第7話 新入社員、入社二月で部署移動!

<問・悪い上司からの逃れ方は?>


 六月ごろ。まだ本格的に暑くなる前のこと。

 手元の仕事に目途が見えてきたタイミングで、に第二チームの応援に入ってくれとの通達が来ました。第六話でも触れたのですが、


第一チーム:

自社製品、ある程度、儲けが出やすく。仕事としても面白い。新卒で入った社員が多い。


第二チーム:

他企業の電気基板の不良を発見するテスターの設計、製造がメイン。

儲けが薄い。中途採用や社長に嫌われた社員が多い印象。



 突然、第二チームの応援に行かねばならなくなった理由はズバリ! 『クレーム処理』!

 個人的には最も新入社員を配属してはいけないであろう業務、ナンバー1です。


 数か月前に引き渡した製品(テスター)に不良があったらしいです。すでに引き渡した製品は海を越え、東南アジアはタイへ渡り、そこで生産している機械のテストが出来ない状況だったそうです。こちらは緊急対応の為、電子工学部部長が即刻タイへ飛びました。

 また、まだタイへ持って行っていない大量の(最初は六台ほど、後に何十台にも増える)テスターの耐久試験と調整が全てやり直しとなり、圧倒的に人員が不足。こちらに僕が応援に向かうことになりました。


 さらに後で知った事ですが(どうせ、激おこプンプン丸の社長が言い出したのでしょうけれど)、この時点で第二チームにいた社員のほぼ全てを数か月後にはリストラ(自主退社に追い込んだのかも。詳細は不明)する方向で調整されていました。つまりこの時、、という事です。


 そんな事とはつゆ知らず。新入社員でありながらクレーム処理のため第二チームに配属されたアホの子、僕です。

 そして一応僕の直属の上司として一緒に配属された人が居ました。この人が一癖も二癖もあったのよ。同じく第一チームに居た通称”禿さん(仮名)”。禿さんのプロフィールは


禿さん:

バーコード・タイプ。油マシマシ。

ティファールよりも高性能な瞬間沸騰。

すぐに真っ赤になる。沸騰しました、の合図。

中途採用。50歳。もちろん独身。

面倒ごとから逃げるから、結局、僕一人で残業する羽目になる。

臭い。加齢臭系の異臭。吹き溜まり。発生源は不明。

内臓脂肪で体がパンパン。

夜這い系のイメクラが好き。キモチワルイ。

走り屋仕様の車が好き。


 この禿上司と一緒に第二チームや【機械設計部】の人達と連携して今後クレーム対応をしていく事になります。このクレーム対応、当初は二週間ほどで終わる予定だったのですが、最終的に三か月以上を要する悲惨な業務になります。




《解・上司から逃れる方法なんてない。ただし、会社には他にもたくさん人がいる》


 さて、この禿上司は今後の僕のブラック企業体験に、さらに黒いいろどりを添えてくれる(ブラックに黒を混ぜていろどりとはこれいかに?)人となります。

 第二チームへの応援が決まった段階では知らなかったことですが、この禿上司はA社に入る前に働いていた会社でもかなりの問題を起こす人だったそうです。


 前にいた会社では、すぐにキレて仕事を停滞させる。意味不明なやり直しを要求し始める(そんな権限はこの人にはありません)。当時、禿さんを抱えていた会社の社長さんは苦肉の策で社長直属の部下にする、というを与えてコントロールをしていたそうな。


 そして禿さん、A社に転職するわけです。面接の際には

「私は社長直属の技術者として働いていました」

 と答えてA社に中途採用が決まったとか。物は言いようってのは、この事だね。


 さて、これから本格的なクレーム処理地獄が始まるわけですが具体的な内容は長くなるので次回にしましょう。その前に一度、この時点(6月くらい)の労働時間のおおよその推移を確認しますね。


・4月

 終業時間は18時~20時。

 まだ勉強がメインで出来る仕事も少ないので残業は少ないです。

 それでも20時って……


・5月

 終業時間は19時~22時。

 徐々に本格的な業務が始まる。

 夕飯がカップラーメンに変化していく。


・6月

 終業時間は22時~24時

 クレーム処理が始まる。

 日を跨がなければ余裕、と言う誤った認識が生まれ始める。


 そう、クレーム処理が始まると同時に労働時間が増えていくのです。


 が!


 僕の直属の上司、禿さんは違う。だいたい20時を過ぎると会社から消えています。しかも一声も掛ける事無く、忽然こつぜんと。なので業務の進行について相談もできませんし、終わっていない作業などは一人で終わるまで続けることもしばしば。

 いやぁ、思い起こすと僕は馬鹿正直すぎます。


 さて、今回の命題でもある『悪い上司からの逃れ方』ですが、元も子もない解決法としてはまず、『会社を辞める事』です。

(※少々、個人的解釈が強いかもしれません。ご指摘等ありましたらコメント頂けると幸いです)


 人事部がある大きな企業であれば相談する余地もあるかもしれませんが、人員の限られたベンチャー・中小企業では新入社員の一存で人事が動く事は稀です(パワハラ・セクハラ等で労基に訴えれば可能でしょう。会社に居辛くなるので結果的には同じような気がしますが)。

 僕らの時間は有限で、そのうち死ぬのですから、この時間を上司の為に無駄にして良いのか一度、考えてみる必要があります。


 ただ、こういう場合。

『社会人としてのがあるから簡単には辞められない』

 と考える事も多いと思います。僕がそうでした。結局、一年半ほどブラック企業にいたわけですから。


 ブラック企業において、です。

 つまりに変化しているのです。

 責任と言う言葉は自分で自分に向けた時、本来の効力が生まれる言葉だと思います。包丁と同じ、他人に差し出す時、刃が人に向いてればかどが立ちます。

 このように解釈すれば上司にとやかく言われようが関係ありません。他人が強いるなんて無視して、まず自分の命にを持てば少なくとも過労死は免れます。


 ただ、現実問題として「はい。辞めます」と言える状況ばかりでないのも事実。なのでもうちょっと現実的な打開策は事です。


 みんな忙しいので

「自分の代わりに仕事をしてくれませんか」

 と頼むのは難しいですが、愚痴が言える相手がいるだけでも状況は格段に良くなります。なかには空いた時間30分とかで手伝ってくれる人も居ました。

 追い詰められると人間、想像以上に視野が狭くなるので助言がもらえる環境を作る事、を優先事項に加えるとの選択肢が増えるのです。(戦い方も少しだけ増えます)


 少々、抽象的な書き方になってしまいましたが、具体的な『めっちゃいい人エピソード~INブラック企業』もたくさんあるので、後日改めて書いていきたいと思います。いかにブラック企業と言えど、助けてくれた上司や同期のような良い人が少なからず在籍していたのですよ。

 しっかし今作、エピソードが多すぎて『後で詳細書きます』発言が多すぎだな……。


 ただし、A社のように誰かと協力するくらいじゃ解決しない問題を抱えた異常な企業が世の中には存在するので、そういった場合はすぐに辞める事が一番確実な方法だと思います。


 さて、次回から具体的なクレーム処理の内容編に入りますが、書いた物のストックが切れてきましたので次回は少し、お時間を頂くかもしれません。

 かしこ。

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