第3話 反省会
「集合!お願いします!」
試合後、監督の元に選手が集まる。
監督「良く最後まで戦った。良いプレイがたくさんあった!俺は感動した!負けたけど、良いゲームだった。そうだろ?」
ゲンが、ヨネが、下級生のチームメイトが泣いている。
「ゲン。今日のコート上で間違いなくお前が一番輝いてた。厳しくマークされながら、良く周りを見て良い判断をしていた。」
「テツ。良く走って、良く点を取ったな。ほぼ半分はお前の点数だ、相手は強豪だぞ、胸を張れ。」
「ヨネ。・・・・・・・・お前も、、頑張ってたぞ!」
「か、監督ーーー!!」
泣きながら、大きな声でつっこむ。
暗い顔をしていたみんなを、笑いが包んだ。
「すまんすまん。ヨネは、良く声を出して、最後まで良く戦った!」
「はい!」
「とにかく素晴らしいゲームだった思うぞ。GOOD GAME!3年間お疲れさん!」
「ありがとうございました!!」
全員で監督に頭を下げた。
「お疲れ。すまん。」
ゲンが、真面目な顔をして言葉少なく謝る。
「何に謝ってんだよ、お前は。あれだけずっと二人にマークされて、、」
ゲンの顔を見ていると、こちらが今にも泣き出してしまいそうで、そう返すのが精一杯だった。
「もっと、できた。もっと体力も技術もあれば。みんなにも、テツにも無理させたもんな。最後、キツかったろ?かなり苦しそうだった。」
なんと、まったく、こいつは視野が広い。
「最後の方はな、さすがの俺も苦しくなった感じあったわ。必死だったからな。意識したつもりはないけど、もうこれでみんなとのバスケも終わりだと思うのも、どっかにあったのかな。」
確かにいつもより苦しかった。苦しかったが、最後まで走りきった。
「おいおい、苦しかったってか?胸が痛かったってか?泣かせるねー。センチメンタルってやつか。」
さっきの笑いで涙の止まったヨネが入ってきた。
「冗談だよ!」
「二人ともありがとう。二人のおかげで3年間楽しくバスケができたよ。今の試合、負けたけど最高に楽しかった。」
ヨネらしくない、少し真面目な、はにかんだような笑顔を見せた。
もちろん二人も同じ気持ちだろう。
なんだかそう話すヨネが清々しく、ちょっとだけ、本当にちょっとだけ格好良く見えた。
「あーーぁ、もっとうまくなりてー。」
涙を隠すように天井を見上げ、ゲンが呟いた。
「お前はめちゃめちゃ上手いだろ。」と言いたかったが、そんな雰囲気でもなく、黙っていた。
少しの沈黙の後、
「よし!切り替え、切り替え!着替えて帰るか!」
そう言って、荷物の方へ走り出した。
「走んのかい!」
二人は一応つっこみを入れつつ、飽きれて笑いながら、ゲンのあとを走って追いかけた。
「こーやってバカできるのも最後なのかな。」そんなことを考えながら。
こうして中学最後の、バスケの試合は終わった。
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