働きたくないでござる! 絶対に!働きたく!ないでござる! 社内ニート編。
第13話 新年あけましたので社員は会社に来いってんだ、コノヤロウ!
突然ですが、”旧題を並べているとタイトル長すぎ問題”を解決すべく(いや、それはそれで笑えたけど)本作を章で分ける事に致しました。
第一章が『僕のブラック企業体験記。過労死ラインなんて知るか!』という事で進めていきます……と言った感じで割とどうでも良い話から今エピソードはスタート!
本作はサクッと読める! を目指していたのに段々文章が冗長になっている事に気づきました。ましてや前編、後編に分けるなど、どれだけ僕は書きたいんでしょう(笑)
今回は割とサクッとなはず。
<問・新卒に要求される最後の業務>
・新年早々新年会
僕がA社に入って最初で最後のお正月。本来なら、まだ療養期間中ですので家に居るのが普通ですし、そもそも製造業であるA社は休みで当然。なのに僕は社長の経営するバーに居ました。
一月二日の事です。
まだ正月三が日すら過ぎていないのに僕ら新入社員、そのほかに各チームのリーダー、各部署の部長、役員たちが招集されたのは他でもない新年会を行うためです。むろん強制招集です。
そんな日に会社の新年会を開くとか、どこの馬鹿が決めたんだ、って?
社長に決まってるじゃないですか(笑)
しかし悲しいかな。社会人になって初めての新年。ゆえに会社の新年会なんて初めての経験なので、これがどれくらい変な事なのか上手く理解できません。さすがにちょっとは変だと思いましたよ。ちょっとだけ。
さて、この時の僕は大量の精神安定剤を飲んでいる時でしたし、顎にはまだ抜糸前の生々しい傷が
そう、あの暴虐武人、厚顔無恥な社長が僕を見て引いているのです! それが個人的に少し滑稽でした。まぁ、そうなるのを狙って、わざと顎に血の塊をくっつけてたんですけどね(笑)
それにしたって、なぜ一月二日なんて非常識なタイミングで新年会をやるのか。
答えは簡単です。
とっくの昔に家庭崩壊を起している社長ですので、長い時間家に居るのが辛いのです。とはいえ一人でいる事が耐えられるほど大人でもありません(五十歳を超えてるくせに)。ゆえに社員をねぎらうと言う
正月早々、みんな引きつった笑顔で酒飲んでました。今となっても悪い思い出です。
・暖房なんて飾りです。偉い人にはそれがわからんのです。
少し時間が進みまして、三月。翌年度の新入社員が入ってくる前に会社に復帰しようと思い(地元の担当医は復帰はまだ早いと止めていた。言う事聞いておきゃ良かった)、会社に行くようになりました。
そこで冬の間、実家に戻っていた僕には知る由もなかった技術部の惨状を目の当たりにします。
みんな、室内なのにコート着てんの。
手袋付けてる人も居るの。
半田ゴテで暖を取ってるの(笑)
寒さで鼻水が止まらない人も居ますし、手がかじかんでパソコンのキーボードが打てない人も続出(プログラマーには地獄だろうなぁ)。
指が震えて、半田付けも上手く行きません。っていうか普通に危ない。
吐いている息は当然のように真っ白い。風邪っぴきも沢山いましたが、そんな事で休めるようならブラック企業ではありません。〇ァック!
「暖房点けないの?」
そう思って同期の人に尋ねますと
「点いてるんだよ。点いててこの寒さ」
そう言われて業務用エアコンのリモコン画面を見てみると24度に設定されています。ちなみに技術部の部屋はかなりの大部屋です。エアコンの容量にもよりますが、業務用エアコン二~三台は必要な面積です(A社退職後、ルームエアコン、業務用ともにエアコンの取り付けはマスターしたので、僕の目算に狂いはないはず!)。
それで24度ってアンタ……。利くわけないじゃん。
けれども誰一人エアコンの温度を上げる人は居ません。だって24度って命令を出してるのは社長なんですもの。しかも、毎朝朝礼で読んでいる社内規定にすらエアコンの温度が記載されてるアホっぷりです。書いてて恥ずかしくなかったのかね。ファッ〇!
ただ今思うと、そんな下らないルールを律義に守り続けていた社員たちも少々おかしくなっていたのだと思います。
「君が休職してる間が一番寒い時期だったからね。大変だったよ(どやぁ」
と言う感じで同期が話していたのを見て、なんだか別の意味でのうすら寒さを覚えた記憶があります。
《解・新卒に与えられる社長からのねぎらい》
・社長からのセコイねぎらい。正直いらない。
さて、三月のとある平日の夜、僕ら新入社員たちはまたまた社長の経営するバーに呼ばれました。なんでも
「一年間、毎朝机拭きを頑張った君らにねぎらいをしようと思ったんだよ」
との事。
(うるせえ! ボケ! カス! ケツに半田ゴテ刺して、内臓脂肪燃焼させたろか!)
と言う言葉が浮かんで、へらへら笑いと共に口から出てくるのを我慢していた記憶があります。この頃からすっかり汚言症にやられてましたね。
そして飲み会がスタート。僕は例によって安定剤を飲んでいましたのでアルコールは飲みませんでしたが、この頃になると同期達もソフトドリンクで場をしのいでいました。だって、汚いオッサンと酒飲んでも美味くないもの。
そして
なんでもA社は政治家の後援をしていたので(中小企業の社長にはよくある話)そこで「政界に出ませんか的な」事を言われてる、みたいな事を言っているのだけれど何だかしどろもどろでハッキリしない。
(たぶん話盛ってるだろうなぁ)
って思いながら僕は無表情で聞いてました。社長が僕のリアクションの薄さを指摘しようものなら「うつ病で笑えないんです」って嘘ついて周囲をドン引きさせて楽しんでいました。
察しの良い方ならもうお気づきでしょう。復職した僕は完全に仕事に対する情熱を失っていましたし、真面目な人付き合いも放棄していたのです(良い人は別よ)。すっかりタヌキになっていたというわけですね。
社長の話を聞いていた同期達は、最初のうちは頑張って愛想笑いをしてましたが次第に疲れてきて、徐々に場が白けていきます。けれども止まらない
そして夜の十時が過ぎたころ、社長がおもむろに封筒を僕らに配りました。
「一年間頑張った君らに少しだけボーナスだ。あ、君は休職してたから少し少ないよ、ガハハハハ」
封筒を受け取った僕らでしたが、同期全員が『君は休職してたから少し少ないよ』と言う言葉を冗談だと受け取っていたようです。正直、僕も冗談だと思っていました。
後で同期達と封筒の中身を空けてみたところ、みんなの封筒には商品券が一万円分。僕の封筒には五千円分。それを知った同期のAさんは
「普通、ここまでせこい事する?」
と僕よりご立腹。Bさんも、Cさんも同様に「バカバカしくね?」と肩をすくめていました。もしかしたら僕を慰めてくれていたのかもしれません。
当の僕はと言えば、仕事やA社に対する情熱が消えてしまった為か、商品券なんてどうでも良くなっていました。それよりも気になったのが、全員同じ封筒で、特別な目印も付いていないのに、どうやって僕に渡す封筒を選んでいたのだろう? それが今でも不思議で仕方ない。
ちなみに社長のねぎらいのセコさは、これで終わりではありません。その翌月の給与明細に、何の費用か分からない金額がプラスされていました。その金額が、同期達は一万円。僕は五千円……。
そうです。社長がくれた商品券は社長のポケットマネーから出たのではなく、会社の経費で落としたものだったのです。自分のお金と、法人のお金を混同している中小ブラック企業の社長らしい采配です。
セッコ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます