第1話 エトの1日
私の名前はエト・カーノルド。この国の貴族の一人だ。
とはいっても男爵なので肩身が狭いし、上位貴族様にはヘコヘコしないといけないのだから、平民の方がマシだと思うよ。
いやマジで。
とか言ってると、お父様達に貴族のなんたるかを延々と語られるから言わないけどね。
さて、今年は我が家にとってはとても大事な年だ。それは王女様のメイドを決めるからだ。
この国では、自分の側近以外の護衛やメイドは、王族自身で選ぶので、私みたいな身分の低い貴族でも、選ばれるかもしれない。
まぁ無理だと思うけどね。なんでかって? 大体そういうのって、裏のやりとりであらかた決まっちゃてるのが多いんだよ。
お父様達は、私に凄い期待をしてくれてるんだけど……ごめんねたぶん無理だから。周囲の親戚からも期待を寄せられてるのは、やっぱり固有能力が、雷だからなのかなぁ。
男爵にしては珍しい能力だから、完璧に扱えるようになれば護衛も出来るメイドって事で需要が高まるみたいね。
王族のお披露目会の時に、チラッとカノン第一王女を見たけど、凄い可愛かったなぁ。確かにあの方のメイドになれるならなりたいね。
王族を象徴する、黄金の金髪が特徴的でカノン様はとても綺麗だった。
さて自室でふけってたら、そろそろウチの使用人が迎えに来る頃だ。
選考の日までに、勉学や魔法の水準をあげて選ばれる確率をあげるため毎日忙しい。
あぁ、早くのんびりシズルちゃんと、お茶したいなー。
今度また家に誘ってみようかな、でもシズルちゃんも勉学で忙しいし、お互い落ち着いてからにしよう。
うん、それがいい。
「お嬢様ー! 魔法の授業のお時間ですよー。先生が先にいらして待ってますよ」
あぁ。私の家の数少ないメイドが呼んでるよ。
貴族と言っても私の家は貧困だからね、使用人も料理人から含めて、六人しかいないし大変だよね。
「分かったわ、今すぐ行くと伝えて頂戴」
かしこまりましたー。と若いメイドの元気な声が廊下に響いた。
彼女お父様がいたら怒られるよ。
元気なのは良い事だけど、もうちょと落ち着きがないとね。 偉い人が来た時とか大変だよ。
私もそろそろ行かないと……私はだらだら着替えて髪を整える。
本当はこういう事、メイドの仕事なんだけれどメイドの手が一杯一杯だから、自分でやる習慣が付いてしまった。
シズルちゃん家は子爵で、使用人も沢山いるか殆ど着替えとかはやってもらってるみたい。
だから私みたいに、一人で色々出来るって凄いねって言われたから、嬉しかったな。
自分でやるしかなかっただけなんだけどね
十四歳までに基本の魔法全て覚えさせるって中々キツいよ。
選考は今年の夏だから、それまでに少しでも覚えないといけないし。
かくして私は、自室を出て先生が待っているであろう庭に向かうのだった。
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