ついに発症! 精神疾患編。
第11話・前編 あははは。空が、空が落ちる。あはははははは。
今回と次回ですが、少し長くなってしまったのでパートを分けさせていただきます。
ごゆるりとお楽しみいただければ幸いです。
<問・メンタルに異常を感じたら>
昨今では精神疾患、つまり脳へのダメージから引き起こされる病やストレスで引き起こされる病などの話題を耳にすることも珍しくなくなりました。
けれども僕が精神疾患にかかったのは《うつ病》や《メンタルヘルス》なんて言葉が一般的に使われるようになる直前の時期だったこともあり周りの人に理解されないは当たり前、自分でも何でこうなってしまうのか理解できない状況に陥っていました。
少々、例を挙げていくとします。
〇著しい集中力の低下
どれくらい集中力が低下していたかと言うと、机の真ん中に置いてあるカギを見つけられないレベルでした。
今思い出しても信じられないんですが、その時は必死になってカギを探しているんです、が、どうやっても目の前に置いてあるカギだけが見つけられない。その後もカギに限らず、工具や、部品などいくら探しても見つからない、そんな出来事が何度も起こりました。
まるで狐に化かされたような気分です。
(もしかしたら誰かがこっそり隠したんじゃないか?)
と、頭に
結果的には、これは良い判断だったと思っています。あの当時、もし誰かを疑うようになっていたら、際限なく人を疑って自分の居場所を失っていたと思います。そうなれば、きっと症状はさらに悪化していたはずなので。
……とはいえ、僕はもうちょっと人を疑ってかかったほうが良いかもなぁ。今作を書いていると、自分のお人好しぶりに苦笑いばかりしてる気がする。
〇疑心暗鬼
最も不調だった頃など、とんでもない疑心暗鬼に襲われることもありました。例えば夜、家に歩いて帰る道中、少し前を歩く人影があったとしましょう。もしその人影が、気のせい程度にフラりと僕の方に寄って来たとします。もう、その途端、頭の中では
『どうしよう! 通り魔だ! 殺される!』
心臓はバクバク、冷や汗は滲み、体中の毛が逆立ちます。ま、もちろん通り魔のわけがありません。普通の人です。
分かり切っていますが、むしろ僕がおかしい。
〇本当にくだらない事でイライラするようになる
どのくらいイライラしやすくなるかと言うとレジの順番を待つのが嫌すぎて、口の端を噛み切って血を流すレベルでイライラします。
もう頭おかしいですね。いや、本当に脳ミソがおかしくなっていたんだから、仕方ないんだけど。
自分で言うのはアレなんですが、元々は気の長い方だったはず、なのですよ。
人は怒るという選択をするから怒るのであって、じゃあ怒るという選択を最初からしないなら怒らずに済む。と言う理屈が過去の自分にはあって、それゆえに、そこまでイライラする人間じゃなかった、はず。
自分の中にあった理屈は記憶しているのですが、昔の自分の
まぁ、そういう違和感については深く考えないようにしています。考えても仕方ないし。
もしかしたら、その原因も精神疾患によるものなのかもしれません。
〇幻覚と幻聴、そして幻臭、幻触
以前のエピソードでも少し書きましたが、いろいろなアプローチで幻が押し寄せてきました。
・まずは幻聴。
僕の場合はなぜか子供の声(男の子)が多かったです。この子が耳元で、だいたいネガティブな言葉をリフレインします。
「吐く、吐く、吐く、吐く……」とか、
「やだ、やだ、やだ、やだ……」とか、他にもいろいろ。
どうやら一言ネタが好きなようです。
あと、眠りにつく直前に大声で名前を呼ばれて目が覚めたり、そんな感じです。
改めて文字に起こしてみると完全にホラー体験である!
・次に幻触。
幻触とは読んで字のごとし、五感のうち触覚に与える幻です。
わかりやすい所で言えば、ポケットの中に入れていたスマホがバイブレートしたような錯覚『ファントム・ヴァイブレイション・シンドローム』のようなものです。中二心を
ちなみに日本語で言うと『幻想振動症候群』。
わっふう。かっこいい!
さて、僕のファントムと言えば、主に肩をトントンと叩いてきました。仕事中もですし、普通に歩いてる時もですし、寝てる時も肩を叩いて起こしてきます。仕事中、サボってウツラウツラしてる時とかも肩を叩いて起こしてきます。
・次は幻臭ですね。
大抵、良い匂いはしません。
下水、口臭、ゲロ、化学物質、強烈な香水の匂い等々。
あと、感覚が過敏になっているのか嗅覚が鋭くなったような気がします。家に帰り、玄関を開けた瞬間、部屋の中にゴキブリが隠れてると臭いでわかるようになりました。あと禿上司や社長が過去三十分強の間に歩いた道を臭いで判別できました。
イヌか!
・最後に幻覚。
これは具体的に幽霊が見えた! みたいな事はなかったです。ただ、視界全体にチカチカした極彩色の模様が見えることがありました。
ご存じの方もいるかもしれませんが、世の中にはLSD(リゼリグ酸ジエチルアミド)というドラッグがあります。違法薬物です。ダメ絶対。
このLSDを人間が摂取すると起こる主な症状が幻覚。体験した人の多くがは極彩色の模様を見て、悟りを開いたような高揚感を体験したり、一生モノのトラウマになるような悪夢を見たりするそうな。
このチカチカした模様、LSD、と画像検索すればすぐに出てきますが、当時の僕は気が付くとこの模様が見えていました。実際に目の前に広がる景色に重なるように、派手な極彩色がグネグネ、チカチカ。別に高揚感なんてありませんし、不快感も大したことがなかったので特別困りはしませんでした。
ちなみに統合失調症では幻覚は稀だそうで、単純に寝不足が原因なのかもしれません。今でもすっごい疲れると見えるときがありますので。
〇死相が出てくる。
これには誰よりも僕が驚きました。
会社に行って仕事をすれば、各部署の誰かしらに突然、
「死なないでね」
と声を掛けられた事は数知れず。週末に久しぶりに会った友人にも同じ言葉をかけられ、さらには美容室で髪切ってくれた良く知らないお兄ちゃんにまで「死なないで」と言われる始末。
元々は死ぬ気なんて無かったけど、
(え? これもしかして、死んだ方がいい流れってこと? 押すなよ! 絶対に押すなよ! 的な?)
って真面目に考えちゃいましたよ。
〇突発的に死のうとする
ここまで追い込まれると本当に危険になります。
ある日の仕事終わり。深夜まで開いているスーパーへ行くために車を走らせていた時の事です。その道は国道で車幅も広いし、
ちょうど対向車線からトラックのヘッドライトが近づいてきたとき、
(あ、今ならいける)
と、ふと心の中で浮かんだ瞬間、急ハンドルを切ろうとする自分に気づいて、ようやく精神科へ行く決心を持ちました。
しかし不思議なんですよね。
その日、特別嫌な事があったわけでもありませんし、多分、死にたいなんて思っていなかったはずなので。それどころか空手に勤しんでいた高校時代なんか『死ぬくらいなら、ぶっ〇す!』が座右の銘の脳筋バカだったのに。
この体験が僕に限る事であれば良いのですが、一般的に起こりうる出来事だとすると、人の自死を止めるのってすごく難しい事になっちゃう。一般的な出来事でない事を願うばかりです。
さて、精神疾患を抱えるまで追い詰められた場合、体力の低下や脳の損傷に伴い、判断力等が著しく低下しますので、上司等に対してまともに意見を言う事すら難しくなります。正直、病気になってから普通の人(普通の人、って変な言葉なので好きではありませんが)と上手く話しができなくなったような気がします。おかげでこの後、変態、変人の友達が沢山出来たので、ある意味最高だったのですが、それはまた別のお話で(笑)
可能であればそこまで悪化する前に休養を取れるように会社と相談するか、仕事を辞めてでも体を休めたほうが、総合的に考えれば自分のためになったような気がします。
後編へつづく。
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