東八見聞録
長内 志郎
第1話
平成3年8月・・・・・・此処は東京西の外れ、東京東八市、東八街道沿いの暴走野郎!!ルート東八に鳴り響く悪名!天海幸司!
「ぶち殺すぞ小僧!」歌舞伎町午前5時。。。
トカレフを懐に呑む3人組の坊主、小太りの体に筋肉質の腕が逞しい
一同が駆け抜ける。
天海幸司18歳、身長178cm体重80kg、切れ長の眼、鋭利な刃物の様な眼。
鋭い眼光筋骨逞しく250キロの鉄骨を持ち上げる胆力の持ち主である。
疾風の様に駆け抜ける3人、逃げる天海幸司は路地裏に身を翻す。
3人組気づかず行き過ぎる。
路地裏から轟音一発。
愛車kawasaki750RS、通称ZⅡ、真っ赤なタンクに黒字のライン、銀に輝く「Kawasaki」のエンブレム、黒く塗り潰した艶の無いモリワキのショート管。
(フォンフォンフォン)レーシングコール1発。
素早く乗り込み、猛ダッシュ_点火し火の点いたばかりのRSをスタートさせる、3人の坊主頭の男達が気付き振り向く、白いジェットヘルに薄いブラウンのシューティンググラス、銜えタバコ点火し、暖機もソコソコにタコメーターが振り抜ける、路地裏でスピンターンで男達を振り切る。
早稲田通りを駆ける。
環状八号線を南下する、朝焼けがシューティンググラスに溶けて眩暈を少し覚える、幸司が薄ら笑いを浮べる。
朝焼けの環八道路をウィンカーを左右にチカラセ、タイトに車列をパスする行く。
黒いR30スカイラインのミラーを擦る(パフォーン、パパパパ)猛烈なフォーンの音が響く。120キロ付近で針が振動する幸司は二本目のタバコに火を点ける。
ミラーを覗き見ると黒い大きい影が後ろから猛然とタックルを仕掛けるように迫る、R30スカイラインターボRS!パッスィングが灯光機の様にパッパと明滅する。
後ろ5cmまで引き着く、抜きに出る、軽く足に当たる、「プッと」タバコを吹き飛ばす、バシッとフロントガラスに火の粉が飛び散る、ミッションを一段落とす、アクセル全開にする、一気にレッドゾーンまで吹ける(ブオーンヒュルルー)220キロメータが装備されておりメータ読みで180キロ付近まで針が振れる、遠のくR30ターボRS、にやつく幸司。
熱くなる内燃機関。
気が付くと後ろに黒い影が一つスリップストリーム状態で接近しつつある。
黒と白のツートンカラーに赤いライン、2ストローク独特の加速力、RZ350Rだ、青いツナギに黒い革ジャン、背中にBlack Swallowの文字、前が詰まる急減速する750RS、ヒラリとRZ350Rが前に出る路側帯沿いに突っ走る、見事に出し抜かれる幸司、「畜生、ちっこい野郎が」大声で罵るが時すでに遅し、YPVSのマーキングが嘲笑うかのように遠のいていく・・・。
環八を上高井戸一丁目の交差点で右に折れる上高井戸郵便局を越え杉並から遠のく。
仙川3差路に差し掛かり渋滞が起きる、車列の脇からすり抜ける前を行くJOGが邪魔で信号で詰まる。
仙川2丁目を120キロで巡行する、出動したばかりの白バイが対向車線をこれも100キロ前後で飛ばす。
甲州街道入り口の交差点で本線を選ぶ、白糸台を越え西武多摩川線のガードを潜り、ロウ&ゴウを繰り返し、瞬く間に若松町2丁目の交差点が赤だが勢い良く右折する、対向車が驚愕しホーンを鳴らす。
浅間町2丁目の精神科斉藤病院のある交差点を赤信号を突破して右折する、これは対向車のタイミングで可能である。
1本目の路地を左折すると、東八総合住宅団地である、、750RSのエキズーストノーツが遠くから聞こえ近づく(フォンフォンブオー)音で眼が覚める妻直子。
(フォフォンフォン、ブーン)内燃機関の火を落とす750RS、陽炎の様に湯気が立つ。
幸司の妻直子18歳、東海道大学高等部中退、元ヤンキー少女だが今では家計を支える働き者の主婦である、一子竜司を儲けている。
「石丸電気は秋葉原~♪デッカイワ~♪」馬鹿でかい声で歌い、幸司は上機嫌で我が家、2号棟の202号室に向かう、途中階段の入り口に直子の愛車JOGポシェが置いてある。
直子眼が覚めて泣き出す竜司をなだめる。
泣きじゃくる竜司を尻目に幸司(バタンガチャン)ドスドス)大きな音で部屋に入る。
母乳を与える直子、「うせっせーなこの馬鹿夫!」 「ナオタンおは~」 飽くまで上機嫌の幸司。
「何がオハだ何時に帰って来るんだよタコナス!また女か?コラ」直子竜司を寝かせつけて(ビシッ)ソファーの上で寝そべる幸司の首筋に手刀を入れる。
「イテつぅー」もがく幸司。
隣のベランダから「朝からうっせーんだよ!」苦情の怒鳴り声が響く。
「ナオタン 誤解だよん 女はナオタンダケぇ」
「何がナオタンだこのうすのろ、たまには働け!」ピシャリト決め付けた直子。
「あっそ、カス」直子は毒づいたがもう高鼾の幸司である。
「ふぁ~そうだ 黒いツバメ見たよん ブッチ切ったけどよん。。。」
言うが早いか寝るが早いか、もう寝ている幸司である。
「バッカミタイ」一人コーヒーを飲みに台所に立つ直子であった。
午前10時頃・・・
(ふぁーんパパパーン)近所迷惑なフォーンが階下の路地で鳴り響く。
一台の黒のHONDA-CRX1.6L DOHC VTEC「SiR」、砂川一郎の愛車である。
近所を歩いていた、黒いスーツの男に睨まれる。
「砂川君が来たわよ」幸司を揺り起す直子。
更にフォーンがなる。「うっさいわよ、早く行きなさいよ!」
「ナオタンキスしてちゅ~」 コップから水を眼にたらす直子。
「うちゃ~」起き上がり眼を擦る「早く行きなさいよ砂川がウザッタイから」
「畜生あのオッサンうっせーな朝早くから、ねぇ~ナオタン」
「早く行け!」 ショボショボノ眼で顔も洗わず出て行く幸司。
東八市八高寺区に住む幸司の先輩の砂川一郎が今月型落ちになる新古車のCRX1.6L DOHC VTEC「SiR」を颯爽と乗りこなして来ていた。
「う~~す」と砂川一郎「何か用スカ?」幸司、一郎自慢の車を無視して言う。
「CRXの慣らしに来たんだよ付き合え」 「はぁ~?ネミースよ」 「寝てて良いから乗れ、ほらそら早く行くぞ」
「しょーがねぇーな、この黒いのCRXすか?シビックの新型かと思ったクハハハ~」
「先輩どこまで行くんですか?」っとダッシュボードに靴のまま足を乗せる幸司。
「箱根ターンパイクでブッチぎりの走りみせっからよ心して見てろよ!うはは~」と自信満々(ブロンブオオオーーー)エキゾーストノートが団地から遠ざかる。
「バァ~カ」と直子は一人つぶやく。
東山周一(18歳)
小金井平区の単車チーム『Black Swallow』、黒ツバメの異名を取る流しの走り屋、実家は埼京県小川町出身、母一人子一人の母子家庭に育つ、東京に出てきて一人暮らし、工業高校に通いながら、近くの自転車店、[山田輪業]でバイトをしている。週末は大垂見峠付近でローリングをして腕を上げていた、幸司とは五度遭遇しており、幸司は一度も着いていけなかった。
密かに周一に憧れていた、【山田輪業】の一人娘、[由佳]と付き合ってるようである。
アパート人見荘
午後19時(プルルルルル プルルルルル)電話が鳴る。
(カチャリ)「ハイ東山です」折りしも夜食牛丼を食べていた周一、「あ・・・・・周一君・・・・」 「あ・・・何だ由佳ちゃんか何だよ?」 「周一君今度の水曜日3時頃に吉祥寺まで洋服買いに付き合ってくれる?」 「え?水曜日か?RZRの整備したいんだけど・・・」 「じゃぁ純君と行くから・・・いいよもぅ」 「しょうがないな・・俺が行くよ」 「じゃぁ3時ね・・・愛してる?」 「んん~愛してるよ多分・・」 「多分じゃ嫌ぁ 愛してると言って!」 「しょうがないな 愛してるよ・・・それじゃね」 (カチャリ ツーツーツー)
箱根ターンパイク午後13時。
富士宮焼そばを、貪り食いながら助手席を汚す幸司。
箱根ターンパイクを、直線だけ飛ばすCRX1.6L DOHC VTEC「SiR」。
早川料金所を入り10分あまり、馬力に物を言わせ軽トラックを追い抜く。
「先輩ぃムチャ遅いっすね・」 後方からランサーターボが急速接近してくる、4G63型 直4 SOHC 2.0Lのエンジンが唸りを上げ煽りを掛けてくる。
168馬力シリウスエンジンがVTECに挑んでくる、御所の入り橋~ほおずき橋までのタイとコーナーである。
ランタボが執拗にパッシングを浴びせる、よろよろするCRX、「おい、煽ってんじゃねぇぞ」一郎脂汗をたらしながら、「一郎てめぇおせーからだよ」
「ため口聞いてんじゃねぇぞ小僧!」 「シフトチェンジがヘボヘボ ぎゃはははは~」 120キロ付近で針が揺れる、ランタボのシリウスダッシュが最高潮になる、
逆車線に抉る様に出る、(パパ~ン)電子フォーンを鳴らしながら白いボディに黒いラインのランサーターボがスパッと追い抜いた、びびった砂川一郎 震える手でハンドルを握る。
「おせーぞ一郎ちゃん、運転変われよ」と幸司。
「バ・バカヤロウ あ・あびない」 グングン差が開く、四角いテールランプがケツを振りながら遠ざかる。
幸司に馬鹿にされ「キレ」掛けるが幸司の眼の色が怖くて何も言えない一郎坊やであった。「ぶ、ぶっとばすじょっ」震えがとまらない一郎であった。
天海幸司は、家で寝ていた、0歳児の竜司は起きて泣きじゃくっていた、幸司ひたすら高鼾、ドアが開く音がする(ガチャリバァ~ン)
「ただいまぁ~竜ちゃん」幸司が目を覚ますと午後4時50分であった、「ねぇ幸司!!」大きな声で怒鳴る。 「なんだよ?うぜぇーな」
「アナタ竜ちゃんにミルク飲ませてないでしょ!!」 「ねみぃ~んだよ、馬鹿と箱根くんだりまで行ってたからよ、下手糞すぎて怖かったぜ」
「そんな話してるんじゃねぇよボケ」 直子青筋立てて怒り出す。
「直子うっせーぞ」 「このタコスケ、子守もできねぇのかよ、能無し。。。分かったわよそうやって無視するなら、竜司と一緒に実家に帰って暮らすから、収入なしのぷータローのアンタナンか死んじゃえ!!」 押入れからボストンバッグを取り出し荷物を入れ始める直子、口を引き締め歯を食いしばり、泣くのを我慢している。
「ねえ、直タン今度お金が入ったら海に行って泳ごうか」と取り繕う幸司、半泣きで「クスクス笑う直子、その場で直子を押し倒す幸司。
平成三年十月ある水曜日。
建築現場八高寺区。黙々とクロス張りをする幸司。ラジオから東食ミュージックプレゼントが流れている、所々でウケル一郎。
「オイ、今週の土曜日東八連合が20号下るらしいぜ」 「ふ~ん あんな弱いの目じゃないですよ!」 「東八連の中嶋お前狙ってるぜ」 「へぇ~アイツ何人でやって来るのかな、クハハハハ」 「そんで話変わるけど直子ちゃんの友達紹介してくれね?」 「男の友達なら紹介できるぜ、先輩もーほーですかぁ?ギャハハハ。」 「てめぇナメテンジャねぇぞ、女だよ女!!スケ
!」 「先輩鏡見て出直してきな、ナハハハ~」よく笑う上機嫌な幸司であった。 「可愛い子紹介してくんな。」切実な思いの砂川一郎である。
「そんでさ幸司君よ、東八連の中嶋てつぇーの?」と砂川一郎はしつこい。 「はぁ?中島先輩知ってんべ?小学校の時ウンコたれた奴だぜ!うひゃひゃ」 「でも政是方面じゃ有名だんべ?」 「チョーパン一撃でノス自信あんべよ、ふぁーねみぃ、早く終わらせて走りに行き~てぇな」と幸司は呟いた。「お前チームにはいらねぇの?」「知っての通り風来坊さはぁ~交尾したくならねぇ?先輩、1時間くらい車で寝るから後宜しく!」「おいおい俺も寝るよ~」
東八一のワル
東八一のワルと呼ばれる中嶋一利は高校を二年ダブっている、19歳都立高3年、東京八高寺連合第14代目総長、幸司の幼馴染、自称東京一の強者(つわもの)。
ヤクザトの付き合いは御法度の(ルート政是)の掟を踏襲したが、連合全体に影響力なしの状態を嘆く、愛車ヤマハXJzs、それにもう一台、峠仕様のKwasaki KH250所有。
親は中嶋不動産を経営、金満家。
政是町のコンビニ アサークルK、KHの2ストオイルが跳ねる、(パパーンビュルルパンパン)KHを駐車スペースに入れる、5人の少年がタムロしていた、バイクが5台並んでいた。
「オイ一利君」と山中公太郎(17歳)が呼びかける、「KHの奴がな、かぶっちまって掛けなおして見るわ。」
最大出力28ps/7.500rpm 最大トルク2.70kg-m/7.000rpmのじゃじゃ馬マシンだ、そん所そこいらの乗り手には扱えない代物だ、中嶋もそこそこの乗り手には違いない。
KH250のスロットルバーを回転させる(パパンバリバリぶぉー)と大音量でエキゾーストノートが吼える(近所迷惑である・・・)
「うぃす中嶋君」5人は次々に挨拶する。
単車6台が駐車場を占拠する。
DIO,JOG、パッソーラ、AR90、VT250インテグラそして中嶋一利のKH250が列線に並ぶ。
「オイ、山中、吉本、横田、山田、てめーら今日は学校フケテブッコイテるんだ。」
リーダー格の山中は言う「中嶋君今日は天気いいし高尾山行きませんか?つーか中嶋君こそ帰り早いんでねぇの?クククク」
「俺も暇だからフケテ来たダハハハハ」一同笑う、「高尾山か峠行くべぇか」 「ええー??また大垂水すか勘弁してくださいよ~」と吉本が言う。
大垂水駐車場午後17時45分。
六人組東八軍団がタムロしている、(フォーンフォーンバリンバリン)一台の赤いタンクに黒字のライン、銜えタバコに白いジェットヘル、薄いブラウンのシューティンググラス、背中に風林火山のエンブレムが刺繍してある『黒い革ジャン』に破けたブルージーンズのがガタイの良い男が現れた、「ハッと」振り向く中嶋一同、大垂水の駐車スペースに滑り込んできた。
シ~ンとする一同、恐怖と嫌悪感が、皆に走る、一同獰猛な顔になり目を剥く、「おい奴だぜ」 「やっちまうか?」 「中嶋君タイマン張りますか?俺ら手を出しませんから」
「イヤ、、、おれ平和主義だし、美味しい獲物は後で取っておくからさ」と足がカクカクする。
近くにRSが、ジェットヘルを取りタバコをぺっと飛ばす。「よう、青少年の諸君!おげんこですか~ぁ」とニヤ付いて近づいてくる、顔面が歪む中嶋「このダサいKH誰ノー?ウハハハハ」
「オイラのだ、何処がダセェんだよ失礼な!。」と中嶋いきり立つ「いやぁー君のかねセンス無いね、アナタ、日の丸とか入れろよ、ニャハハハハー。」 「うっせーぞオッサン失せろ」山井が吼える、「オッサンだなんてこの美少年の僕を捕まえてひどいわぁ~」山井には見えない速さでゲンコツが炸裂する、本気の10分の1程度だが痛い。
「いててでーーー幸司さんスミマセン、スミマセン」涙目で哀願する、思わずファイティングポーズをとる中嶋一利、「ハ~ンやるのかいナカジ?」 「い・・・いえやりません、幸司君も大人気ないですよ暴力、、な、なんて・・・」と顔面を引きつらせながら取り繕う。「ニャハハハ分かりゃ良いんだよボウズ」 「そうだ 皆で一緒に府中まで帰ろうよんよんよっしゃ行こう」
と張り切る幸司、「良いですね天海さん」と山中、(誰一人一緒に帰りたくない心境であった) 「ヨシ ユックリ 帰りましょう」と中嶋、「よーし俺に負けたらでこピンね」と幸司。
RSとVTが先に飛び出す、後ろからKHと原チャリ軍団が行く、先頭の幸司は下りのワインディングを素晴らしいスピードでクリアして行く、前を行くシビックに山中がチャレンジして行く。
「やるじゃないか山中湖め!」と幸司珍しく褒める、VTが果敢にコーナーでハングオンする、シビックがタックインしてコーナーをくるりと廻る、INからRSが逆車線にはみ出し抜きん出る、ニヤリとシューティンググラス越しに笑う幸司、山中は歯噛みして悔しがる。山中再度シビックに挑み掛かる、風林火山のエンブレムがどんどん先に行く、風にはためく幸司の後姿。
VTの山中先行を諦める、KHが先走る、KHは直線でシビックをクリアするが、リヤタイヤサイドモールを擦る、よろける、先の2台2t車に挑む、幸司、直線で右に出るが2tエルフブロックする。当たりそうになるRS、パッシングをくれる幸司、赤いRSが夕闇沈む暗がりに線を引いたように残像を残し糸を引く様に赤い帯になるのを、歩道の通行人が見ていた。
KHがRS750に追いすがる、スリップは入る中嶋、緑色のタンクが筋になりRSの赤いタンクが筋になり緑の筋を追う。
幸司右に寄る。対向車が走ってくる左による、フォーンを鳴らされる、中嶋右車線にすかさず寄り幸司と2tエルフをパスする。KH高尾山口に差し掛かる、幸司追いつく、VTが後ろに張り付く、VT250Fインテグラ、RZキラーの本領発揮、山中は鼻水が出て来て息が苦しいがニヤツク。右側だけのミラーで中嶋後方確認する。しきりにパッシングする山中VT、交通量が増してきた。信号タイミングを計り3台、減速する、高尾駅が見えてきた下りきった20号である渋滞の帯が続く、VF400の族車が走ってくる、3人目を見合わせる、中嶋左手を上げる。
ロケットカウルに段付きシート、典型的な族車。20号八高寺区市街地に入る、VTが先行する。後ろの4台が続く、中嶋と幸司が前後固める。全車フォーンを鳴らす。VF400の小僧止まる。
「煽ってんじゃねえよコノヤロ!」怒声を張り上げる。山中がVTのリアをVFにブツケル。
全員サイドスタンドを下げる「ゴラァ 俺等のシマでそんなの乗ってんじゃねえやい!!」と山中。
全員路肩にVFの不良を追い込む、VFの不良の半帽を引っ張る、「おい、相模ナンバーで俺等のシマで八高寺でけぇ面すんじゃねえや」と中嶋「俺は中嶋一利だ、知らねぇとは言わせねぇぞ」 「スミマセン ゴメンナサイ しらねぇかったです、おれ、あやまんますから勘弁してください;;」 シューティンググラス越しに幸司の目が笑う、一利の後ろから膝の裏を蹴る、ツンノメル
中嶋一利。「俺が東八の天海幸司だボウズ覚えておけよ。」 「ギャハハハハ」笑いながらRSを発進させて悠々と去る。 「くそっあの野郎総長を足蹴にしやがって、皆やっちまうべ」
山中がVTをスタートさせたが、もう視界から消えていた。
東八レディース 「キィTRUN」
ラーメン「天骨」午後一時。
VTのツインエンジンの独特な集合管の甲高い音が鳴り響く。(バルルルバルバルドリュリュリュウ)・・
黒いツナギにピンクのフルフェイス、VT250Z改の、白いタンクにブルー波模様が10月のか弱い日差しに反射して光る。
モリワキの集合が荒い息を吐きながらVT250Z改は、走る、低く構えたセパレートハンドルにエアロクイップモリワキショート管。
多摩区落合、東八道路沿いラーメン[天骨]がある、天骨の駐車場にはジュースの自動販売機があり其処にレディースのタムロ場がある。
ラーメん[天骨]に3台の単車が今止まっている、川田裕子(CB400Fフォア)天野由利(ラブスリー)山下波子(GSX110刀)、いずれもレディース[キティラン]のメンバーである。
ジャリ引きの駐車スペースにVT250Z改が滑り込む。
「おはよーリーダー」と眩しげに見つめる3人、ピンクのメットを外す眩い陽光に黒髪がフワリと揺れて垂れ髪が鮮やかに青空に映し出される。
「モモピン、今日も流してきたの?」 「少しね、奥多摩でマッポに追い掛けられて、振り切っちゃった、脇道でね」と親指を立てて笑う。
「へぇ~やるじゃん流石だね」と波子、タバコに火を点ける。
「それより、ドクペ飲みたいな、のど渇いちゃった」ポケットから110円取り出して自動販売機に入れる。(ガチャンドクン)とドクターペッパーが落ちる。
(カチャッヒシュッ)と吸い口を開ける。「ングングング」Drペッパーを美味そうに飲む竹下桃子であった。
火、木、金、曜日パートで宅配便にて働く、多摩区玉町在住、父は板金工、奥多摩でライディングの練習を欠かさずしている「それにしても最近、トロクサイの多いね奥多摩の男達」
「だせー、野郎多いよね」と天野由里が答える。「ねぇモモピン、天骨で食べて行こうよっ待ってたんだからぁ」 「じゃぁおれの驕りで」と、桃子。 「キャー」と一同歓が上がる。
店から職人風の男が食べ終わり出てくる。「うるせぇなっ」と毒づく。
「イラッシャイ、・・・オメーラカかまたラーメンライスか?4つだな。」 「ハイ4つね桃子彼氏出来たの?」妻直美。
「エーそんなの居ないわよ、ダサイのが多くて困っちゃう、ヒョロヒョロで口ばっかりで」ツーンと振り向く。
「まだ幸司君のこと思ってるの?」 「アンナやさぐれ知らないぃ。」と、桃子プイと後ろを向く。
他の3人目を見合わせニヤツク。
ハブラビ・カーン
ラーメン天骨経営者、元スーパーバイクの全日本チャンプ、
アイスクリーム好き(スーパーコップ)在日本モンゴル人、父がモンゴル人、母は日本人。身長180cm体重90キロ巨漢!。36歳
カーンの妻直美(28歳)焼き豚作りの名人、元レースクイーン元ミス栃木、料理名人。
「お前ら何時もソコニ居るのに食べに来ないなぁ」 「何時もカーンの顔見に来てるんだもんね~」と顔を赤らめる美木。
「やだぁ~美木カーンに惚れてんだからさ。」 「今度女の子達とツーリング行こうかな?」ニヤリ
後ろで調理してる直美、カーンのケツを蹴る。「イテテテダダ」カーン呻く。
一時間後、東八道路を武三市方面に向かう山下波子とリーダー桃子。
GSX1100刀とVT250Z改が並走する。後ろから。後ろから猛烈にパルサーGTIが猛追してくる。
強烈に煽り蛇行を繰り返す、パルサーが銀に鈍く輝く。パルサー左車線に寄る。
200メートルほど空いてる車線を加速する、メーターが150km付近で揺れる、過給機が唸る(キューン)
刀も加速する、1100ccの威力が炸裂する、スピードメーターが一気に上がる170キロ付近で震える強引に左に出る、そこにGX-71マークⅡ
が猛追してきた、四角いフォルムの両目四灯が光る。160キロは出ていようか急ブレーキング、刀、加速度にエンジンブレーキを効かせる。(パフオーン)フォーンが唸る、刀左に避ける、リーダー桃子、VT250Zがパルサーにスリップを仕掛ける。黒のツナギにピンクのヘルメット、スレンダーなボディに流れ髪が風にそよぐ、マークⅡが逆車線に出る。
逆車線に出たマークⅡ、信号が黄色に変わる、パルサー信号で止まる、VTと刀減速する、桃子と波子パルサーを挟む、行き掛けの駄賃に両側から蹴る(ぼむっ)と鈍い音を残して二台は去る。
桃子と波子フルスロットルで行く。
余裕で走っていたGX71マークⅡに追いつく2人、前方に出る2人、GX71マークⅡの前方で、フルブレーキング、驚く71のドライバー(パパーン)フォーン
をけたたましく鳴らす(キキーーーィキュウ)止まるGX71マークⅡ、走り去るVT250Zと刀。
武三市牟礼午後15時を少し回る、オヒイ様公園にMBX50が濃紺のタンクに白いラインが浮かび上がる。
50cc(原動機付自転車)・80cc/125cc(原付二種:小型自動二輪車)の排気量別バリエーションが組まれるが、いずれも水冷2ストロークピストンリードバルブ単気筒エンジンを搭載するロードスポーツモデルである。
(フォーンフォーンーン) (デュルルルバリバリバリ)
リーダーの桃子と波子が公園に乗り入れて来る、女の子が一人佇んでいる。
「ハァーイかをり」 とメット越しに大声で呼びかける。
ブラウンに染めた髪、澄み渡る瞳の美少女であるが、16歳のレディース【キティラン】のメンバーである。山田かをり16歳、彼氏が5人居る稀に見る美少女、芸能界からもスカウトを受けている十月の日差しが傾いていく。
「久しぶりね、かをり、新人発掘ご苦労さん」キャッキャッと波子は喜んだ。
「チース先輩方」指をくねらせおどけるかをり、「そんで、新人希望の子まだぁ?」と竹下桃子が言う、「あと30分くらいかな?」 「随分待たせのものね」と波子、「私らが早かったからしゃーないね。」とニコリと笑う桃子15分くらい待つ3人、四方山話に花が咲く。
(フォーンフォーンフォーンブーンブーンブン)FZR400が近づいてくる、ネイキッドのFZR400、RPM管を装着している「あ!来た、ケイコ~」大声で手を振るかをり。
(フォーンブーンブンブン、シュウ)エキゾーストノートが止む。
髪を後ろで結んだ女の子がスモークの入った赤いジェットヘルを取りながらバイクから降りる、サイドスタンドを下げて単車を地面と固定させる。
笑顔が綻んでいた、「ハジメマシテェ~」と挨拶した、薄いブラウンのサングラスから覗くつぶらな瞳が可愛らしい。
「押忍、ケイコ」とかをりが空手の後輩に当たる豊田敬子を誘う。
「リーダーの桃子よ、ヨロシクくね」と笑顔で迎える。
豊田敬子19歳、三鷹区井の頭のバーバー豊田の一人娘、家事手伝い、「キティラン」に入団するのは腕前によるのよ、私山下波子宜しく」
「豊田敬子です宜しくお願いします」ペコリとお辞儀する、「ルート取って、流していくから油満タンにしていくよ、今から30分後スタートね」と、桃子。
奥多摩路
公園から、一台一台順繰り順繰り、先頭からVT250Z、GSX1100刀、FZR400、MBX50改が、連雀通に向かい60キロ走行で走る、裏道を取り日産厚生園脇に出る。
吉祥寺通りを貫いて、ガード下を通り過ぎる、ここら辺りから【練馬半殺し】のテリトリーである。
FZR400
FZR400はXJ400Zを発展させたFZ400Rの後継車種としてデビューした。水冷4サイクル直列4気筒エンジンは「ジェネシスコンセプト」に基づき、前傾してデルタボックスタイプのフレームに搭載された。
【練馬半殺し】メンバー36人、頭[葛木順一郎、20歳、独身、RGV250Γが愛車、ヤクザのけつ持ちが居て恐ろしがられている。
街道沿いのコンビニエンスストア【セーブON】に立ち寄る。「結構上手いじゃないケイコちゃん」と波子。
「いえ、桃子さんに着いていくのが精一杯です」フゥ~と、溜め息。
「ふ~皆速いんだから単コロの性能差かなぁ?」 「MBXじゃきついよ50CCだし」と、桃子。
一台のピンクのラブ4が【セーブON】に入って来た、かをりにガン飛ばす。が、かをりは無視する。
(バリバリパパッパプスンスン)直管の2ストのやかましい高音が響く「何、がんくれてんだよ!」とラブ4の少女。
「お前みたいなブス見てないよ」と波子。
「何処のもんだよ、東八ナンバーでイキガッテンジャネェよ、田舎者」と、ラブ4の、ヤンキー娘。
「オイ、おれ達 東八のキティランだナメテンジャネエーぞコラ。」と波子。
少し怯えるヤンキ-少女が反撃。
「オイ、俺のバックには練馬の【ユーリン連合】が着いてんだぞ、俺らの縄張りで単車、転がしてるんじゃねーぞ」
「フンッ ユーリンか3年前に〆たの忘れたか?知らないかお前みたいな下っ端のガキじゃ。」と波子。
笑いながら見てる桃子。
ヤンキー少女、特殊警棒を取り出す、「こら、ババァやんのかよ」と怒鳴る。
桃子が素早く後ろに回りこみ腕を捻る、警棒が地面に落ちる、頬を張り倒す(ピシッ)
「ガキが粋がってごろ巻いてるんじゃねぇよ、一人で来たのは見上げた度胸だけどそんな売春婦みたいな格好して外をウロウロしてるんじゃねぇぞ、親が見たらなくぞ。」
と桃子怒鳴る。ポロポロ泣き出すヤンキー少女、桃子にすがり付いて号泣する。
林真子14歳、両親は2年前に離婚、施設に預けられて2ヶ月前退所、家出して男と暮らしている。
「う~ん」と身の上を明かされて唸る一同。「真子ちゃんと言ったね、私のベルの番号教えるから、う~んと後電話番号もね。
「うち等のリーダーなら頼りになるし、困った時電話してきなさいね」と優しくかおりが言う。
「今から何処に行くのですか桃子さん?」と泣き止んだ真子が問う。
「これからチョット山の方にね」と波子が答える。
「真子ちゃん14歳なら免許ないでしょ、家出もやめて変な男からも身を引いて帰りなさいそれにもう、免許取るまでバイク乗るなよ、それに族なんかに入るなよ!」
「ハイ・・・・16歳になって免許取るまで乗りません」シュン
「お家にも帰ります。。」ショボン
「あ!それから、免許取れたら走り教えてください」頬を赤らめながら一気に言う眞子。
皆でジュースを飲みながら談笑すること一時間、家路に付く真子。
4台のマシーンはエンジンスタートさせる。
たっぷり暖気する、、マシン喜んだ様に快調に吹ける。
4台青梅街道を爆進する、小平霊園付近で100キロを超える、MBX50は若干遅れを取る。
グングン差が広がりつつある、先頭にVT250Zを駆る桃子、2番手にFZR400の敬子、3番手に刀の波子、どん尻にMBX50のかをり。
陸橋が見えてきたが減速せず、3台ジャンプ、後方のかをりをミラー越しに確認し安心する桃子。
後方からスープラと180SXが追跡してくる、180キロは出ていようか・・・・。
府中街道の交差点をパスする、その先の信号で止まる、サラサラヘアの助手席の男が声を掛けてきた。
「ねぇ彼女~3人でツーリングぅ??夜にぃ?」にやにやしながらタバコを吹かす。「ねぇ~一緒に遊ぼうよ~ん」 (フォンフォンフォン)威嚇するようにレーシングする真子。
女3人無視する。
信号青に変わる、ロケットスタートする3人。
スープラと180Sx蛇行しながら付いてくる、10tトラックがフォーンを鳴らす、ゴッドファーザーをけたたましく鳴らす180SX。
武蔵村山方面で対向車線に暴走族が出現し走り去る、後ろに交通機動隊の覆面が張り付いている「前のオートバイ止まって下さい、止まってください」スピーカで大音声で喚く。
それを尻目に、桃子並走するスープラを振り切る(バリュリュー)青いタンクが彗星のように走り抜ける。
河辺付近のアンダーパスの手前交差点で右折する、見事なハングオンを見せる3人、青梅街道をかっ飛ばす。途端に街の灯が消えうす暗闇になる、山路に入る緩やかな登り、直線が続く、後方からスープラ、180SXが追撃してくる。(ブォーンキュルキュルキュル)ドリフト走行で迫りくる2台、直線で刀と並ぶ(ぱりらりらり~)ゴッドファーザーフォン喚く。
「うっせえなぁ~馬鹿~」と桃子怒鳴る。180SXの鼻先でVTをドリフトさせる、驚愕する180SXの優男。遥か前方にトヨタ・センチュリーのテールライトが見える。
120キロから140キロの間でスピードメーターの針が振動する。午後8時45分の時間が後付けのデジタル時計が示す、後方からハイビームを照射する、リトラクタブルライト
のスープラ、対向車がパッシングする、桃子、リーンイン、リーンアウト、でコーナーをパスする、スープラを引き離す。
前のセンチュリーに追い着き3人鮮やかに追い抜く、軽く挨拶をする女の子たち。
センチュリーの運転手の男笑顔で手を振る、センチュリーの後ろから抜きに掛かるスープラ、180SX、、横に並んだ時センチュリー加速する(パパーン)センチュリーのフォーンが弾ける。
パンチパーマの男が、後部座席の窓を開けて怒鳴る、180SX怯んで、あとづさる。道の右側を押さえるセンチュリー。
180SX
180SXは、S13型シルビアの日本国外輸出型である北米向けの240SXがベースとなっており、スポーツ・スペシャリティであるZX、SX、NXの日産クーペラインナップの中核モデルであった。これを日本仕様として仕立て直し、発売したモデルである。キャッチコピーは『日産からのプレゼンテーションです。』および『for FR Pilot』というもの。
スープラ
A70型よりセリカから独立、日本国内でも北米仕様と同じ「SUPRA」という車名を採用。発売当時のキャッチコピーは「TOYOTA 3000GT」であり、1960年代の名車トヨタ・2000GTをイメージしていた。ソアラと共通のプラットフォーム(ただし補強は少ない)を使用し、当初の主なエンジンは、2.0Lは1G-EU、1G-GEU、そのツインターボ版1G-GTEU、3.0Lターボの7M-GTEUであった。
後方から堂々と右車線を走るライトハイビーム、野郎が来る、白いメットに黒い革ジャン背中には[風林火山]の刺繍が入っている、赤いタンクに黒いラインのkawasaki750RSが疾走してくる
いさかい事が起きているが無視して通り過ぎる、モリワキショート管の轟音が響き渡る、辺り一面の空気が揺れる。白い排ガス、エンジンの焼ける臭い220キロ仕様のスピードメータは直線で180キロは祐に出て居る前傾姿勢で行き過ぎる、風を切る。
鳩ノ巣のトンネルの前で急減速&ハングオンの体勢でコーナーをクリアする。
白煙がたち篭る750RS、重いRSを軽く操る幸司である。
フレームが軋むほどコーナーにアタックする、リアホイールに排油が掛かり汚れている。
前にVT250Z、刀、FZR400のテールランプが見え隠れする、奥多摩湖の入り口駐車場に入る3台。
夜の奥多摩湖の湖面が青黒く光る、幸司も後ろから入る、(ドヒューンドリュリュリュブーン)カワサキ750RSのエンジンブレーキが響く。
「あ!幸司見たいのが来るよ」と波子、「あら居たんだアイツ」と桃子。
近づくRS、「おーい」と、手を振る3人、白いジェットヘルを取るとリーゼントパーマにシューティンググラスを掛けたニヤケテいる幸司が居た。
銜えタバコに178センチの比較的長身の幸司が単車から降りる。マフラーのこげる臭いが、咽る。
「よう、桃子に波子、そっちの彼女は誰かぃベイベィ」、ヒューウと口笛を吹く。
「キザダネぇ相変わらず、、フンッ」と波子。「波子た~ん」と抱き着こうとする幸司、(ビシッ)と軽くビンたがされる。「いてててぇ、オッパイ攻撃ぃ~」と、桃子の胸を揉む。
「アン、いや~ん」と、桃子身をもみ顔を赤らめる。「こらやめろボンクラ」と波子、幸司のけつを蹴る、避けて『マルボロ』に火を点ける幸司、「あのぅ~私、豊田敬子と申します、けいこって呼んで下さい」 「ケイコちゃん好きです、一手ラヴホでさしませんかぁ~」 「何、言ってんだ一昨日出直してきな、不細工人」波子は怒鳴る、「やだぁ~有名な幸司さんに誘われちゃったぁ」満更でもない敬子である。3人がフザケテ居ると3台の車が入ってきた、一台目にスープラ、二台目に180SX、三代目にセンチュリーがゆっくり入ってくる。三台トイメンの駐車場に入る。
エンジンの焼けた匂いとクラッチの焼けた臭いが芳しい。一人木刀を持って出てくる、2台の車からは首根っ子捕まれた若者が下車されられる。「オイガキ共、焼き入れるっから覚悟しておけよ、その後首まで雲取山まで、埋めに行くっからなこら、マジやるぞ。」と四人の若者を次々小突き回し取り囲む3人。
「スミマセンでした」平謝りの4人組、「大体なおれを誰だと思ってるんだコラァ」
「半泣き君の、勉君だろ」「グアハハハ」男の後ろから声が来た男はキッと振り向くと幸司が笑いながら立っていた。
「あ!東八のフセイン幸司だ!」
3人驚愕する。「誰がセイントセイヤだコノヤロう~」と激怒する幸司。
「セイントセイヤじゃねえよ低脳、フセインだべばーか」と3人組の兄貴分、山根勉。
山根勉22歳職業不定、青梅の不良の顔役、主にダンプの運転手をしている、元暴走族【武青連合】八代目総長。。。。
「何だと勉坊や」 (ゴツン!!) 「イテェ」と頭を抑えた。
幸司必殺のゲンコツ 、通称ペガサス流星拳!本人曰く少林拳、、、、、、
「てめぇやんのか!」と他の2人逃げ腰、4人組の若者達呆気に取られている、幸司子分二人から木刀を取り上げる。
(ボキン、ボキン)手刀と、脛蹴りで2本の木刀を折る、3人組車までオタオタ、逃げる「君たち、もって帰りなさい、第一に打たれたらイタイジャァナイですか~」と嘲る。
「おい幸司、加藤とお前に貸しがあるの忘れたのか?氷室さんの件思い出せよな、エエオイ?」
「何のことだか、氷室さんならこの間、調布で死んでたよ酒飲んで。うはははは」
「覚えておけよ、山根産業の力でお前潰してやるからな!」
(バタンバタン、ブオンオン
キュルルルル) コオ~ブーン)去っていく山根センチュリー。
「きゃーカッコイイ 幸司君 好き~」 とキスする敬子、お返しにディープキスする幸司。
何故か怒る桃子、プンプン。
MBX50ようやく追いつく、「かをり~」とライトを点滅する桃子、「やっほー」ビービービーとホーンを鳴らすかをり、四人組幸司に御礼をする。
「何の何の、ところで君達タバコ1本カンパしてよんそれにガソリン代少しおくれよん一人500円でいいよ」とニヤツク幸司。
「あの~スミマセン3000円僕が払います、それにキャスターなら、一箱上げます、」4人組は大学生であった、一人一人名前と住所聞いて去らせる。
「さいてぇ~」と敬子軽蔑の目つき。
「おせーよ かをり 何してたんだよっ」機嫌が悪い桃子「ゴメン ガス欠で補給してた 序でにヨシ牛も食べてたテヘ」 「ゴメンじゃないのよ、じゃ無いのよ、おそい~~」
「シュ~ン」とかをり、カワイコぶる。
「よう、美少女」と2人ハグする、「こうちゃ~ん、久しぶりン」と甘えてみせる、さらに機嫌が悪い桃子。
「さぁ敬子ちゃんの走り試しだよ、幸司君一緒に来る?。」
「チッチッチ」と人差し指を立てる。「俺のアソコが燃えてるぜ」とイミフ。天海幸司は女の前だけで張り切る。
(バルルルン、ブロロロン、パパパパパ、ドドドドリュウ、フォーンフォーンフォーン)五台の単車に火が入る。
幸司は後方で、かをり、と走ることにした、水先案内人に波子が先頭、二番手に敬子、三番手に、桃子がつく。
四番手に2人がトロトロ走る。
幸先良く、先行する一般生活車両が居ない、S字コーナーをクリアするとトンネルに入る、猛スピードで直線を張り合うFZR400とGSX1100刀、(ゴーガガガガサッサッ)耳を劈く轟音、バックファイアがけたたましくなる。
トンネルを抜けるとまたS字カーブ、抜き抜かれつ2人はバトルする、最初の大カーブ、敬子と波子アウトINアウト、ハングオンで波子先行する、歯噛みする波子体勢を立て直す二人、湖面が月夜にキラキラと野営を照らす、またトンネルカーブする、60キロ近いスピードで進入する、大減速、ハングオン、膝頭をする、サイレンサーが火花を散らす、二個目のトンネルから出た時刀1100が先に出てきた、ムキになる敬子スロットルバーを少し開け目で走る、オーバースピードで短い直線を走るFZR400、RPM管から火を吹く、刀、余裕の1100CCの直進能力の高さ及び旋回能力が違う、エンジンが息継ぎ始めるFZR400の敬子。
マシーンのトルク差が出始めて居た、後方からパッシングを浴びせながらVT250Zが追う。オーバーレヴ気味のFZR400、桃子が合図して橋の上で終了。
ゆっくり奥多摩周遊道路入り口で待機する。「合格ね流石武三の敬子ね」ウィンクする波子。
「はぁはぁ」と息をする敬子「刀には参ったわ」2人はラッタッタ~とのんびり仲良く走る。
二人集合場所に着く。
遠くからのんびりべんと幸司、かをり、コンビが走り来る「お~い楽しんでるかぁ~ぃ、皆さんオゲンコですか~?」と幸司がMBX50に跨り乗っていた、「馬鹿者!!無免でZⅡに乗らすなボケカスと波子、「マジムカツク~幸司私だって上手いんだもんねぇ~」と甘える。「オシ、見本見せてやる~」と幸司はMBX50をウィリー走行。「ばぁ~かヤメロど下手がと波子。
「良いんじゃない別にぃ」とプイと後ろ向きになる桃子。
「あはははは」と笑う敬子とかをり。20分間タバコ休憩した。
魔の桧原
奥多摩周遊道路、
東京都道206号川野上川乗線の一部で、起点は三頭橋、終点は九頭竜橋とする延長19.7kmの区間である。
元は有料道路であり、夜間は基本通行止めであった。
5台は、順々に進入して行った、750RSを駆る幸司が先頭に立つ、GSX1100刀、を疾駆させる波子と張る、レーサーレプリカ10台ばかりの集団が、前方に散会して走っていた、KR1S250、が幸司に突っかかる、INから幸司が抜きに掛かる。
NSR250、88年式が横からブロックする、幸司パッシングしてスリップストリームに入る、更に前方にTZR250後方排気が待ち構える、2台のNSR90も居る、先頭に立つRZ350Rが遠くに垣間見える、KRとNSRを直線でデットヒートする、下りで幸司、波子、桃子の順に抜く、VTのモリワキ集合が地面を擦る、降りが続く幸司はブレーキの甘くなったRSのフロントヘビーな慣性を利用してタックイン気味にKRとNSRを引き離す、緑色のライムグリーンがハイビームでチラリと見えた。【AR125】と桃子は見て取った。
幸司はNSR90の細かいブロックに悩まされた。750RSは迷走していた。
奥多摩周遊道路には怪物が棲むといわれている、一方VT250Zを駆る桃子はAR125を捕捉していた、(おっ刀だな・・)NSR90の乗り手は獲物を見つけた猟犬の様に挑みかかる、刀は軽くステップし直角気味にドリフトしてNSR90を蹴散らして行ったその隙に幸司も抜く、KR1S250が後ろに着く。
「ち、うざっ」幸司罵る、一方桃子は、先行するARのシリに着く、ARはコーナーの度に少しずつ離れる、幸司と波子が何時の間にか追い付いてくる、ARは焦る。
ARの乗り手はクリッピングポイントをミスする、アウトINアウトの定石通りぬき去る波子、幸司、桃子も続きKRも着いてくる、シツコイKRに、桃子、トリッキングブレーキを浴びせる。
KR軽く状態がつんのめる、後ろから敬子に抜かれる敬子一度パッシングしてリアが流れる。
前方に後方排気TZRが待っていた、後ろから白い排気煙が棚引く、エンジンの焼けた臭い、爆音響く夜の桧原村。
エキサイトする4人と四台。
遥か前方に嘲笑う様にRZ350Rが余裕で流しているのが見える。
タンクにBlack Swallowとペインティングされた、黒と白のツートンカラー、黒いフルフェイスの後ろに日章旗のステッカーで、タイマンバトルで競り勝った数を貼り付けている、この小さい撃墜マークの数は22個になっていた、「なぬ、アイツ居やがったか、今日こそジツリキの差を見せてやっからな。」幸司は青筋を立てて激怒していた。
後方排気TZR250・・・・1989年発売。型式3MA。型式名に由来する「さんま」や、このモデルならではの特徴的なエンジンの形状から「後方排気」の通称がある。
一般の二輪車は、エンジン後方に吸気装置、エンジン前方に排気装置が配置されているが、このモデルは当時の市販レーサーTZ250が採用していた前方吸気後方排気システムを一般車にフィードバックしており、エンジン前方にキャブレターが、エンジン後方に排気管が配置されている。外観上も、テールカウル後端よりのぞく排気口が特徴となっている。 また、ナックルガードを有した流線型のカウルは「ヤマハ車らしい」と、外観上でも愛好者が多い。なお、このモデルからブレーキはダブルディスクとなっている。
後方排気は濃いブルーのヘルメットに赤いライダースジャケット下は革のパンツの出で立ちである。
「ふ~ん やるじゃないあの後方排気」と余裕の桃子。
(プシュシュバババ)轟音響く。(パーンパンパンパン)エンジンブレーキの連続音響く。
後ろからコーナーを捌く由佳の腰の揺れが妙に艶めかしくセクシーである。「ヨシ、突き放したわ」由佳は笑みこぼした。
「クソッ上手ねあの子、ブラックスワロウの彼女ね噂の」と桃子、登りのヘアピンに差し掛かる。馬力を活かし、接近する刀、パワウェイトレシオを活かしたTZRも速い、同じく排気量で勝るRS改も差を詰める。
RSフルアクスル、TZRを抜く、刀も続く、刀、RSの後方に張り付く、前にブラックスワロウ、東山周一RZ350Rが見え隠れする。
「黒ツバメ敗れたりぃ~」軽く流すRZ350R、追いすがる2人。
幸司タバコに火をつける、赤く火の粉が舞う、幸司、東山周一を視界に捕えた、ターゲットスコープのように幸司の目はRZ350Rに、張り付く、数秒後RZ350Rにスリップストリームを仕掛けた。
嫌がる周一、嘲笑うかのようにパッシングを浴びせまくる幸司、イラツク東山。
KR1Sが、刀の後ろに張り付く「うっとうしい子ね、疲れてきちゃうわ」と波子心中で呟く。
リッターバイクの刀、威力を見せる「ちっ、風林火山のデブかしつけぇな」東山は罵る、RZ350Rは降りで威力を見せ付けた、重さを利用してRS750ZⅡは加速する、刀も真っ向勝負を挑む、後ろで桃子とKRが突っ張りあいをする、ゴー&ストップ繰り返しながら走る走る5台。
幸司は勝負に出た、太いヘアピン急加速クリッピングを遅らせた、念力コーナリング、インインでハングオン!!華麗に抜き去る、RZR驚きオーバーハングする、RZのセパハンを強く握る周一、低い姿勢でパワーバンド一杯で走る、「チチチチチ、腕が違うんだよ腕が、わはははは。」と幸司嘲笑う、すぐ真後ろに取り付く東山、RZのオーとるぶオイルが残り少ない、後退していくRZ350R。次々に抜かれる東山、路肩に寄せるマシンが寂しげにエンジンを止める、KILLにスウィッチを入れる静まるエンジン・・・・・」
タンクバックからオートルブOILLだし補充する。傍らに寂しげに見つめる由佳がいた。
後続車が次々来て、バイク溜まりができる、KR1Sが追跡続行する、名打ての走り屋【尾方走太】、17歳、父親は浅間火山レースに参加しリタイヤしたが、後に富士スピードウェイなどで活躍GPレースで入賞するなどした。
が、目をくして引退を余儀なくした、尾方勇と言う元レーサーである、その第三子が尾方走太である、KR1Sを駆る尾方は意地になり周遊道路を抜けた4台を見つける、自動販売機の前で4人ジュースを飲んでいる。
4台のマシンが止めてあるスペースに潜り込む「こんばんわです」と4人に挨拶する、メットを取るとあどけない少年である「よう少年、KR頑張ってたじゃないかぁ」と幸司が意外に気さくに笑いかける。
MBX50が入ってくる、「皆さん速いですね」と、尾方「アンタこそ速いね、やるねアナタのチーム。」「私竹下桃子テ言うのヨロシクね」 「あ!!お名前は存じ上げてます、レディースのキティランがこんなに速いとは・・・・でもマシンが良ければ俺負けないです」
「マシン良いじゃないKRなんて」と波子、「私、新入りの敬子」と握手する、「やっほーかわいいね君、私やまだかをり ポケベルの番号教えるね、今度後ろに乗せてね♡」とかをり。
「あ、、ハイ宜しくです」と顔を赤らめ下を向く、「オレはこう言う者だ」と背中の風林火山のエンブレムを見せる。「あ!!天海幸司さんですね、走っててすぐ分かりました。」
「おぅ少年ジュースおごるぜ」と勝手にジョージアを販売機で買う。「この馬鹿に借りを作ると後が怖いよ」と波子。
「波子たん、そんな子というとSEXしてあげないよぅ~」(ビタン)と平手を食らわす、「おめぇには直子が居るだろコノタコスケ」。
「ハイ、走太君ジュース、うふっ」かをりが自分の飲見掛けを渡す、「アハハ」「きゃー」と騒ぐ若者達。
次の日午前十一時頃
(ピーピーピーピーピーピーピーピーピー)幸司のポケベルが鳴る、無視して寝る幸司の枕を直子蹴飛ばす。「イテテテ、ビックリスルジャナイカ
、ナオピン ファ~ウゼェ」
「ポケベルうっせ~よたまには働け!!」 【0426×56××27××】とポケベルに表示されている。「んがぁ砂川かよウゼぇ」折り返し電話を掛ける、(トゥルルルル~トゥゥルルル~)二回コールで出る「ハイ砂川です、ぁぁ幸司君、今日は仕事無いわよ、え?一郎?今車で出て行ったわよ、え?それより直子ちゃん元気ぃ??え?そんな事より一度竜チャン連れて遊び来なさい、ん?それよりお母さんが最近来ないのよ!それより、一郎がね」(ガチャリ)「うぜぇババァだ」と幸司、「ふぁ~もう一眠りするかな~」と大声で独り言う。
台所から直子「たまには朝から働けボケインポ」と罵る。
また眠るが、30分後くらい電子フォーンの聞きなれた音がする、砂川一郎が団地の下の路肩にCR-Xを止めてフォーンを鳴らしまくる、近所のヤンキーに睨まれる、リーゼントの職人風の男が「うるせぇ~」と怒鳴る。革ジャンにニッカボッカーにサングラス、雪駄履きの出で立ちで出てくる幸司。
「よう幸司、速く来いよなぁ」と砂川一郎はボヤク。
天海幸司は、CR-Xの助手席にどかりと座り、足を雪駄も脱がずにダッシュボードに乗せる。
「お前電話しろよな~ベル鳴らしてから何分待ったかコラ」
「てめぇん所のババァウゼェよな」と幸司が睨む、「家のカァ~チャン、ど、どーかしたのか?」砂川脅える。「うっせ~んだよ」と眠い目を擦る幸司。
車は東八道路を桜ヶ丘方面に走りアンダーパスを抜ける、そのまま八高寺方面に向かう。緑豊かな八高寺市街をゆったり走る、野猿街道を左折する。ゆるやかなカーブが有り昇り降りする、CDチェンジャーのCDが変わりアイドル山野ナミの曲に変わり、幸司不機嫌になる。
「オイ、幸司お前の所の弟の彼女の歌だぜ、歌えよコラオラ」と一郎は煽る。
「うるせーよ、それは秘密だぜよ」とギロリとサングラスの奥の目が光り、裏拳が腹に食い込む「ウグ」数秒車が方向性を失い、前の車にブツカリそうになり急ブレーキを踏む。
山野ナミ16歳
人気絶頂のアイドル、第14回市民的美少女コンテストで13歳で入賞、そのポリプロにスカウトされデビュー、天海幸司の弟陸夫の許婚、キャッチコピーは「写実美少女」デビュー曲
「夏のSKYウェイB面高速道路の魔術師、がデビュー曲、東八市出身のアイドル。・・・・・・・・・・・・・・・CR-Xは16号バイパスに進入する、左入方面に向かい途中の中古車センターに立ち寄る、中古車の列、Y30セドリックの隣に止める。
「いらっしゃいませ~」と白髪交じりの中年の店員が近寄ってくる。
しきりに【ローレルスピリッツ】を薦める店員、「XJ-E型エンジン、最高ですよ、集中ドアロックに、パワーステアリング、フル装備です、安くしておきます、七十万で車検がナント4ヶ月!!」
いやな顔をする幸司「・・・・たけぇ~し緑ジャン、サニーだしださいし」と幸司「いや~ねぇ高田さんジジィじゃね~んだからこんな車、乗らねぇよ」と砂川「はぁ~?どの程度のご予算でございましょうか?」「30万円くられぇかな」 「うんそれくらいでバリバリのフルチューンノのマシンないかい?」と砂川。
「はぁ~それじゃこれでは?」SAのかえるチャンRX-7REターボリミテッドであった。
「REターボか速いぞこれ」と砂川一郎興奮する、が値段は60万円であった。爆笑・・・・・・・・・
「60万円かちょっと予算オーバーかな?幸司。」「こっちのカリーナGTTRだぜ先輩」 「はぁ~でもセブンの方が程度が良いですよ、コレ100台に一台くらいしかない当りエンジンですよ、お買い得です」と高田さんが言う。「それにワンオーナー車だしきれいに乗ってますですです」と独り言のように呟く。
「よし、幸司試乗しようぜ!!」 「ハイ、只今キーをお持ちします。」にやにやする高田さん。
キィを差し入れロータリーエンジンに火を入れる、空吹かしする、(キュルルドリュルルルルン)エンジンが回り軽快にお結び型ローターが回る、5分ほど暖気する(ドリュリュルルルルヒュー)とロータリーターボが唸る。
ローに入れ軽くクラッチミートする、意外に重いクラッチだ、つなぐ感覚を掴む為、ユックリ足を離す。
車屋を出てバイパスを走る、車高が低い為歩道の縁石に注意を払うバイパスに出る、直線で二速、三速に入れ加速するメータは100Kをを上回る四速に入れる150キロでパワーバンドを維持する黒皮のシートの独特な匂いに混じり、ロータリーエンジン香りが車内に充満する、ヒーターで外気を入れる、クラッチもシフトも詰まりが無くエンジンも好調だ、左入まで運良くノンストップで走る、急ブレーキをテスト的に踏む、(キュッ)と音がして止まる16号本線を曲がる、市街地方面に向かう、2車線から1車線に狭まる。
八高寺鳥山亭の山道にターンする、すれ違いがキツイ、狭くなるが人家も少なく車も疎らだ直線の安全性を確認し120キロくらいで走る、GO&ストップを繰り返す、石川町に出る、信号で止まる、信号が青に変わりパワースライドさせながら、右折する(キュルキュルキュル)ミシュラン製のタイヤが吼える。
「結構良い車ジャン?」と一郎。
「アクセルのレスポンスが若干わりぃな}と生意気な幸司18歳秋である。
石川町の街道を60キロで流す、かなり渋滞になってきた。
雪駄がアクセルに引っかかる。
大和田の信号で車列の流れに乗る。
右折。
二十号を直進する、淺川の橋を渡る、明神町の、四差路を左前方に行く『カニカ』の看板を見る、子安の五差路を左に折れ北野に出る、ガソリンが後一センチくらいに成る、「ちっ」と舌打ちする幸司。横浜線を渡り下るとバイパスである、砂川は、寝コケテ居る。
幸司二たびフルアクセルでバイパスを飛ばす。
五速にいれ160キロに一瞬、届く車屋のずいぶん手前で大減速し中古車センターに戻る。
砂川はダッシュボードにめり込んで寝ていた、砂川を小突いて起こす「ふえ~」とあくびが出た。
「寝コケテんじゃねぇよ」と先輩の頭にチョップする。中古車屋の社長が来る、デップリとして頭が禿げ上がり50がらみの男である。
「天海さんの坊ちゃん、どうですか5万ばかり負けますよ」後ろのトランクに手を掛けていた砂川一郎が寝ぼけてトランクリッドに頭をぶつけた。
「そーうすっね後5万負けてちょ」と幸司、「ダメだ頭金20万円で後は君のお父さんの名義でのローンでどうだ?」 「ん~30万有るけど20万でいっか父ちゃんに言っておくべ、今のって帰って良い?」 「良いけど、名義変更は自分でするのかい?」 「ええ?チッス、ヤリマッスル」と幸司「え?おい お前自分で出来るの?」大爆笑!。
「高田君、書類そろえてくれたまへ」 「ハイ、社長ただ今すぐに」 20万払い、後はローンの契約書を作成し、ジョウと証明書を貰い、諸経費を入れて120万円くらいになる。。。。。
魔のサバンナRX-7
意気揚々とサバンナを団地に止める幸司。
止める現場を買い物帰り直子に見つかり得意気に自慢気に話す。「俺のサバンナカッケーでしょ、直子ちゃぁん」 「お前何処にコレ買うお金あったの??」と直子震える。「ふふ~ん秘密貯金さひゅ~ひゅ~♪」と意気揚々と口笛を吹く、「アンタ返して来なさい!!」大声で怒鳴る直子は鳴き声である。
泣きそうになり捨てられた子犬のような顔の幸司。「アンタナンカ嫌い出て行ってよ!」 「うん、出て行ってやる!波子の家に行ってやりマクってやる」 (ベシボキ!!)買い物袋で殴られた幸司、逃げるようにRX-7のコクピットに乗る幸司、エンジン始動(バルルルン、ブボ~)エンジン音を残して走り去る幸司、泣き崩れる直子・・・・。
三堀町三丁目の天海家に着く。 ガレージの電動シャッターが上がりバックするサバンナRX-7、10月の夕日が寂しげに車体を照らす。
磨きぬかれたグリーンのボディはWAXが乗り光り輝く、電動シャッターを降ろし玄関への扉を開けて入室する。
「あらコウちゃん何時帰ったの?」天海由美(52歳)主婦、東京八高寺生まれ、東京立共大学卒業のインテリだが噂好きで下世話。
「コウちゃん何してるの?入りなさい、コーヒー飲む?ジュースにする?もうすぐパパ帰ってくるかもね。」ルンルンとする母である、ドサリと上座の床の間に座る幸司、落ち込んでいる。
「ねぇ~ママ~車買ったんだけどね・・・・・・・・・・」「あらどんなの?見せて、ママにも今度乗せてね。」ウキウキする母である。
「直子がねダメって言うんだよ、ど~しよ?」泣き声でいう幸司。
「あら、コウちゃんのお金で買ったんでしょ?コウちゃん、直子に何かされたの?」
「うん、打たれた・・・・・」
「あのアバズレ、大事なコウちゃんに、、、家柄も違うし、学歴もないし、あの子はあの子は、さいてぇ~ね別れなさいっ!!」
「竜ちゃんがあのアバズレに教育されたら駄目だわ、あら危険!絶対不良になるわ駄目駄目アンナブス、根性悪いし、ヤッパリママが反対してた通りでしょ、ドメバイだわ暴力魔、大事なコウちゃんが壊れちゃう、料理も不味い料理しか作れない女!ダメよツッパリだし、髪の毛は茶色いし、別れなさいな!ね!。」
「ウ~ン」と寝込む幸司、その夜弟、陸夫も揃い、姉を除き、一家は揃う。
「幸司!!車の金はお父さんが払うから直子ちゃんにキチンと謝りなさい」
「パパ、直子を甘やかしちゃ駄目よ、離婚よ、離婚!!」
「黙りなさい!!お前直子ちゃんの身になって考えて上げなさい!!こんな馬鹿息子何処の誰が今時、嫁に来て面倒見てもらえるんだっ!!」
「大体、幸司がグレタのは、お前が甘やかすからだっ!!いい加減、幸司に干渉するな一人前に子供が居るんだぞっ、コンナ男に嫁に来るなんて、天女だぞ!!」
「俺も父さんに、賛成だな」と、弟陸夫も言う。
「あら睦夫ちゃん、私の味方じゃないの、陸夫もあの駄目女の何処がいいのよっ!」
キィ~と母さんは悔しがる。
「直子は駄目女じゃねえゾババァ~」ビール瓶の首を、手刀で飛ばす、「まぁコウちゃんまでひぃ~」と泣きながら2階の部屋に引きこもる。
「よく言ったぞ幸司、電話で直子ちゃん呼ぶから謝りなさいな、飲み直しだぞ。」と、優しく言う。
一時間後、姉雪を除き4人でビールを飲みながら、寿司で乾杯する、和気あいあいと団欒する。
街道レーサー東山周一
十月某日土曜日、埼京県小川町のアパート【子安荘】。
東山周一の母美佐江、48歳、給食センターで働き一子周一の学費を稼いでいた。
実家は新潟県の寒村である、夫とは15年前離婚している。
周一の為、身を粉にして働いてる。(ピンポン)アパートの一室の呼び鈴が鳴る、「はぁ~い」と母美佐江は、息子を出迎えた。
「母さんただいま」と周一、点いているTVに山野まみが歌っていた。
「周一何か食べたの?」「いや、毛呂山で少しだけ・・・」
「それじゃうどん食べる?」「うん、母さん元気そうで何より」(ジャー)と何かを炒め始める。
部屋で服を脱ぎ、シャワーを浴びる、シャワーから出ると煮込むにおいがする。
服を着替えると、バイク雑誌を読み耽る、うどんが出来上がる、美味そうに食べる。
小川町(おがわまち)は、埼玉県(劇中埼京県) 中部、比企(ひき)郡の町であり、比企郡西部の中核をなす町である。
比企地方及び県南西部の最も北西に位置し、秩父地方のすぐ外側に位置する。江戸から川越を抜けて秩父に向かう往還が町を東西に抜けており、古くはその地理的な優位性から六斎市が立つなど地域の商業中心であった。
ヤオコーの天麩羅とテンカスが美味い、息子を目を細めながら見守る母美佐江。
午後14時、周一は愛車の点検をする、近くの407号沿いの、【オートショップ、野川】に出かける15分ほどで着く、【オートショップ、野川】は、閉まっていた、、「電話で連絡しておいたんだけどなぁ」ボヤイタ、ガソリンスタンドによる。
「あ!多摩ナンバーですか、ツーリングですか?」とスタンドの店員に尋ねられた。
「実家はこの辺で。。」
「そうですかぁ~!レギュラー満タンはいりマース。」スタンドの従業員専用の駐輪場にはCBR250ハリケーン、VFR400R、NSR250RRと目を引くマシンが並ぶ、ヘルメットを取り休憩所に向かう、自動ドアが開き休憩所に入る、三ツ矢サイダーの自動販売機でサイダーを買う、一服する、店員の一人に「先輩お久しぶりッス」と比企レーシングティームと名乗る、峠の[走り屋]のリーダーに会う。
「オス、小嶋か久しぶり。」
「先輩、東京から直ですか今夜是非、都幾川の峠で久しぶりに走りませんか?」
「今夜、新しいマシンのセッティング出すから良いぜっ」とVサインする。
【オートショップ、野川】は開いていた。(パーンパンパーン)とエンジンブレーキを響かせ、店の駐輪場件、展示品に潜り込む。
「コンチハ、東山です」と周一、「オウ、来たか、疲れたんべ、団子食べるか」と野川社長。
「それより例の物見せて下さい。」
「アイヨッ」と奥からYAMAHA-RZV500を押し出してきた、カリカリチューンのRZV500がピカピカに磨き上げられて出て来た。
RZV500
当時のロードレース世界選手権GP500クラスに出場していた同社のワークスレーサー、「YZR500」のレプリカモデルとして1984年より輸出されていた「RD500LC」の日本国内仕様として登場した。
スタンドを掛け、イグニッションをONに入れる、キックスタートさせる。(パリパリパリンパリパリパパーン)絶好調の音を立てた、まるで、稲妻の様な音である。
「良いっスね」周一、顔を高揚させて言う「よっしゃ、試乗してくんか?」
「走行距離も15000Kだんべ?」と野川社長。
メットを付けた周一、RZV500が咆哮する、一気にシフトを上げ一速一速試していく。
(パンパンパリパリン)180Kまで試した、武甲バイパスUターンで折り返して【オートショップ、野川】に引き返した。
(パーンスパーンペンパーン
バリバリバリ)店先に着いた。
気候に合わせてキャブレターをセッティングした、RZ350Rは買取で、都合40万円をキャッシュで払う。
「あんがとよ、餅食うか?」と野川社長、「イヤ、帰りますありがとう御座いました。」
アパート、【子安荘】に帰った、のが午後六時、シャワーを浴びる、夕飯はすき焼きを食べた。
「ちょっと今晩走ってくるよ」と周一。
「あら、今晩母さんも、飲みに行くからね、鍵水道メーターの所に置いておくね。」と母由美。
「ハイ」と周一。アパートの前の庭にRZV500が黒いシートを被り佇んでいた。
シートをめくると、黒と白のオリジナルのゴロワーズカラー、黒と白のデコレーションが美しく磨かれていた。
イグニッションをONに入れる、ポジションが光る、キックでスタート(パパパパパリンパリュン)
轟音一発、重い感じの2ストローク四発が唸る、エンジンに灯が点る白煙が舞う(パリュンパリュンパリン)と暖気しながら空吹かしをする。
マルボロで一服する。
キャブレターのジェットを回す、点火タイミングを合わせる、メットを着けジャケットを羽織る。
前傾気味の姿勢でロケットスタート、周一勢いがよく少しビビル。
都幾川の上を走り抜ける、役場前の信号を右折し一路山に向け全速を駆ける、山並みがグングン迫る、山頂にはマシンが十五台ばかり集まっている。
都幾川村、午後19時46分。
赤いRX-7( FC3S型)が貸し切りローリングをしていた、(キュルキュルキュルバオンバオン)度下手なコーナリングで大手を振って走っていた。
他の皆はギャラリーにされている、助手席に29歳の天野アケミ、飲食店従業員コクピットには川角トオル36歳がアンフィニRX-7を自慢げにローダウン、フルスポイラーで走っている。
ピカピカのFC3Sの後方から周一が一瞬で抜き去る。
「てめぇ何ブチッテンダ、コラ~」と怒鳴る。
「上で待ってんぞ、ヤキ入れるからな、ガキガ~」
周一は、ヘアピンを1つ1つ確かめながら周る、リーンイン、リーンアウト、ハングオン。
試して一週回って、帰ってきた、上のタムロ場に戻る周一、RX-7の男が女の尻に手を当てながらタバコを吸いながら睥睨していた、ローリングのチームのメンバーは後ろで恐縮している、パンチパーマで眉毛がなくがに股で歩いてくる、「おいガキテメェ、コラ」胸座を掴む「オイガキ何とか、言わぬかい、「何コイツ、ガキの癖に生意気ね」っとメットをたたく。
「コノガキ」と手を上げた瞬間、周一の頭突きが一発、鼻を直撃!!
鼻血が出そうだが、鼻くそが多く出ない、苦しくて目を回すトオル、「キャートオルの鼻がマシュマロニィ~」
激痛で目を回していたが、起き上がり「痛いよ~母ちゃん」とのた打ち回り歩き回る、FC3S、RX-7の助手席に乗り、ATのアンフィニをアケミが運転して逃げる(ガコンザザガリガリ)車高が低すぎて下側を擦る。。。。
(ボコン)と柵にブツカリ大急ぎで逃げる・・・・・END
ケンメリGTの白いボディ~に社外アルミに社外マフラーを着けたリッチな男が近づいてくる。
「やぁ周一君久しぶりだねぇ」
ダンガリーシャツにエドウィンのジーンズに、ペタペタのズック靴の男が微笑みながら言う。
「あ!ノッポ上杉先輩じゃないですか」 「東山さんこんばんわんこ~」
「おめぇ~すげぇの乗ってるな、限定解除か~?」
「ワイワイギャラリーの女の子達も寄ってきた。
メットを取る周一にキスをする茶髪の女の子「キャーカワイイ」と声が上がる。
長髪を後ろで束ねている周一、久しぶりの凱旋である。
NS400Rが峠を上がって来る、親友の高山多久也である、今夜の対戦を熱望していた人物であった、NS400Rがタムロ場に止まる。
CBR250ハリケーンが後ろから来る、後輩の原田美幸である、2人は恋人のようだ。
時間は戻り、東八市午前十時。
天海家のガレージに温存されていた伝説のマシンCB750Fを磨く「天海幸」天海お父さんである、目が異様な光を蓄えていた。
エンジンに火を点ける、轟音が轟く(キュルボボーン、フォーンフォーン)快調である(フォーンフォーン)軽く吹かす。
キャブクリーナーの独特の、匂いが立つ白煙が舞うガレージで一人ゴチル幸であった。
義弟の湯浅大二郎(50歳)、TV局MHK職員、カメラマン件記者、仕事柄バイクに乗ることが多い。
CB750F、元々幸の愛車であったのを譲り渡した。
久々に帰ってきた愛車を半日メンテナンスする。
CB750F
1978年に輸出が開始されたCB900Fに遅れること1年、当時の日本国内での排気量上限にあわせた750ccエンジンを搭載し、日本では1979年6月22日にCB750Fが発売された。エンジンは基本設計をCB750Kと共有するものの、スポーティーなエンジン特性実現のためカムシャフトを変更し、吸排気系や足回りはCB900Fと同一のものが与えられた。国内では初となる鍛造ジュラルミン製のセパレートハンドルやCB900Fそのままのスタイリングなど、国内オートバイのフラッグシップ的存在となり、750ccのトップセールスが月200台程度の時代に1,500から2,000台もの売り上げを達成する大ヒット車種となった。販売当時の価格で538,000円(税別)
角ばったタンクに4本出しのマフラー【ヨシムラ】集合管装着し排気効率を高めている。
空吹かし、レッドーゾーンギリギリまで針を上げる。(フォーンフォーン)火を吹くヨシムラ管。
「お父さん、またバイクですか、いい歳して嫌だわ、また昔の暴走族ゴッコ見たいなのやるの?」
「由美、暴走族ゴッコはねぇだろう・・・トホホ、私は純粋なレーサーだよ。」キリッ
と顔を赤らめて言う。
一方都幾川時は戻り・・
NS400Rの、排気音がこだまする、都幾川スペシャル、独特の4本出しチャンバー、ビッグキャブ、デイトナのジェット、スプロケット、カリカリのマシーンにはまだ足りないが一応チューンしてある。
CBR250ハリケーンが入ってきた、2ストオイルと4ストオイルの香りがにおい立つ、「いよ~久しぶり周一」 「由里ですぅ~覚えてるぅ?」 「うん、覚えてるよ、お久しぶり久しぶりのここ(峠)だからお手柔らかにな、お前のマシン見せてみぃ」と東山は笑う。
スクーターが数台走り出している、巧みにコーナーを捌く。
DIO、JOG等々スクーター軍団も走り出していた。
「周一、終わったら【一張羅】でラーメンでも食べに行くべ」
「久しぶりに行くか。」 と周一。
「いいマシンじゃねぇかカリカリか?これ」 「500CCでないの?」とギャラリーの少年達が騒ぐ。
「カックイイ先輩」 「乗っていいすか?貸して~」と山田という男が言う。
「テメェにゃ無理だ、免許アンのかよ」と周一、山田はイジケル。
高山多久也・・・・地元NO1の走り屋と言われている。
地元毛呂山興行在学中3年生。
NS400R使いでは埼玉一の使い手、周一の中学時代からの、喧嘩仲間でライバル。
埼玉西北部では1,2を争う街道マシンパイロット。
「さぁ~て体ほぐすかな」とNS400Rを始動させる、キック3発(ボホン パリパリパリ)
冷えてきたエンジンを温める。
水冷4気筒2スト400CCが吼える、1985年ホンダが中型400CCに投入した2ストマシンの戦闘力は、並みのリッターバイクじゃ太刀打ちできない走りを披露する。
青と黄色と白の、ロスマンズが幾重のもヘッドライトに浮かぶ。
周一はしばし眠っていたRZV500に火を入れる(パリンパパパ~ン)
キック一発轟音響かせ息を吹き返す、オートルブオイルをチェックし継ぎ足す、何時かのミスを思い出し地面に、拳を当てる。
「さぁ行こうぜ」と高山多久也をせかす。
「いいぞどっちが前を取る?」
「多久也が前で良いぜ」と周一。
「それじゃ、いくかい」
「よろしくな、」と二人同時に単車に跨る。
(バリバリバリ、パパンパンパン)すでに走ってるマシンの音もない混ぜて(ゴ~ゴ~)と一面に響く、通りすがりのカローラSEサルーンが走って来る。
(パァ~ン)フォーンを鳴らす、多久也のNS400Rが先行する、RZV500が後ろにピタリ着く。
(バリバリバリ) (パーンパーンプーン)エキゾーストノートを残しタムロ場から去る2台。
二つ目のヘアピンで二人が並ぶがライン取りの良いNS400Rが先行する。
イン&インで走るNS400R、対向車線にカリーナのGTTRのヘッドライトが光り迫る。
一瞬、目が潰れたように視界が遠のく、次の瞬間RZV500が前に出る。
驚く多久也一気に先行するRZV。
悔しがる多久也。
うなるスクエア4、2サイクルエンジンNS400Rフルスロットル気味にアクセルを開く、レッドゾーンに一瞬は入る、オーバーレブ。
匂い立つエンジン、HONDAのエンブレムから2ストのOILが立ち昇る。
RZV下りのコーナーをロールする、遅れるNS400R、工事済みのアスファルトを軽くジャンプする。
オーバースピードを意識しながら多久也コーナーを一杯一杯回る、グングン追いつく。
膝頭がコーナーを回るたびにアスファルトを擦る、サイドスタンドが火花を散らす。
登りでNS400Rが差を縮める、ラインオーバーし、アウトインアウトする多久也。(パーン)とエンジンブレーキの音を響かせギャラリーゾーンの前を過ぎる。
フルフェイスの中で笑う周一、頂上で一回転する、後ろからカリーナEDが迫ってくる、煽りをくれてくる(ぱぁパーん)電子フォーンで威嚇する。
東八ナンバーのカリーナEDである、前方を走るHNDAシビックにピタリと着く、カリーナED、前方を走るシビックを周一、多久也が追い抜く。
カリーナに乗るのは、東京、東八連合の山本安男という男である、助手席には【中嶋一利】が乗っていた。
「どぉけオラァ」と一利ダッシュボードを蹴る。「抜け抜け、ぶっちぎれ」中嶋は怒った。
ショートのストレートでシビックを抜く、カーブでガードレールに張り付きそうになる、(ボムッ)とガードレールに当たる。
「ちくしょーちくしょーくそーおれなんておれなんて・・・」涙声でイジケル山本。ショボーン
「何だそんくらい擦りキズさ、クハハハハハいい板金屋紹介するぜククククあはあはっ」つばを飛ばして爆笑する中嶋は上機嫌であった。
「それにしても、速い単車だなぁ~、俺のほうが速いけど、ガハハハハ」
「くそーくそー・・・・」涙を流しながら歯噛みする山本。
対向車線に、2台が見えるが一瞬で消える。
RGV500とNS400Rは最後の小丸峠に差し掛かる、RGVが一瞬早く峠を降りた、峠を上りなおしタムロ場に戻る。
「ハァハァ、流石に速いけどマシンの差だな」と多久也。
「いや、俺腕の差だなw」と笑顔で答える。
ハリケーンがやってくる、由里が顔を赤らめハァハァ
と、息を弾ませる。
「周一と多久也どっち勝ったの~?」
「な~に引き分けさ」と多久也、「俺の勝ちだな」周一は言う。
お下げ髪の由里が微笑む。
「じゃ都幾川戻って一張羅でラーメンでも食うべ」「おしっ行くか」「私もいく~」と3人は去る。
一方東八市三掘町午後12時、晴れ。
CB750Fが可動し始める、黒い革ジャンブルージーンズに膝当てロンドンブーツいでたちである。
白いジェットヘルに薄いブラウンのシューティンググラス、白いスカーフを首に巻いて出陣。
二十号を西へ走らせる、幸は久しぶりの快走に顔が高揚する。
後ろからビッグスクーターのフュージョンが攻まる、車と車の間をすり抜ける、緩やかに流す車列。
赤いクリーム色のファミリアロータリーに出くわす、「おっ!!」とする幸。
クリーム色のノーマルカラーをそのままオールペンをし美しくもある。
後ろにいるとくさいから抜く。
後ろから、しつこくフュージョンが来る、120キロまで出す、日野橋交差点をパスする。
1吹かしで140キロまで出す、八高線のアンダーパスを抜ける、フュージョンを振り切る。
会心の笑みの天海幸である、道が狭まる、車列を潜り抜ける、セパハンに変えてあるCB750Fは【天海スペシャル】土日限定仕様であった。
夜を徹して改良したバックステップでもある、後ろから【AE86】が着いてきた。
ウザイので旧道に入る、もう奥多摩街道であった、福生の辛いラーメン店通り過ぎ、ツーリングの若者らしき一団がラーメン屋に入る、天国ラーメンと大書してある看板が赤い。
道が細くなる、福生市街地の町並みに溶け込むCB750Fエキゾーストノートが心地良い。
五日市街道を右に折れる、踏み切りを越ゆる、一時停止の振りをする。
社外チャンバーを着けたRG50が勢い良く追いつく、幸はニヤニヤする。
(う~う~)VFR750Pのポリス仕様が喚く、「前の福生ナンバーのRG50止まりなさい、(くく50ccは不利だな道交法でふっ)ニヒルに笑う幸。
あざ笑うかのように、車が通り過ぎる、高校生らしき少年が、涙目で恨めしく見つめる、幸は悠々と笑いながら通過する。
横田基地のフェンスが見えてきた、【第五ゲート】の交差点を左に折れる、間違って直進すると横田のゲートでライセンスがないと止められ尋問される恐れがあるから気をつけよう良い子は。模型店老舗の横山模型の黄色い傘がすすけてうら寂しいが、戦後欧米の軍人が持ち込んだ【プラスティックモデル】を速く取り込み日本人に紹介していた店である、2014年現在はまだ健在の模型屋である、興味ある方は一度は来店する価値が有ります。
16号線を流す、女の子が立ち止まり見つめている、バイクランド福生店に入る。
モーターサイクルの列が並ぶ、店に入る前に一服する、バイクランドの喫煙室に入る。
地元のライダーから、遠方のライダーまで揃う、横浜ナンバーのVT250Fが走り去る。
(ボボボン、キュルルル、パパパン)数台のオートバイのエキゾーストノートが唸り、ツーリングのグループが走り去る、福生ナンバーの【ゴリラ90】が入ってくる、単発でいい音である。
店内を一巡する、NS400Rのパワークリーナーを取り見つめる、ビートのチャンバーの札を取り現物を持ってきてもらうNS400Rに適合して取り付けられるか調べる。
NS400Rのバックステップを在庫がないので注文する、10日後に搬入するらしいので、宅配便で自宅へ送ってもらう、ビートのチャンバーも自宅送りにする。
白い新井のヘルメットも買う、サイズはMである、ライダーズシューズも買う、サイズは27,5CM幸司に合わせる、ミッキーマウスの、ジッポーも買うNS400Rの軽量化シートを見つける買うことにする、社外フルカウルも注文する、会計は合わせて86万7千円ほどである、クレジットカードで一括払いする。
殆どのパーツは自宅送りにする。
店を出る、買ったばかりのタンクバックを装着する、あわせて買ったデジタル防水時計を計器の隙間にステイで止める。
エンジンに火を灯す、ヨシムラが咆哮する(キュルルドドドドド)快調である。
一服ショートホープに火を点けて銜え、発進する、クルリと軽快にターンして十六号瑞穂地区方面に向かう。
(スパーンパーンパーン)CB750Fは元気が良い。
途中でアフリカ系黒人のやっている雑貨屋を見て回る、怪しげなブロークンイングリッシュで話しかける、掘り出し物の1942年製の使い古した、ジッポーを買いオイルも買う。
店内で白人の若い女の子声を掛けられる。
「アナタのホンダ?カワイイデスネ」
「ドウダ、イッショニエンジョイシナイカ?」
英語で会話する。
「イェイ、イイワヨ」
二人は瑞穂地区のラヴホテルにCB750Fと一緒に入った。
40分後二人はCBに2ケツして出てきた。
名前は、【キャシー・山田かおり】、17歳である、東八ナンバーのCB750Fはホテルを去る。
「イェ~イ」道行く若者にピースサインを贈るキャシー。ジェット機が低空で降りてくる。
岩倉街道に入る、120キロ巡行で走る、キャシーはしがみ付く、胸の柔らかさが心地良い、ローレルが追い掛けてくるが一吹かしで突き放す。
「キャホ~」とキャシー喜ぶ、「ネェ、コウ、コウイウレースダイスキ」
「ん~ナニイッテルカキコエナイ」
「ン~ン、イイノ」とキャシー背中に顔を埋める、岩倉街道を終え、小木曽街道を青梅方面に折れる。
登りを軽快に走る、セリカGTFor後ろに張り付く左右に煽る。
ポケベルが鳴るが無視する、160キロまで上げても着いてくる、ヘアピンが見えてトンネルに入る。
トンネルで190Km付近で針が揺れる、テールが赤く流れる、セリカランプ点灯、グングン、差が開く、あっという間に青梅の駅付近にたどり着く。
青梅街道を左に折れる、JR青梅線青梅駅のロータリーに入る為右折する、バスのクラクションがけたたましく鳴っていた。
「ヘイ、ベイベ~ダイジョウブカイ?」
「コウ、スゴイスゴイ」
プロパンガス屋のトラックが通り過ぎる、エンジンを切る。
携帯電話【ミニモ】を取り出す、「俺だ、ん?サンフランシスコの方は二千万でOKだ。」
「ん?オーケイだ、月曜日にまた話すじゃぁ」(ガチャリ、プ~ツ~ツ~)
「ヘイ、コウ ミズウミミタイ イコウヨ~」
「ラジャ キャシ~」とメット越しにキスする、おどけて見せる、ポケベルの表示を見ると幸司からのナンバーがある、掛けてみる。
(ルルルルル~)「ハイ、天海です」
「直子ちゃんか、私だ」
「あら、お父さんどうしたの?」
「幸司からベルに着信が有ったが何か用か?」
「幸司なら、さっき出かけたわよ」
「そうか、また後で」 (ガチャリ、つーつーつー)
「ハイ、イコウヨ コウ」
「ヨシ、オクタマ湖マデライディングダ。」
青梅駅のロータリーを出る。
黒雲が僅かに棚引いている、(今夜降りそうだな)幸は天気を読む。
「キャッホ~」キャシーはハシャグ。
右に折れる、青梅街道を一路奥多摩湖へ。
ローンウルフの闘い
天海幸、昭和3年東京府府中生まれ、海軍兵学校霞ヶ浦空へ、厚木基地本土防空隊勤務、内15機撃墜内B29、2機共同撃墜。
最終階級少尉。
戦後、NETE電気の前身【関東電】の社員として働く、前妻は空襲で行方不明、前妻との間に女子一名設けている。
前妻の名前は【雪江】。
青梅街道を西へ、キャシーを乗せ一路奥多摩へ向かう。
澤乃井で一服休憩する、工場を見学する、序でに売店で2本澤乃井を買う、特級酒。
コンビニエンスストァ【ハマザキテリー】でアイスクリーム【スーパーコップ】を買う。
口移しでアイスを食べた。
再びロードへ。
ワインディングをスイスイクリアして行く、有料マス釣り場へ行く。
貸し竿でウキ釣りをする、餌のイクラは天然物ではなくバイオイクラである、釣り針は渓流6号、浮きしたを調節する、この日は水嵩が浅く30センチ程に調節した。
イクラを付けて、5分浮きに当たりが来た、5センチほど沈むサッと合わせる、ビクビクと竿がシナリ水しぶきが上がる、見事なブラウントラウトが釣れた。
「ヘーイキャシー、」
「oh コウ素敵なトラウトネ~♬」
「どれ、キャシーの仕掛けも見てやるか」
その時キャシーの竿がしなる。
キャシーも手馴れた様子で引き寄せる。
ビシピシバシャバシャ。
スイ
一匹釣れた。
「oh 幸つれたーよ」とたどたどし日本語で話す。
「ナイスキャッチング」
ビクに2匹のトラウトが入る。
イクラを付け直す、幸は既に2匹目を引き釣れている。
ビシビシグググンと引きが強い、秋のマスは産卵期でもあり食いが良い。
ヒュッと竿がシナリ、仕掛けが水もに浮かぶ。
午後16時管理釣り場が店仕舞いする、奥多摩湖に向かう。
長いストレートでオーバー160キロ出る。
トンネルを抜ける、道が空いてるので120キロ程度に抑えて走る。
スピード狂の血が騒ぐがグッと堪える。
bankするたびキャシーが「キャーキャー」言う。
キャシーの胸が潰れんばかりに引っ付く、気持ちよすぎる・・・・
幸司のSAーRX7を認める,一目で識別できた。
(あまり速くはないが良い腕してるな)と心でニヤリとする。
湖の駐車場に入る幸司を追跡する焦げ付いたロータリーturboの匂いを放つRX-7、12Aのロータリーターボ独特の音を放つ。
駐車場に入るCB750F改、幸司の隣に止まる。
その脇にCR-Xが止まってる、タバコを吸いながら立ち話する2人。
単車から降りて近づく幸とキャシー。
「オイ幸司!!」 「ギョギョ父ちゃん!」と幸司「ハーイ」とキャシー、驚く二人!
「はじめまして~俺幸司」、幸が幸司にビクを渡す。
中に6匹のブラウントラウトが入ってた。
「父ちゃん、そのゲェー人誰?」と幸司と一郎が言う。
「俺の恋人キャシーだよ、よろしくな、アハハハハ」
「ハーイ、may name is ヤマダ・KAORI・キャシー、キャシーと呼んでね ♡」
「俺の息子のコウジと friend の一郎だ」
「よろシークね コウジとイチロー」
「「よ、夜露死苦、日本語上手ですね」と幸司
「すこーしだけね^^」と笑顔のキャシーと幸司、ハグする二人。
一郎は緊張してアソコがインポ気味になる。
「父ちゃん、いい女だね、やっちゃったの?w」
「まぁな」と笑う幸である。
そこに、ムササビレーシングの一団が4名が駐車場に入ってくる。
R1Z250、NSR250、AR125、MBX90。(パリパリパリパパーンバババ)
4人はエンジンを止める。
「ワーオ、nice motorcycle!」 と喜ぶキャシー。
幸の目の色が変わり、奥が光る!幸は中でもAR125に目を付ける。
「よーう、ムササビの諸君」と幸司が大声で怒鳴る、嫌な顔をするリーダーの田中。
「お久しぶりです、天海さん・・・・」 「天海さんシブイバイクっすネ、それCB750ですか?」と金本。
「やぁ、諸君、いいバイクだろう、僕のだよ!」とお父さんは言う。。
「へぇ~オジさんのですか、少し見せてください」と一同群がる。
チューンした個所に質問が集中する、大いに賑わう。
「君たち、いい機会だからオジさんと一緒に走らないかい?」と幸は誘う。
「じゃぁ上野原に抜けて、大垂水でゴールでいいすか?」
「道はあまり詳しくないが良いかなアハハハ」
「迷わないように先導しますからw」
「オーケー」と、幸は自信満々、「ヘイ、キャシー幸司の車に乗せてもらいなさい」
「え?俺の車で」と幸司、下半身がムラムラした、「嫌か?」とニヤリとする幸。
「イヤ、喜んで」と助手席のドァを開ける。
「父ちゃん俺も行ってもいい?」と聞く幸司。
「着いてこれるならな~」と馬鹿にしたように笑うお父さん。
「キャシー、幸司とはSEXするなよ」と釘を刺す。
「ハーイ、コウ」とウィンクする。
幸司土産だとジッポーと澤乃井とヘルメットを渡す。
「サンキュー父ちゃん」と粋がる幸司。
SAがロケットスタートし先に出る、CRーXが続く、R1ZとNSRとARとMBXが、行く(キュルルドリュリュリュ~リュ)幸はメットにグローブを付けバイザーを下ろす。
マルポロに火を点ける、吹かしながらスピーンターンを決める、CB750Fは100kmに達したSAが後ろに、手を振るキャシー。
(フォ~ンフォ~ンフォンフォンフォ~ン)とCBは見る見る追いつく。
左手を挙げる田中、【バトルスタート】相図である、逆車線R1Zの田中、対向車が居ないのを確かめてハングオンを決めるARの金本も決める。
アウトインアウトを決めるCB750F、幸である、「ちっローリング族の奴ら無謀だな」とつぶやく。
Rx-7とCRーXを軽くチギル、次々ハングオンを決めるムササビ軍団。
リーンイン、リーンアウトを基本通り決める幸、「すげーぞ 父ちゃん」と幸司。
幸はAR125に食いついた、体力で劣るが実戦経験の差が物を言う、振り切ろうとするAR125、日本では1990年に生産が中止されたがその戦闘力は小型2ストロークでは比類なき力を発揮する。
タイ川崎では生産されている。
S字ででIN突く幸、時速はストレートで120コーナーで47、8キロ程であるメータ読みで50キロ程度だ、S字を抜けたときCB750F前に出る、金本驚きが大きくショックを受けた、ニヤリとする幸(フォーン、パリンパリン)複合するエキゾーストノート、3台ストレートで勝負する、次にでかいヘアピンが来た、嘗て知った4台余裕でクリアする。
逆車線にはみ出るCB750F、対向車が見える、(パァーン)大型トラックが行き過ぎる。
転瞬、、先行する2台とCB750Fが入れ替わる、次のヘアピンで後ろに着かれる。
お土産物屋が並ぶ大カーブを抜け橋の分岐点の信号を左に曲がる。
橋の上でストレート勝負、CB750Fが少し遅れる、クラッチミートの上手さでメータ読み200キロ程で少しリードするデッドヒートを制するCB750F、路上駐車の車でブラインドが出来る。
歩行者に注意を促すパッシングを3台同時に浴びせる、頭半分出るCB750F、R1ZとNSR限界を突破しヒート気味になる。
周遊道路入口の橋の信号を突破しパスする、釣り人が歩いていて一瞬(ギクリ)とする、根性の座った幸は速度を緩めず先行する、。
多摩川上流の街道を直進する、路面が凹凸する、スピードを緩める(カクカク)言うサスペンション、ハンドリングに神経を集中させる。
何を勘違いしたか、RX-7もバトルに混じる、CR-Xが続く、カリカリ腹を擦る、スピードを緩める、緩いカーブが続く80キロ前後で流すガタガタする路面。
迫り来る雷雨(パラパラパラザ~)スコールのような雨が降ってくる。
対向車がライトを浴びせながら去る、雨雲の暗闇辺りを覆う。
(ザー)幸司路肩に車を止める、キャシーに抱き付きキスをするが平手を喰らう。
雨が物悲しく車窓を叩く、塩山方面に左に折れる。
R1Zが先行する、塩山の村落を抜け山岳地帯に入る。
山並みが雨で濡れて青く煙る、夕暮れが近づいてきて雨が止む。
3台全速力ワインディングを駆け上がる、狭い道幅がヘアピンを彩る。
軽くリーンインリーンアウトで登る3台速度は遅い、頂上付近行くと耳がキーンと鳴る、唾を飲み込む濡れた路にラジアルタイヤが食い込む。(パーンパリパリパリ)R1Zが頭一つ抜け出る。
天海スペシャルCB750Fが追走する、重い車体が格闘性能に勝るR1Z、NSR、ARに引けを取らない。ヒラリひらりと旋回する4台、細道がくねる、対向車の明かりがチラツク、怯むR1Z、CB750F一気に抜く、一列になりワインディング降りをターンテーブルのように回る、後ろからRX-7、CR-X、MBX90改が続く、キャシーは車窓を眺める振りをして幸司を無視するかのように無言である。気まづい二人・・・・。
RX-7はワインディングロードをのたのた走る、CR-Xは後ろに張り付き急かす。
MBX90改は2台の車を抜く、下る下るもの凄い勾配のワインディング、ブレーキとクラッチの焼ける匂いが辺りを充満させている、匂いで咽る。
ボンネットから湯気が立ち込めている、RX-7はタイヤから煙が出てドリフトする。
キャシーの体から匂い立つ様な女の匂いが立ち込めて車内に充満する、幸司の一物が思わず勃起する。
一方幸達4台はCB750Fを先頭に団子状態である、MBX改90がCB750Fに挑む、が軽くいなされる。
ハングオンを決める幸、バンク角深く4台一斉に倒す。
またハングオン、ロールする路面、次に逆バンク、マシンが悲鳴を上げる。
(ボンボン、キュッキュッ)CB750F、坂が終わり梨畑に出る、また狭いワインディングだAE86が後方に見える、幸司仕切りにブロックする。
接触寸前で止める86レビン、RX-7は轟然と立ちはだかる。。。。
CB750Fを駆る、幸は疲れを感じ始めていた、20号に出る交差点で一同止まる、信号が赤である、5分後青に変わる、国道20号線を左に折れる。
モノ凄いスピンドリフトで次々に回る20号線を八高寺方面に向かう。
スピードを80キロ程に上げる、山梨ナンバーが多く目立ち始める、あっという間に渋滞が四台、あっという間に上野原の信号に差し掛かる、渋滞が起きる、脇をすり抜ける4台(ゴー、シュッシュッ)と車列を駆け抜ける、CB750Fはともすれば接触しそうになる車間をすり抜ける、他の3台は右に出て走る。
幸司渋滞にハマる、RX-7の後ろでエテルナと揉めていた、「オイてめぇナメてんのか?あ〜ん」と一郎、「ガキ、トロインダヨ!」と太った男がまくし立てる。
「東京モンがでかいツラしてここら辺荒らすな」「オイ、ツラ貸せコラ」砂川一郎は息巻いた、幸司が男の後ろに立っていた、隣にキャシーも、、、、「オイ」と一言、振り向く男の頭にゲンコツが(ガツン)一撃で男は頭を抱えて座り込む、「さぁ行こうぜ」と幸司笑う、「ざまーざまー」と砂川一郎会心の笑み、停車している3代を避けて車が行き交う〈パァ~ン)4t車がフォーンを鳴らし急かす、渋滞気味で迷惑である。
「キャシー行くよ」
「わぁお幸司ステキ」日本語でいい、頬にキスする。
「ナンバー、控えたからな~」と後ろから大声で怒鳴る男。
一方幸は4台団子で走る、登りのワインディングで勝負する、92トレノが前で攻めている、4台次々と追いつく軽く流す、R1Zの田中が、トレノにプレッシャーを掛ける。
往年の幸なら軽く抜いていたが、今は自重している、プレッシャーに弱いとれののドライバーはハザードをたいて左に寄り道を空ける、次々と追い抜く、皆左手で御礼の挨拶をする。
すぐに大垂水峠のタムロ場に着く4台、自動販売機の前で集まる、4台。
山梨と東京と神奈川の走り屋が多い、大垂水峠は西東京から程近い有数のローリングスポットである。
APコスモをシゲシゲと見る幸である、ジェットヘルを取りサングラス姿の幸は、駐車している車列を見て回る。
一同、ジュースで乾杯する、タバコを吸うのは幸だけである。
ムササビレーシングの面々は、他のチームの人と交流し閑談する、中距離、遠距離トラックが仕切りに国道を走る、一人のトライアンフの利に出会う。
通称【トラ乗り】その昔の英国製トライアンフ乗りで、速い男の称号である。
お互いのマシンを見せ合いながら、往時を懐かしむ。
2本目のタバコに火を点ける幸、幸司のSA-RX-7を見つける、RX-7の脇で三人、何やら歓談している。
ライムグリーンに常夜灯に光るRX-7は泥跳ねで少し汚れていた、事故を起こした【シャレード】デトマソ仕様がクラッシュして凹みを見せて退避してきた、皆で「ヨイショ」と押す。
「よう、幸司もう来ていたのか?」と聞く「うん、パパ速いね」
「ハーイ、ダーリン」と「コウジが喧嘩してスゴクストロングだったよ!」と英語と日本語のミックスで語る。
「浩司、良くキャシーを守った、センキュウだ」とウィンクして労う。
「いや まあね」と幸司
「先に帰るぜ」と一同に言い別れる幸、「ありがとざーます」とムササビ一同が見送る。
タバコを吹かしながらCB750のエンジンをスタートさせる幸、出だしで上手く車の車列に流れに乗る。
CR-Xの砂川一郎は明日の仕事の打ち合わせがあるからと先に帰る。
「よぉ~ムササビの諸君、サラバだ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
誰も返事もしない、嫌われても気づかない孝司である。
「ちぇっ俺には挨拶無しかよ、ようおう」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「キャシーシーユーア・アゲインだ」とムササビ一同笑顔で握手する、、、キャシーだけとはw
幸司イジケル(当たり前だコノ嫌われ者・・・・・・神の声w)
キャシーは長い足を惜しみなく披露している、ジーンズを腿のほうからチギッテ汚しを少し入れたホットパンツ風味だ。
はちきれんばかりの太股を見せ腰をくねらせモンローウォークでRX-7の助手席に乗る。
ムササビの一同股間を思わず押さえる。。。。
「行くぜキャシー、レッツラGOだ!」
タバコに火をつける幸司、カンパと称して、ムササビからせびった小銭で買った代物である、orz・・。
激突高尾
幸司は、イグニッションキーを回した、軽くエンジンがスタートする。(ボボボボボボ)
アクセルを軽く踏んでみる(ボロロンボロロン)
「へいコウジ、SEXしよおよー」
「そのうちなぁ 親父もうるさいし 隠れてね♡」と軽くいなす幸司
「ヘイ オンナニ恥じ 掻かす気か!ガッデム」
怒ると尚更かわいいキャシーである。
セカンドから発進する、(ブロロロ~)
一時停止して、車が来ないのを確かめてからアクスルを開けて発進する。
フルアクセルで駐車場から出る(きゅきゅっブロロロロオーンヒュー)
ロータリーターボがうなる、コーナーはユックリ、流すエンジンサスペンションに負担を軽くしながらコーナーをクリアしていく。
高尾山口の前で120km、前を走るFC型RX-7に迫る、エンジンブレーキを掛けまくる(ボンボンボーン)ターボも快調である、イテルボランテのハンドル、ポルシェのシフト本皮シートまだ改造まで程遠い、前を走るFCに合わせて走る、「コウジ、オナカヘッタ」とキャシー。
「え?おならがどうしたの?」
「NO オ・ナ・カ」
「おう 腹減ったのか~」
「ソウ くれいじー幸司」
「誰がクイズダービーじゃ!」
と幸司は手をキャシーの太ももに、手を伸ばす。
太股の付け根を揉む、「ぐさりとヘアピンで突き刺される」
「イテテ~」顔をゆがめる幸司。
「ツン」と顔を背けて窓を見つめるキャシー。
八高寺23時頃
20号線千人町付近に差し掛かる。
渋滞が起きていた(バリバリバリドドドゴウーー)
火が燃えて、単車が煙を上げている。
車の列が止まる、(パーパパーびーびーびー)各所でフォーンがうねりを上げて唸る。
幸司は、状況を見て(ピン)と来る。
後方から【愚劣】の旗が単車に掲げられやって来る、10数台の族車が寄り集まり、陣形を取る。
幸司、路肩にRX-7を止め、「キャシー、すぐ帰るから絶対出るな!」
「お!OK」とキャシー震える。
スペアキーで車をロックする。「バリバリバリ」(ウーウーファンファンファン)
(パーポーパーポーパポー)様々な騒音が迫り遠のく。
現場に到着すると100台近くの単車が止まっていたり転がっていたりする、木刀チェーンが飛び交う、特攻服の男が五人に囲まれている。
幸司が素早く近づき2人に次々にゲンコツを左右に振る、フック気味である。
二人不意打ちに驚く間も無く痛くてしゃがむ、一人が振り向く、チョーパン(頭突き)をすかさず入れる。
(ガーピーヒュヒーン)「やめなさい、暴走族の諸君やめなさい諸君は勉学に励み世の中の平和の日本の礎を築いていく(パリーンボォ)火炎瓶が飛んでくる。
山田警部補腰を抜かす「ひーーおたすけー」思わずスピーカーで悲鳴を上げる。
怒号が出るサツカン部隊機動隊も後方待機してきた。
一方戦闘現場。
前の二人に威嚇する特攻服の男。
男の後ろから二人の族に走り寄る「ダァー」と気合一発あっけに取られる二人組み、必殺技、二段蹴りが二人の肩に炸裂する肩を押さえウンウン唸る2人組。
「おっ?」と二人顔を見合わせる、ハイタッチする。
「オレ、中嶋〆て来るからヨロスク」と幸司。
「サンキュウ」と特攻服の男が言う。
物凄いダッシュ100メートル11秒で走る幸司であるのだ。
歩道を駆け抜ける幸司。
一般車の列にのうのうと止まる【カリーナED】に駆けつける、中嶋後部座席に座っていた。
木刀を隠し持っていた、イキナリ、カリーナEDの後部ドアを開ける、驚く車内の4人組。
車から、中嶋の逆手を持ち引き摺り出す、イキナリ チョーパンを顔面に入れる、鼻血が出てきた(ジーン)と鼻がしみる。
中嶋ぐったりとする、歩道で怯えている、セーラー服の美少女と目が合う、グッタリトカリーナで治療する中嶋一利。
とっとと逃げる幸司、乱闘の現場に引き返す、後ろから少女がじぃ~~~と見ていた「・・・・・・・・・・・・」
車の陰に隠れて、息が上がる特攻服の男に近づく「サッ」と腕時計を渡す、「それじゃぁねい バイバイ~」と幸司去っていく。
「恩に着るぜフセイン!」と、八高寺高尾【愚劣】のリーダー吉野君。
(ぴポーポーパポー)(ウーウー)(バリリリリ~)轟音轟く中幸司はRX-7に、戻る。
【コンビニエンスストア・サンデー】で弁当を二つ買う、トイレを借りようとしたが断られた。
タバコも買う、と残りに二千円になる。[ショボーン]RX-7で弁当を二人で食べる、(ウーウー)(フォンフォンフォンフォン)相変わらず煩いのであったのだ。
救急車、パトカー、果ては消防車まで出動した、『抗争事件の真相は謎であった』(八高新聞)より。
目撃者に八高寺【ソフィア】の土方年男、が居た・・・・・・・。
【高尾・愚劣】、暴走族、マルソウ、構成員36名、東八連合の配下に加わらず頻繁に激突していた。
【八高寺の恐怖】吉野がリーダー。
吉野広吉(19歳)
長久地区在住、喧嘩十段の異名をとる素手ゴロの達人、幸司とは1年前に、ピンサロの待合室で目が合い殴り合いに発展して以来の仲。
引き分けたが双方でいり禁止になるわ、補導されたが、少年課の仏の山内と言う、老境に入りたての巡査長に助けられて、前歴付かず。
幸司が気に入り、大の親友である。
関東一の喧嘩の達人と言われている、因みに、東八一のワルの異名をとる中嶋とは犬猿の仲。
職業 鳶見習い、、愛車ZⅡ750RS(タイガーカラー) 車、MRⅡ84年式。
少しずつ車列が動き出した「あ!動いてきたねキャシーたん」
「コウジ キスして」と、チュットとキスする幸司。
【クニュクチャ】っと深くキスするキャシー。
車列に割り込んでハザードで挨拶する、出発進行~。
忠実屋の前で検問に合う、「はぁ~暴走族の喧嘩ッスか怖いですねぇ~」とトボケル幸司「どちらまで行きます?」とメモで免許証の項目を写すサツカン
。「ちょこっと、コノ子を送りに福生まで」
「何処から来たんです?」
「山梨のほうだよん」
「トランクと車検証見せてください」
「なんでだてめぇこの!」怒!
「わたしーが保証するわ、コノ人カンケイナィデス」とキャシー。
「はぁ、しかし見せてもらえればそれでいいです」
「オッサンいい加減にしな、東八署の矢部警視とは親父が親友だぜチクルゼ」
「ますます、今夜の抗争に関係ありそうだな」
「死に急ぐなよ、マッポ、野郎!!」怒怒。
「オイ!侮辱罪で逮捕する」と機動隊員が集まってくる。
「侮辱だとこのジジィ~」と車から出て、警防を構える機動隊員の一人に水平中断蹴りが飛ぶ。
(ボキキュシャ)樫の木の警防にヒビが入る。
「おお~!」機動隊員はおろか通行人も驚く!
すかさず、指揮官から笛が鳴る、ジュラルミンの盾で4方から押さえつけられる、足払いをされてモンドリウツ。
キャシー冷静に見ている、キャシーバッグから出した携帯電話を指揮官に渡して、「会話しなさい!毅然とした態度で言う」
「何だコノ小娘、の 売女 携帯とは生意気だな、ヤクザの紐にでも泣きいれたか んん~ん?」ニヤツク、指揮官。
「早く電話に出なさい!」
「ん~もしもし 私は西東京方面機動隊の小隊長の坂上だが」と36歳の坂上五郎は言う。
「ああ~私は 内閣官房長官の大渕だが、無実の少年をすぐさま釈放しなさい!」キリッ
「ああ~ん 大渕さんて何処の組~ええ~?言ってみろやくざ者め」怒
「コノ大渕をやくざ呼ばわりしたね、君の小隊はどうなるか、警察庁長官の大山君と相談するよ、とにかく釈放しないと君の家族も泣いちゃうよ。」
その時無線が入る、(ピコンピコン え~西東京機動隊第15分隊の坂上小隊長、警視総監命令で、件の少年Aは無関係と発覚したので釈放しなさい、命令以上)
もう一度電話を取ってみたが切れてた、、(つーつーつー)
「ヘイ サカガーミと イッタワネ これに全部録音したわ、法廷で争いましょうか?」
「はぁ~お嬢さんどうか勘弁してください、コノ男東京で一番の悪名を持つクズなんです 絶対かかわり有ります、どうか今夜の事は 内密で」と4万円ポケットから出して渡そうとする。
「ん~ふん ジャパニーズの侍魂はあんたには無いの?」と4万円投げて花びらのように散る札束にヘアピンでど真ん中のユキチの顔にピタリとそろえて刺す。
手に取り札束をくしゃくしゃにして投げ付ける、平伏する坂上小隊長、涙を浮かべながら悔しがる部下達、寂しげに折れ曲がった樫の警棒が秋風で揺れる。
ようやく開放された幸司は意気揚々と24時間営業の牛丼屋に入る。
特盛を2杯食べる、キャシーは並盛で紅生姜と醤油をどくどく入れる、顔をしかめる幸司(汗
会計はキャシーが払う(店員が羨ましそうにキャシーの男幸司を睨む)
RX-7SAは一路多摩大橋に向かう、中央高速の下を横切る、石川町を過ぎ日野に入る、日野で暴走族がゲリラ的に湧いていた5台くらい居た。
「日野のメッケーヅズ」かぁ独り言を言う幸司、「ん~ん?」と小首をかしげるキャシー。
多摩大橋は渋滞していた、カーステレオからBZ‘が流れていた、多摩大橋の中程でまた単車数台が走り抜ける、東八連合の旗が翻る。
残党であろう「ちっまだ居やがる、死に底ない達が」と幸司が罵る。
「あ!東八のフセインの車じゃんか~」と大声で喚く、2ケツの単車が行き過ぎる。「誰が、セイントセイヤじゃぁ」窓を開け怒鳴る、
「キチガイコウジ~悔しかったらかかってこいよ~w」後続の単車も罵る。
ドアァを開け出て行こうとする幸司、やめる。
車列が動き始める、昭島地区の中神付近に出る、橋を渡ると案外空いている奥多摩バイパスをスムースに駆け抜けた、16号に合流する拝島橋の前を横切る。
16号の右折の信号で止まる、赤である、大型トラックが多い。
16号線拝島陸橋をを登る線路を越える、16号を80キロ巡行で走る、福生に入る、第五ゲートをパスする、RX-7は横田の軍人が好んで乗っている、あまりコノ辺りじ珍しくないのだった、米人好みであろうか?東福生入り口の信号を左に曲がる、わき道にそれると住宅街だ、住宅街の奥に行くとキャシーの家がある、青い屋根の新築の家だ、車から降りると暑い口付けを交わした二人であった、二人は恋人気分であったが、どうなることやら分からなかった。
日曜午後十一時頃
幸司は溌剌として帰った、RX-7のパーツのカタログを読んでパーツのことを考えている、午前2時 東八団地の駐車スペースにRX-7を駐車させる、ヘルメットとジッポーは父からのお土産であるジッポーはビンテージ物であるヘルメットは白でスモークの入ったバイザーのジェットヘルである鍵をジャラジャラさせながら2号棟に向かう、自宅の階段の前で子猫がなく、サッと逃げる自宅は201号室である、部屋に入る、ドタドタやかましく歩く、竜司が泣く(おぎゃあおぎゃあ)直子が目を覚ます、ソファーで寝そべり「今帰ったぜ」と何処から仕入れたか分からない、葉巻を呑む、「幸司うっせーよこんな時間にぃ」と直子が怒る、幸司は風呂に入ろうとも思わないで寝ようとする、と「幸司何紅つけたシャツ着てんだよ、また女遊びか?おら」と幸司の頭を蹴る
「イテェ~ナおめぇこの」と枕を投げる、枕はムササビのように飛び、直子の顔面に直撃する、直子は顔を高揚させながら掴みかかる、幸司は直子を平手で打つ、直子の目から涙がポロポロ零れ落ちる、幸司は直子を抱き抱える、髪の毛を優しく撫でる「なぁ直子電車で着いたんだよ、ねぇナオたん~」と幸司大嘘を言う「本当に?」と直子。
「うん、電車で中野の友達の家に行ったんだよ。」と幸司いけしゃぁしゃぁという、「一人で・・・・?」「うん、一人だよ」「ねぇ抱い毎日一人で寝ててさみしーのネェ抱いて」
ばさりと服を脱ぐ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
日曜日の朝は明けていく、魔の土曜日は過ぎていった。
あくる日の事
昼を過ぎても、幸司は寝ていた、「ねぇおきてぇ~」と直子が甘えた声で言うが幸司は目を覚まさない、「ね~ん」と小突く、まだ目を覚まさない、「う~む、波子た~ん」とキスを迫る、「コラ、タコナス野朗」と枕を蹴る、ドヨ~ンとする直子。
午後2時幸司が、起きる「オイ 直子 メシ」 「シ~ン」誰も居なかった。
「う~んキャシーたんの所行くかなぁ」(トゥルルルルルルルゥ)電話が鳴る、幸司は出なかった。(ピーピーピーピー)ポケベルが鳴る。
「ちっ何だ一郎か」
電話をかける幸司(トゥルルルルトゥルルル)カチャ「ハイ砂川ですけど」 「天海だが、一郎先輩何か?」 「おい、昼に来るって約束したじゃんか」 「ほぉ忘れて居た」
「RX7のパーツ買いに」 「お!そうだったスマソ」 「じゃあ今から行くわいなぁ~」
「待ってるぞいなぁクハハハハ」 伴宙太ゴッこをする二人であった。
服を着替える、革ジャンにジーンズに薄いブラウンのシューティンググラスを掛けて、家の鍵も掛けずに部屋を出る、歩いて2分の駐車場につく、エンジンスタート(キュルキュルバロロロロン)少し汚れが目立つRX-7、ロータリーターボが唸る。
快調にエンジンが回る(ブローンブフォフォフォ~)走り去るRX-7を近所の香具師が見送る。
ガス欠気味のRX-7のメモリは減る、出光のスタンドに入る、「ヘイヘイヘイヘイOK」
と店員A「いらっしゃいませ、レギュラー今日も千円スカ?」
「お!舐めるなよ今日はコレがある」と、VIZUカードを見せる。
「先輩リッチですねぇ~」
「うふふふふふ」
「レギュラーじゃなくハイオク満タンな」
「え?ハイオクじゃロータリーじゃ勿体無いスよイミネェですよ」
「そうかじゃっレギュラーでワハハハハ」と馬鹿な幸司であった。
給油終了、スタート20号へ入る、旧道である、旧道のほうが空いているからだ。
左へ折れ河川敷の道に出る、関戸橋にブツかる、カーステレオから渡辺美里が流れていた、関戸橋を渡る、桜サンリバーが遠のく、シェルのスタンドを通り抜けて右車線に入る、聖蹟桜ヶ丘の駅前を通り抜ける、路上駐車が多い、川崎街道本線を行く、ガソリンが少し減る、川崎街道は渋滞が続く、クラッチを乗せる足が痺れ気味になる、百草園にようやくたどり着くのに20分ばかり、百草園から高幡不動までまた渋滞する、豊田に曲がる交差点付近で大分道が空く、スムースに動き始める、森林の多い住宅街を通り抜ける、右手にダイクマが見える5本目のタバコに火をつけた、ダイクマ付近から一気に3速110キロで走る(ブロロロ~)ターボが利く6000rpm付近で走行する、八王子バイパスのランプウェイに入る、バイパスに合流する、北野の信号を左に折れ、二本目の路地に入る、砂川工務店と看板がある、工務店の店の前にドン付けしてRX-7を止める、ガチャリ(ブロロロン)エンジンが止まる、工務店に客が来ていた、「チースオバサン」 「まぁ幸司君、何しに来たの?仕事月曜日よね~、一郎ちゃんの事?竜ちゃん元気?直子ちゃんは?カルピスでも飲んで休みなさい」「よぉ天海君」と野々村不動産の社長が挨拶する、「いや~すっかり涼しくなったねぇ、今度仕事頼むよ」
「うぃーす」
「幸司君、カルピス、はい」とお盆に載ったカルピスのコップを渡す。
「何の用?」
「用がなきゃ来ちゃ行けないっすかオバサン?」
インターフォンで一郎を呼ぶオバサン「一郎ちゃん、幸司君が見えてるわよ、用がなきゃ帰ってもらうわよっ」
5分位して現れた一郎「遅いぞ幸司!!」と威張る一郎。
「うっせーよ早く行こうぜ!!」
「ど、何処の店行く?」とびびりながら言う一郎。
「住吉町のオートパックス何てどう?」
奥で不動産屋の社長と話するうるさいオバサンの声が聞こえる。
「板橋の大野オートショップが良いかな?」
「オートショップかまぁいいか、遠いからオートショップ横浜、高尾店に行くか」
「近くでまいっか」
「行くぞ砂川先輩」
「おう」と工務店を出る。
「一郎ちゃん、遅くならないでねぇ、晩御飯はお家で食べるのよ」と砂川のオバサンの声がした。車に乗り込む(バタムバタム)
エアコンを入れようとして右手をチョップされる砂川一郎。
「いて、何すんだよ!」
「エアコン付けると燃費わりぃから窓開けろよ。」と幸司。
「しょーがねぇな~」とパワーウィンドーで窓を開ける。
爽やかな北東の風が入ってくる、イグニッションキーヲまわす、(キュルルバルルルルンバルンボボン)ローに入れないでセカンド発進する、(ロロロローン)ガソリンのメモリの減りが早い。
公道に出る、左右安全確認してからスタートする、子安方面に出る道は結構渋滞してる。
三叉路を青で運よくパスする、前をカローラFFのGTが走っている、吹かして煽る、(バロンバロンブオ~)窓から、顔を出して後ろを見る、パンチパーマの30がらみの男、厚化粧の助手席の女も、睨む。
「スミマセ~ン、この馬鹿が吹かしちゃってぇ~」ペコリと頭を下げる一郎、ゴツンとゲンコツを浴びる一郎「イテッ」涙目になる一郎・・・・。
子安、八王子駅南口のパチ屋が見えてきた、南口の寂れたロータリーを通過する。
線路と平行していく、前のカローラGT左折する、西八王子方面に行く、西八駅の手前で右折する線路前で左折、(お好み焼きアタ福)に、寄る、路上駐車する。
何時も昼間は閉まっているが、開いていた、煤けた暖簾を潜る。
「いらっしゃいませ~」中年の男前なお姉さんが出てきた。
「ウィ~ス」と幸司。
「こちゃ~ス、加賀見さん」と一郎。
「あらやだ~幸司君、半年前に内装やってもらっていらいじゃない、久しぶりすぎるわねぇ」ウフッ
先客に、名打ての住所不定者立川区のゲンコツ鉄が居た、、、、、、
一郎気づく「・・・・・・・・・・・・」デューク東郷のように寡黙になる。
鉄は『揚げ玉』を食べていた。
「加賀見さん、オレミックスねぇ~」と幸司。
「オレ モミックスデスハイ」怯える一郎。
睨む鉄と、幸司目が合う。
「よう、小僧オレにも奢れや」
「こりゃ 立川のホームレスじゃないかい ぬははは」
持ち込んだワンカップをグイと飲む鉄。
臭い息を吐きながら、幸司に近寄る、肩に手を回しスリーパーホールドをする。
「ヌハハハニャヒャヒャ、オジサンね~お家あるのよ~」グイグイ閉める。
「ウググググルジイ」と幸司喘ぐ。
「止めなさいよ~鉄さん~」とアタ福のママ。。。
一郎、顔面が引きつる「・・・・・・・・・・・・・・」
「この!」
踵で鉄の爪先を踏む。
「ウギャギャ~」鉄飛び上がり、痛がる。
「ふぃ~オイ、ホームレス!いてぇ~じゃねえか!」
「スンマセン スンマセン」一郎、謝る。
「ゴメンネ幸司君、家の人が酔っちゃってぇ」
痛がる鉄の背後に回る、椅子で殴りつける!
瞬間、丸椅子の中心が凹む、凄い衝撃波で幸司の腕がしびれて椅子が手から落ちる。
「まぁ~テッチャン椅子壊してほんとにもぅ~」
皮手袋を付けた左手が、正拳突きを浴びせたのだ、ゲロを吐いてる鉄。
「うげ 飲みすぎたなぁ~ウヒャヒャヒャ」踏み込んできた鉄の左ジャブが幸司に伸びる。
(パシッン)幸司の右ストレートと激突する、幸司の右拳から血が出る。
「ウヒャヒャヒャ コンノガキャ~」と鉄が激昂する!
鉄の膝蹴りが幸司のミゾオチに入るが幸司のローキックも決まる、コケル鉄、よろけて呻く幸司、店先に居た客が見物している。
5人ほどのギャラリーが出来る、「オイ、木村と力道山以来のファイトだんべ」
「俺はあのわけぇ~のが長州に見エルベ」
「おい立て、木村!」と鉄を抱き上げる、「へへへオッちゃんさんきゅー」と鉄。
「力道も立て!」ピョントトンボを切りながら立つ幸司!
「オイ、インチキホームレス、右手の手袋取れ!」と幸司。
「オジサンお家あるのよ~うふふふふ」と通称ゲンコツの鉄笑う・・・
「お家あるのよじゃねぇよ、立川銀座で奢った餃子代返せ!ヒモオカマ!」
「ぬぅ、オジサンの必殺の左喰らったの忘れたのねぇ~」
「ウフフフ、俺のクロスカウンター受けて見ろ!ヌハハハ~」
「おお!6回戦ボーイ以上の高等技術クロスがおがめんべか~」とギャラリー騒ぐ!
「よよ白井とファイティング原田だんべ」と技術職人風の男がほえる。
「力道が強いか!木村が勝つか!」
「俺は長州と藤波だな」と若手の職人が言う。
2メートルくらいの輪が出来る。
中心で幸司と鉄がにらみ合う、、
「オイ ジイサン得意の左打って来いよ」
「オジサンまだ40代なのよね~くぅ~」っと左ストレートが伸びる「ホイ、来たよっと」
(ズキュンキュンキュン)
外側に右ストレートが弾かれて鼻を打つ幸司。
「うふふふふうふ」鉄が傘を持って幸司の腹を突く。
伸びる幸司。
「力道長州が負けた~」歓声が上がる!
その時むんずと股間を後ろから摑まれる鉄!
「イデデ」お好み焼き用の鉄板の上にボディースラムを喰らう鉄。
ノタウツ鉄の頭上に一郎が泣きながら喰らい着く。
幸司目が覚める、フルネルソンのスタイルで鉄を押さえつける一郎。
一郎と目が合いニヤリとする幸司。
左の当身が鉄のみぞおちに食い込む!(とぷん)「うげげげ~」
ゲロヲ吐く鉄。
「ハイ今日のタイトルマッチここまでよ~」と店のシャッターを閉めるママ。
「ふぅ~加賀見さんスミマセン」と一郎。
「いいのよぅ~ウチノ人が喧嘩、いつもなのよ、ごめんね幸司君今日のはただでいいのよ」
「この野獣今度噛み付いたらゲンコツで泣かす!」(ムカムカムカ)
手袋を脱がすと、カイザーナックルがゴロリと出てくる、表面に血がついていた・・・・・・・・
「よぉシャープ兄弟、いっぺえ奢るぜ」
「いえ 運転中なので スミマセン 」ペコリと一同に謝る一朗。
「いよ、ロードウォリーズ見たいだったじゃんかっくいい」
奥の席に八高寺ソフィアの土方年男が居た、(ニヤリキラーン)と目が光る。
手当てをしてお好み焼き二人で4枚食べて店を出る。
車を線路沿いに出す、一本目の路地を左に曲がると街道に出る。
街道を右に出る、散田町に出る、直ぐそばのガソリンスタンドを左折一本目右に折れる、右手にオートショップ横浜・高尾店がある。
車が駐車場に入り切らない、幸司は路駐する、車列が出来ている。
パーツ屋のショーウィンドウを眺める、S13のマフラーをジロジロ眺める「コレつかねーの?」と幸司が一郎に言う、「つかねーよS13じゃん」「あっそうか、13ねぇ~」鼻血止めのティッシュを捨てる。ポカリと一郎をハタク、中に入る、籠を取る、早々と一郎がパワフィルターを籠に入れる、SA30用のマフラーを探す、MAZUDAのコーナーを用心深く探す、APコスモ用のはあるが肝心のSA30がない、店員に尋ねる一郎「SA30用のマフラーって有りますか?」「ちょいお待ちを」とパンチパーマの兄ちゃん店員、10分ほど待つ、五千円のドライビンググローブを買う籠に入れる、リアウィンドウ用のスモークフィルムを入れる3,000円也、BBSのホイールの買い物札を入れる、ソレックスタコ足の札も入れる、ソレックス四連キャブレターも札を入れる、PIAAのフォグランプも買う、カヤバショックの、サスの札も取る、店員がやってきた、「有りました1個だけです、FUJITUBOしかありませんが良いですか?」「良いよいくら?」と幸司。
「工賃込みで18万サービスで15000円負けます」「OK頼むぜ」
「ふ~ん すげ 勢いで買うなぁ」と一郎。
「フフフフフフ」とVIZUカードを見せびらかす、「良いのかよ?それ直子ちゃんのじゃないのかよ?」「良いんだよ、直子のバァサンの物だからウフウフ」とニヤケル幸司「ふ~ん」と一郎、肩で風切る、粋な兄ちゃんの肩にブツカル、幸司眼をつける眼が合う、粋な兄ちゃん幸司と気づく、「スミマセン」とショボーンとなる。
「おうよ、以後気をつけたまへ」と幸司行き過ぎる、レジに列ができている、一郎に並ばせてお店をめぐる幸司、10分ほどで順番が来る戻る幸司、。
「パーツはお店で取り付けですか?」とハイティーンの少女が言う。
「うん 任すぜ 今度美味しいラーメン屋一緒に行こうか?」と幸司。
「嬉しいけど私決めた彼氏居るの、ごめんね、確か幸司君だよね今後ともお店をよろしくね」「おし、握手する」「サスペンションの調節はどうします?」
「任せるぜ一郎、」「オッし」女の子の店員が奥に一度引っ込み5分ほど待つ。
「エーと工賃も合わせて150万です、この書類に住所と電話番号お願いします。
「これで」とVIZUカードを出す、熱くて顔が昂揚して薄桃色だ。
「はーい、お車3番空いたらおよびしますのでお待ちください」と控え室を指差す。
「OKベイベイ」と臭いせりふを吐く。
会計のレシートにサインする、領収書をもらう、(32番のお客様3番にどうぞ~)車を3番に入れる一郎前向きでパーキングする。
控え室に行くと、身長が190センチくらいのデブと、タバコを吹かしながら眼の付け合いをしていた、怯える砂川一郎、幸司の前の席にきて右腕を差し出すデブちゃん。
おもむろに右腕を差し出す幸司、鉄にやられた拳が痛い。
腕相撲の体制に入る「おっしゃー」掛け声一発二人組む、(ガシッガツン)幸司、おされ 気味になる全体重を右腕に掛ける。(ガツン)
デブの右腕が机に擦り付く「イデデデ、負けた~」腕を放しデブが言う「兄さん強いすね」 「アイアム いちバーン」と力こぶ作る、腕が痛い、ショボショボ涙が出る。
「自分 砂嵐という幕下の相撲取りです、ウィス」 「オレ幸司だ押忍」(3年後綱取りになるとはこの時には予想だにしなかった2人である・・・) また眼の付け合いをする二人30分ほどすると、砂嵐出て行く。
【タニマチ】から買ってもらった【カマロ】乗っているのを幸司見つける、「おい、デブ今度も秒殺してやんからな」 「ウィス楽しみにしてます、素人に負けっぱなしじゃ笑われますからね ウヒヒヒ」 カマロ出て行った。
控え室に戻り、タバコを吹かす幸司である、人目につかない奥の座席に土方年男が幸司を見ていた(ニヤリキラーン)と眼が光った。
二時間待った、32番のお客様出来上がりました。アナウンスが流れる、「オシ出来たか」ワクワク。
整備士が出迎える、「オイル古かったのでサービスで交換しておきました」笑顔で言う整備士、「おう、オイルマッサージおつだぜ」
「いえ、オイル交換です、フィルターも交換しておきました。」
「お金掛かるのか?」
「いえ、サービスですから」尚も笑顔の整備士。
「オイルってマッサージじゃねーんだ クククク」
「だから、交換ですよ~」尚も笑顔の整備士。
「デフは洗ったか?」
「はぁ、大分シャシーが痛んでたんで、サービスで色を吹いておきました」尚も笑顔の整備士。
「ハンドリングの調節はしたか?」
「はぁ~整備日誌で見たのですが、試乗もして確認したので異常はないですね」ニコリと尚も笑顔の整備士。
一郎に頼んでおいた、ナルディーのステアリングを持ってくる。
「オイ兄ちゃん、コレも着けてよ!」ぴしゃりと言う幸司。
「はぁ~でもハンドルBOSSも無いから着けられませんよ。」尚も笑顔の整備士。
「オイアンちゃん、オレのボス呼んで来いというのか?」幸司まじめに怒り出す。
「いえ、ハンドルの付け根ですよなんなら私が探してきますね」尚も笑顔の整備士。
「いや、一郎に探させるから、オレに整備の勉強教えてくれ!」
「一郎、太陽にほえろのボス探して来い」と幸司。
「石原裕次郎ならお亡くなりになってるぜ」と一郎。
「良いから買って来い!」とカードを渡す。
「整備の勉強ですかはぁ~」尚も笑顔の整備士でした。
整備士の名前を聞く「横田清二」と申します、何かあったら何時でも相談に来てください。尚も笑顔の整備士であった。
ステアリングの装着はただで済まし、幸司が運転して出て行く。
「エンジンスタート」掛け声一発、(キュルボボボルルルルン)
「では行くぜ清二君あんがとよ」と整備ロッドから出て行く、(キュキュキュキュキュ)RX-7 は元気良くスタートして行った。
次の車は、かの土方年男のであった[はぁ~また不良のくるまかぁ~]肩を落とす整備士、横田清二である・・・・・
「お!幸司良い感じジャン」
「だんべ?」
「ん?」
「行くぜー」
「何処に?」
「狭山湖だよ、キャシー連れてな、お前家に帰れよ」
「俺も行きたい」
「CR-Xで来いよなお前ウザイからぬはは」
「え~オレもコレ運転したいよ~」泣
RX-7は途中で砂川工務店により一郎を降ろす。
「先に行くゼヨ」(ブロロロリューンヒュー)去っていくRX-7。
16号バイパスに出る、空いている、アクスルが前より踏み込みが5センチ浅くてもスピードが乗る、アクスルのレスポンスが良い、(ブルヒューンヒューン)5速で軽く160キロ付近でメーターの針が揺れる、メーターは購入したときから付いていた社外220表示メーターだ、SA33ターボリミテッドはあっと言う間に左入町の信号に止まる。
右車線に寄る、グリーンに光る矢のように拝島橋を突き抜ける、200キロに針が届く、5速フルスロットル、200キロ表示の下に揺れる200キロ、オーバーである。
グリップの良い柔らかいタイヤが路面に食いつく、橋を渡り切ると信号が赤から青に変わるタイミングだ、4速にヒール&トゥで落とす。
16号と奥多摩バイパスの合流する信号で、スバルのディーラーがある右斜め上方面に車を向ける、(キュルキュルキュル)タイヤが鳴る。
「ウ~ン ゴージャス」と幸司一人ゴチル。
狭くなる道幅、郵便局支所があり市街地に入る。
昭島子供病院の前の信号が赤で止まる、5分ほど待つ、女の子のミニスカートのの中を覗こうとする努力をする幸司、イトーヨーカドウの脇のに出る、正面に昭和飛行機の工場が見える、踏み切り手前で左に折れる、轟音を残しパワースライドする(キャッキュルキュル)カウンターを当てる、少し車体がよれる、フルアクスル、立て直す、対向車をよける、思い切り左に寄る、自転車を避ける、歩行者を避け110キロ走行する。
あっと言う間に踏み切り、一時停止する、対向車を気にしながら踏み切りを右折する。
西砂のストレートを80キロ走行でパスする、途中の信号を左折する玉川上水の脇に出る、ストレートを走る、橋の信号を左折し、渡った信号を右折、拝島団地に出る、少し凹凸の激しい信号を渡る、少しRのある踏み切りである、拝島駅北口のロータリーの前に出る、道幅が狭い、2t車が入ってくる、すれ違いがきつい、少し幅のある場所ですれ違う、拝島から16号に出る、16号線を一気に下る、川越入間方面に向かう、第5ゲートを過ぎる、東福生駅入り口の信号を左折する、路地に入る少し行くと、キャシーの自宅だ、青い屋根と無線のアンテナが目印だ。
ジョニー・ 山田の表札が見える、車を横付けし降りた。
インターフォンを鳴らす、「ハーイ」と返事が返ってくる、「オレ天海だけど」
「Ohコウジ」と、ドアが開く「オーイエェイ」とキスの嵐。
「コウジ、ドライブ連れって」
「OK、今からベースボール見に行くんだが?」
「ナイス、いいわコウジ好き!」とショートパンツとライダーズジャケットの姿で出てくる。
RX-7に乗りシートベルトを締めるシートベルトを締めないコウジ、馬鹿丸出しであった・・・RX-7は走り出す、東福生から16号に出る、16号を北へ北へ、右手に八高線の線路が見えてきた、右手に横田基地の明るい照明が仄かにチラつく彼女キャシーの眼が潤む、キャシーの手が自然に自分の胸を揉む、RX-7リミテッドターボは新青梅街道を右折する。
新青梅街道は車がまばらに走っている、左車線いっぱいにジャッキUPした10t車がスペアタイヤに交換していた、少し混む、右車線にバラードスポーツCR-Xが入ってきた、パッシングする幸司、右に入りハザードを2度点滅するバラスポ、ちゃんと挨拶したから幸司絡まない、前が空いてきた、キャシーが仕切りにしゃべる、キャシーのたどたどしい日本語が可愛らしい、スピードを上げる、三本榎で左折する、ライコランド武蔵村山店のある信号である、右手に出光のスタンドが見えてきた、学校のグラウンドが左手にある市役所の先で右折する、信号で一分ほど待つ、右折する、旧青梅街道である直角に道沿いに曲がる、交番の前の信号で止まる、警官の顔が歪み睨みつけてくる、大曲をパワースライドする12Aロータリーターボの威力である、抜けがよく、165PSの最高出力以上の戦闘力を発揮する、(ボボボボボルルルヒュヒュー)SA33RX-7はスピードを上げる西武球場に向かう、ハヤシヤと言うコンビニがある、次の信号を左折する、昭和シェルのスタンドがある、登りが急になる、クネクネ曲がる路面を軽く走破する、森林が見えてきた、右折する下り坂に入る、直ぐに一本橋が見えてくる、「OHビューティフル」狭山湖と多摩湖の湖面が青く光る、100キロから60キロに落とす、ライムグリーンに光る湖面が美しい、花火が上がる西武球場、清原コールが聞こえる、第二駐車場が空いていて、消化試合の近鉄戦全試合最終日である、雨が多く伸び伸びになっていた試合であった。
キャシーの腰を抱いて切符売り場に向かう、切符を買う、西武球場の階段の無い登り坂を左翼席意向かう、狭山ラーメンを2人前買う、「ザワザワワーワー」歓声とドヨメキが起こる、外野の鳴り物が音楽を奏でる、客の入りは6割である、1992年のシーズンも暮れなずむプロ野球である7対8近鉄リードである、何気にキャシーの胸を揉む幸司である、キャシーに話しかけるがザワメキデ聞こえない、当時は屋根の無い球場であった、ワタアメを食べるキャシーは少女の面影を残した可憐な花のようだ。
清原が打つと眩いばかりのフラッシュが炊かれる、秋山に代わり代打田辺が出てきた、秋山はスライディングで足を痛めたようだ、ピッチャー投げる、ライト線へ大きい当たり、切れる、タメ息が出る熱戦を見つめるキャシーの肩を抱く、打球がライトへ上がるが切れる、(あ~あ)歓声からため息へ第3球佐々木修が投げた、田辺打つフラフラっとライトへ上がる、ライト村上捕球の体勢、バックバック、フェンスにジャンプ、入った~。
(ドワァ~)と地鳴りのように響く、ヒーローインタビュー見に内野に行く二人。
花火が上がる、平成3年のプロ野球公式戦終了である、(ドパーンドパーン)花火が続く「え~そうっすねぇ」 「打った球は?」 「しんかーかな?最後だから思い切り良く行きました」 近くで文化放送を聞く親父がボリューム上げていた、(ドワァ~)「日本シリーズも頑張って下さい」(ワーワー)「ヤクルト倒して日本一だ~」(ドンドンピーヒャーラ)最後に森監督の挨拶が待っていた、「キャシー行くべ」と幸司通路に行く、通路でタムロする応援団、近鉄組は荒れていたw
通路で泥酔して倒れてるおっさん。。。。。
店仕舞いしているお好み焼屋、半額で2枚買う幸司、「キャシーベリィナイスな試合だったな」 「ヘイコウジシャワーアビタイよ」とキャシー。。。。。
2人は20分後ラヴホテル【エリザドベス】に居た、幸司は遂にやってしまった・・・・・・・。
ショートワインディング
狭山湖、多摩湖は2輪が走れなくなって久しい、狭山丘陵は、埼玉県南西部及び東京都北西部にまたがるほぼ中央に位置し、東西約11km、南北約4kmに広がる独立した丘陵地である。
南に東大和、南西に武蔵村山、瑞穂、北に所沢、東方面に東村山がある。
午前0時、幸司とキャシーは、狭山湖の駐車場に居た、所沢の走り屋ワイルドキャッツアイ、通称【W,D,I】の輪の中で、駄弁っていた、マシン自慢の20代の男に嫌と言うほど、AE86の自慢話を聞きウンザリしていた。
キャシーは男たちのナンパをあしらいながら、幸司に寄り添っている。
武三区の、族武三ぺスターの一団30台以上が乱入してきた、幸司はRX-7を隅に移動させて見ていた。
口喧嘩が始まった、「オイガキぞろぞろくんな!」ぺスターの、特攻金山五郎が胸倉をつかまれて「なにしやがんでぇ」蹴りを入れる。
「族が来んなよそものが!」W,D,Iのリーダーの野口が「オイ何すんだよ」、そこに武三ぺスターの頭、通称【女ロデオマシン】泉今日子がCBRハリケーンでスピンターンする。
「オヤメ!アタイ達が何所、走ろうと勝手だろ、この小僧寿し野朗!!」と大喝する。
W,D,Iのメンツが逃げ腰になる、4,5人が野口の周りを囲む、ペスタ得意のリンチ作戦だ!
三人が一組になり一人一人を取り囲む、中心に居る金山のケツに後ろから蹴りを入れる黒い影、リーダー今日子が目をむいて驚く、他の二人が振り向いて、驚きの顔!
2人のミゾオチに当身が2檄・・・・・
2人水を吐く、「ちょっとぉ~コウちゃんやめてぇ~」悲鳴を上げる今日子。
「オイ、此処は所沢の島だ、荒らすんじゃねぇや」とカッコイイ幸司。
空き缶が飛んできて頭に当たる、、、ズッコケ。
「皆、オヤメ」今日子は叫ぶ。
「コウちゃんごめんなさい」土下座して謝る、「オイ今日子よぉ~此処は走り屋の島だ出て行ってやれ」と幸司」
「オイ、フセインうっせーぞかっこつけやがってデブタ」と金山。
「誰がセイントセイヤじゃこら!」
「この低脳馬鹿か?ん~ん?うひゃひゃひゃ」と金山。
近づく二人間合いが詰まる。
「金山さん今日こそ息の根止めてください」
「そうだぶっ殺せ!」
「ころーせ ころーせ ころせ!」
殺せコールがペスタ側の30数人からコールが起こる!!
さらに間合いをつめる二人、目と眼が合う火花を散らす。
同時に右ハイキックが飛ぶ、ビシッ!!二人が上段をガードする、幸司余裕にスウェイバックしジャンプする!
受けた腕が青くむくれる金山「イテテテ・・・全然きいてねぇやうひゃひゃひゃ」受けた手がブラリト垂れ下がる。ガーーン
止めを刺そうとする幸司「やめてぇ~金ちゃん死んじゃう~」と今日子、金山にしがみつき泣き叫ぶ。
「ヘイ~コウジ」 「何だねキャシー」と振り向く幸司。
(ビシッ)と平手打ち一発。
「イテ何だよぉ~」
「コウジ だ~め 暴力は」と大声で怒鳴りしかりつけるキャシー。
「誰?その子?グスン」泣きべそをかく今日子。
「分かったよ武三のやつらけぇれ」と幸司。
「うん、金ちゃん大丈夫?」
「痛いけどけぇれるわ」と金山。
「コウちゃんたまには武三に、来てね」泣きべそをぬぐい苦笑いする今日子。
「桃子によろしく」涙をためながら去る、「サヨナラ」チラリと振り向いて呟く今日子。
「今度見かけたらヤキ入れてやんからな」と金山は去る。(ブオーンバリバリバリパラリラ~)去っていく族に石を投げる【ワイルドキャッツアイ】のメンバー、ホッとするキャシー。
「ありがとう、天海君」と一同、午前一時半皆各々に走り出す、SAの幸司も走り出す、幸司橋を渡る、一個目のヘアピンをドリフトさせる、急カーブの連続ヒヤヒヤしながらヒール&トゥで切り抜ける。
S字をゆっくり走る、強化クラッチで足がくたびれてくる、一周周り一休みする。
FCとAE86が駐車場に雨がサーと霧になって降って来る。
車から降りて4人一服する。
「ヘイノダ 勝負 勝負 幸司と」
「え?勝負って幸司君と?」
「YES」
「う~ん 此処は シビアなコースだからね 地元民じゃないと 慣れてないからキツイけどな アハハハハ」とタバコをもみ消す。
「天海君は初心者だからね」とFC-RX-7の山口が言う。
「ウフフフフフフフオレに勝負っすか、良い度胸してやがるね」
「よし!幸司君手本を見せようかアハハハ」
「付いて来れるかな?」とにやつく。
「良いですよ うひゃひゃひゃ」タバコをピンと飛ばす幸司。
「ヘイ コウジ GO」
雨に濡れてジュッと火が消えるマルボロ、4人配置に付く(バタンバタンバタンバタンし~ん」。
(キュルルルブオ~キュル ブオ~キュルブリュンブリュンブリュン)三台がエンジンを掛ける。
先頭を行くFC、続くレビン86、そしてSA(ブオ~ンヒュルルル)三台発進一気に80キロに届く一台一台コーナーを回る、(キュルキュル)タイヤがきしむ。橋を渡る120km、坂を上る、脇道のラヴホテル街に入る、坂を80キロ台で降りる、タイトで狭いコーナーワークが必要だ。
初代シーマがグリーンのボディを見せてトロトロ走る、86煽る、坂を降りて直角気味に右折する3台一斉に曲がる、ケツが流れるSA、パワースライドする、MOMOのステアリングを目いっぱい回す、「オラ、早く行け」幸司は一人せかす、一発目のヘアピン60キロアンダーで回る、グーンと近づくSAにプレッシャーを感じる野田、ロールバーを装備している86レビン、コーナーのたびにグーンと鼻先をかすめる様に接近する、S字で120キロを一瞬で回す、(ヒュルヒュル)タイヤが鳴く、目の前でAE86がヨタル、幸司一瞬でブレーキングする、(パァ~ンガシャン)幸司サイドブレーキを引き右に目いっぱいにハンドルを切る、その際、ヒール&トゥで、2速落とす、スピンする(ギャーギャン)タイヤが鳴くAE86が横転してるのが後部ミラーで確認できる、キャシー黙って青い顔をしている白と黒のAE86レビンが(ブパァ~ン)フォーンがなり響く、ハンドルに頭を打ったが幸司素早く車を降りる、次々に車が止まる、SAのハザードスウィッチを入れるキャシー、、キャシーも出る、一人一人通行止めに走る、幸司と他3人の男が車を立て直す「そーれ、それ」掛け声を掛けて2転し車は元の位置に戻る、前のサス部分とフェンダードァ一挙に凹んでいるドァをこじ開ける、ノビテル野田メリメリのAE86レビンサスとタイヤがひどい事に・・・
「オイ野田大丈夫か?」と平手で叩く幸司(ビシビシ)「う~ん」起きる野田三点式シートベルトを外している仲間、レッカーが来る前に交通整理していた。
救急車が来る、タンかに乗る野田(パーポパポーパーポー)追うSAの幸司とFCの山口、大曲から一直線に新青梅街道、大学のグラウンドを左に曲がると武蔵村山台病院である、門が開いている、後ろから続く2台(パーポーパポーパポパ)サイレンの音が消える、ロータリーに入る、空いているスペースに車を入れる2台、タンカが病院内に運び込まれる、3人付いて行く救急治療室に入る、幸司にキャシーが寄り添いながら寝ている、山口はタバコを何本も揉み消す幸司はドサクサに紛れてキャシーのおっぱいを揉む、野田の家族が一台の車カローラSEリミテッドで駆けつける。
家族と挨拶する「今晩は、お父さんお母さん幸子ちゃん」と山口が挨拶する。
「この度はご愁傷様です。」と幸司。
「む、息子は死んだのですか?」とオロオロする親子。
「お兄ちゃん~」と泣き出す幸子。
「何だよ生きてますよ、打撲程度らしいです」と山口。
(ビシッ)と幸子に叩かれる幸司。
「イテ、間違いますた~オレは無実だ~」と幸司涙眼、ボヨ~ン。
平手で幸子を殴り返すキャシー「何するのよ、アメリカ人がかんけーないでしょ!」2人にらみ合いになる。
「オイよせよっ二人とも」と山口が幸子を抑える、ピシッと一発キャシーのびんたが当たる「オイ やみぃ」と幸司もフルネルソンでキャシーを捕まえる。「二人ともおよしなさ」とお父さんが止める。
「二人とも大丈夫だから止めなさい!!」
「天海君と言ったね息子を助けてくれてありがとう、キャシーちゃんごめんなさい」
「幸子も謝りなさい!!」とお父さん一気に言う!
「うん ごめんねキャシー」と握手する、幸司はショボ~ンとなる。
野田幸子(17歳)
県立毛呂山学園一年、文学少女、気が強いが泣き虫。
「皆夜も遅いから帰りなさい、本当にありがとう、後で電話します」
「そいじゃまた~」
「明日も~来ます~」とキャシーも言う。
「有難う二人とも、おやすみなさい~」山口も帰る。(バタムバタム)2人はSAに乗る。
幸司とキャシーは帰った。
国民的美少女
午前3時東八市三堀団地2-202号幸司は帰ってきた、幸司は小便をし、シャワーを浴びて、居間のソファーにゴロリ「眠くねえな~」とTVを点ける、西ハトのキャラメルコーン♪「おっナミ坊の奴また出ていやがる、チッ」 「うるさいわねぇTV消してよもぅ」直子が言う「う~ん」ともう寝てる幸司、次の朝午前8時(ピーピーピーピピー)目覚まし時計が鳴る、「う~ん」(ベキ)潰れる時計、「早く起きれコラ」デコピンを鼻に喰らわす。
「う~んキャシー」 「コラ 何処の風俗嬢だっ!」ビシッ手刀が飛ぶ。
「ぷは~直子たんか~」
「今日は仕事でしょ~?」
「お!そうだったった!」「現場は何処だ~現場現場~」
うろうろする幸司。
水鉄砲で水を掛けられる。「あれれ~」
「早く起きれ!」とローキック、すっころぶ幸司、泣き出す竜司。
「あ~れ~竜ちゃん~」と走る直子。
「おい、冷静に直子」と幸司。
「今日の夕ご飯は何処で食べてくるの?」
「今日は武三で仕事だ、遅くなるからマミ坊の家に行く!!」
「へぇ~本当に?」
「いや弟も一緒だからいいべ?」
「あ!ナミちゃんの家かならいいや」
「先、仕事行くね!」と竜司を抱っこ出で行く直子、月給18万円の直子であった。
スニッカーズをかじりながらコーヒーを入れる幸司、今日から親方の富士さんとの仕事である。(コポコポシュー)コーヒーメーカーでコーヒーを入れタバコを吸う幸司、キャシーに電話しようか悩む、コーヒーを入れブラックで飲む、コーヒーを入れブラックで飲む、東都スポーツを読む、見出しに【馬場三十六文唸る!!】(ふーんラッシャー負けたのかぁ)と一人ゴチル。二面に【岡田!愛人オカマちゃん】【宇宙人の骨発見!】【ヒバゴンの足跡!!】【宇野トンネル】【腹の愛人告白か?!】「う~ん世の中色々あるなぁ」と幸司考え深い、歯を磨き、鍵も掛けずに出かける、RX-7の脇で立ち小便する、【お客様】専用ロッドに止めてあるRX-7を出す。ガソリンがEに近づいている。
(バルバルバルブルルーン)近所の昭和シェルでガソリン入れようと思った。
ガソリンスタンドに着く、「オーライオーライOKでーす」「レギュラー満タンな」とキザに言う【VIZU】カードをチラつかせる、給油される(ブーンブーン)給油口から音が漏れる。
(ブーンカチ)と止まる、「オイもっと気合入れてガス入れろや。」と幸司うるさい。
「ハーイレギュラー満タン入りました~」と店員が去る、伝票を持ってくるピーとスキミングする、「ここにサイン下さい」「ん~メンドイなぁ」天海とサインするがカードは義母の物であった・・・。
会計OK、女の子の店員に声を掛ける幸司、左に20号線に出る、明星学園の方角に出る、【チの輔ラジオ】を聞く東八道路に出る道は渋滞していたノロノロ走る、試験場前を過ぎる、路上駐車の車列が続く、大渋滞が続く、ホーンを一台が鳴らすと10台ほどが鳴らす、(パーンパーーンパパパーン)凄い音でラジオが聞こえない、少しするとスムースに車列が動く坂を上り一個目の信号で左に行く、人見街道に入る、バスが遅くて渋滞が続く。
野崎の交差点で左に曲がる、少し空く80キロで前の車に追い付き、ノーズを掠めるタバコ屋の角を曲がり、住宅街に入る右折左折を繰り返し現場に入る空き地に車を止める、数件の新築が並ぶ、鍵を閉めて車から遠のく住宅地図を見る、富士さんが水道屋と話をしてる。
「おはよー富士さん」 「よぅ幸司はええじゃねぇか」部材を乗せたハイエースがっ止めてある見習いの大学生田宮十蔵(19歳)が掃除していた。
「よう、田宮君、おはよーー」
「あ!天海さんお早うございます」とペコリと挨拶する。
新築独特の青い木の匂いが匂い立つ、シンナーの匂いと糊の匂い混ざった様な香がする、「まだ9時半だけど幸司やんべぇか?」 「おし ジイサン行くか」と車に戻り着替え始める、ニッカボッカーに白い作業着の、井出達だ。
「おぅ田宮よぅはじめんべ」
「はい」と用具揃え始めるこの家は下地完了していたので後は張るだけだ。
「サッサ」とクロスと壁の寸法を合わせ、切り貼りし始める、幸司、クロスを綺麗にゆっくり切る田宮君。「おう幸司、おん前この間新聞に載ってた暴走族の喧嘩に居たんじゃねーのか?」と富士さん「いねかったべ、富士さん」と幸司。
「オイ田宮、ハサミ持って来い。」と田宮を遠ざけるが声がデカイ富士さん。
「オイ田宮、カッタ(カッター)取れホレ」「富士さんて富士山ん~よ」と歌う幸司。
「な~んだよ」と富士さん笑う。サッサと自分の分を終わらせた幸司、時間は11時半、タバコで一服付けようとする幸司にライターの火を差し出す田宮。
バッグから、クリームパンを出して食べだす幸司、半分田宮にあげようとするが、断る田宮、「幸司、サボってないではようやれ。」 「富士さんオレの分終わったから休み~」
「二階ヤレこの」とゲンコツを振り上げる。「ねぇ~富士さんお昼バーミヤン行こうよ」「バーミアンか?そりゃアフガンだんべアホ!!」「じゃぁダルマラーメンにすんべ富士さん」とうるさい幸司、「スカイアークガーデンちゅう店があんべえぇ其処に決まってる」「じゃあ富士さんの奢りで」「手を動かさんか幸司!!」外に出る幸司「お!大工の元春じゃん」「ようコウチャン」「コウちゃん、噂なんだけどペスターの金子、〆たんだって?」「いや~敵じゃないねぇ」「強くて良いよな~」「当たり前ジャン、ペスター何てザコだよ」威張ってる幸司だが、年上の元春だった。「ペスターの今日子さんが泣いてたってよ。」「ふ~ん」と幸司。
「ふ~んじゃないよ、女泣かすなよ男は女守んなきゃなコウジ」と説教始める。
「プハーとコーラを飲む、元春親方に呼ばれる、「じゃぁまた後でな」と元春去る。
半分飲んだコーラを、灰皿にする、昼になる「おう、昼飯行くべぇ!」と富士さん。
田宮の私物を後ろに投げる幸司、ハイエースバンに3人乗り込む。
イキナリタバコに火をつける幸司、走り出す、武三市街地を走る、三鷹区新川へ。
武三ペスターの落書きが歩道橋に書いてある、13代目のだった。。。。
東八道路に出る「スカイアークガーデン」に15分ほどで着く、「イラッシャイマセ、何名さまでしょうか」「三人だ」と富士さん。
「富士さん窓際がいいよな」っと幸司。
「そうだな窓際にしてくれ」
と富士さんも同調する「じゃぁこちらへどうぞ」とお店のウェイトレス、どかりと座る3人。
隣のBOXに目つきの悪いお兄さんが3人居る、恐い顔の3人組、幸司を見てシーンとなり目をそらす、「ハイご注文は?」
「俺サーロインステーキセット」と幸司。
「僕も同じ物で」と田宮。
「ハンベーグランチ」と富士さん。
「ハイ?ハンバーグですね?」
「そうだべハンベーグだよ」と富士さん笑顔で答える。
「ハイ、繰り返します、サーロインステーキセット2つセットのほうはライスとパンどちらでしょうか?」
「2人ともライスで」と幸司。
「ハンバーグランチ1つで宜しいですね?」
「後ビール2本」
「おう!」と喜ぶ幸司、「はい承りましたごゆっくりどうぞ」とウェイトレス下がる。
(コソコソ)と帰る3人の目つきの悪い男達、武三ペスターの無職のメンバーが入ってきて、幸司に気づき、お辞儀して奥に入る、「富士さんタバコ一本吸う?」
「俺はおめぇ、この間から辞めたのよ!!」と「それにしてもよぉおめぇいい加減不良やめろよなぁ」っと富士さん。
「田宮は、がっこどーしたんだべ?と富士さんが問う、「休学中っす」っと田宮。
富士さんは(巨人!桑田●●かぁ?)のスポーツ新聞を広げる、サーロインステーキとビールが運ばれてくる、3人ビールで乾杯する、ハンバーグが遅れてくる。
「おい、田宮彼女紹介してくれ」と幸司。
「いやぁ~恥ずかしいけどオレ童貞なんです」
「そうなのか・・・」と幸司無言になる。
3人あっと言う間に食べ終わる、「ええ・女居なくて生きていけるの?」また蒸し返す幸司、田宮ムッとする。
「今夜はだめだけど、今度お姉ちゃんの居る泡のおねーチャンランド行こうぜ!」
「え!逝きたいっす先輩!!」「いつ行きます」と声が弾む田宮であったビール2杯でご機嫌の3人、近くの席の女の子のお尻を見る富士さん。
「よぅおねーちゃんかわゆいねぇ~」と隣のBOXのOLに声を掛ける、ねっとりとした眼で「10万あげるからデートしよっ」と、持ってきた財布から札束を出す。
「ええ~うそ~ホントにくれるの?」とOL風の20前後の女。
「うんオジサンとデゼーニランドに、行こうか?」と、黒革のバッグから、グッチの財布を出してプレゼントする富士さん「ええ~本当にくれるの~?」ルンルンするOL。
OLの背中を親指でソフトにタッチして指圧する、富士さん、「んあ」感じやすいポイントを触られて快感のOL、眼がトロンと甘くなる、「うん デゼニーランドってディズニーランドの事ん?」
「ん、そーいう言い方もあるべぇなウハハハ」
「いいわ、今度行きましょうオジサマ」
「オレにもたまには何かくれ!」と幸司。
「おめぇは働け!」
「チッインチキジジィ」と小声で言う。。。
「このメモにねぇ電話番号と家の住所書いてくれホイ」メモを受け取るOL。
「今度六本木、行こうべや」
「行くわ、行くわ」と身を揉むOL「いいなぁ~静子は~」と他のOL仲間が言う。
「そんじゃ、お勘定を君たちのも一緒にしていくべ」と富士さん。
「キャー太っ腹オジサマ~」
武三ペスターの連中が幸司にペコリとお辞儀する「フセインガサ、ヒソヒソヒソ」と聞こえないようにいう。
「幸司!自分の分は自分で払え!」
「えええ~~~~~~~」シュン。。
また、女のこの方に行き、携帯移動電話の番号を渡す「ええ~これ何の電話ですの~?」と静子。
「この電話だべ」と大柄な無線機のような電話を出す、「すんごーいい」OL達は騒ぐ、お礼にキスの嵐を貰う富士さん。
「つまんねぇな~田宮君あのジジィ今度やっちまおうぜ」と小声で語りかける、「ええ~いやですよ~」
ハイエースに乗る3人、今度は幸司に運転させる。
上連雀の現場に戻る、午後13時仕事再開、二階をやる幸司「クソッブツブツ」階段をやる田宮と富士さん、富士さん 本名富士 茂吉、1924年生まれ浅草に生まれる。
モンゴルに渡る、ハルピンでクンフーの達人に負ける、その人に師事する、3年間修行する、上海に行く太極拳を学ぶ、日本人特務として活躍するも、日華事変に巻き込まれる、満州国の建国時からの事業に貢献する、満州に永住しようと決まる、、妻林燐(当時16歳)を連れて行く、子を設ける、三男二女が富士さんに居る、再び特務として活躍するが日本が敗戦する、即座に帰国山口県に渡る、東京に帰る列車の中から広島の焼け野が原見て衝撃を受ける、東京に帰りGHQから出頭命令が出る、詰問される、東京裁判の裏方として仕事として調査する、その傍らで文京区の、ブラックマーケットを仕切る、喧嘩三昧の毎日、愚連隊を統合する、新宿~六本木顔役になる、戦後のプロ野球の旗揚げに協力する、東京オリンピックの際、土地を売り八王子へ。
昭和40年頃から内装屋になり現在に至る、23人孫が居る。
「幸司、うっせーべ、ブツブツ言うな!」
「チェっ自分だけズリィ~よなっ」とまた独り言を言う。
「糊を張り張り~と」歌を歌う幸司、午後四時一休みする、問屋の営業が来る、「富士さん新しいクロスのサンプルですがコレ100メートルくらい今度使ってみて下さいよ」
「んだな、今暇だからなぁ」
「ねぇ、ヤマト部材さんオレの女紹介するから、銀座連れってぇ」と幸司。
「そうですねぇ今度富士さんと3人で行きましょう」とあしらう。
「田宮ぁ~ケツ出せぇ」と富士さん「お!押忍」・・(バシッと)富士山の回し蹴りが田宮のケツを捕らえた、が堪える田宮。「有難うございます!オス」
午後6時仕上げが終わり、片付けをする田宮、掃除をする田宮。車内を整理する田宮。
「オイ田宮オレの、部材とカッターとか仕舞っておけ」幸司、SAのエンジンを掛ける。
(キュルドルルルルル~)大工の元春が来る。
「ようコウちゃん」
「おぅ元春ちゃん」
「よう、大工の~」
「あ、富士さんお久しぶりです」ペコリと挨拶する。
「コウちゃん、ちょっとコッチに」と人気の無いところに誘う元春。
「八高寺の愚劣の抗争の事なんだけど・・・・」
「何?それ?」
「え?コウちゃんだろ?中嶋〆たのは?」
「ええ?知らんのぅ~ぎゃははうひゃ」
「え?コウちゃんじゃないのか?ん?そうかわかった」顔面が引きつる元春。
「オイ、〆た事言うんじゃねえぞ」「ヘイ・・」「中嶋〆たのはあくまでも吉野だぞ!」と強調する。
「オイ、幸司早くけぇれ」と富士さん。
「そんじゃ、帰りますけど明日は11時でクハハハ」。
「オイ、駄目だもっと早く・・」
言う前に幸司去る(ドリュリュンヒュル~ドリュヒュルルル~)
「クソあのクソガキが!」ポカリと殴られる田宮「お、、おす」と涙目の田宮であった。
吉祥寺通りを演歌を歌いながらSA RX7改(ボボボボボ)60キロ付近で走る、渋滞する、CDを今旬なアイドル山野ナミのアルバムにする、RX-7のエンジン音がうるさいー。
井の頭文化園を過ぎると山野ナミの実家のある、井の頭マンションである。
駐車スペースの白枠にマシンを入れる、管理人が出てきた
「どちらまで?」「502その山野さんのうちに着たんだけど、何か?」
「ちょっと待ってて下さい」管理人権ボディーガードが言う、502号室に、
「来客なんですけど山野さん、天海幸司さんて方がいらしているんですが?ご存知の人ですか?」
「ハイ、幸司君なら連絡が来てるのでどうぞお通し下さい「はい了承しました。」
「どうぞ、ただしこの用紙の滞在期間と住所氏名電話番号を記入してください、後に当社のアンケートに答えて下さい、500ポイント分の駐車券プレゼントします、是非どうぞ~」
「けーーめんどくせぇ~」
幸司は仕方なくアンケートに答え入館した。
鍵で自動ドアーを開いてもらう。(ピンポーン)
「はい~」と山野お母さん事「山野紅子」が出てくる、上品に着こなした普段着が色っぽい、39歳の紅子であった。「なみ、幸司君来たわよー」
「お姉さんコレ」とチョコボール渡す、「今晩は幸司お兄ちゃん久しぶりね」とペコリとお辞儀する、顔が赤くなる幸司「よ、ようお久しぶりっこ、TVで良くみてるぜ」と幸司、恥ずかしがる。
ミニスカートから覗く太股が艶かしい必死に堪える幸司。
「オイ、ナミ坊デカクナッタナ、そのあのなぁ・・」
「何凄く変なお兄ちゃん」
「キャハハハ」と笑われる幸司である。「オレな、何その、RX-7買ったんだぜ」
「知ってるぅ、陸夫から聞いてるから、陸夫の奴最近来ないのよね、彼女でも出来て浮気してるのかしら?」
「へぇ~アイツに女なんか出来ちゃ居ないよ、あんな野暮天じゃ、ウハハハハ」
「何言ってるの,お兄ちゃん、あの子テニスでインターハイマデ行ってて、スポーツ誌まで出てて凄い人気なのよ!」キッと睨むナミであった。
「なんだそのインターハイって言うのナハハハ」
「インターハイ、お兄ちゃん中央大会のこと、ああ見えて結構いい男なのよ。
「へぇ~あんな生真面目君何処がいいの?ウヒャヒャ」
「あのね、お兄ちゃん、真面目がいいのよ、元東八連合の元山さんが言ってたけど非道過ぎるわよアナタの噂。」
「そんな事よりオレのRX-7でデートしない?」「嫌よお兄ちゃんHな事するんでしょう?」
「え!おめえなんぞ眼でないわ!」「ばぁーかお兄ちゃんのばぁーか」
「お兄ちゃんお兄ちゃんうっせーぞ」
「それよりゲームしよゲームゲーム」とハシャグ。
「ええ!ゲーム俺弱いぞ!それよりプラモ買ってきたから作ろうかな~」
「シンナー臭いから嫌!」「Hするならいいぞフハハハハ」
「いや。最初は私の陸夫で・・・・」顔を赤らめ「ゲーム」(ゲーム」とマミは騒ぐ。
「あら仲いいのねウフフフフ」とお母さん。
お母さんがジュースとケーキを運んできた、「お!美味しそうだ~」と幸司「ついでにお姉さんも美味しそうだ~」
「きゃーコウちゃんとならしてもいいけどねでも遠慮しておくわ」
「プラモデル作りたいけど1室貸して」と馬鹿丸出し。
(ピンポーン)とチャイムが鳴る「うぜえのが来たな。「ハーイ陸夫君~」と出て行くママ。
「ウィス ナミチャン」と入ってくる後ろから父【数年】が入ってくる、「お帰りなさいーパパ!」とハグをする夫婦。
「押忍陸夫、今日はカツ上げでもされてきたのか?ニイチャンがそいつやっつけてやるぞ、ワハハハ。」
「フーン」
皆、食事の用意するからアッチ行ってて」「ウィース」と4人。
「オイ、ナミ坊あんな奴辞めてオレとどう?」シャワー浴びて着替えてくる」と風呂に消える陸夫。
「枕爆弾だー」とナミが枕を投げる、幸司受け止める「クソー喰らえニギリッペ」とニギリッ屁を投げる幸司。「キャー」と騒ぐ、ポーンと陸夫が入ってきて顔面に枕が当たる。
無言で幸司の顔面へ投げ返す。
「・・・・・・」2人沈黙。「何シラケテルノ?」っと騒ぐナミ。
「ヨシ!盛り上げようぜ陸夫ちゃん」
「俺は試験があるから」と去る。
「何よーフンッ」とナミ。
夜ご飯は、和牛ステーキに鳥のから揚げ、酢豚、野菜大盛り、5人で食べる。
「うはっ」オレには丁度いい量だ。」と幸司張り切る。
「俺半分でいいよお姉さん」と陸夫。
「あら少食なのね」
「幸司君は久しぶりだな。」とお調子を出すパパ、。
「お父さん気前がいいね」と調子に乗る幸司。
「オレはビールで」と陸夫。
「一杯だけね」とお母さん。
「オイ陸夫ちゃん車の免許取るのはいつだ?」と幸司いやみ言う。
「馬鹿じゃないのか18歳からだ」しーんとなる。
「ねぇ、陸夫君バイクの免許取るの?」とマミ
「危ないから辞めなさい・・・・・」とお母さん。
「良いんじゃないのコイツ鍛えてやるウハハハ」と幸司。
「酢豚をくれと幸司弟の分も取り平らげる。
「駄目だよお兄ちゃんこれ陸夫のだよ!」とマミ「う~ん良いよ別に。」と陸夫。「幸司君は仕事上手く行ってるのか?」「う~ん大分景気いいですよん」「直子姉ちゃんが言ってたけど、遊んでばっかだってまだまだだね!」
と陸夫、平手の手刀が飛んでくる、軽くかわす睦夫、足を蹴る睦夫「イテーナー」と幸司、「ガタガタうるさいわね2人とも、とマミ嗜める。
「陸夫君インターハイ準優勝おめでとう。」
「後でオレに蹴り入れさせろよな」ムカムカ「有難うございます」と幸司を無視してパパと話す陸夫。
「オタク、唐揚げも食べないのか?」と陸夫に囁く幸司「食べるようっせーな。」
武三で俺にたてつく奴はコイツだけか・・・・」と一人呟く幸司
「今夜何処で飲もうか?パパ」
「俺いい店知ってますよ。」
「幸司君私に任せたまえ」
とパパ。
全部完食。ゴロゴロTVをみる3人の男達、ナミチャン皿洗い。
歌番組、「ゲッツGOギャング」を見る、松本聖子が歌ってるファンである幸司はハシャグ。
「さーて終わった終わった、お化粧してきますわ」
「ヨーシ今夜はとことん飲むか幸司君!」
「飲み比べだなパパ、アハハハフハハハ」と幸司、
「陸夫君来るか?」
「行ってもいいですか?」
「ガキはガキ同士寝てろ!」
「ナミも行く~」
「来なさい二人とも」にやりと笑う。
「しょうがない一緒に行くかとパパ。
(ピーピーピーピー)と幸司のポケベルがなる。
「キャシーからか!」
「スミに置けないな、外国人のお友~達かい!」とパパ。
「いや、ほんの遊び友達で、ウハハハハ」
「電話借りますよっ」「いいぞ」
(トゥルルルトゥルルルル)ガチャ「ヘロー」
「ヘイキャシーかい なんだよ?」
「え?野田が退院したのか良かったなウハハハハ」
「ん?今から?NOだよ仕事中だからまたな」ガチャリ。
「お安くないな幸司君アハハハハ」
「オイ今の直子に言うなよ陸夫!」「ふ~ん」
「不倫ね不潔」とナミ。
「まぁ外国人なの」
「ん?まぁその~」と息が詰まる思いで・・
「さぁーていくか皆」
「国民的美少女出発だな~」と幸司。
「まぁね」ピシリ顔を赤らめたナミ。
5人で出て行く、秋のにおう街道に一匹の鳥が跳んでいく。
ボンタンを履いた5人の学生が通る、すれ違いにナミの肩に当たる。
「ヘイ彼女人にぶつかっておいて、侘びなしカイ?」
「うグ」ローキックが一発飛ぶ。
陸夫である。
幸司ニヤニヤする、「何すんえんこんがきゃ」「オイコイヤ 丁度ええ東京もんを血祭りにあげてやる」凄む五人組。
一人睦夫の鋭い蹴りを掴む「オイ そっちのグらサン男ぶちのめすぞコラ」
「おう イキノいいアンちゃん本気でイテマウド」と関西風の訛りでわめく5人組。
「息が臭いなお前」と陸夫が頭突きを入れる、腹に決まりノタウツ。
腕をねじる幸司「イテマッテクダサイナァ」と幸司喜ぶ。
一人の違う学生服来た少年が幸司を見て驚く「フセインだ」
「誰がセイントセイヤじゃ~!!」(ゴン)とゲンコツ一発、「スミマセン天海さん」「皆あやまーりな」とリーダー格の男が言う。
「え!この方が東日本最強の天海さんですかぁ~」
「本当にスンマセン」と関西の人たちが謝る。
「よーし お前ら一列に並べ」 「オイマミに謝れよ!!」「え?いいの陸夫・・」と後ろにかばうようにして守る睦夫。
「一人づつタバコ一本出せ」「スンマセン堪忍してーや」と一本ずつ貰う。
「もう、ドツカンでください」ドヨン~。
「ヨシもういいぞ!けえれ」
不良たち一目散に吉祥寺方面に逃げるダッシュダッシュ。
吉祥寺の南口のバス停を突っ切るとガードしたに出る、ガード脇に小さな戸がある。
看板に【スナック・サンバード剣】と書いてある「オッサンバード」てみせだにゃはは」
「それ以上考えちゃいけないよ幸司君親父ギャグで詰まらん」
店の中に入ると大音量でオーヤンフィフィーのカラオケが流れている、外まで響く。
「いや~さっきは鮮やかな喧嘩だね幸司君」カウンターに二人座る、お店は30人くらい入る規模だが15人ほどの客が来ていた、途中有線で林檎追分が流れる~。
「いやぁ あんなチンピラしょーもないセイガクが多くてネヌハヌハ」
「僕の若いときも真っ青だよ」「いや~パパさんの空手に比べたら」
「俺の空手なんてな、15人くらいしか倒せないよワハハハ」酔い始めたパパである。
レモンハイを飲む2人・・・
沈黙が続く陸夫とナミ・・・・。歌いまくるお母さん。(ワーン、ガヤガヤガヤ)
瞳と瞳を覗き込む。2人テーブルの下で手と手を握り合う。
互いにクチビルと唇が近づく目を瞑る二人・・・・・伊達眼鏡を掛けたナミの瞳はうるんでいた陸夫の物も最大になる・・・・・口付けをする二人、舌を絡ませる、チラリとこちらを見る幸司「チッ」と舌打ちしてそっぽを向く。
「いや~お父さん最近の若者はなってないですよね、不順異性交遊とか。」真面目な顔で言う幸司だった。「ん?なんで?」とパパ。
「空手はねぇ俺5段だけど、幸司君には是非うちの道場に来てもらいたいんだ、流派も俺と同じにしてくれ」
「極限流ですか?はぁ・・・」
「そうだ、君くらいなら師範代にも直ぐになれるよ」「はぁ~」「私情最強スカヌハハハハ」
「そうだ、史上最強だワハハハ」午後23時「お前と俺とは~同期の桜~同じ空手の~道にあり~」二人肩を組んで歌う、「押忍、先輩!」「おうよ 幸司」
「また空手の話ぃ~コウちゃんお姉さんと今夜寝ようか~ウフフ」「コラ 俺の幸司取るなよ!」 「お、押忍!」と幸司、、
BOXに居た陸夫とナミ、肩を寄せ合い寝入っていた、会計は1万5千円だった。
「よし、幸司表に出ろぃ」 「オシ、少林拳の奥義見せてやるぜ~」
「トリャ」 「オウ」蹴りが幸司の左わき腹に入る、、「トオ」と幸司「チェスト」とパパ。
とび蹴りが双方交錯する、外れる、もう一度飛び蹴り、幸司必殺の2段蹴り、2発ともかわされる、着地に失敗する幸司、すかさず顔面めがけて、ローキック、交差方でエンピがパパの膝小僧に食い込む、よろける隙間に立ち上がる、接近し腕投げ、カワズ掛けで逃れるパパ、正拳を決めるパパ胸板に決まるがカウンターの逆突きがパパにも入る、見回りの警察官も観戦している、「こりゃ~木村VS力道以来の迫力だな~」
「オイ ポリスそんなの比じゃないぜ、」地元で有名な極道久遠義男通称クドヨシも見ていて戦慄する。
20人くらい人だかりが出来たw
「アンディーフグよりあのわけぇの強いぞ!」
「とう」 「うりゃ」 膝蹴りが交錯する、首相撲である、首相撲で不利になりパパは頭突きを敢行!幸司の額が切れる!
「おい ありゃ大木金太郎よりすげーぞ!」
「いやボボブラジルじゃけんねぇ~」
「もっとキツイのやれ~」
「中年ドラゴンがんばれや~」
「お!誰かと思ったら東八のじゃねーか、頑張れ~」
二人とも息が上がり始めていた「とぅりゃ~」先に跳び蹴りを仕掛けたのはパパさん、「うりゃそいや」2段蹴り同士が激突(ドスドス)2人とも腹に二発づつ喰らう、酔い過ぎで眠くなる二人!!
握手する二人、「良くやったぞ二人とも、燃えよドラゴンより迫力あったぞ~」
「これで、ジャッキーチェンより空手のほうが強いことが証明された!」
「力道流血してるぞ~」
「わははははは~」観客一同大爆笑の渦!
午前0時半帰宅
夫婦2人奥に入る。
幸司居間のソファで寝た。
陸夫とナミもソファで寝る。
あくる日10時半、ぺたぺた雑巾で顔面を叩かれる。
「んぐ、波子たん」
「何寝ぼけてるのよもぅーー」
午前11時上連雀の現場到着「オイ幸司」
「ハイ、富士さんよ?」
「おめぇおせーんだーよ」
「はぁ11時って言ったじゃんかよ」
「おい!おめぇ舐めてるべぇか仕事を!」
「じゃぁ金要らないから、けえるぜ」
「なぁ幸司、こずけーやるからけぇるな」
「んじゃ有り難くもらうぜ」
「3万やるからほれ!」
「もう1万+」してくれ!」
「5万やるから3件目もやれなぁ」
午後6時半小遣いを貰い、喜ぶ幸司、「田宮君今夜俺と付き合えよ良い店紹介してやるから」
「富士さん、行っていいすか?」と田宮笑う、「よぉ、いっぱい飲んでから行こうぜウヒウヒ」天海幸司は不適に笑う、「幸司さん養老の川で、飲みましょうか?」
「そんなダサい所でのマネーよん」「良い店あるんですか?」「取り合えず来い」
【良い場所喫茶クリームレモン】は国立の谷保の街並みから外れた場所にある。
RX-7は関東村の脇から、20号線に入る、「幸司さん」良いお姉ちゃん居ますか?」
「ちょっと匂いのきつい厚化粧が多いんだけどな、中身はキチキチでいいぞぉ~」
「そうですかぁ~はぁ~ヤリテエナァ」「あまりせかすなよ」と余裕の幸司。
「今にもでそうでビンビンデス」20号も白糸台の陸橋に差し掛かる、ちょっと空く120キロでチャージする、前を走るワーゲンゴルフに追い付く、。車になれてきた幸司。
4速から3速に落とす(ブリューンパンパン)エンブレが効くドライバーズスタンドが後方に去る、ドンキホーテの駐車場空き待ちの車列避ける、ドンキホーテは府中が古くからある老舗の店である、大国多摩神社(架空)前の昭和シェル石油に入る為右車線に入る、対向車の車列が連なる、5台目でパッシングライトが光る、譲りのサインだパッシングでお礼をする、パカリと開くリトラクトラブライト(パァーン)ポルシェフォーンを鳴らす、手を上げる。「オーライオーライOKデース」「おぅよしのちゃんオゲンコ(お元気)?」
「あら、コウ先輩今日もレギュラー1000円?」
「イヤ、これがあるぜ、ピッ!」とVIZUカードを出す「まぁ~リッチィ~ん」
「あ!初めまして、おれ田宮といいます宜しくです」
「家どこなの?彼女」
「この近くよ、カッコイイネこの人」と幸司に可愛子ぶる。
「おう、田宮君この子レディースのサブで男いっからやめとけ!」と幸司博学ぶる。
「へぇ~レディースですか、どういう名前のチームですか?」「ひ・み・つ・」「キティラン」だよタコ」と幸司。
「ねぇ~幸司先輩、このRX-7何キロくらい出るの?」と甘い声で言う。「200キロオーバーだよ」「200キロスゴーイ」「ねぇ今度何処かに遊びに行こうよ~」と田宮。
「可愛い子ね幸司先輩この人」と投げキッスするよしの。「よしのちゃん辞めておけ、コイツ餓えてるだけだから!」「えー私って魅力無いぃ~?先輩からみてぇ?」「いや俺の肉棒だけにしろ!」「ヤダー」「ウハハハハ」田宮「・・・・・・・・・」
「満タン入りましたー、あら、窓拭き忘れてた テヘ」 「じゃぁコイツで」とカードを渡す。「サインお願いします、ウフフ」とよしの。「おぅ」と天海幸司とサインする。「また来てね」と田宮に言うヨシノ。「アリガトウゴザイマース」店員全員で送り出す、誘導する。左を指差す幸司、車の流れが止まり右折するSARX-7改(ドリュリュリュヒュー)1気に3速に入れるカクカク「ヒューヒューヒュー」府中I_Cの前を中央車線でパスする、「おう田宮君18歳のと26歳どっちがいい?」「26歳がいいですウヘヘヘ」と田宮下品に笑う、あっと言う間に谷保の信号に着く、左折する細い抜け道、狭い抜け道狭い隘路、隙間に避ける、すれ違う。1気に空いた道を抜ける抜けるスルスルぬける。
河原の手前を右に行く、行き止る専用駐車場10台【良い場所喫茶クリームレモン】に着く、オールバックの黒服の若い男が入り口の前に立っていた入り口の前に止めるRX-7ターボタイマーでアイドリングを続ける。黒服男に千円チップをやる田宮が出したショボーン。「おう 倉田元気か?w」と「おい、でけぇ面するんじゃないですよ」と小声で言う。「いらっしゃいませ」と田宮に言う、慇懃無礼な態度で迎える。
「15番テーブルへどうぞ」「ようフセイン君」とゴツイ40がらみの男に声を掛けられた。
「天海ですよ幸司っすよ源字組の社長!!」幸司は少しムッとする。「チス」ショボショボの田宮君「押忍天海さん」とゴツイ20代のスーツ姿の3人に挨拶を受ける「押忍、極限流支部の衆」
「ようこそ~クリームレモンへ~」とバニーガールが出迎える。「幸司久しぶり~」と4人の女がboxに着く、ワンレンボディコンパステルカラーの女達だ、ユミ、カオル、レナ、ルミ、中でもルミがお気に入り「富士さんよぉ~元気かよ~おい幸司君」と二人の女抱えて【源字組】の社長が来る、「一緒に飲もうぜ天海君」「キャー社長~」と他の四人、「よう社長優雅だねぇー」と幸司皮肉る。
「ルミた~ん」と腰に抱きつく幸司、「いやぁ~んコウちゃんたら~」「バーボンロックで、それに富士のボトルの焼酎出してくれ」と威張る幸司。
「幸司よ悪さ聞いてるべよおめぇーの」「源さんこそ阿漕に金貸しまで。」「なんと!おめえ借りてくれるか?」「いやさぁ~」「十万でよかんべ」と強引な源字組社長。「じゃぁ借りようかな~」カオルが幸司に目配せする「社長のお金10-3よ(トサン)ヤメヨコウちゃん」「そうか愛してるぜ」耳を舐める幸司「うふ~」とタメ息、「じゃぁ1億貸してくれ」と幸司。「おめえの家担保にすりゃイイゾ」「俺のゲンコツでどううふふふふ?」「い。。。。イヤじゃぁ無い事にすんべぇこの話うははは・・・・・・・」下から密かに睨みあげる社長冷や汗をぬぐう・・・ヒィ~。「じゃぁ仲良く盛り上がるべ」と社長。「社長よぉ、あんたの所の山下この間〆たからヨロピク。」「うんにゃ?何で?どうして?」「俺の車通せんぼしたからよぅ」「それで山下頭に包帯してたのかぁ~」「まぁ富士さんの顔を立てて許してくれや。」
一方田宮は、女の子二人に挟まれていた。「田宮君カワイイ~」と二人に股間をしごかれて放出していた、それを舐める二人ビンビンビン。モテモテの田宮である。「よう、おめぇ天海じゃねぇのか!」「おう、村山の団地君のOB」(キャーキャーサワサワサワデンツクテンツク)喧騒が続く。カオルと一汗搔いた田宮である。
一方幸司は極限流の先生と組み手をしていた。
「ホイホイサッサホイホイさっさ」と軽くあしらう先生、業を煮やす幸司は頭突きを、敢行する、五発目で当たる。膝蹴りがわき腹に食い込むが平気のやせ我慢する幸司。
2発目がヒットする「いてで~」「もぅ止め様や」と先生引き下がる「キャーパチパチパチ」「よう、喧嘩チャンプ!!」と空手屋「死ねコラ」と黒い服の人達。
夜が更ける。午後23時帰宅シャワーを浴びてトイレで大便をして、ソファーで寝る。「ンゴ~ンゴー」物凄い鼾である、明くる朝7時30分。。「朝よ~置きなさい~チュッ」とキスする直子、「ん~なんだ?」「ねぇ~たまには単車で2ケツしようよー」と直子甘える。「う~ん、波子~」
「口の中にゴキが居るよっ」と輪ゴムを口の中に入れる「う~んキャシーか」モグモグ飲み込む(ピーピーピーピ)ポケベルが鳴る、「む呼んでるぞ!」むくり起きる幸司、「ファ~アRZの夢を見たぜ、直子」「RZて黒い奴?」「うむ!親父からか・・」
ポケベルの表示は携帯電話の父親からである、電話をかける父親に。
(プ~ルルルルルウルルルッルル)手が震える幸司(カチャリ)「おう、幸司か?」「ヘイダディ」意味不
「幸司土曜は空けて置けよ」「いや・・現場があるよ・・・」「駄目だ休め」 「ええ~?!ヤダ」「NSの改造がある」「え?姉貴の?」「そうだ」「うひゃ・・・オレテストライダー?」「そうだ、黒いのに勝てるかな?」「え?アイツザコイヨ」「あんな350俺じゃなくても勝てるぜキッパリ、姉貴にやらせれば?」「じゃ辞めた」ガチャンツーツーツー「ふぅ~助かったぜ寝不足気味だ」 「ネェ単車乗せて」 「竜司は?」 「カァサンがもう直ぐ来るから」 「しょうがねぇな~」 「乗せてね!」
地獄からの使者RZV500
午前9時、ピンポン「あ!母さんだ」、「まぁ、直子お早う~」 「かぁさん今から仕事だから」ルンルン。
「昼と3時にミルクねお母さん」
「了解してるわ」
「幸司君久しぶりね~また男らしくなって、仕事順調そうね」「お!かぁちゃんおは~」
「元気そうね~まぁ~色が黒くてカッコいいわ、私も抱かれたい~い」「20歳若返ればおkだぜベイベー」とエバルがVIZUカードの事で頭が重い幸司である。
「じゃぁいくね、オカァちゃん」 「行くぜマメタン」久しぶりの単車スタイルの幸司
「黒い革ジャンに白いジェットヘル薄いブラウンのシューティンググラス、革のパンツ、黒いブーツ、「「幸司カッコイイネ」エンジンに火を入れる、ボボボ~ン、煙がモクモク出てきた、オイルの匂いがこおばしい。(ブリューンブリューンフォーンフォーン)猫の毛が椅子に付着していた、手でパサパサ叩く、(ブオーンボーン)「よし乗れ」横すわりで乗る直子路地から20号に入る新宿方面に向かう(フォ~ンフォフォ~ンフォーン)ZⅡ750RS久しぶりに動いてるヨシムラのマフラーが吼える、15分ほどで直子の働くスーパーにつく駐車場から裏手に回る「サンキュー幸司、走り去るRS「ねぇあれご主人?」「うん」「カッコイイー」3人の女子パートが言う。
一方幸司は「ケツガむずがゆかったふぅ~」と一人疲れていた、関東村から左折する現在の味の素スタジアムである、大沢の天文台から交差点を東八道路から人見街道を直進する。
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