第9話

 それ以来、三郎の通う高校の男子バドミントン部に、コーチとして就任した。その手腕は本物で、新人戦で三郎は1セットも落とすことなく、優勝を決めた。勢いそのままに春に行われた全国高校選抜にも出場し、見事に全国制覇を成し遂げる。その試合ぶりが協会の上層部の目に止まり、強化選手候補にも選ばれた。

 そしてその年の八月。高校三年になった三郎は、インターハイの会場にはいなかった。

 三郎がいるのは、遠い海外の地、オリンピックの会場だった。あの日以来、三郎の生活は激変したのだった。


「阿賀選手。若干十七歳にしてここまで来られたのは、ズバリ誰のおかげでしょうか?」


 開会式の後で、アナウンサーにそう質問される。


「そうですね……僕を応援してくれた、周りのすべての皆様と、コーチと、ホウレンソウのおかげですかね」

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鉄の精神 ディひター @F_Dichter

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