第12話・後編 新入社員、早くも休職。そして異世界(ブラック企業)に転生(就職)をしたオレはチートスキルを手に入れた。

 いきなり蛇足なのですが、今回のエピソードのサブタイトルが気に入ってしまったので、このエッセイのタイトルを改める事にしました。題して、


『ブラック企業に就職したオレがチートスキル(精神疾患)を手に入れて、現実社会でオレ、YOEEEEする実話。』


 いい感じにふざけたタイトルになりました(笑)


 前々から読んで下さっていた方々、ややこしい事して申し訳ありません!!

 では続きおば。




《解2・精神疾患で得たもの ~チートスキル? 否! 人これを器用貧乏と呼ぶ!》

 結局、失ったモノばかりで得たモノは何もないのか?

 いえいえ、多少身になった事もありますよ、多分(冷や汗)


【新・特殊スキル一覧】

〇音楽に興味が向く

 病気になる前から少しだけ趣味でバンド活動をしていたのですが、休職後辺りから(バンドメンバーとのやり取りもあってですが)ヘビーメタル路線へ移行。一言にヘビーメタルと言ってもジャンルが広いのですが、主にメタルコア、デスメタル、デスコア、ブルータル・デスメタル。

 一般的には「デスボイスで歌ってれば、全部デスメタルなんでしょ」って思われがちなのですが違うのよ。全然。

 ちなみにボーカルをしておりました。お陰で今でもカラオケに行くとダミ声しか出ません。地声は普通なのに。


 多少、人気はあったようです。モッシュを始めたお客さんが盛り上がりすぎて、怪我人が出るくらいには。頭と頭がぶつかったらしく、眉のあたりが割れて、血まみれで控室に運ばれてましたね……こわい!(ちなみにライブ後、なぜかボクが怪我をしたお客さんの手当をしてあげるのでした。知らない人なのに(笑))


 音楽はもちろん好きでしたが、多様な種類のデスボイス(デスボイスって色んな発声法があるのよ)が出せるだけで音楽的センスが皆無でした。作曲なんて夢のまた夢。

 今思うと音楽に関わる人達と交流する事が目的だった気がします。




〇絵を描くようになった。

 白昼夢や不眠症などの時、妙なイメージが頭に浮かんで離れられなくなることが多かったのですが、ある時それを描いてみようと思い立ったことがありました。


 と言っても、今まで絵を描いた事のない人間がいきなり描けるわけありませんので、当時アパレル系のデザインを勉強していた友人に教えてもらうことにしました。

 それからは一日十分で良いから絵を描く時間を作って下手なりに書き続けました。お金を掛けたくなかったので主に鉛筆画ばかり。

 何年も続けていると多少は形になっていくもので、引きこもって描いてるだけってのはもったいないかな? と思いようになり、絵葉書にして路上で販売してみました。

 すると絵がキッカケで知り合う人が増え、地域のお祭りでライブペイント的なパフォーマンスをさせて頂いたりと趣味としては上々なものになりました。

 ただ、絵でお金を稼げる気はしません。もともと絵に興味があったわけじゃありませんので才能がないのは当然の事、プロのイラストレーターさんの仕事の速さと質を考えると、相当な努力が必要な世界なんでしょうね。


 ちなみに僕のプロフィール欄にTwitterのリンクが張られていますが、アイコンとホームの画像は自分で描いた物です。




〇小説を描き始めるようになった。

 こちらも白昼夢を見た時、イメージが物語として浮かび止められなくなる事が多かったので、文章にしてみようと思い立ったことが始まりです。

 ま、思い立って書けるようになるほど簡単じゃありません。特に僕はもともと工学の畑の人間です。それどころか


「絵画、文学など所詮しょせん文弱ぶんじゃく戯言たわごと。漢は黙って武を極めよ! ぬはははは」


 なんていうファンタジー小説にいたら、真っ先に主人公に俺TUEEEEされそうな脳筋の畑の人間でもあったので、なおさら文章なんて書けるわけがありません。(それにしても華麗な手の平返しである)

 かろうじて小説と呼べる物になるまで何年もかかっていますし、その間に文法の破綻した悲しき黒歴史モンスター達をどれだけ量産してきたことか(黒歴史は現在進行形かもしれぬ)。

 それでも、毎日コツコツ書く事は楽しいです。




〇夢を見るようになる

 病気をしてからと言うもの、僕は眠ると必ず夢を見るようになりました。ちょっとした昼寝や、うたた寝でも夢を見ます。しかも八割以上が悪夢です。ここ一年、悪夢はかなり減ったかな。

 さらに夢の彩度があがりました。ぼんやりした夢ではなく、もっと明確で、質感や、匂いや、痛みまで感じる事があります。また、夢の中で過ごす体感時間が長くなっていきました。時折『これは夢だ』と自覚する、明晰夢も見る機会が増えてきます。

 まぁ、所詮は夢なんですけど、僕が『胡蝶の夢』を小説のテーマに繋げる事が多いのは、自分の見ている夢が原因かもしれません。


 ここで僕が見た悪夢トップ3!

【第三位・ゾンビパニック】

 ゾンビの夢はよく見ます。最初の頃は怖かったのですが、あまりにも夢に出すぎたせいでマンネリ化して恐怖心がなくなってしまった存在でもあります。B級映画におけるゾンビの扱いと同じですね。

 夢に出てきても怖いと思う事は無くなり、そのせいか最近ではスプラッタ映画を鑑賞しつつ、肉食いながら、血しぶきブシャーってなってるのを見てゲラゲラ笑ってられるような精神力が身に着きました。人としてダメな方向へ、また一歩進んだ気がします。



【第二位・ヒャッハー! いいから拷問だ!】

 押さえつけられてから、鼻とか耳とかに、長ーい金属の棒をぐりぐり突っ込まれる夢。しかも夢なのに痛い! 多分痛いと思い込んでいるから痛く感じるんでしょうけれど、かなり精神的にも応える内容の夢です。

 これを見たのは一回きりでした。



【第一位・人を食う赤ん坊】

 自律神経失調症が特に酷かったころに見た夢。よちよち歩きの赤ん坊が無差別に人を食い散らかして、辺りは血塗れ、腕とか色んなものが飛び散っている凄惨な夢でした。B級映画業界でも自粛しそうな描写です。

 で、この夢から目覚めた瞬間、吐きました。自律神経系の不調が寝ている間に吐き気を起こさせていたようです。この悪夢も一度しか見ていません。さすがにもう見たくない。


 夢は脈絡もなくシュールな物がほとんどです。しかし時折、物語として成立しているものもあり、そういった夢を小説にしたこともありました。

 ちなみにカクヨムでも公開している『chop suey!』、『AO/アオ』、『死ね』などのストーリーは夢で見た内容がひな型になっています。(ただの宣伝である!)

 と言うわけで悪い事ばかりじゃない!



〇アロマテラピー検定一級取得

 難しい資格ではありません。二週間勉強すれば大抵の人が取れます。

 アロマオイルにはストレスを緩和する効果がある、との事で少し調べてみたところ、調が何とも面白いんです。まるで理科の実験や錬金術みたい。


 アロマオイルは匂いの広がりによって大まかに

・ベースノート(長く、ゆっくり香る)、

・ミディアムノート(中間)、

・トップノート(早く香りが飛ぶ)

 の三つに分かれます。三種類を上手く調合して香りのコンビネーションを作ると面白いです。


 また匂いの系統が

・フローラル系★〇◇

・エキゾチック系☆●◇

・樹脂系〇◆△

・スパイス系◇▲▽

・樹木系△▼□

・ハーブ系▽■◇

・柑橘系☆□◆

 の七つに分類されます。上記の隣の系統同士は特に相性の良い(塗りつぶされた記号は塗りつぶされていない記号と相性が良い)関係なので、参考に調合をすると良い香りの物が作りやすくなります。


 またアロマオイルには個々の特徴があります。例えば塗って火傷や傷に利く物(大半のアロマオイルは原液を皮膚に付けてはいけません)、リラックス効果のあるもの、肌の健康に良い物、虫よけになる物、集中力を上げる物、異性にモテる物……


 個々のアロマオイルが持つ効能スキルを組み合わせれば、その可能性は無限です。さらに好き嫌いはあるかもしれませんが、よほどの事が無ければが出来上がる事はありません。


 こういった調、アロマオイルって中二病が喜んで飛びつく要素ばかりなのです。

 なので男の人だってアロマオイルにハマったっていいんじゃないかな、と考える次第です。

 世のお父様方が、悪い男を追い払うために愛娘に送るアロマ香水(禁欲作用・集中力強化のオイルを調合)、なんてのも作れちゃうんですけどねぇ。



 さて、ブラック企業を退職後、小説を書いていた事がきっかけで舞台演劇の脚本を書くことになったり、バンドマンで得た経験や学生の時に取った電気工事士の資格を活かして舞台の音響・照明・演出をやってみたり、電気設備のアドバイザー・エンジニアとして芸術家の手伝いをしたり、ミュージシャンにCDのジャケット依頼されたり、路上で絵を描き始めた延長でバルーンアートを始めたり……後の数年の間、アート方面への迷走と言っていいような状況に陥り、楽しい事もあったり、散々な目にあったり……散々な事の方が多かったかも('Д')……しましたが、それはまた別の機会に。


 それにしても、改めて書き綴ってみますと精神疾患後に始めた(目覚めた?)芸術系の趣味は僕にとってセラピーのようですね。元来、芸術は関心の薄かった分野だったこともあり下手の横好き感は否めませんが、お金を掛けずに長く楽しめる遊びを手に入れたと思えば、かなり得した気分なのです(と言うか、もっと昔から興味を持っておけばよかった。脳筋のバカヤロウ!)。


 そうそう、せっかく病気になったのだから(?)障碍者手帳を貰おうかと思ったこともありました。が、(当時の事なのでうろ覚えなのですが)調べてみたところ余り旨味がなかったようです。精神科の医者処方箋プリンターも障碍者手帳の申請は快く思ってなかったようなので結局、手に入らず。

 今思えば、もっとよく調べておくべきだったかもしれません。


 それにしてもブラック企業に入社して得たスキルが仕事に関係ない物ばかり。仕事の経験から身に着けたスキルは本当にないのでしょうかね……?

 もちろん。そんなもん、ありませんよ(笑)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る