってぇ女から見たら店長って理想じゃない?」

「あら、随分熱心じゃない?不倫?ウフフフ」

とひそひそ、声で話す二人。

「え?私の旦那、変な風に有名だし・・・」

「あら、竜ちゃんも居るもんね。」

「え~本日のタイムセールの事で云々云々」と店長の訓示長い。

「今朝の朝礼終わり!」と打ち切る店長社長令息、高山直也。28歳。

「直ちゃんチョットチョット」と店長直也。

「今月の支払い大丈夫?」とひそやかな声で言う。

「うん、それが支払いが50万以上、来てるの・・・・」

「え?そんなに!直ちゃんが使ったんじゃないよね?」

「うん・・旦那が車に使ったの・・・」と涙ぐむ。

「店長お電話ですよ~」と呼ばれる。

「また後で、仕事終わってからどこかででね!」


一方幸司

「フンフンフ~ンフンフン~♪」と上機嫌の幸司。

「ハイ、矢吹さん午後一から二階のフロアね」

「オーケ、砂川の内装屋!」

「糊の缶アンナとこ置くなよ、コラ!」と監督。

「うっせーよカス」と田中さんが怒鳴る。

「おい、誰に口聞いてるんだコノヤロ。」

「田中さん、カスは無視無視、ヌハハハ~」と幸司。

「何だとぉ~」と田中さんの襟髪掴む、監督。

「オイ、いい加減にしろ」監督に水道屋の水野さんが言う。

「やめろよ、見っとも無い、オイ脇坂止めて来い!」

「オイ止めろよなぁ」と脇坂2人同時に蹴りを入れる。

2人同時にコケル、「イテテテ」

「脇坂君の蹴りの威力見たか!」と水野さん笑う。

「フェ~蹴り入れたぁ~」と幸司。

「糊の缶一箇所に纏めて置いてくれよな・・イテテ」

「矢吹君どーする?」と幸司。

「メンドイよやりたきゃおめーでやれ監督様!」

「うっせー現場から叩き出すぞ!てめーら!」

それを、本社の営業が偶然見ていた。

「オイ、田山君駄目だよ職人さん達と喧嘩しちゃ!」

「でもコイツラ、カス過ぎて・・・・」

「何言ってるんだ、職人さんが居なきゃ現場は動かない、オメー一人で現場出来るのか?多少のことで怒るなよ!」と営業の松浦さん。

「はぁ~でもコイツラ失礼な奴等ですよっ」

「俺の悪口言うし・・・」

松浦さんイキナリ監督の田山君に右ストレート一発見舞う。

「てめぇ、口答えスンナボケ!来月が納期だやれ!」

「ハイ・・」と泣きべそで答える監督の田山君。

「天海君、順調に行きそうか?」

「ホイホイ、25日まで仕上げまっせ」

「アハハハハ、元気が良いな、お父さんに宜しくな」

「ちょっと水野さん」ボソボソっと打ち合わせを始める。

「松浦さん休憩だよ!ジュースあるよ!」

「お!サンキュー」

砂川内装一同揃う。

「そーいや福生の【一休どの】で伯父さんに会ってきたよ!」

「一休どの」は高いから行かないなぁそーいや」

「あんまりバイクばかりに乗ってるから心配してたよぅ」

「さっき監督が泣いてたの大爆笑だな」と田中さん。

「あんまりウチの田山苛めないでくれよな、アハハハ」

一同爆笑。

「んでさ~監督のアイツって馬鹿なの?」と田辺さんが問う。

「いや、馬鹿というより世間知らずだな、鍛えてやりなよな」と佐伯さん。

そこに監督来る、水道屋の水野さん一同も来る。

一升瓶を持ってきた。

「あの天海君ゴメン、言い過ぎた」と監督。

「おう、許してやるよっ」と田中さん。

「俺も悪かったなぁ」

「一ぺぇやるか!」と一同紙コップで一杯やる。

「オイ監督、何か歌えや」と田中さん。

「え?僕がですか?」(ブー)仕事開始の合図。


午前11時、スーパー丸ゲッツ。

客足が多くなる、(ピーピーピーピーピーピー♪)長淵剛の歌が流れる。

「ハイ千八百円です」とレジで直子。

高山直也は店長室で考えていた。

(直子ちゃんの旦那、酷いワルだと言う噂だし。子供も可愛そうだ、引き取ってでも直子ちゃんをお嫁に・・・したい・・)

「店長、社長が来ました。」とインターフォンが鳴る。

「おう、直也、結婚の話なんだが、真由美さんとたまには会ってるのか?」

「二ヶ月前に会いましたよ!」

「SEX位してるのか?」

「イエまだです!」

「駄目だな最近の若いのは、ハハハハハ」

「本店の店長も良いけれど役員に入らないか?」

(ガチャリ)と扉が開く。

「あ!失礼しました社長」とペコリと頭を下げる直子。

「あ!直子ちゃん何かあるなら・・?」

「イエ、また後で来ます」

「社長さんごゆっくり」頭を下げて出て行く直子。

「良い子じゃないか、確か天海さんの所の?」

「そうです、天海直子さんです」

「気に入ってるのか?」

「ハッキリ言いますが、真由美さんとの事、無かった事に・・」

と言い募る前に高山社長「ふ~ん、好きなら奪ってでも結婚しろ、それなら許す」

「分かりました近いうち婚約します!」

「やるからにはな、高山家の面子に掛けてやれ!」ビシッ

「直子ちゃんが好きです、本気です、結婚したら専務でも社長でも本社でも行きます。」

「天海幸司君は手強いぞ!天海一族と私との関係は壊さないでくれ。」

「その点は抜かりなくやります」と直也の瞳には異様な光を蓄えていた。

午後二時、直子は仕事上がりであった。

帰り支度をしていると、店長が近づいてくる。

手紙を手渡された。(6時にレイクサンリバーのロビーでお話聞きます)と書かれていた。


17時半、

直子は、【レイクサンリバー】で待ちわびていた。

45分待つ、直也が来る。

「やぁお待たせしてゴメン」

「いえお時間取らせてゴメンなさい・・・」

ドサリと包みを渡す、100万の束が3つ300万円ある。

「300万円ある、取り合えず、お母さんのカードローン分はある」と直也。

「ア・・・・駄目直也さんのお金でしょ・・・・」

「いや、直ちゃんの為だ、大丈夫」

「お金は幾らあっても大事にしなきゃ・・・」

2人瞳を見つめあう。口と口が合わさる、舌は入れない、純粋な愛の口付け、傍らで一歳になる竜司がはにかむ。

口と口が5分はピタリと合わさる、吐息が間断なく行き交いする、、柔らかい唇と唇の蕾が触れ合い愛が芽生える。

「ハッ」と我に帰る直子。

「直ちゃんゴメン、夫がいるのに変なことして。。。。」

「いえ、ハァハァ」と息が荒くなる。

「300万返さなくていい、その代わり別れてくれ、幸司君と、それか300万返しても元の関係でいてくれ!」

「ハァハァと息が荒い直子。

瞳が濡れていた。

「えっ私どうしたらいいの?」

と泣き顔の直子、直子顔色が変わり「じゃぁお金は貸していただくわ」

「返事はそれかい?」

「いいえ、12月24日まで考えさせてください、店長。」

「え?24日・・・・」

「YESならここに来ます、NOなら300万返します!」

「分かった、期待してるよ、別にお金で君の心を買うつもりは無い!」

「うん・・・」

「じゃぁ君も家庭があるから帰りなさい」

「ありがとう、サヨウナラ」・・・・。

午後21時、東八団地。202号室。

「只今ーん直たん~」と幸司。

「お帰りなさい」直子も答える。

「今夜は家で食べるよ~ん」

「今夜は早いね!うふっ」

「仕事順調~」

「ねぇ~幸司~今度竜司と3人で読売ランド連れてって。」

「う~ん、2週間休み無いから12月ごろだな~」

「分かったウィ~」ウフフと直子笑う。

「うぃ~はオレの!」

「今夜は中華は飽きたでしょうからカツレツね。

(シャージャー)台所で立ち働く直子。

10月末の事であった。

11月初め。

18時天門(シャーシャー)厨房で炒め物をする幸司。

「おう、幸司君今日は早いね」と常連の川崎さんが言う。

「川崎さんのチンジャオ出来とりぃ~」

「最近の店は美味い中華が少なくてねぇ~一応幸司君のを賞味」

「美味すぎるぞ~」

後ろで苦笑する豊子店主。

「いらっしゃ~い」新しく客が来た。

直子である「お!ナオタン」

「真面目にやってるかどうか見に着たわ!」

「イラッシャイ直子ちゃん、幸司は不真面目よ!w」

「主人が何時もお世話になりまして」ペコリト挨拶する。

「おう、奥に入って良いよ」と力也。

「幸司君て奥さんいたのね、焼けちゃう~」と常連の安子。

「え~ショックダブルショック」その友達の民子。

「じゃぁ奥へ」と豊子オーナー。

「幸司君て隅に置けないな~もう子供まで居るとはねぇ」と川崎さん。

「川崎さんの褒め言葉に甘えて休憩~」と幸司奥に下がる。ラーメンを二つ持ってくる。

「スルズルスルスル」2人ラーメンを黙々と食べる。

「ねぇ~美味しかったよ」と直子、上機嫌。


甲州街道平成3年11月初旬、八王子駅周辺北口。

新町のパーキングメーターに一台のGSXーR750、85年式が止まっていた。

パーキングメーターは四方塞がっていた。

(ピッピッピッバックします)トラック2車エルフアルミボデー。

(ピッピッピッバックします) (ベキベキベキクシャガシャーン)帰り支度をしていた、加藤正美は大慌てした。

「オイ、ヤメレ、止まれ!」と加藤正美、愛車が無残に砕かれて行った。

泣き崩れる、加藤正美。

愛車GSX-R750が砕かれて弾かれて行く(ボキ)最後の一撃が入る。

2tエルフアルミボデーのタイヤもバーストする(パンプシュ~)グラリと傾ぐ車体。

「アイヤ~やっちゃったぁ」

「だれでぇこんなところにバイク置きやがって!」

と30代半ばの田所さん(運転手)は叫ぶ。

「オイ、テメェ~!」

「おめぇの単車か若造!」

「誰が若造だオイてめぇ殺すぞ!」

「ゴメンナサイィ~」土下座する田所さん加藤正美は【ポンポノレイグ】にお金を返しに来て帰る所だった。

「おめぇオレの単車粉々にしたな度下手がぁ~」

「だってぇ~見えなかったんだもん~」

「え?見えなかっただと?オメェプロか?このド下手打っ飛ばすぞ!」加藤正美電柱を殴りつける(パカーン)電柱が振動する。

「す、シイマセン、会社で弁償しますぅ~」

「よし!警察呼べ!」

「あ~あ、ハンドルが5万に車体が60万にエンジンまで、傷ついてるあぁ~あこりゃ一台新車にしてもらおうか」

「あの~保険屋を、先に入れてはどうかと・・・?」

「だまれ!警察が先だ!」

「ハイ~」

「110番だ大勢ギャラリーも居たから証人になって貰う!」

「ひぃ~ゴメンナサイ~」

近くの公衆電話に走る加藤。

「こちら警視庁110番です事件ですか事故ですか?」

「こちら八王子○×△町のパーキングメーターで、大型バイクが・・・以下略」

「ひでぇ~」 「アハハハハハ」 「トラックが、わりーなこりゃ」とギャラリーがざわめく。

(ブーンブーーンキィ~)とパトロールカーセブンススカイラインが止まる。

「ハイ、事故ですね!」 「えーと状況をお聞きしたくて?」

「えーと私、新都新運送の田所と申しますが、変な所に単車が止まってて見えなくて潰しちゃいました。」

「ハイ、被害にあった方は?」

「はい、俺です、パーキングに止めて帰ろうとしたら云々」

「分かりました、一応免許証の呈示お願いします」

「ハイ、分かりました」と正美。

「ハイ、ですが見えない場所に有って、潰したのは申し訳ないが私のトラックも壊れて私の立場も考えてください!」

「おい、君、私の立場から言う訳には行かないが、潰したのはアナタデスヨ田所さん、、過失はあなたです良く考えてください」

「プロならこんなミスしないでしょ?後方不注意ですよ!」と警官二人に攻められる田所さん。

「でも、普通パーキングメータに単車なんて止めないでしょ?」

「決まりは無いがあなたの不注意です」

(ピー八高寺09から~八高寺警へ~免許証番号○×△980-・・)

(はぁ~前有りですね!こちら八高寺09了解)

「ハイ、後は示談にするかどうか決めてください、事故証明書は来週取りに来てくださいでわ」

(ブオオーー)

「会社と自宅の電話教えろジジィ!」

「はぁ~スミマセン」

「0425-×△△6-4212でしゅ~」

「それ会社だろ、自宅も教えれ!」

・・・・・・事故は突然やってくる。

全損で新車か?加藤正美!


三日後

洋次は忙しく働いていた、鉄屑オークション、古書オークション、中古車オークション、そして、インサイダー取引、結構多忙である。

助手の高島工事も大慌てで働いていた。

通称闇屋の洋次シャレードデトマソが走る走る。何かやらかしてるようだ?

幸司は、愛車メイト7号で出前をしていた、今日は日曜で祖師谷の現場は休みである。

(ポポポポポパララララr-)8件目の出前が終わり、午後2時の休憩に入る。

厨房で力也が、【まかない食】を作って居る。

(カラカラカラ)「ただいや~」と幸司入ってくる。

「おう、お昼の時間だホレ、チャーシュー緬と豪華に来たもんだ」

先に本山田と本町の川田君が食べていた、川田君が言う「俺のカブ90キロ出ました、チューニング少ししました」

「へぇ~ホントにアレでそんなに出るの?」

「カブ90ccですよナメナイデ下さいよ!」

「オレのは頑張っても60キロくらいだぜ」と本山田さん。

「おせーーー」と川田君。

「幸司さん、出前はスピード命ですよ!低速トルクから高回転までカヴァーしなきゃですです」

「へぇ~そんなものかなぁ~」

「オレのメイトも改造してくれるか川田!」と本山田さん

「メイトの改造パーツ出回ってるから探して買えば~?」と本山田を小馬鹿にする川田君。

(ガラガラピシャン)と、扉が閉開し洋次が入ってきた、11月の涼しい風がラーメンの湯気を沸き立たせる。

「賄いご飯俺にも一丁!」と洋次厨房に命令する。

セブンスターに火を点ける。

「おう幸司」

「ホイ?」

「まぁなんだな、奥多摩の【伊刈屋】知ってんべ?」

明日の夜仕事終わりで良いからちょっと物資運ぶバイトしてくれないか?」

「ブツは?」

「鉄屑さ、やるか?」

「うぃ、洋次の仕事は金に成るからやるさ!」

「20時頃、ハイエースが来るからねん」

「伊刈屋かぁ~アソコ宇宙人が出るって噂で怖いんだよねぇ」

「いいから入ってねん」

上田三郎が帰ってくる。

次の日の午前8時頃

(パパパパトトトト)幸司の、メイトが現場に入ってきた。

ヘルメットを、脱がず現場事務所に入っていった。

「天海主任様よう、2階の荷物どかしてくれないか?邪魔で通れないのだよこら」

「ふ~ん、アンタがそこに置けッつーたからだろ」

「監督面してうっせーな」と電気屋の渡辺さんが、ハイライトを吹かしながら怒鳴る。

三階北2棟のテラス。

左官屋さんやり放題!「これはオレの芸術だ!」とロココ調の模様を壁に写す。

「それ治してよ、テツオさん~」と監督

「オレあと一時間でけールカらおめーやれ!」と左官屋のテツオさん。

そこに居合わせた幸司「オレも今日は5時で上がるかんな~ヨロツク」

「しょーがねぇなぁ」と田中さん

「サボッテンジャねーぞ!」と監督いきり立つ。

「ラジオ体操やるから今日こそ皆やれガーガピピー」とメガフォンで怒鳴る。

「いかねーよカス」 

「てめーひとりでやれ」

「酒飲んでたほうがマヒだぜ」

周囲から非難の声。

事務所にトボトボ帰る監督。


午前10半頃幸司の携帯が鳴る。

(ピピピピピピ)

「ホイ天海だが?」

「おうよ幸司施工のあんべぇはどうだ?」

「8割がたかもね!?」

「今高円寺だ30分でそっち行くからカチャリツーツー」

冨士さんが現場に来るようだ。

「田中さん、手伝おうか?」

「いんねぇい」

「そこのクロス102メートルの奴持ってきてくれねーか幸司」と佐伯さんがこき使う。

「ホイホイサッサッ」と幸司張り切る。

(ピピピピピピピ)幸司のハンディーテレフォンが鳴る。

「おうよ、着いたから事務所まで来いよ。」

5分後事務所に入ると、冨士さんの足元で監督がノビテイタ。(ジャ~ン)

「ありゃ?監督どーしたのん?」

「生意気だから〆てやったのよ、よえーのなんの、ウハハ」

「コイツ生意気だけどこりゃやりすぎじゃ・・・」と幸司口ごもる。

「今日は5時で上がるよん」

「なんか用事でもあるのか?」

「チョット実家に呼ばれて」

「OKじゃぁ17時上がりでいいべ、他の連中はどうしてる?」

「皆元気で順調に行ってますよん」

「ヨシッちょっと早いけど昼飯にいくべ、サタデムーンちゅーファミレス知ってッか?そこいくべぇ」と冨士さんは言う。

そこに田中さんが来る。

「ありゃ、冨士さん来てたのかぁ」

「おう、昼飯食いに行くかぁ?」

「田宮、サタデームーンだ、用賀の行け」

「はいはい」

【サタデームーン】に向かう4人。


スーパー【丸ゲッツ】午前11時40分ごろ。

店の棚を直尾は整理していた、ビールの缶を落とし転がしてしまう。

「あちゃ~アタシって何てドジナノ~?」

一つ一つ拾う直子、下を向きながら集める、後一つの所に男の手に触れてしまう。

「あ!」心がトキメク。

「パートの五郎さんアリガトネ!」

50がらみの髭を蓄えた五郎さん顔を赤らめる、ポッ!

「私ってドジねぇ~ねぇ五郎さん?」

「ウィウィ、スキデスー」

店長室。

一人の万引犯が捕らえられていた。

仮名【バァサンX】(78歳)

「あのねぇXさんお店のもの黙ってお金払わず出て行っちゃ駄目でしょ?これで4回目だよ!」

と私服警備員、錦尾利さん。

「いやーねぇ、私支払いしましたよ!」ドヤ

「あのねぇXさん、これは泥棒なんですよ!警察呼んでいい?」

「アンタネェ800円払えばいいんでしょ?1000円上げるから200円チップで取っておきなさい」

「何ナメテんだ、バァサンこの、錦尾利俊介、36年生きてきて初めて、味わう侮辱!」

拳を振りかざす錦尾利さん(ハッシ)と止める店長直也さん。

「シュウチャン止めなさい手を上げたら負けですよ、おばぁチャンお金の問題じゃなくて人の物盗ったら駄目なんですよ!泥棒したら駄目ですよ」

「わたしゃ偶然レジに通さなかった物が有っただけよ!お金払いますよぉ!」

「ねぇ、Xさん素直に謝ろうよ!ね」「アンタ良い男ね今からデートしてよぉん」

(ピンポーン、店長、店長Dルームにおいでください)

「ちょっと席外すよ、Xさん警察呼びますよ!」

と言い室外に出る店長直也。


一方用賀のファミリーレストラン【サタデームーン】

午前11時30分頃。

「ウンメェ~ステーキハンバーグセット最高!」と幸司の昼飯は豪華である。

「幸司最近おんめぇやるきだしてきたな」と田中さんは褒める。

「やる気が無いなら干してやろうと思ったけど、結構やるようになったから許す!」

と、富士さんもステーキハンバーグランチであった。

「後は休日返上して、総仕上げだな?」

「そんなもんす」

「てか冨士さんの物件て今どこ?」

「横浜だべ?」と幸司が横から口を出す。

「うんにゃ、川崎の堀の内ダンベ」

「田宮は腕上げたか?」

「切り貼り程度ならな」と冨士さんと田中さん会話が弾む。

「いらっしゃいませー」と3人のOLが入ってきた。

隣のBOXに座る。

「注文お願いします~」と3人のOLの一人が早くも、注文する。

「アイスコーヒー3つにフルーツパフェ2つ、スパゲティイタリアン3つねっ。

(ピンポーン)客が来たチャイムが鳴る。

OLの後のBOX席に4人組のワルそうな二十歳くらいの男達だ。

「よぉ、OLのお姉さん何処の会社だべ?」

冨士さんが問う。

「え?私達ですか?」

「何よお爺さん失礼ね!」

「そうかお爺さんは失礼ダンベ」ショボーン

今度は幸司が絡む。

「よう、お姉ちゃんたちケツ見えてんぞ!」

田中さんも。

「アソコの匂いが臭いぞ~」

「ギャハハハハ」一同爆笑する。

「オイ、女の子に絡むの止めろよ、失礼じゃないか!」

「酔っ払いか昼間から?」

「ようウェートレスさん」とウェイトレスを呼ぶ。

「お待たせしました」

「注文追加でビール大瓶6本だよ」

「ハイグラスはお幾つですか?」

「8本くれ」

「はい」

「よぅそっちのわけぇーの一杯どうだ?」

直ぐにビールが運ばれてくる、ウェイターにチップ2千円を密かに渡す。

(規則で貰っちゃいけないんですよ・・)

(内緒ならよかんべ、ご苦労賃だ)

小声で会話する。

「 ありがとう御座います)

ウェイター下がる。

「いえ、俺たち仕事中ですから・・・」

「いや飲ませてもらおうか」

「その代わり奢って貰いますよ」

と4人組。

「そっちの若いお兄さんどっかで会ってないか?」と幸司を指差す。

「いんや、良く覚えてない」

「おう!おめぇら天海幸司って知らないの?」と田中さん。

「あ!東八のフセイン!!」と四人組目を合わせる。

(ツカツカツカ)と幸司4人組に近づく。

(ボカリ)とフセイン言った男をゲンコツで殴る。

「イテテ」顔面蒼白のほかの3人。

「天海さん勘弁して下さい・・」

「俺ら下っ端でなんで何も出来ない奴らなんです、あまり苛めないで下さい・・これで許してください」

と一万円札を出す。

「オイ、止めとけ幸司」

「そこのわけぇ衆勘弁してくんねぃ。」と冨士さんと田中さんが止める。

「おめぇフセイン、て言われるくらいでいい加減怒るのヤメレ!」

「セイントセイヤじゃねーのに」と幸司まだ勘違い発言してたw


祖師谷の現場午後16時頃

「佐伯さんもう直ぐ帰るから宜しくね」

「OKOK、七つの海は~♪」

「酒飲んでかえんべ」

「おい、てめ~ら酒なんか職場に持ち込むなよ!」

「うっせ~なもうすぐ上がりなんだよたこ坊!」

「冷や飯食いの流され物」と罵声が飛ぶ。

「トホホホ、俺が何か悪いことしたか・・・」と小声で呟く、現場事務所に引きこもる。


17時30分頃メイトのエンジンを掛ける、(ポッポポポポポポポ)

(パパパパ)

安全第一のヘルメットを被りグラサンを掛けて、メイトに跨る、11月の日没は早く辺りは暗闇になり、メイトをライトONする。

岡持ち使用のメイト50cc。

ナンバーは黄色だ。

小田急線の脇に出る、田園風景が残るのどかなたたずまいである。

成城学園の前を右に出る、青から黄色ギリギリでやり過ごす、54キロで直進して24キロでコーナリングする。

直線を流す、56キロ以上で無いもどかしいが堪える。

後から出前のスーパーカブに煽られ抜かれる。

祖師谷公園をかすめ、118号に出る、若葉町二丁目の信号で赤になる。

自転車の警官が通り過ぎる、学生が多い、青になる仙川二丁目の信号も幸運にも青であった。

トラックとバスは激しく幅を詰めてすれ違う、20号に入る、40キロで走行中バシバシ後続車に抜かれる。

返って制限速度が遅いと危険だ60キロ制限が丁度良い。

つつじヶ丘の交番の前で20キロに落とす、嫌味である、柴崎の前を通過する、駅前の信号は赤であるから歩行速度でクリープする。

前を新戸新運送が走る、田所さんである、野川を渡り旧甲州街道へ入る、思い出のある布田の駅前を通過する、45キロ精一杯だ。

調布駅北口をやり過ごしタバコ屋を左折【天門】に辿り着く。

店の脇の空きスペースにメイトを止める。入れ替わりに上田三郎が出て行く。

「お!幸司さん早いっすね!」

「おうコレカラ奥多摩だよん」

「相変わらず忙しいッすね。」

「なんだかねぇ」

(バロロバロ)カブが一台出前に出て行く。

(ガチャリ)裏口から入る。

路地に、シャレードデトマソが止まっている。

「遅いわね、4時頃来るって言うから餃子作り手伝ってもらおうと思ったのにぃ」と豊子さん酷くご機嫌斜め。

「しゃぁないっすねテヘ」と幸司。

「しゃぁないじゃなく、皿洗いしなさい!」

皿洗い一時間ほど、洋次が降りてきた。

「豊子さん」

「はい?」

「幸司貸してくれ

「え、まぁいいかもう直ぐ、本山田来るから」

「洋次さん」 「ん?」

「砂川連れて行っていい?」

「2人分の金出ないけどそれでいいならOKよん」

「電話します」」自前のムーバを出す。(042△ー△×24-26△△)

(プップップップガチャリ、ルルルルルールルルルルー)(カチャリ)

「はい、砂川工務店です、あら幸司君?」

「ん?一郎なら後一時間くらいで帰って来るはずよ、ん?待ち合わせ?伝えておくわ、20時?20時って言うと8時ね?ん?その頃迎えに来るの?何処に連れ出すか知らないけど早く返してね、あ!それから、直子ちゃんと竜ちゃん連れて(ガチャリ)」(ツーツーツー)

「ん~もぅクソガキめ!」と罵る。

18時30分ごろ、ライトエースが来る。

「オイ荷のチェックしろ!」と伝票渡す。

「え?コレが【イカリゴン】の荷?」

「そうだが何だ?」

「何か単車のエンジンが有るけど?」

「ん?それがどーした?」

「GSX-r750エンジン実働って書いて有るけどコレ俺に譲ってくれない?」

「なんでも、お得意様のオヤジが欲しいらしくて、エンジンチューンしてあるらしいから載せかえるていう話らしいな、それに金振り込まれてきてるからイカリの所の宇宙人と相談シナ、それで直接売って貰いなさい!」

「え~イカリゴンから、買うの?」

「売って貰うなら俺に言うな!ピシャリ」

「うぃ~コレ欲しい~」

「それにコレお前の昔の仲間、加藤隼のだよ、オッつぶれたらしい!ヌハハハ」

「ゲゲ!アイツもっと早く言ってくれれば・・・・・」

闇屋の洋次の異名を取る男である、ケチだ!

(ケチケチケ~チ♪♪)幸司は心の中で呟いていた?イヤ罵った?

午後19時30分ごろ、ライトエースのコラムマニュアルのギアをニュートラルに、入れキーを回した。

(プスンプスン)アクセルを煽る、チョークを引く。(キュルキュルルバルンバルン)

ケツ煙を吹いた!(バルバルバル)給油計は半分の部分で止まるが、幸司ガソリン代すらない!

一路八王子経由奥多摩行き出発。

旧甲州街道を関戸橋へ向けた。

道はある程度空いていた、分倍河原で20号に合流する。

国立府中ICの手前の信号を左折、一気に65キロで直進する、多摩川が煌めく夜空に照らされ青く光る川面は凍て付いていた。

新大栗橋を右折する、ラーメン屋から良いにおいが立ち込めていた、「腹減ったなぁ」

幸司大盛り焼きそば食ったが腹減りが早い、聖蹟桜ヶ丘の駅前を通り過ぎる、駅前は相変わらず、路駐の列だ、川崎街道を一路八王子方面へ。

道は空いてきた、一気に70キロ付近まで出す、が赤信号で頻繁に止まる、百草園前で20時を少し回る、腹が減って屁が出た、コクピットが臭くなるが窓を開ける。

高幡不動で検問があった、飲酒の取締りである、(ピーピピピッピ)笛の合図で、車が前進する。

「はい息を吐いてください」ゲップをして嫌がらせをした。

「うっ」となる警官「ハイ、行って下さい」(ピーピッピッ)後方に笛の音が去る。

高幡南で赤信号になる、携帯が鳴る(ピロピロピロー)助手席の携帯を取り出る。

「オス」 「オイ幸司かオスじゃねーよ、もう寝たいけど来るのかよ?」と砂川一郎眠た気である。

「今から行くから寝るな!」 「今からって何処に居るんだよ?」 「高幡」と言い切る。

北野街道に入るガラガラに成る、一気にシフトを5速に入れる。

80キロで飛ばす、南平を楽々クリアする、ダイクマの駐車場に突入する、オシッコがしたくなってきた。

駐車スペース2台分を跨ぎ駐車する、辺りは暗くなりカップルが通る。

ダッシュする幸司、カップルの男が足を突っかける。「ハハハハ、オレの勝ちだな!」と中嶋一利が笑い彼女を連れて逃げる。

ベンチに激突した幸司は頭をゴミ箱に突っ込んでいる、「イツツツ、だれだよ~ん」と一人呟く、ダッシュでトイレに入る、大便もする。

「う~む・・・・」今突っかけてきた奴、後で泣かすと誓う。

済ませた幸司、急いで車に戻る、キーもエンジンも付けっぱなしだ。

急バックで止まってたカリーナEDに擦る、(カリカリカリスポッ)無視して街道に出る。

店から出てきた、山本安男(20)は、何の気なしに、カリーナEDをさする、(ギャリギャリ)する「うぎゃ~またかよ~店長~」

幸司北野の信号で赤待ちする、青になる右折レーンから右折する、16号バイパスに合流するランプウェイ、でフェアレディ240Zに抜かれる、ハイビームを浴びせる。

合流して北野の交差点で左折する、路地に入り少しで砂川工務店である。

ハイビームのまま、駐車してフォーンを鳴らす。(ビービービー)砂川一郎五分くらいして出てくる。

「オイ、おせーよ!」

「早く乗れ急ぎだ!」

「洋次さんの車でねぇか?」

「コレから奥多摩だ」

「奥多摩ってまた山奥だな~」

(バタム)乗り込む一郎。

「荷は何だよ?」

「カーパーツだよ」FZR400の様な単車が追い抜いて行く!

「荷はジャンクだヨンGSX-R750のエンジンも有るよん」と幸司目が光る。

「お!結構いいものあるジャン」

「オレそれ、買おうと思うがどおうだ?」

「良いんじゃねぇ?てかフレームあんのかよ?」

「あるんだが拉げてる」

「ガーン、駄目ジャン、てかお前さん借金多いし払えんのかよ?」

「祖師谷の現場あるべぇ?」

「うん」

「そこが終わったら200万入る予定!!」

「笑ってるけど、お前200万じゃ追いつかんだろ?」

「てか、ポルシェ買うよかやすいべ?」

「ポルシェっててめぇアホカ!」

(ボク)と腹を殴る、「イテーナもう」とアホ話に夢中で滝山街道へ向ける、バイパスから16号へ右折、左入の交差点を左折し滝山街道へ。

左折中自転車が赤になるタイミングでつっこんでくる、間一髪!(ビービービー)

「アブネェゾボケナス!」自転車の松井さんが怒鳴る。

「てめぇだろアブねーのは!」と砂川一郎、徐行しているライトエースの助手席から降りる。

「ナンダトコノヤロー」と松井さんの右ストレートが唸る、砂川、目に喰らう「イテ・・・・」と、言う間に自転車で逃げる。

目にたんこぶの一郎、トホホホ、と待っていたライトエースに戻る。

「ギャハハハ~」と大爆笑の幸司。、

「そんなに面白いか?」怒!

「今夜最高のギャグだが、ヌハハハハウヒャヒャ」

「面白くねぇーよクソッ」・・・・

【純情学園】のバス停入る、何故か?

セーラー服の少女が一人バス待ちしてる、幸司徐に車から降りて木の陰で立小便。(シュー)と夜長に響く、湯煙。

砂川もご相伴に預かる。

少女は気にも留めないで佇んでいる。

「おう、女の子が居るぞ!」と砂川一郎、「よぉ君~?」と幸司、「ハイ、私の事ぉ?」と答える少女。

「家どこよ?」 

「はぁ?青梅ですけど何か?」ドヤガオ。

「へぇ~青梅?つーか奥多摩行くけど乗っていかない?」

「バスは後一本で、最終で一時間待つぜ!」

と、時刻表を見る砂川。

「ええ!待つからいいわ」

「青梅の何処よ?」と幸司。

「河辺ですけど・・・」

「河辺なら幸司の従兄弟が居るじゃん?」

「そうだなぁ、青梅橋引越しセンターって知ってる?」

「ええ、兄が働いてるわ!」

「じゃぁ話は早い、安心シナよ、この幸司怪しいけど、身元はしっかりしてるから、青梅橋の社長の従兄弟よぅ」と砂川。

「え!ホントにぃ?」

「天海幸司つーんだ宜しくな!」

「え?天海家の人なんだ~。私伊藤真理子て言うの君たち運送屋さん?」

「オレ、砂川一郎てぇーんだ宜しくなぁ」

「運送屋じゃないんだけどバイトですよん」と幸司、

「じゃぁ乗せて貰おうかな~でもホントにいいの?」

「いいよ河辺ナっ!」

(バタムバタム)真ん中に真理子を乗せ出発。

「ねぇ奥多摩の何処行くの?」

「知ってかどーか分からないけど、車屋のイカリゴンてとこだよ」と一郎やさしく言う。でも顔面はアザなのだ。

「歳いくつマリちゃん」と幸司。

「16歳です天海さん、」

「イカリゴンならお兄ちゃんと一緒に時々行くから私も行きたいなぁ~」

「良いけど時間だいじょーび?」

「9時15分でしょ~家お店やってて、夜遅いから大丈夫よ、夜遊び奨励中なのお父さんがアハ」と可愛く笑う。

「じゃぁ着いてくる!とゆーより来なさいうはは」

丹木町の信号を過ぎると、道はガラガラの状態で時速70キロで走る。

「天海さんて何歳ですか?」

「幾つに見える?」と砂川一郎、「う~んと18歳くらい?」「ウィ」

「ウィ」って面白いキャハハハ」と真理子。

「コイツちゃんと挨拶しないんだよね、ヌハハハ」と砂川一郎。

「ねぇ~今度ドライブ連れてってくれる?、2人のどっちでもいいしぃ3人でもぅ」

「う~んオイラ当分休みが無い忙しいからな」と幸司。

「このポンコツおせーし重いよなぁ」

「そうだな、洋次のやつ、新しいの買えっつーのな」と何気に真理子の髪を撫でる砂川。

「うふっくすぐったいん」と真理子。

真理子の手を握り、「手相見せて」と一郎。

「う~ん、彼氏にフラレタでしょ最近?」

「エッ!当たり~ピンポーン」

「オレって霊能力あるかな?ヌハハハハ」

「え~お化け見えるの?」

「見たこと有るよ!」

「ウソ付け」と幸司。

話してるうちに、戸吹に差し掛かる、上戸吹のカーブを慎重に回る。

秋川を渡る、あきる野地区に入る、道が少し狭くなる、秋川の踏み切るを通過する。

秋川の駅前の方角に左折、少し行くと【豚骨ラーメン、秋るん】の前で止める。

入ると満席で10分待たされたが、4人組の作業着を着た男達が出て行く、入れ替わりに幸司達3人が入る。

【秋るん】は今時珍しく無くなった、券売機で注文する。3人もやしラーメンを買い席に着く、BOXである。

「なぁ、俺達気が合うから付き合わない?」と一郎真理子に問う。

「え~また会ったばかりなのにぃ?」

「勝手にやれ!」と幸司睨み付ける。

モヤシラーメン3つが早くも出てきた。

「あぁ~美味しそう~」

「いただきマッする」と真理子と幸司。一郎の奢りである!

一郎、上機嫌で真理子を口説く、「いやん、もう」とふざけ合う一郎と真理子。

「うっせーから、早く食べれ」と幸司。

電話番号を教え合う2人。

「うめぇ~なぁモヤシな?真理子~」と一郎。

幸司漫画雑誌、【少年チャンプズ】を読みながら、ラーメンを啜る。

十分ほど休憩して店を出て行く。

二人手をつないで出てくる、セーラー服に紺のコートを羽織っている。

真理子は、十人以上並の美少女、だが幸司のタイプじゃないが砂川一郎には、お似合いである!。

車に乗り、サイドブレーキを外す、エンジンのキーを回す、(キュルドドドドブフォーン)チョークを引かず今度は掛かった。

Uターンするライトエース、ばすの進行の邪魔をしフォーンを鳴らされる(フォ~ン」)2回鳴らされた。

一気にUターンを終わらせ、滝山街道に戻る、

50キロくらいで走る。

後ろから来た、フェアレディZに抜かれる。

「チッ」と一服する幸司。

2人和気藹々と話す。「ねぇ~今のコルベット?」

「ん~Zだよん」

「Zってスポーツカーなの?」

「フェアレディ、君みたいな車だよ」

「わ~アリガトウ一郎君」

「うっせーな、少し黙れ!」と幸司2人を怒る。

山に入る「冥府魔道に入るぞ一郎」と幸司脅かす!

GSX-R750GSXーR750)と幸司頭の中で唱えていた。

菅生の坂を登る、段々暗くなる街灯も無くなりハイビームでパッシングをくれる。

路肩に居た猫の目が光り道を横切る、トンネルに入る(ゴッシュッシュッガタガタガタドンドン)と音が後方に飛んでいく。

前でZがとろとろしていた。

トンネルを出ると多摩川と平行して走る(ブーンシュッ)単車走りぬけて行く。(ゴーシュポワーン)トンネルを出ると青梅の山道である、道が暗いがビームを強化して【PIAA】のフォッグランプを点けてるので明るい、蝙蝠が空を飛び交う!友田の信号で止まる。

「アソコのお店新しく出来たんだ~」とコンビニエンスストアを指差す真理子。

「友だつーと山田さんの家が近いな」と一郎。

「何処の山田さんだよ!」と幸司。

「山田ツーと家具屋の山田さんだよ!」「誰だよソレッ!」

「家具の山田さん知らないの?フゥ~」

「ねぇ~詰まんない~」と真理子

「真理子ぉーん」キスする砂川一郎」。

ちっとウッセー奴等だ!」

「あ!此処、スパーパーオタム本社なんだよ~」っと真理子。

「へぇ~オタムって大田さんの所のスパーだよな?」と幸司を訪ねたが無視された。

「そうそう地元じゃ有名人なのよ太田さん」

「おう、一郎先輩!、【花見桜口】いかねぇ?

「え~くえねーよもう・・」

「花見桜って天麩羅の?」と真理子。

「そうそう真理子ちゃん食べたいでしょ~?」

「びみょ~」

「そうそう、幸司早く行かないと宇宙星人帰っちゃうz?」

「そうか早くイクベ」

「宇宙人てだーれ?やだ~!キャハハハ」と真理子

「十分ほど走ると、長渕の交差点で止まる、前をY30のグロリアが右折していく

十分ほど走ると青梅の市街地を颯爽と直進していたb。

途中で釣具屋の店が開いていた、20分ほど走ると御岳に入り20分ほどして:10分ほど体をほぐしていつ。

吉川栄治記念館を過ぎ軍軍畑で右折居て軍畑で右折し、青梅街道4号線に入る沢井を超える,軍畑御岳山の駅を左に見る。

急カーブが続く、川沿いで180sXに抜かれ、吉野を過ぎる、15分ほど走ると鳩ノ巣に着き、駅の前を過ぎて右に曲がると棚沢コミュニティーセンターの駐車場が右手に見てそこに止める。

川沿いに蕎麦屋【ケン吉】がある、ケン吉は奥多摩で一番遅く営業している。

ケン吉に何時も【宇宙星人】こと金平君が何時もとぐろを巻いてるのを幸司は知ってた。

店仕舞いしていたが中が赤々と光がともっていた。

扉の脇のインターフォンを鳴らす、「オレ幸司だけど」とイキナリ名乗る。

「ハイ?」

「天海と言いますけど、宇宙星人居ますか?」

「宇宙?あ!金平君のお友達ね、入ってきなさい。」

店の扉が開く。

「あら天海さんていうから良輔君と思ったわ。」

「オバちゃんおひさしぶりん」

「取り敢えず中に入りなさいな」

3人店に入ると、【ペプシの平】が酔いつぶれていた。

客は5人居た。

「よう、ペプシ!」

「おう誰だっけかぁ?」

(ベシッ)と叩く幸司。

「おう幸司君か!」

「ボケデブめ!」

「お!天海君か遅いよ遅いよ~」とホロ酔いの金平さんこと宇宙星人。

「普通に着たんだけど」

お!女子高生か?こんな遅くに連れ歩いて遅く帰しちゃだめだよ」

「青梅まで送り届ける予定なんだ!」

「今晩は~私伊藤真理子と言います宜しくお願いします」とお辞儀する。

兼平君と目が合い、耳たぶまで赤く染まる。

「まぁ何だな、ナンパしてもこんな遅くまでつれてちゃ駄目だよ」

「いえ、家水商売なんで夜遅くていいの」

「へ~」

「兎に角荷を降ろそう!」と金平君。

二十分後、古里のイカリゴンに着く。

マツダと日産ばかりの中古車屋である。(ガラガラガラ)と作業場のシャッターが開く。

灯光機と蛍光灯が点いてた、2人に作業員が売り物の中古車を整備していた。

【イワンゴルフ】こと野坂君、デッチドンこと菊池安次だ。

「ヨシ社長呼んでくる」と星人は張り切っている。

「あ!私家に電話してくるわ」と公衆電話へと行く。20分ほど待つ、一服しながら展示車を見て歩く。

イカリゴンこと井狩屋啓二が気負いながら出てくる。

「ああぁ~ん!おめぇ遅いじゃんべぇ」とイカリゴンオカンムリ。

「ウハハハ、相変わらずの禿だな!」と幸司言い返す。

「えーと伝票見せろや?」 

「ほいよっ」と紙飛行機にして伝票投げつける。」

「おぅ、遊ぶなタコスケ!」どれどれ」と伝票を開き見る。」

13Bロータリーターボのエンジン、R32スカイラインのグリル、GSX-R750のエンジンフレーム、ハーネス類、他色々、コスモ20Bのターボタービン。、R32スカGのRB26DETEエンジンだけ、小型クレーンのワイヤー、セフィーロのエンジンrB200E型等々。


井狩屋啓二(18歳)

モーターショップイカリゴン)

中古自動車屋、オークション会場に入り浸る。

青梅のヤクザの腰ぎんちゃく、初代シーマに乗るが他人名義!

親が土建屋を経営して地主。

おっぱい好き、一度通行中の女子大生のオッパイを揉んで逮捕されそうになった。

あだ名【ガチャピン】、長助と呼ぶとキレル。

中卒。

メカ音痴、17歳の時親から土地を貰い中古車屋を始める。


社員 イワン・ゴルフ(押井 攻)23歳)

無口で物をいわないがゴルフ好きの男。(言わんゴルフ)

プロゴルファーになりたいが物を言わないからゴルフもロクニ行かず。

プレイすると上手いー2くらい普通、西武ライオンズの熱烈ファン。

漫画【ベルゼグス】のファン自分が主人公になりきり、中古車展示場で、限定品で売ってたケンを一人で振り回す!

あだ名は【イワン・ゴルフ】だが【ガッズ】と呼ばないと振り向かない。

1級整備士所持。

愛車ファミリアFFハッチバック、改造SP仕用。

チューンが得意。


宇宙星人(26歳)

本名 金平 富一、頭デカイ、眼がぎょろり、耳がぴくぴくしてる。

すぐウンチする、井狩屋家で、ご飯を食べている。

青梅在住、元ダンプの運転手、運転に安定感がある。

宇宙の話になると5時間は喋る、UFOマニア、スミソニアン基地に行ったことある。

ロータリー車の改造が得意、2級整備士。

旧車好き、マニア、エンスー、。

ゴルフ嫌い、日ハムファン、西部嫌い。

実は巨人ファン。

4代目コスモに乗る、3代目アルトワークスを改造して所持。

ロータリーチューンの老舗、【雨管】でロータリーの勉強をした。


2人の月給18万円~25万くらい・・・・・・・・。


デッチドン(15歳)中卒この春卒業した。

族予備軍!

愛車GS400E拾ったバイク。ナンバーなし。

眼鏡で茶髪、ゲンコツ野朗。

井狩啓二のデッチ、雑用、中学で3番目の馬鹿であった、桧原村在住。

仕事もせずプラプラしてる所で啓二に見つかり、夏からバイトしている。

月給6万円、井狩屋家で生活すること多い。

天海幸司に中学の時一度会っている、憧れの存在らしい・・・。

整備士になる気無し、デッチドンと呼ばれるのが嫌い、呼んでも振り向かない。

「ふ~ん」が口癖。

宇宙星人と仲が良い、街にはバイクでいけない。

(菊池安次)が本名らしい。



デッチドンととイワンゴルフが立ち働いて荷を降ろす、一番奥のロータリーエンジンが動かない。

「おうよ、天海さんよ、オメーの怪力で降ろせや!」

「イカリ屋、おめぇ人に物頼む態度じゃまいな、しかし、俺超人だから出来る!」

「おう、頼んだぜ!」

「やっても良いけどよぉ頼みがある!」ビシ)

「なんだ?」

「GSX-Rのエンジンあるべぇ~?」

「うむ」と頷くイカリゴン。

「アレ俺が買い取りたいのだが!」キリ)

「う~ん、あれは予約済みなんだが・・・・」

「そこをまげて売ってくれ」

「う~ん、参考までに聞くがいくらなら買うか?」

「幾らなら売る?」

「チョイマテ」ピリ)と宇宙星人。

「なんだ?金平?」

「アレ、俺の金でオーダーして頼んだんだが、俺の許可無く交渉するな!」ビシ)と金平こと宇宙星人。

「それもそーだな、幸司、おめぇ金平と話し合ってくれ、兎に角荷を降ろせや。」

うぃ~」と渋々やる。

「トリャ」と気合一発、腰が痛い!が持ち上がる(ズシ~ン)と重いが、腰が入る良い気持ちだ。

(ドスン)と降ろす、デッチドンとイワン・ゴルフが2人でフォークに乗せ持ち去る。

「ふぅ~」と溜息を吐く幸司。

「幸司君、お茶でも飲んで行きなよ。」

「オシッ」と3人中に入る。

「お茶どうぞ」と恐る恐るお茶を出すデッチドン、砂川と真理子肩を寄せ合いソファーに座る。

幸司、井狩屋の社長の席に座る、(ドカリ)

「お汁粉作ったけど食べる?」と金平さん。

「天海君、あのエンジン残念だけど、アレ机って奴に頼まれて俺が組むんだよ。」

「へぇ~でも欲しい」

「じゃぁ今から机が来れるか連絡して見る。」

電話を掛けてみる。

(ルルルルールルルルールルルルルー) (ガチャリ)

「あ、机さんですか?」

「ん?あ、はい、こちらモーターショップイカリゴンですけど、龍二君ご在宅で御座いましょうか?」

「あ、ハイ、お願いします」

「・・・・・・・」

「お!机、頼まれていたGSX-Rのエンジンとフレームその他着たけど今から来い!」

「え!眠い?じゃぁ買い取りたいって交渉してきてるお客が居るからそっちに売るぜ!」

「ん?じゃ来い!20分くらいだな?うむじゃぁ、ガチャリ」

「おい、一郎、真理子ちゃん眠そうだから送っていけよ!」と幸司。

「そうする、真理子?」

「ん~んアタシ大丈夫よ!このくらい家の親だって何も言わないシィ~」

「そうかじゃぁ眠ければ寝てね!」と金平さん。

10分後。

(ボボボボボブボボボ~)27レビンが止まる、敷地内でエンジンを温める。

背の高い男が車から降りる、(スチャガバン)

「こんばんわーす」と背の高い195センチの痩せた男が工場内事務所に入ってくる。

「ありゃ!人が多いッすけどどーしたの?」背の高い男机竜二が笑顔で入ってきた。

幸司の顔を見て途端に青くなる。

「ありゃ~アンタあの時の柔道の猛者じゃないですか~あの節は申し訳ありませんでした。」深くお辞儀をする。

「柔道とかって・・・またお前悪い癖を出して辻投げしたのかよ~」と金平さん。

「そーか思い出したぞ!ヒョロイの危うく奥多摩湖にドボンしそうになったぜウヒャヒャヒャ」と幸司。

「そーか知り合いか、所で2人ともGSX-R750のエンジンどうする?」

「俺が先に頼んだんだぜ~俺が優先だろ?」と机君。

「俺も欲しい~の!誰がなんと言おうが!!」

「でもエンジンと傷物のフレーム他だぜ、フロントフォークは逝っちゃってるな。」

「う~ん、家の親父が乗ってた750(GSX-R)が有るからスペアで欲しいし乗せ変えても良い。!」と机。

「俺がパーツそろえるから作りますヨン」と幸司。

「よし、こうしよう!入札制だ。俺が紙に希望金額書いて隠すから、差額が10万円以内で俺の設定した金額より遠い方が勝ちだ、双方10万円圏外ならやり直しだ!」と金平さん金額を隠しながら書き込む。封筒に入れて〆る。

「よし!俺こー言うの好きだしくじ運がいいんだからね」と机

「ふ~ん紙くれ!」と幸司。

カキカキカキ(コチコチコチ)時計の秒針の音が、耳に響く(シーン)となる。

何度も書き直す机、一回で書く幸司。

(コチコチコチボーンボーン)23時の時報がなる。

「はい、そこまで、開いて見せてみろ!」

机92万円。

幸司43万円。

「2人ともはずれだ、もう一度読んで見ろ、予想してみろ、良く考えれ!」

もう一度やり直す。

(コチコチコチ)「ゴクリ」と唾を飲む一郎、「ウフフフフ」少年チャンプズを読みふける真理子ウケテイル。

「よし時間だ!」

机73万4千円。

幸司68万円。

「良し、答え開くぞ!」

紙に72,5万円と大書されていた!

「天海君の勝ちだ、机勝負は勝負だ諦めれ、お前は、単車あるんだし引き時だ!」

「ふぅ~」2人同時に息を吐く。

「しょーがない柔道家同士だ手打ちだアハハハ」と机。

「誰がじゅーどーかだ!」と幸司吹く。

握手を求める机。

お互いに握手をし、机明日の仕事の為に帰る。

(バタン、ゴーキュルキュルキュルボボボボボーンボフォーンボフォーン)27レビンは去る。

「天海君、一つ条件がある!」

「うぃ?」と幸司。

ウチで組んで作ることにしてパーツもフレームも君が選んでウチに送ること。」

「うぃ」

「そして君のオーダーで俺が気に食わない所は俺の一存で組み替えることにしてくれ!」

「うぃうぃ」

「後エンジンはOHする」

前金20万円貰うぞ」

「ヨシ了解!」

「所で何日くらいで組めるの?」

「ソレは君の動き次第だろ?」ピリ)

「てかオメーら博打で俺の商品売るなよなぁ~うははは」と井狩屋君。

「別にいいじゃないの!」と金平さん。

「勝手に決めやがって!」

「金平星人に相談しろって言ったのおめーじゃん!」と幸司。

「うう~む」二の句が告げない、井狩君。

「明日までに10万円前金用意してくれ!」

「明日と言わずに今取りに行くぜ!」

「オイオイ銀行閉まってるぜ」

「お宅さんの隣に金が埋もれてるジャン」

「隣って、天海御殿のことかふぅ~・・・」

「アソコの家は俺のもの~♪」

おまえなぁ~幾ら親戚でも夜中だぜ・・・」

「ちょっくら行って来るぜ」

「今日の昼間でいいのに・・俺明日早いから寝たい・・・・」

「アタシまだ眠くないよ!」と真理子。


奥多摩天海家。

勝手口の合鍵で鍵を開ける、台度に忍び込む。

「あら幸司君また勝手に入ってきたの!もぅ~来るなら電話しなさいよ~」と従兄弟に当たるが、血につながりの無い、【天海雪次郎】の妻さゆりが猫をしかるように言う。

「やぁこんばんわ、ママさん」

「ママさんて言うな~アハ」

雪次郎は台所でビールを注いでいた。

「雪次郎ちゃん、寿司か何かある?」と幸司。

「オイ、来てたのかよププ」と笑いでビールを吹く。

「腹減ったぜよ」

「寿司はないけど、唐揚げならあるわよ!」とさゆりが言う。


天海雪次郎は3歳の時空襲に会い、戦災孤児になる、たまたま、近所に住んでいた幸司の伯父【天海幸一】に養われ養子縁組をし、天海雪次郎になる。

天海雪次郎は3人の戦災孤児を引き取り養子にしている。

元々天海家は浅草に居を構えていた。

天海雪次郎、青梅一の運送会社青梅橋引越しセンターの専務である、社長は幸司の従兄弟大二郎。

西東京地区の天海家は青梅と奥多摩に2家ある、奥多摩を紙と呼び、青梅を下屋敷と地元の人が呼ぶ。

天海雪次郎、当年45歳、妻さゆり32歳子供が3人居る。

「てかよぉ~幸司何しに来た?」

「イカリゴンの所に、用があってな」

「アンナ チンピラと付き合うと株が下がるぜ、隣の馬鹿ガキが・・ケッ」

「良い出物が有ったんだぜ、雪ちゃん!」

「ふ~ん、何?」

「GSX-R750ののエンジン、絶好調らしいぜ!!」

「へぇ~エンジンだけか?」

「今度パーツ集めて、一台にするのさ」

「そーいや、お前のZ2オシャカだってなヌハハハハ」

「そーよぉ!河口湖で焼きついた!ムカムカするぜ!」

「まだまだだなウハハハハ。」

「幸司ちゃん遅いから食べたら帰りなさい」とさゆりに急かされる。

「ところで、雪ちゃん親父さん居る?」

「今さっき風呂に入ってたみたいだぜ!何か用か?」

「金借りに来た!」ドヤ)

「幾らだ?」

「45万円」

「ふ~ん」と何か考えている。

「さゆり、親父が寝る前に幸司に会わせたいから寝ないように取り次いでくれ。!」

5分後、さゆりが戻る、今書類整理終わったから来て良いってよ!。」

天海幸一の寝室。

「こんばぬわ~」と幸司入ってくる。

「おう、幸司元気そうで何よりだ!」と笑顔で迎える。

「親父さん、お金貸して?」

「う~ん、幾らだ?」

「50万です!」

「う~ん、お前は真面目にやってるみたいだから貸すけど、借用書書けよな!」

「うぃ~」

引き出しから鞄を取り出す、キーが付いている。

100万円の束を取り出す。

「100万円渡す、50万はお小遣いだ、今度皆で温泉に行こうな。」と優しい伯父であった。

「伯父さんありがとー」と抱き付く幸司。

「おお!良い筋肉になったなぁ~、今度空手も教えてやるから道場に来なさいな」

「うぃ~」

「嫁さんと子供に美味い物食わせて上げなさい。」

借用書を書き、伯父さんに礼を言い台所に向かう。

廊下で、従兄弟、鳩子に出会うが誰も気に留めないくらいこの家に巣食っている幸司である。

台所に入る、皆寝に入って居ない、勝手に出て行って鍵を閉める。


イカリゴン

「いよぉ~」と幸司事務所に入る。

「お金出来たか?」と金平さん。

「ウィス」と10万数えて渡す。

「良くやったさすがだね~」

「まぁな~」

「唐揚げあったから持ってきたよん」

「あ!ワタシお腹ぺこぺこ~」

4人でから揚げを食べながら歓談する。

「今日中にエンジンの方割ってみるべ」

「たのんます」

「じゃぁけーるべ」と幸司。

「金平さんお休みなさい~」

「じゃぁな真理子ちゃん今度デズニーランド行こうね!」

「うん、楽しみにしてるわ」

一路河辺に向かう。

井狩屋低から坂を下る。

青梅街道へ出る、辺りは暗闇だ。

一時停止する、バラードスポーツCRA-Xが走り去る、左右確認し左折する。

古里から青梅線沿いに、河井、御岳と下る、途中から通行する車が居なくなった、午前1時半の青梅街道。

沢井、軍畑、二俣尾、日向和田と順調に走る、自足は80キロ空荷で、ボデーが良くバウンドする。

40キロでコーナーをパスする。古いライトエースはホロ車は車体が軋む。

青梅駅を通過、午前1時52分に針が進む、後付の車載時計である。

青梅街道を突っ切り、河辺方面へ向かう、「真理子ちゃん時間大丈夫?」と一郎が心配する。

「ん~大丈夫家親が夜の仕事だから。」

「そかそか、なら今度夜遊びに連れてってヤンな!」と幸司。

「アソコの農協の裏でいいわ」(キィー)とブレーキを軋ませライトエース止まる。

「ありがとう」(チュッ)と幸司のほほにキスする真理子。

「またなぁ~俺の所にも電話頂戴ね~」、「バイバイ~」

(バタン)(ドウリュ~ボボボ~)ライトエースが去る。

「あぁ~楽しかった」ルン♪

「只今~と、言っても誰も居ないわけじゃないけど、一治も寝てるしね」と独り言を言う少女でもあった。

(バタン)河辺の一軒家で家族5人で暮らす真理子である。


次の日

午前6時天海幸司、東八団地2号棟202号室、起床「お早うナオタン」 「ん~ん今何時よ?」 「6時だよん」

「まだ眠いから7時ごろ起こしてね。」 

竜司のオシメを取り替える幸司、次の間にバッグがぶら下がっている、直子の【チッグ】のバッグだ。

取り出して中を開ける、、「ふ~んふ~ん♪」鼻歌を歌いながら財布に入ってる【VIZU]】カードを取り出して素早く元に戻す。

コーヒーを飲み、TVを点けて、出掛ける、路上駐車していたライトエースのキィを取り出してドァを開ける、(バタム)キィを刺しエンジンを掛ける。

(ババババボスーンパーン)アイドリングが安定せずチョークを引く、(バババブーン)回転が上がる。

5分ほど暖機し出発する、祖師谷へ。

祖師谷の現場午前8時半。

「ねぇ~田中さん、俺今日は眠いから午前中寝るよん」

「え?二日酔いか良いけど俺が仕切るぜ!」

「いいよん、ヤラシクネん!」

午前10時、田中さんが、現場監督を殴り泣かせてたけど、幸司はライトエースで眠る。

午後11時頃携帯電話【ムーバ】が鳴る、幸司3度無視して寝ている、4度目(ピピピピピピピピピ)

「うっせ~な」と出る、「よぅ幸司オレだ、何回も掛けさすな!」 「ファー洋次さんおはっ」

「オハじゃないよん~」 「アレもーすぐ昼か」 「今日の昼過ぎに昨日のギャラやるから出て来い」

「分倍河原に14時頃来い」 「幾らくらい出ます?」 「フフ秘密だ」と洋次ワラウ。

お昼になる、「田中さん、一万多く出すから現場取りしてぇん」

「いいけどよモグモグ」と弁当を食べてる田中さん。

監督が幸司に午前中の苦情を言いに来る。

「うっせーな」と一言で片付ける幸司、「じゃぁオレ現場跳ねるなぁ~」と幸司去る。

監督青くなる、「ギャ~」遠くで悲鳴が聞こえた。

ライトエースが無くなってると思ったら、高嶋工事が移動して運転席に居た。

「よう」 「おす」と2人挨拶した、助手席に座る幸司。

(バポーンバポーン)ライトエースが去る。

「よう、昨夜はご苦労さん」 「ん~ネムイ」 「今からGSX-Rのパーツ探そうか?」

「ん~なんで知ってんだよ?」 「そりゃツーカーだからな!」

「良く知ってるよなぁ」 「それよかまぁ分倍河原行ってからだな!」

14時10分頃、分倍河原

旧甲州街道沿いの【ケス・バーガー】2階(ザワザワワイワイワイ)

人ごみの中、洋次は伝票を見ながらハンバーガーとチキンを食べてた。

「今着きました、洋次さん」 

「うむ」

「こんちゃ」

「オイ昨日はありがとうな」

「いや~ねみい」

「GSXーR欲しいんだろ?」

「うむ」

「工事、解体屋で目ぼしいの連れて行ってやれ」

「ホイサッサ」と工事オドケル。

「GSX-R750なそんなに欲しいのか?」

「うむ、マシンがなきゃ走れないわさ」

「そうか~出物の900(ニンジャ)があるのだが?」

「あれ正美のでしょ?可愛そうだからエンジンだけでも受け継ぐぜ!」とかっこつけて言うが腹が鳴る。

「一台ドンガラの不動車見つけたから安く買い叩けよな!」と洋次。

「あんがと~」

「ホレこれギャラだ」と封筒を渡す、中身は25万円入ってた。

「さぁてオレはけえる」と洋次店を出て行く「ゴチでした~」と幸司頭を下げる。

「ヨシ行くかっ」 「まだコレ飲んでる~」と幸司おっとり刀である。

午後15時20分頃、府中の解体屋【北公商会】

「ちわ~」

「よッ工事君か。どうした?」

「先月渡したGSXRのナナハンまだあるって聞いたもんで」

「有るよ

「幾らで出す?」

「ん~8万かな?」

「どーする?」

「現物見せてもらわないと」

「ほれ、そこの奴だ」

事務所の給湯器の下で錆だらjけでその750は置いてあった。

「う~ん、カウル割れてんじゃん」

「そうか~でもよフレームもサスも綺麗だぜ」

「4万だな」

「ん~どうしようかなぁ」

「置いておいてもゴミになるだけだろう?そんなら3万5千円でもいいな」と工事。

「ん~じゃぁヨシムラマフラー着けて5万でどう?」

「錆だらけぢゃん?」

「親父さんが欲しがってた、レオーネのGSRを安く仕入れるから、こっちもマケテ頂戴!」

「お!良いの見つかったの?」

「うむ、長野に良いの出てたよ、競り落とそうか?」

「よっしゃ、3万5千円で手を打とう。」

親父はレオーネファンであった。

「家のトラックで運ぼうか?」

「ライトエースに乗るから、大丈夫」と工事。

「ならいいか~」と解体屋の親父。

「エンジン掛からないよ。」

「書類とキィと譲渡証明書渡すから、奥に入りぃ~」

事務所で、3万5千円払う、領収書を貰う。

現場の足場板でトラックに載せる、ロープとガッチャ(ベルト式固定縄)で固定する、ホロで隠す。

「ほんじゃ、GSRの方も宜しく~アリガトネ~」と解体屋の山工さん。

「でイカリゴン行くか?」

「取り合えず送り届けるか」と幸司。

「おし、行くか」

「セパハンとバックステップも買いたいから何処かパーツ屋寄ってくれ」

「了解」

20号線を立川まで行く、日野橋交差点を右折する。

と立川通りに入る、渋滞が続く、脇道に入る左折する、一方通行を諏訪神社方面に向かう、途中に信号がなくスイスイいく。

錦町商店街通りに当たる、信号が赤で止まる、二分待つ、青になり動き出す、アリストに煽られる、(ドカン)とブレーキを踏む、幸司顔面をフロントガラスにぶつけるが寝入ってる。

急ブレーキをふみ、表に出る工事、「てめぇ~ナニ煽ってんだこらぁ」

アリストのパーマの男も降りてくる、180センチ位の男である、工事165センチである。

「オイ足立ナンバー、何処のモンや?」と胸倉を掴まれグイグイされる。

「何処のモンやとはまたイナカモンに言われたなぁ~」

「なにゃてぇ~ワシはミナミではそれなりに知られた男やでぇ、立川の○×△組の助っ人やで」

「そうか、ミナミやな田所の身内か?」

「ええなんやて?田所やてぇ?」

一瞬男、青山!

「知ったかスンなやコンヘタレめ」

「大阪モンとちゃうな!」

「ヤンのかコンオンタンチン!」

「へぇ~九州モンかよ!ぷぷ」

(パパパ~)フォーンが後で鳴る、ハイラックスに乗った大男が出てくる。

(ピシッ)と鼻にチョーパンを貰う工事。

「OH-オマエラ何してるんじゃ~」と大男。

(ウヘ。鉄板ムーアじゃんヤベ)と工事嫌がる。

「オラ、ワレさっきの勢いどこ行ったんじゃ、ナニが田所じゃド畜生目、イキがって貧乏臭い車で仕掛けてくんあボケ」

鉄板ムーアがやって来て、青山を羽交い絞めにする、そこに工事のパンチが飛ぶ、青山避ける、ムーアの顔に炸裂する右ストレート。

(ペキ)と。「ヤベぇ逃げるか」と踵を返した瞬間右手を掴まれる(ベキベキ)と腕を折られそうになる「助けてくれ~」

大声で叫ぶ、ムーアの目に怯えが走る、幸司がよろよろで走ってくる。

「OH!デビル又会ったな!この前のお返しをする。」と工事を投げ捨てる。

青山脇でノビテイル。

「幸司!鉄板ムーアだ侮るな~」

「喧嘩だ~」と通りがかりのサラリーマンが見に来た。

「オイ!ムーア、カモン右ストレート」とイノキの真似をして挑発する。

と最近得意のノーガードで接近する。

「オー良い度胸だ!」

右ストレートが一閃!!

(ドキュンキュンキュン)

ムーアの右は幸司の左コメカミを掠り幸司の左が内側から捻り出されて、ムーアの鼻に炸裂する。

鼻血ブーのムーア、頬に切り傷がつく幸司。

ムーア掴みかかってくる、「止めておけ幸司傷害で捕まるぞ!」工事が叫ぶ。

幸司が飛び上がる必殺の二段蹴りが顎と鳩尾に炸裂する。ムーアまだ立っていた。

「よし、決まった!」と工事

「終わった何もかも・・・」よろける幸司。

立ったまま気を失うムーア、「幸司、急げ逃げるぞ」

「オッチャン、テンカウントが聞こえるぜ!」

「馬鹿早くしろ」 「おう」と気を取り戻した幸司ライトエースに乗る。

「オイ、すげぇ~試合だったな」 

「ウム、目白ジムでも通用するな、藤原以来の逸材だ」

と、通り掛りの営業の高森さんと黒崎さんが話しこむ。・・・・

赤信号を猛スピードで突っ切り、諏訪神社までノンストップで逃げる。

昭島の朝日町まで来て一息つく2人、一服する、美味い。

朝日町を右折する、昭和の森ゴルフの辺りを抜けて踏み切りを超える。

松中団地の中を通り抜ける時、初めて口を開く工事。

「オイ、ムーアって知って仕掛けたのか?」

「おうよ、アノ米人はオレのダチで一度叩きのめしてる」

「ひぇ~いくらお前が強くても、お前元プロレスラーだぜ!」

「おうよ!いつ何時デモ俺の首を取りたければ取れ!」キリ)

(ファンファンファン)対向車線に覆面が走ってきてビクビクする工事。

「しかし・・・ムーアノバスのって辛くね?」

「ウム、チャレンジャーは何時でもこいだ。NWAのベルト5度目の防衛だ!」

「お前、相変わらずつぇーけど何してた格闘技?」

「前にも言ったべ?禅行印流の少林拳だ!」ビシ)

「少林寺拳法か?ありゃ?」

「クロスだぜオッチャン」

「ヌハハハハまぁ逃げ延びたからいいや」

三ツ木の交差点を右折する、5分ほど新青梅街道を走ると、【三本榎】だ。

左折すると、バイクパーツショップ、【ライコランド】武蔵村山店だ。

駐車場に入る、顔面の出血は止まっていた。

「ヨシ、行くぜ」

「おうよ」と幸司。

駐車場に、段着きシートのGS400が止まっていた。

「オイ、幸司こりゃだせーしナンバー取ってあるぜ」

「オイ、てめ~今何か言ったか?」と3人組の金髪のパンチパーマの男たちに囲まれる。

「おう!良く見たら天海さんじゃねぇか、そっちのチビ、お前喧嘩売ってんのか?」

「チビとはなんだ?ヤンキーもどき」

団地族の小林と前田と中田に絡む。

「おう幸司先に店に入っててくれ、片付けてくれる。」

「ホイホイホイ」と店に入る。

「ウ~ムヨシムラサイクロンしかね~なタキオン、嫌だし。」

「お客様どんな車種のバイクのパーツをお探しでしょうか?」

店員の山口薫が話しかけてきた。

「ん~GSX-R750」

「何かお探しで?」

「バックステップと集合とセパハンとブレーキチューブとシリンダーかな?」

「少しお時間下さい、探して見ます!」

休憩室で一服する。「美味い!」

「ふぅ~疲れた、ここに居たのかよ」と工事

「おう、終わったか?カーロス」

「誰がじゃ!」

「カーロス!小林には気をつけろよな!」

「分かってる、団地族だろ?噂の」

「うむ、しつこいぞ!」

「分かってるけど893よりマシだろ?」

「おめぇヤクザより怖いぞ!キムチ爆弾て知ってるか?」

「知ってるも何も、俺作れるぞ!」

20分後、カタログだらけの山口さんが来た、所々に丸印してある。

「こんな感じで揃いますけどどーでしょう?」

「ん~まぁいっか」

「パーツお取り付けしましょうか?」

「いや、バラバラで運んでくれい」

「じゃぁレジで」

「17万6千円です消費税込みで」

18万円払いお釣りを貰う。

「ええなぁ幸司は」と高嶋工事。

お店の人が梱包したパーツを運ぶ、スタッフがライトエースに積み込む。

鼻血止めのチリ紙を(プッ)と飛ばす工事。

「毎度アリガトウ御座います」とお店のスタッフのお姉さん。

「菊池さんて、言うんだ可愛いね」

「ハイ、アリガトウ御座います」

「今度ツーリング行かない?」

「ハイ、機会が御座いましたら」と笑顔で答える。

「またねぇ~い」と店を出る、午後5時半ごろ道が込んできたから、武蔵村山区役所裏にある、【天門、村山店】に行く。

カフェ風中華レストランである。

「いらっしゃ~い」と18,9の女の子が2人フロアに居た。「こちらの席にどうぞ~」

「いや~久しぶりだね天海君」と店長は言う。

去年の夏のリフォームの工事以来だねぇ」と幸司、此処の店の久江さんが目当てで来たのだ、「久江ちゃん今度デートしよ」と幸司誘う。

「うん、RX-7に乗ってるんだってね、でも奥さんに悪いからパス」

「ヤキ蕎麦とチャーシューメン2つづつね!」と工事。

路駐しているライトエースの前に、おまわりさんが何か書いてる。「天海さんちょっと鍵貸して!」

「いよ~中畑巡査さん直ぐどけるから、行っていいよ」とライトエースを2メートルくらい動かす。

「じゃぁ30分位したらどけてね。」と中畑さん帰る。

「ブラックテンプラ~の錦です宜しく天海さん。」

と錦と名乗る男に捕まる。

「こんな店で大物に出会うとは、山下君知ってますか?」

「うぃ」

「この間、少刑から出て来て又のさばってまして。」

「大山君知ってますか?」

「うぃ」

「この頃○×△会のチンピラになってしまってウゼェのなんのってデス」

「後藤強知ってますか?」

「うぃ」

「この頃ブラックテンプラ~に入ってましてウジャクチャ云々・・・」

「山田君がどーしたこーした。嶋田さんがこーしたどーした・・・。」

(ボコ)「うっせーな」と工事が手刀入れる。

「ダメよ高嶋君ん~」と久江さんが止める。

「イテテテ、高嶋さんどうもスミマセン」と錦君。

焼蕎麦とチャーシューメンを頬張る幸司、無頓着。

十五分後、「オヤッサン、お勘定~」

「2600円です」

「3000円で」

「400円のお釣りです」

「でわゴチですた~」

「ご馳走様~」

と2人ライトエースに乗る。

18時20分頃、村山区役所裏から出発する、区役所脇から脇から旧青梅街道に出る。

商店街が小規模に立ち並ぶ旧青梅街道を瑞穂方面へ、車の波に乗り40キロで走行する、並行する、新青梅街道は使わない。

瑞穂区に、入る農協の前で左折し立小便をする。

Uターンをして旧青梅街道直進して箱根ヶ崎の付近で16号を通過する、踏切を渡り岩倉街道へ、右折する。

岩倉街道を80キロ付近でメータの針が揺れる、荷台がユサユサ揺れる(ガチャガチャ)する。

「オイ荷台ロープ外れたかな?」

と工事沈黙を破る。

「グ~グ~」寝てる幸司「チェッ」。

岩倉温泉の狭い道をクリアして小曽木街道へ出る。

小曽木の山間の狭い道である、黒沢の交差点で右折する。

吹上峠のトンネルを潜る(ゴーシュッシュッ)すれ違いがキツイ。

トンネルを抜けると二又を左へ行く、都道193号線。

かなりのワインディングロードをヌルヌル走る。ダンプが入ってきた。すれ違いがキツイ。

双方譲らずグイグイ押す、ライトエースのミラーが大型ダンプに当たり曲がる(キィ~)通り過ぎるとダンプに白い線がが!

2人同時に降りた、「オイ当たってるよぉ~」とダンプの杉山さんが怒鳴る。

「てめぇそこのスペースに止まって待つのが普通だろ!」と工事。

「お!ミラー割れてるじゃねぇか」

「てめぇ~こそオレのサイドパネルに傷を!」

と双方睨み合い、「オイ、弁償してくれるのかよ?」と杉山さん、工事の胸倉を掴む「ペッ」とダンプに唾を飛ばす工事。

「このガキ!」とパンチが工事の右ほおを打つ、血の唾を吐く工事。

腰の物入れからマイナスドライバーを取り出し太股をつく。

「イテ、武器は反則だんべぇ~」

「うりゃ」鳩尾に工事の膝蹴りが入る、一瞬ひるむ杉山さん、一目散にライトエースへ戻り急発進する、(キュッキュ)ドーンと坂を下る青梅線の線路を抜け青梅街道へ抜ける、軍畑付近だ、。

沢井を抜け御岳を過ぎユックリ登っていく、20時10分ごろ、古里のイカリゴンに着く。


GSXR750

整備工場の前にライトエースを着ける。

作業中の金平君に声を掛ける、「今晩はマイド、今夜は天海のGSX-R積んできたよ。」

「お!早いな流石高島君は手回しがいいな」

「コイツ動くのか?」金平君が問う。

「いえエンジン焼きついてますよ」

「そっか何ならOHするぜ別料金で?」

「どうだ幸司?」と高嶋工事は尋ねる。

「じゃぁウチで頂くぜ?」

「あげるよん」と、トントン拍子に話は進む。

小型クレーンでGSX-R750のジャンクを降ろす、デッチドンこと菊池安次が手伝う、イワン・ゴルフは無視して作業を続ける。30分後、GSX750はパーツも含んで降ろされた。

「よう工事ご苦労さん。」と幸司ねぎらう振りをする、手伝わず一人一服していた。

「それにしても、パーツと物が有るが工賃とるけど金あるのか?」

「無くても作るから、取り合えず組んでくれ!」と幸司いきり立つ。

「幾ら掛かるか分からないけど100万円位用意しときな!」

「うぃ、任しておきな宇宙星人!」

「誰ガだ!コラ」

「お前がじゃ!」

「ナンダト!ガキ」

「おい止めておけ幸司謝れよ!」

「うぃ、スマン」

「よし!デッチドンエンジンから行くぞ!」

「ハイ大佐」

「ウヒャヒャヒャ大佐ウヒヒヒヒ」幸司大爆笑。

「おい笑うなよ!あんまり、照れるぜ」と金平君。

「じゃぁイワンゴルフ、整備と錆落とししといてくれ。」

「オス」

「頼んだぜイワンさん」

「オス」

「じゃぁ見積もりできたら呼んでねヨロスク」と幸司。

「一つだけ要望がある、色は赤に黒いライン、それにネイキッドに直ぐに改造できるようにしてくれ!」

「なんだよ、カウルも取れるようにか?メンドイナァ」

「イイカラそれだけ頼むわ、じゃぁ頼んだぜ!」

「そんな改造すると金多く取るけどいいの?」

「いいの!」と幸司。

「それじゃぁ時々見に来る」 午後20時半帰途に着く。


次の日

久しぶりにSAに乗る。

イグニッションキーを回す、(キュルルルルボボボーン)乾いたエキゾーストノートが唸る。

現場は予定通り順調に進んでいるが、現場監督と職人さん田中さんが仲が悪い。


11月下旬、GSX-R750Rは完成していた。

受け取りに砂川一郎の、CRA-Xを足に使い行く。

ある日曜日。

東八団地午前9時(パァパァ~ン)と一郎フォーンを鳴らす。

「うっせ~な」と近所のオヤジが怒鳴る。

2号棟202号室から幸司出てくる。

「よお」

「おす」

と朝の挨拶を交わす。

助手席に幸司座る。

タンクバッグとヘルメットを2個後部座席に置く。

キャシーに携帯電話【ムーバ】から電話する。

「ハロー」 「ハローマイネームコウジ・アマミ」

「あ!幸司君ねキャシー出すわね」

「ハーイコウジ」2分ほど待って返事が来た。

「オハー、今から出るから40分位したら着く」

「OK」

「オレの友達の真理子の家にも寄るからヨロシク」

「OK、マッテルワ」

ダッシュボードに靴を履いたまま足を乗せる、何時ものスタイリングだ!

20分後(バボヒューン)16号線に出て、川越方面へ向かう。

16号拝島橋を渡る。

午前10時頃東福生のキャシーの家に着く。

(ボボボボボボーン)CRXのエンジンを切る。

(ピンポーン)キャシーが出てくる。

「オハ」

「オハ~コウジ、イチロウ」

「はー意」とキスしてハグする2人。

「キャシー京はBBQしよう」

「うん、コウジ今日はモーターサイクル後ろ乗せてね!。」

「OKオレのGSXRの底力見せてやるぜ」

3人CRXに乗り込む。

幸司が運転する、一路奥多摩へ。

路地から産業道路に出る、車は結構込んでいる。

産業道路のドン突きのシェルのスタンドに入る。

「オーライオーライ、OK」と店員誘導する。

「ハイオク満タン」と幸司【VIZU】カードを差し出す。

「ハイオク満タン入りマース」

「キャシーコーラ買ってきてくれ」と幸司せがむ。

「ハイコウジィ~」

「俺も一緒に買いに行くよ!」と一郎。

「じゃぁオレも」と幸司、3人で休憩室に行く。

「幸司、CRXにハイオクなんて贅沢させてくれてサンキューな」

「まぁいいから、頂戴しておけ!」

「お前またVIZUカードだろ直子ちゃんの・・・」

「うるちゃい」

「ハーイコウジ」とコーラを投げてよこすキャシー。

「ほーい」とキャッチする。

「タバコはメンソールー♪」と幸司一服。

前に座ってるヤンキーのカップルが顔をしかめて去る。

「イヤァーネあのフセイン」

「アイツキレルと危ないらしい」

「シッ、聞こえるわよ・・」

「嫌な奴らだぜ、アレ福生ペスタの山本ゴンザだぜっ」と一郎嫌がる。

「山本ゴンザって本名か?ウヒャヒャ」

「いや本名は本山和史、て言うんだ、テコンドーしてるらしい」

「へぇ~」一服して幸せな幸司。

「コウジィ~ナオコって子とどんな関係なの?」

キャシー隣に座り肘で突く、コーラをがぶ飲みする幸司。

砂川一郎一生懸命、キャシーを口説こうとするが無視され続けてる。

「そんでねぇ~キャシーシスコとワイハどっちが良い?」と砂川一郎ノリノリ。

「シスコって何処?ワイハも分からないはぁ?」とキャシーいぶかしむ。

「アレ~シスコはシスコでしょ~?ワイハはハワイ~?」と一郎逆に質問する。

「ホワイ?」

「ハワイはトロピカルねぇ~」と一郎。

「フ~ン」とキャシー受け流す。

「お客さま満タン入りました~」と伝票を持ってくる店員。

「サインお願いします~」

「うぃ~」

86トレノが入ってくる、「あ!マリカさんお久しぶりですぅ」と少女の店員が言う。

「レギュラー満タン入れてね。」

「お!アレ竹内マリカだぜ!」と一郎は言う。

「ナヌ?誰それ?」と幸司。

「シラネェ~のかよ漫画家の」と一郎呆れる。

「ふ~ん」

スレンダーなボディーとジーンズ姿の20代前半に見える女性がこちらに向かってくる。

「お!良い女ジャン!」

(ムギュー~)と抓られる幸司、キャシーが嫉妬する。

(ウィーン)と自動ドアが開き入ってくる。

良い匂いがする、独特のオーラがある。

「アノー」と一郎メモ用紙を出す。

「はい、何ですの?」

「竹内マリカさんですよね?」

「そー言う名前でも有りますね!」

「サインください、お夜のワイドショーとドラゴン北斗マンのファンです!!」

「ん~あっそう、宜しくね」とサイン書く。

腕をぎゅーとキャシーに組まれて動けない幸司。

「キスしてネーチャン」と幸司。

頬を抓られる幸司。

「アナタ素敵なガールフレンドが居るじゃないウフフ」とマリカ。

「アノ、トレノマリカさんのカリカリチューンですよね?」と一郎。

「「ん~レース仕様でロールバー入れてエンジンと電気系統弄ったくらいかしらね、後マフラーと足回りもね!」

「最高速何キロくらいですか?」

「230キロ位かしら、サーキットでぇ」

「え?サーキット行くんですか、本格的ですね!」

「ん~遊び程度よフフ」

「オレには勝てんよその程度じゃ!」ビシ)と挑発する幸司。

「あら、アナタもレースするの?」

「オレは実戦派のレーサーだぜ」

「アナタ筑波に一緒に行く今度?」

「良いけど、ネーチャン負けて泣くぜ!」

「オレの愛車はRX-7だ何時でもいいぜ!」

「じゃぁボウヤ住所とtel教えておくわね、」とサングラス越しに光るマリカちゃんの眼!

「オレ天海幸司だ宜しくな!」

「アナタ面白いわね!」

「国内C級くらい持ってるんでしょ?」

「C級はあるが一度くらいしかサーキットなんか行ってない」

「アナタ眼が野獣の様ね、アナタみたいな子好きだわ!」

「野獣?つーかドラゴン北斗マンてアンタの漫画?」

「そうよTVアニメにもなってるから見てね!何時でも連絡頂戴ね!」

「ドラゴン北斗マン、最近面白くないkら、中学生お面組しか読んでないけどな!」

「私のパピヨン旅行紀て作品有るからサインつきで上げるわね!」

「おもケロイのそれ?」

「読んで見てね♪」

「オレはどちらかと言うと硬派なんだぜ!」

(ギュ~)と腕を捕まえるキャシー。

「じゃぁ約束よアナタの電話番号も控えたから夜でもいいから来なさいね!」

「おうよ!オレのセブン、チューンしてあるからな負けて泣くなよ!」と幸司意地を張る。

「じゃぁまたね幸司君とお友達さん、グッバイ!」

とジュースとタバコを買い出て行くマリカちゃん。

「オイ、幸司お前だけズルイゾ!」

「オレってモテモテ!」

「チェッ!遊びに行く時は俺も連れて行けよな!」

「まぁな」呆気に取られるキャシー。

「ヨシッ俺たちもイクベか」と3人乗り込む。最初に後部座席にキャシー、助手席に一郎、運転席に幸司。

(ボボボボボチューンキーン)エンジンを吹かす。

「お出口はどちらですか?」

「正面!」

マリカちゃんに貰った本をダッシュボードに仕舞う。

セカンドで発進する。

「オーケイ、ドーぞ」車を止めて道を明けてくれた。

産業道路を青梅河辺方面に向ける、流れは緩やかである。

80キロ付近で右に左にシフトチェンジしながらスラローム、6代目のフェアレディZがお尻にピタリとついてくる加速性能、最高速共に向こうは優れているが、待ち乗りならCR-Xの方が上だ、だがピッタンコにノーズをつけてくる、スリップストリームでハイビーム、煽られている。

産業道路の路側帯を一気に駆け抜ける、CR-X、3台抜く。

所謂族走りだ!

後方に去るZ、V-TECが唸る、(ドビュキーン)

右車線が空いた、Zが出てくる、120キロ走行、一瞬の差でZに抜かれる、羽村市面道の信号で赤になる。

前の赤いZから背の高い外国人が出てくる、「オイ!オマーエ車ブツケタダロウ!」と変な発音の日本語で話す、無視すると(ツカツカ)と寄って来て、タイヤを蹴飛ばし、車に唾を履きつけた。

「コウジ、アレは悪者、アウトロウの鉄拳ジョニーよ、喧嘩しないで逃げて」

「OHーコゾウカメンカメン」と挑発するジョニー。

「おうアイツ喧嘩強えーか?」

「コウジでも勝てないわよ、ヤメテ」とキャシー泣き声で言う。

「ヨシ、おい白人のナイスガイ、車脇に寄せろ!」

「ホワイ?」

「キャシー通訳しろ」

「ヤメテ」

「駄目だ打つ」仕方なく訳すキャシー。

車を隅の路側帯に寄せる、「コゾウ、ガキ、ブタマンジューウ」

「インポ野郎来い!!」

幸司、フラリと出て行く。

「ヘイジャパニーズカメンカメン」

「オイ!おっさん一発勝負と行こうぜ」

「ペラペラペーラ」

「何言ってんだアイツ?」とキャシーに聞く。

「オーコウジ左ストレート一発でKOすると言ってるわヤメテヤメテ」

「コウジ、ベアナックルジョニーに勝てないわ、アイツはUSパシフィックコーストのボクシングのチャンプよヤメタホウガイイワ」と喚くキャシー。

「オイ、キャシー通訳しろ、右一発でノバス」

「ペラペラペーラペラペラ」

「オイ幸司今日だけは嫌な予感がするやめておけ」と一郎も言う、。

「ヤンキーGO HOME」

と幸司適当な英語で言う。

「シット」

イキナリ左ストレートが唸りを上げて炸裂する、極端に動体視力がいい幸司はパンチがスローモーションで見えた。

「1,2の3」内側から幸司の利き腕、右ストレートが襲い掛かる。

(ドキュンキュンキュン)「ギャー」と悲鳴を上げるジョニー。

リーチの長いジョニーの左が幸司の頬に食い込む、ジョニーの鼻に幸司の右ストレートが食い込む、2人同時にフラリと倒れる。

幸司を抱き寄せるキャシー、直ぐに眼を開ける幸司、大の字に伸びるジョニー。

少林拳の必殺、捻り込む正拳突きが入った、ジョニー。。

「ヘイキャシー」とキャシーに声を掛ける、首を振りながら立ち上がるジョニー。

「ヘイペラペラペーラペイ」とキャシーが英語で怒鳴る。

「ペラペラペラゴメンナサーイ、デモ車ブツケtデショ?」

「触ってもねーよ薬中やろう!」と一郎怒鳴る。

「ヘイペラペラペラーラ」とキャシー怒鳴ると(ヒョイ)と首を傾げて逃げる、Zは走り去る、後ろから来たカリーナEDに激突されそうになりながら去る。

「今何言って追っ払ったの?」と一郎。

「家のパパの名前出しただけよ」とウィンクするキャシー。

「オイ、運転変わるぞっ」と一郎、「OKベイベエ」と幸司。

3人座席に着き走り去る、途中コンビニに寄って氷をかい幸司の患部を冷やした。

「良く倒したなコウジ」 「チョット痛かったけどな」と2人の会話に聞き耳を立てるキャシー。

「コウジYOUのパンチカラーテ?」とキャシーが聞く。

「うぃうぃ少林寺拳法よん」

「OHショーリン!チャイニーズカンフー」 「日本のだけどなー」

「アイツのパンチ効いたぜ少し」と笑う幸司。

車は河辺の農協の裏に止まる、ポニーテールの少女が立っていた、傍らに20くらいの男も居る。

(パァン)真理子を認めて、一郎車を止める。

「こんにちわ、今日お兄ちゃんも行きたいって言うから連れてきたの」

「はじめまして、僕、伊藤金次郎と言います宜しくお願いします!」とお辞儀をする。

3人車から降りる。

「オレ天海幸司つーんだよろしくね」

「オレ砂川一郎といいます宜しく」

「私はキャシーよろしくね」と挨拶を交わす。

「幸司さんの噂は良く知ってます、社長に良く似てます!」

「そや従兄弟だモンな」と一郎。

「4人キャ乗れねーから自分のマシンで着いてきな」と幸司。

「お兄ちゃんゼファーに乗ってるのよ」

「ほう、腕前は?」

「お兄ちゃん昔、暴走族してたのよ」

「あ、恥ずかしながら特攻してました・・・天海さんの噂は良く聞いてて憧れてました」

「へぇ~お兄ちゃん何も話してくれないんだから、幸司君のこと知ってたの」

「この辺だと西東京連合ですか?」と一郎。

一服してる幸司、(美味い)

「あ!はいでもペスタが怖くて・・・」

「ふ~ん」と幸司興味が無い。

「東八連合解散事件の話聞きたくて、もぅ伝説です、本物に会えて嬉しいです」

「う~むあの時は厳しい戦いだったな~」と一郎。

「ふ~、とっとと行くか一郎」

「行くか、お前本当にアンナひどい事件覚えてないつーか、語らないよなぁ~ふぅ~」と一郎溜息。

「何の事件だ?思い出すと腹が立つ!」

(バタム)「目的地はイカリゴンだ分かるよな?」

「ハイ着いていきます!」

(ボボボボヒューンキーン)CRXは一路奥多摩へ。


車は青梅の駅前に差し掛かる、十五分後、古里の井狩屋の車屋、【イカリゴン】に着く。

向上の脇にシートがかぶさった、GSX-Rが2台あるらしい。

背広姿の男が立っていた。

入り口の脇にシャレードデトマソが止まっている。

「よう、天海君どうぞ中に」と社長のイカリ屋がいざなう。

「お!早いね幸司君」と金平さんが言う、デッチドンは無言で作業を続けている。

ゼファー400が中に入ってきた、工場の駐輪場に入れる。

事務所に幸司と一郎だけ入る、他は工場で、宇宙星人の宇宙人の話を聞かされていた。

後から背広の男、洋次が鞄を持ち入ってくる。

「さぁ天海さんどうぞおかけください」とイカリゴン、揉み手しながら書類を出す。

イカリゴンの妻、富士子が無愛想にお茶をドンと置く。

ブスである。と幸司心の中で思う。

「おうよう、イカリゴン、早くマシン見せて~」

GSX-R750Rを押して事務所の前に引き出すイワン・ゴルフ。

ピカピカに磨かれたナナハンが光り輝いている。

「おっ!新品みたいだな幸司」11月下旬の弱い太陽が照り付けている。

キィを刺す、エンジンスタート(キュルキュルフォーンフォーン)油冷エンジンが調子よく唸る。

軽く吹け上がる、スピードメーターは300キロまで表示されていた。

「車検も通したし、チューンは万全よ!」

「一時金30万円だけど多めに入れておくぜ」と幸司。

「それじゃぁ中に入ってください、」と井狩屋社長。

「取り合えず100あるこれでどう?」

「はい、アリガトウ御座います、残り70万はローン組みますね。」

ゲリココーポレーションのローンの用紙に書き込む。

工場でGSXRの最終セッティングを出すイワン・ゴルフ。

(フォーンフォーンビリビリ)と振動が伝わってくる。

「洋次さん10万・」と洋次に意味深く渡すイカリゴン。

「良かったな幸司、じゃぁな」と出て行く洋次。

「うぃーす」と幸司。

「でわコレを」と領収証を渡す。

ローン用紙の保証人の欄に父親の名前と、実印を押す。

「ハイOKです」保障組合に電話を掛けて確認作業に入る、20分ほど掛かるようだ、幸司ソファーでウトウトスル。

父親の了承を得てるからローンが組めるのだった。

20分ほど経過して、ローンが組めた。

「ハイOKでした」とイカリゴン、握手を求める。

書類にキィーに道具もタンクバッグに入れて工場に出る。

「金平さん、一応マシンのカウル類の取り外し教えて?」

「OK」

金平さんが10分でネイキッドにする。

幸司感心しきり。

フルカウルに戻してタンクバッグを付ける。

「家のトラックで運んでやろうか?」と親切に金平さんが言う。

「アンガト、でも乗ってけぇるから」

「ガス半分だから給油シナ」

「うぃ~」

「じゃぁいくか一郎!」

「後に乗ってけキャシー」とメッとを手渡す、「そんじゃな!イカリゴン!」

「アリガトウ御座いました」イカリゴンお辞儀をする。

「調子が良いけど5000キロほどちゃんと慣らしはしておけよ」と金平さん。

「OKじゃぁいくぜ!」

「周遊道路周りか?」

「うぃ~」

「OK、真理子ちゃんも乗りな」と一郎。

「ズルイ、キャシーだけ!」と真理子呟く。

グリーンのシューティンググラスに白いジェットヘル、革ジャンの背中に風林火山の刺繍、黒いライディンググローブに白いスカーフを首に巻く。

(フォンフォンフォンフォン)フルカウルで全身身を包み風の抵抗を受けない。

GSX-Rは美しく、ワインレッドのメタル色に黒いラインが陽光にまばゆく光る。

(フォーンフォンフォンブオオオーーー)

ゆっくり回しながら坂道を下る、青梅街道へ出る。

「ワーオ」とキャシーはしゃぐ、青梅街道を西へ、GSX-R750Rは80キロで走る、80キロをキープ、コーナーで軽く倒してみる、RSより断然に安定する。

(フォーンフォーンフォンフォンフォン)調子は良好、レッドゾーンに入れず7000rpm付近で回す、オイルの焼ける匂いが懐かしい。

軽い軽い車体が曲芸のように回る、ハングオンを決めてみる、見事に膝をする。

後からゆっくりゼファーとCRXが着いてくる、周遊道路のゲートを潜る、(パァーンパンパンプププパァーン)NSR250が後から追い抜いていくが気にしない。

120キロまでゆっくり上げたつもりが、170キロに軽く乗る、直進、コーナリングは抜群だ流石SPマシンだ。

コーナーを軽くクリアするKR250を軽くいなす、NSR50を軽く抜く(パ~ンヒューーン)

今日は日曜日、走り屋とツーリング族が跋扈する。

CBX750Fに追いつくがバトルしないでスリップに入る、直線で軽く抜く、ベテランを気取り左手を挙げ挨拶する、後方にドンドン離れていく最終コーナーを抜け桧原の一般道へ入る。

帰途に着く。 続く。





















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東八見聞録 長内 志郎 @mura-

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