記憶力と鬼教官

前回、新エリアに行くためガルドに戦いを挑んだカナデたちだったがスキルが使用できない状況で敗北をし、まだまだ実力不足だと知ることとなった。


「私ね、今まではスキルが強すぎたんだと思うの。」

「うん…私もカナデもスキルがちょっと壊れ性能だったからね。」

「て事で…根本を強化する為に、『鬼教官』を何度も倒そうと思うんだけど…どうかな?」

「うん!いいんじゃない?」

鬼教官はPP、経験値がとても多く手に入る為、アイテムは落とさないが効率がいい。

ただし、鬼教官に戦いを挑む時は、スキルが使用できないという縛りがある。しかしその条件がある分、今のカナデたちにピッタリ過ぎる敵である。

「鬼教官は、鬼ヶ島群島に出現するらしい。」

「だから、今から鬼ヶ島群島に行くんだね!」

「いや…船になんか乗ってる暇はない。だから、誘き寄せる。」

「おびき寄せる?どうやって?」

するとカナデは待ってましたと言わんばかりに作戦を披露する。

「まず、鬼教官は鬼ヶ島群島以外にも出現する。」

「例えば…?」

「何処にでも。」

「は?どこにでも?」

「うん。ただしぐでぇ〜っと怠けている奴の所に」

そう。普通はそんな事はない。このゲームにおいては常識なんかは関係無い。このゲームは設定が全てだ。

「そんなおいしい敵がそんな条件で現れていいの!?」

「現れるものは仕方ないよね…でもそれを逆手に取れば!いくらでも稼ぎ放題!って訳!」

カナデが持ち掛けた妙案にソラナは二つ返事で即答する。

「それ。良いね!じゃあ交代で倒そう。」

ソラナはニヤッとしながらそう言うと、

地面に寝そべってぐでぇ〜っとし始めた。

するとものの3分も経たないうちに、鬼教官が現れた。鬼教官は一撃一撃が重いモンスターだが、

AGIの高い2人には関係無い。

その為、一瞬で片付いてしまう。

「おお!PPがいっぱい!じゃあ…

ちゃんとVITとDEXに振って…よし!交代!じゃあ次、ソラナの番ね!」

そう言うと、カナデはぐでぇ〜っとし始めた。

カナデは自分の足りないステータスにきちんと振り始めた。勝てない事が分かったからだ。


続いてソラナも一瞬で片付けると、

PPを自分の足りない所。つまりLUKとVITに振った。

このループを延々と繰り返し続けて、

2人のステータスはほぼ完璧に近いものとなった。

更にLvまで上がり、カナデに関しては、

Lv.85にまでなった。ただ、このゲームはLvが

カンストされても上位職に転職するか、

新たな職業になってまたLvを上げ続けるかの作業が続く。


「カナデはもうカンスト間近だね〜。」

「いや、ソラナだってステータスのAGIとVITがMAXじゃん!」

「いや〜周回をするだけでこんなにもなるとは思わなかったよ!」

「そうだね。じゃあもう1回行こう!」

「そうだね!私達の1週間の修行の成果、見せてやる!」

そう言うと2人と2匹はガルドのいる試練の洞窟に向かっていった。

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