第11話 使命

「おっ来たよ、Jリーガー!」


教室に入るやいなや、ダイゴがちゃかす。


「なんで今日に限って早いんだ。いつも遅刻ギリギリのくせに。」


「やっぱ世紀のビッグニュースを届けなきゃいけない使命にかられて。」


「そんな使命はお前にはない。」


「まぁけど、ビッグニュースに間違いはないな。」


「で、マジなんだろ?その話は。」


ゲンとヨネがダイゴからどう聞いたかわからないが、一応経緯を説明した。(ケンは別の学校)


「で、練習会に行くってことか。」


「あぁ。やらないで断るのは嫌でさ。」


「そりゃ、そーだよな。」


「ハットトリックの俺には、なぜ話が来ない。」


一同、ダイゴは無視して続ける。


「バスケはやりたいけど、キーパーとしての自分も試したい。」


「なんかテツなら、ありえるな。サインもらっとこうか、ゲン」


「いらん!万が一そうなったら、いや、なっても俺らはバカ友達のままだ。」


「実は、俺はもうサインを考えている。」


一同、サインを考えてるダイゴは気にせずさらに続ける。


「まぁ誰がどうなろうと、友達に変わりねー。中途半端は嫌いだから、精一杯やってみる。」


「おう。」


「そーだな。」


「こっちのと、こっちのサイン、どっちがいい?」


「こいつは、連れてく。」ゲンとヨネがダイゴを連れて隣の教室に戻る。


ヨネが小走りで戻り耳元でささやく。

「今朝の咲桜ちゃんとの事はゲンには黙っといてやるから。ヘへっ。」


「!!」


「ヨネ、お前!」


不覚にも見られていたらしい。

そして、ゲンは咲桜に惚れている。けど、何も悪いことをしたわけではない。ヨネの野郎…と思ったが特に気にしない事にした。




「なんだかなー上手く行って欲しいような、欲しくないような。」


「ダメだったからバスケってのも、なんかなって感じか?ゲン的には。」


隣の教室に戻り二人が話す。

ダイゴは隣でサインの練習をしている。


「だってよー。本当はな、高校でも一緒にやりてぇよな、バスケ。」


「そりゃあな。けど、すげーよな。」


「あぁ。すげーよ。」



ゲンこと、間宮 源。身長175㎝。

小3から、バスケ一筋。テツと中学で知り合ってからの親友。入学時はゲンの方が身長は高かった。しかし、グングン伸びる身長に、運動量、技術は粗削りながら、伸びしろだらけのテツにゲンも憧れに似た感情を持っていた。さらに助っ人のサッカーのキーパーでスカウトって。すごすぎだろ。


「なんかテツのことだから、なんとかなりそーだよな。まぁどっちにしたって、俺らは一緒に喜ぶか、なぐさめるか。してやろうぜ。な!」


「たりめーよ!な!」


サインの練習を止めないダイゴ。


けど、少し頷いた…気がする。


「……俺もプロに。」


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