【9話】 突入!魔王城!
【キャラクターシート】
レイン :http://www.pumpukingdom.com/ytsheet2/sw2.5/?id=0XT69v&backup=2020-07-23-10-28
イキシア :http://www.pumpukingdom.com/ytsheet2/sw2.5/?id=PAW6EC&backup=2020-07-23-10-31
ミミ・クック:http://www.pumpukingdom.com/ytsheet2/sw2.5/?id=HYWb7l&backup=2020-07-23-09-53
ユズハ :http://www.pumpukingdom.com/ytsheet2/sw2.5/?id=C6fNMv&backup=2020-07-23-10-46
【NPC】
オルソラ :http://www.pumpukingdom.com/ytsheet2/sw2.5/?id=agPt80&backup=2020-06-27-18-21
GM:CPも残すは後2話。今日もやっていきましょう。成長報告おねがいします。
ユズハ:プリーストLv8になりました。やっとゴッドフィストが撃てます。アルケミストを2Lvあげて、取得したのはヴォーパルウェポンとヒールスプレーです。補助動作で出来ることを増やしてみました。今回から戦闘がきついということなので、白、緑、赤のカードをお持ちで自分じゃ使わない方はユズハに渡してやってください。以上です。
GM:GMの自業自得がGMを襲いそう。
ユズハ:当然なんだなあ。
ミミ:フェンサーが9に。これで≪回避行動≫と≪テイルスイング≫がどちらもⅡになったっス。さらに≪変幻自在≫とエンハンサーを2にしてドラゴンテイルを新規に取得したことで、ようやく複数挑発ができるっスよ。いやー長かった……。それと新たにアルケミストを生やして、ミラージュデイズを覚えたっス。まぁ趣味っスけど、SSカードもあるんで馬鹿に出来ないかもっスよ~? 回避基本値が16からになってPLはびっくりした。両手を空けて尻尾で殴ればガゼルフットと合わせて19!
イキシア:ひゅう!!!! つよいぞ~!
ユズハ:すばらしい。
GM:挑発ウーマンと化してる……まぁダイス目は女神次第じゃ。
イキシア:イキシアです! アルケミストを2に上げてバークメイル取りました! おわり!!! ソーサラー9に上げるには経験点が足りなかったのだなぁ。以上です。
レイン:レインだ。ファイターを9レベルにあげた。全力攻撃がⅡになって火力上昇だぜ。戦闘特技は≪超頑強≫。手番暇なら回復ください。HPは常に高く保とう。
イキシア:HPタンク!
レイン:英雄ごっこを最後までやり遂げて、みんなで帰る。まずはキリト達の援護からだ!!(フラグ)以上です。
GM:はい。成長報告は終わりかな。では前回のおさらい。
雪原の廃墟でレジスタンスの蜂起が始まった事を知った君たち。
急ぎスカボローに向かうと街は既に戦場だった。
街中の蛮族を倒しつつ合流を急ぐ君たちは、鉄華団の仮設拠点にたどり着く。
ギュンギュスカー商会はレジスタンスに制圧され、物資供給拠点となっていた。
そこで、キリト達を含む精鋭部隊が魔王を倒すために魔王城に向かった事を知る。
「イアが一緒にいる」と判断した君たちは、合流すべくギュンギュスカー商会の物資で補給を済ませ、一路魔王城へ向かうのであった。
GM:そんな話だったんだけど、覚えてますかね。
ユズハ:大丈夫だ。
ミミ:いあー。
レイン:ああ。問題ない。ボスの首はねたのも覚えてるよ。
GM:魔王城に君たちが入り込んだところで引けたので、そこから再開です。内部には、ところどころに蛮族の死体が転がっています。そしてレジスタンスの遺体も。あちこちに戦闘の跡が見られます。
イキシア:「生徒たちが頑張ったのですね……」顔見知りの遺体を見つけてしまうと動けなくなってしまうから、拳をぎゅっと握りつつあえて顔を見ずに進みます。
ミミ:「早いとこ、終わらせちゃいましょっス」
レイン:イキシアの肩をぽんってたたく。「だな、急いで応援に行こうぜ、勇士様の。早くそこのお嬢さんの妹さんも迎えに行かないといけないしな」
ミミ:こくこく。
イキシア:「……です」レインの体をぽんぽこ叩き返します。景気づけだ!
ユズハ:「しかし、いったいどこまで先行しているやら……」
GM:今のところ、戦闘音なんかは聞こえませんね。戦闘の痕跡が点々と続いているので、進んだルートは見ればわかりますが。
イキシア:「とにかく! 生徒たちと合流して、トッテモツヨイパーティを編成しにいくです! イキシアたちと生徒たちが合わされば、きっと百人力ですので!」
レイン:「間違いねえ」
ユズハ:「ああ、行こう」
ミミ:「ごーごーっス!」
GM:君たちは戦闘の跡を頼りに、城内を駆け出したのであった。ここで一旦こっちのパーティは終わりです。ゲストを操作してもらいましょう。
イキシア→エレン&アスナ:楽しみですねえ。二刀流フェンサーに、神官軽戦士です。
ユズハ→ミカサ:ミカサはインファイトグラップラーか。なかなかこの組み方はしないな。
ミミ→キリト:フェンサーコンジャラーエンハンサー……まあ、そんなに変わらない感じで行けそうっスねー。
レイン→アルミン:魔法使い、いず、不慣れ。
GM:ではいいかなぁ? 時間は巻き戻る……。
【キャラクターシート】
キリト:http://www.pumpukingdom.com/ytsheet2/sw2.5/?id=QMITmJ
アスナ:http://www.pumpukingdom.com/ytsheet2/sw2.5/?id=kgfmYj
エレン:http://www.pumpukingdom.com/ytsheet2/sw2.5/?id=zMxzHm
ミカサ:http://www.pumpukingdom.com/ytsheet2/sw2.5/?id=xBP0Aw
アルミン:http://www.pumpukingdom.com/ytsheet2/sw2.5/?id=RQ7yYV
GM:キリト達一行は、アンプレゼント率いるレジスタンスの精鋭部隊として、魔王の首級を上げるべく魔王城に突入しようとしている。
アンプレゼント:「迂回に時間を取られましたが、たどり着けましたね。後は中に居る魔王を討つだけです」
キバオウ:「この日の為に準備を進めてきたんや。後はやるだけやで、アンプレゼントさん」
GM:ここまで走ってきたからだろう、アンプレゼントも君たちも息が上がっている。
キバオウ:「しっかしレインらはほんまに間の悪い……あいつらもこっちに来てもらうつもりやったのに……」
アンプレゼント:「急な話でしたから、仕方ありません。状況は彼らの帰還を待ってくれませんし。それに、大丈夫。彼ら抜きでもやってみせますよ。ね、キリト君?」
キリト:「ああ、もちろんだ。遅れてきたレイン達を、散々悔しがらせてやろう!」
キバオウ:「……おっしゃ! 頼んだで、キリト! さぁ皆、準備はええか! いくで!」
GM:キバオウの掛け声に皆が「おー!」と気炎を上げる。
アンプレゼント:「突入します!」
GM:冒険者達は一斉に城になだれ込む。中には、人族の勇士を討ち取らんと待ち構える蛮族の姿が。
キバオウ:「お前ら! 全員いてまえや!」
GM:冒険者と蛮族達の戦闘が始まる。キリト達も例外ではない。君たちの前にも蛮族が姿を現した。ミノタウロスが2体立ち塞がる。おためし戦闘です。
ミカサ:「アルミン下がって。片づける」
アルミン:「うん、気をつけて」
ミカサ:先制判定(ころころ)取った。
GM:余裕の先制。
ミカサ:バフデバフできそうな人います?
GM:魔術師のアルミンと神官のアスナ。後は各自エンハンサー。
アルミン:なんかいります?
ミカサ:いや、攻撃で押しちゃいましょう。
エレン:「アルミン! ファイボ任せた!」
アルミン:ではファイアボール。「みんな気を付けて!」制御使って対象はミノタウロス二体に。発動判定(ころころ)1ゾロ。
GM:ふぁーwwww アルミンの魔法はスカった!
エレン:「駆逐してやる!!!!!!」ミノタウロス一体に対して【キャッツアイ】【ガゼルフット】【マッスルベアー】【ケンタウロスレッグ】【デーモンフィンガー】!
GM:ヴォーパルも乗せるんだ! さあこい!
エレン:(ころころ)1ゾロ。(爆笑)
GM:エレンの攻撃は虚しく空を切りました。呪われてない? 大丈夫??
ミミ:なんだこいつら。
エレン:このパーティあかんのでは? これは負けますわ。次の方お願いします。
ミカサ:「エレン、下がって」インファイトとヴォーパルS、【キャッツアイ】【ガゼルフット】【マッスルベアー】宣言。(ころころ)1ゾロじゃ、ない。
GM:あたる。14点抜けてきた。
ミカサ:両手利き効果で二発目。(ころころ)問題ない。
GM:17点……。
ミカサ:追加攻撃。(ころころ)当たる。
GM:14点。特にクリティカルすることもなく、合計45点……やっぱミカサこえーわ。
ミカサ:「油断、しない」
キリト:【マッスルベアー】のみ唱えてマルチアクションで自身にファイアウェポン。ノルニプスで攻撃。
GM:はい当たり。
キリト:1回転して31。
GM:23抜け。権利のように回してくるな。一体目死亡。
キリト:「よし、次!」
イキシア:やっぱり勇士なんだよなー。アスナはパス。
アスナ:「みんな気をつけてね!」
GM:では全力攻撃薙ぎ払いのミノ君。熊虫猫脚入れて17といって攻撃。前衛回避どうぞ。
エレン:6ゾロ。
キリト:回避。
ミカサ:回避。
GM:さっき1ゾロで今度6ゾロ。極端だなぁエレン! ではPCターン。
エレン:「今度こそ駆逐してやる……!」さっき使えることに気づかなかった二刀流で攻撃。(ころころ)右手17点左手19点。
GM:9点11点。
ミカサ:続く。再びインファイト宣言。(ころころころ)30点21点22点。
GM:22,13,14。死にました。
ミカサ:(ミノタウロスを黙々と殴り殺す)
アルミン:「ミカサ、エレン、お疲れ。けがはない?」
ミカサ:「大丈夫。アルミンこそ気を付けて」
キリト:「おいおい、本番は俺の分も残しといてくれよ?」
ミカサ:「別に、早い者勝ちということもない……危険に合わないのが一番……」(エレンの前に立ちつつ)
エレン:「はぁ……。よし、次だ。すべての蛮族を駆逐してやる!」
GM:君たちは目の前に立ちふさがったミノタウロスをあっという間に倒し、他のメンバーの補助に入るのでした。ホールの蛮族はしばらく抵抗を続けましたが、形勢不利とみたか撤退していきます。君たちもまずは深追いせずに傷を癒やします。
キバオウ:「やっぱり敵もしっかり守っとるな。怪我した奴はポーション飲んどけ! ゆっくり草炊いとる間はないで!」
GM:今の戦闘で減ったHPとMPを全回復させてください。
エレン:了解です。
キリト:わーい。
アンプレゼント:「回復は済みましたね? では追撃しましょう。時間をかけるほど不利になります」
アルミン:「はい」
キバオウ:「城ですし……やっぱり魔王は一番上におるんですかね?」
アスナ:「んー。お約束的には一番上の階とかにいるんだろうけど、どうなんでしょう?」
キリト:「どうせ見て回るんだ、一度上まで昇った方がいいんじゃないか?」
アンプレゼント:「そうですね。であれば敵の引いた方向に進みながら上を目指しましょう。彼らも守る場所に向かって後退しているはずです」
キバオウ:「わかりました! よっしゃ、お前らいくでー!」
GM:君たちは進撃を開始します。度々、城内の要衝と思われる地点で蛮族達が待ち構えていました。前後から挟み撃ちにされたりもしましたが、君たちは必死に戦い、道を切り開きながら最奥を目指します。途中、奮戦虚しく倒れる仲間も居ますが、彼らの犠牲を無駄にしない為にも魔王を倒す決意を新たに奥へと進みます。
GM:何度かの戦闘の後、ついにレジスタンスは最奥らしき部屋の前にたどり着きました。部屋の前での戦闘は苛烈を極め、蛮族達も後が無いからか今度こそ後退せず、犠牲も少なからず出ました。しかし最後は、なんとか君たちが勝利をおさめます。
アンプレゼント:「……ここが、最奥のようですね」
キリト:「ようやく最後か」
キバオウ:「5人やられた……。ここまでも何人も……勝って報いたるしかないで……」
アンプレゼント:「ええ、魔王を倒し、スカボローを開放するとしましょう。皆さん、行きますよ!」
GM:魔王城最奥、魔王の間。事前に聞いていた通り、玉座に座るディアボロ種の姿と、周りを固める護衛達の姿があります。
アンプレゼント:「キリト君達は魔王をお願いします! 他の皆は護衛を!」
キリト:「よし、行くぞ皆!」
GM:駆け出す君たちを見て、魔王はゆっくりと立ち上がります。魔王戦です。
エレン:魔王も駆逐してやる……負けイベントなんて知らないぞ!!!!
ミカサ:おー!!
GM:データはマスクです。まもち不可。先制値13。
ミカサ:……13? たった?(ころころ)取ります。
GM:魔王は無言で君たちを迎え撃つ。PC先行です。
アルミン:全体にカウンターマジック。10点割って5倍掛け。精神抵抗値アップ。
エレン:「サンキュ、アルミン」
キリト:パラミスSSを投げながら、切り返しⅡで殴ります。【ガゼルフット】【キャッツアイ】【ビートルスキン】【マッスルベアー】ノルニプス 切り返しⅡ! 出目4の、17。
GM:あたる。
キリト:ダメージは22点。
GM:17点。
キリト:うーんしゃーなし。
エレン:防護点は5点だけ? ではなーぐるー。【キャッツアイ】【ガゼルフット】【マッスルベアー】【ビートルスキン】【ケンタウロスレッグ】【デーモンフィンガー】(ころころ)22で殴るから当たって、20点ダメージ。左手は回って24点。
GM:15に19。
エレン:おわり! ううむ……。
キリト:柔らかい、な……?
ミカサ:いきます。練技全部、ヴォパルSS、インファイト。(ころころ)26点26点24点。
GM:ミカサやっぱこえーわ……14,21,19。強すぎない?
ミカサ:鍛えてるので。
GM:アスナは待機か。では魔王のラウンド。16と言ってキリトに2回殴りかかる。
キリト:こいよ魔王、魔法なんて捨ててかかってこい。(ころころ)出目4だけど……。
GM:はい回避。PCターン。さ、じゃんじゃん行こう。12以上出れば当たるからね。
エレン:うーん、この静けさが不穏。
ミカサ:二段階変身とかするのか……?
その後、PC達は各自1回ずつ攻撃するも、どれだけ出目が悪くともすべてあたり、キリトの攻撃をもって倒れ伏す。
GM:キリトがノルニプスを持って突貫し、魔王の心臓にそれを突き立てました。ノルニプスが胸に突き刺さった魔王は、数歩後ろによろめき、そのまま後ろに倒れます。
キリト:肩で息をしている。
アルミン:「やった……?」
エレン:「やったか!?」
ミカサ:「倒した……?」
GM:周りでは、ほぼ同時にアンプレゼントやキバオウ達が護衛を排除しました。君たちの勝利です。
キリト:「やっ、たのか……?」
GM:君たちが自分たちの勝利を確認していると、後ろからバタバタと足音が聞こえてきます。
キリト:急いで振り向く。
GM:身構える君たちでしたが、そこには武器を持って駆け込んでくるレイン達の姿が。はい、ここで登場です。
レイン:「無事か、お前ら!」
イキシア:「生徒たちーーー!!!」
キリト:「レイン! 遅いぞ! 何やってんだお前!」
ミカサ:「ロリ先生……!」
ミミ:「……お? これ終わったやつっス? らくちんなやつ?」
ユズハ:「そいつが、魔王か?」
イキシア:「……倒した、ですか?」
キバオウ:「お前ら無事やったんか! よう来た……と言いたいところやけど、今キリトが魔王を倒したところやで!」
GM:キバオウはんは君たちを見て安心したようです。笑みを浮かべて魔王の方を指さします。
イキシア:「それはなによりなのです」と言いつつ、少し怯えたような表情で周囲を見回す。
ミミ:「おー! さすがは勇士さま……あれ、イアは?」
ユズハ:「そうだ。イアは……?」
レイン:「イアはどこだ!」
キリト:「イアちゃん? こんな危ない作戦につれてくるわけないだろ! お前らから預かったのに! ちゃんと村で守ってもらってるよ」
ミミ:「……っ!?」
ユズハ:「な……」
レイン:「……っ……そ、そりゃ、そう、か」
イキシア:「……アンプレゼント!」叫んで、リーダーを探す。
GM:居ますよ。ぼーっと立ちすくんでいます。
イキシア:「……満足ですか、これで。貴方の物語は終わりましたよ」
GM:反応しません。誰に視線を向けるでもなく、ただ、ぼーっとしています。
イキシア:「あなたの勇士の物語が!」
GM:イキシアの叫びが響き渡ると同時に、アンプレゼントの胸元からパキリと音が立ちました。割れたミリッツァの聖印がこぼれ、床に落ちて、甲高い音を立てます。アンプレゼントにそれを気にした様子はありません。ゆっくりと魔王の死体に歩み寄ると、胸元からノルニプスを抜き取りました。
イキシア:「生徒たち!」と反射的に声を上げます。
レイン:「全員、距離とれ!」
GM:レイン達の叫びに、キリトやキバオウ達は玉座に目を向けますが、アンプレゼントがいるだけなので困惑した表情を浮かべています。アンプレゼントは引き抜いた魔剣をじっと眺め、そして、キリトに視線を向けました。
アンプレゼント:「勇士よ。この魔剣は私のもの。返してもらいますよ?」
キリト:「へ? ああ、はい。魔王も倒したし、予備の剣もありますから、大丈夫です」
アンプレゼント:「……そうですか。では改めまして」
レイン:玉座に向けて駆け出す。距離は?
GM:遠い。すぐ詰められる距離ではない。
レイン:「くそ……!」
イキシア:「……。ずいぶんと、嬉しそうじゃ、ないですね。あなたの悲願だったんじゃないですか、魔王討伐の物語は。もっと、嬉しそうにしてもいいんじゃないですか?」
GM:ゆっくりと、アンプレゼントがイキシアの方に向き直ります。
アンプレゼント:「ええそうですね。私は魔王を討伐した勇士を求めて……いました。私は、アンプレゼント。ウィンプの副官。スカボロー副総督。ええ、すべて思い出しました」
「いつもどおりに」
GM:アンプレゼントは、冷たく冷めた視線に唇の端を裂くような笑みを浮かべて、君たちのことを見下していました。
――
――――
――――――
昔々、まだ蛮族の王様が地上で暴れまわっていた頃。
「スカボロー」と呼ばれる街の神殿で生まれた小さな女の子がいました。
その子はナイトメアという、生まれながらに穢れを持った女の子でした。
そのせいで、穢れを嫌う神殿の人からは疎まれていました。
けれども、当時街は街は蛮族が治めていたため、穢れを持たない人間が出歩くのは大変危険でした。
なので女の子は他の人族の代わりに、小さなころから買い物や物乞いをさせられていました。
人族に生まれたのに、人族から疎まれ、蛮族の街で暮らす少女。
彼女は自分の人生に疑問を持ちながらも大人の言うことを聞いて暮らしていましたが、ある日街の片隅で泣いている男の子と出会います。
人族のように見えた少年と少女は仲良くなり、度々同じ場所で会うようになりました。
ある日、少女は少年が「ディアボロ」という、この街を治める一族の蛮族だと知ります。
仲良くなった蛮族と、少女を迫害する人族。
少女は少年についていく事にしました。
蛮族の中では強さこそが尊ばれます。
少女には才能がありました。
少女は少年と共に武芸や魔法を修め、人族との戦いを繰り返します。
ある日。
少年の父親や少年の兄弟が、人族に敗れて帰ってきませんでした。
その日以降、街の統治者の地位を狙う蛮族や、街で暴れるレジスタンスや、あちこちで暴れる魔神を討伐して回る日々が始まりました。
そんな日々もなんとか過ごし、街の様子が安定してきたころ。
「蛮族の王様が、人族に負けた」という噂が広まりました。
それからすぐは何も起きませんでしたが、次第にぽつりぽつりと「他所の街が人族に取り返された」という話が聞こえてくるようになります。
二人は、街を守ろうと一層努力するのでした。
そして、運命の日。
少女はもう大人の女性になっていました。
その日は部下を連れて、近隣の魔神を討伐に向かっていたのです。
そんな彼女に、「街にレジスタンスが攻め込んでいる」という情報がもたらされました。
彼女は急いで街に戻ります。
彼女がこの街の統治者であった少年のもとにたどり着いた時、既に彼は人族の勇士に倒されていました。
彼女は昔神殿で学んだ通りに、勇士に復讐を行いました。
しかし彼女の気は晴れません。
彼女は街に攻め込んできたレジスタンスを皆殺しにしました。
しかし彼女の気は晴れません。
街に魔神が攻め込んできました。
彼女は魔神達もたくさん殺しました。
しかし彼女の気は晴れません。
そんな時、街の上空でオーロラが輝きました。
なんと街は、奈落の魔域に飲み込まれてしまったのです。
それからの彼女の事を知る者は誰もいません。
彼女の気は晴れたのでしょうか?
――――――
――――
――
GM:突如、「ウィンプの副官」だの「スカボロー副総督」だの、そんなことを言い出したアンプレゼントに、周りの皆はあっけにとられています。特に、付き合いの長いキリトやキバオウの動揺は激しいです。この状況が理解出来るのは、君たちだけです。
アンプレゼント:「皆さん、おめでとうございます。皆さんは見事魔王ウィンプを討ち果たしました。……偽物ですけどね」
GM:げしっとアンプレゼントが魔王の死体を蹴りつけると、魔王の姿が変わっていきます。まもちどうぞ。12/15。
イキシア:抜きました。
GM:II444 ダブラブルクです。
イキシア:「影武者ですか」わざと大きな声をあげて、生徒たちに状況を知らせようとします。
アンプレゼント:「ただの役者ですよ。本人は300年前に死んでます。殺されましたから。人族の『勇士』にね」
ユズハ:「死んでいる……!?」
イキシア:「じゃあ、なぜ、こんなことを」
アンプレゼント:「この魔域が、300年前スカボローのあった場所にあるのはご存知ですね? 当時私はそのスカボローで、ナイトメアとして産まれました。最初はね、人族と暮らしてたんですよ。ミリッツァの隠し神殿で。……良い待遇ではありませんでしたけどね」
レイン:「それは、俺の予想が当たってたのか」
アンプレゼント:「レインさん達は日記を見つけたんでしたっけ。あんなもの、まだ残って……いや、『再現されてしまった』んですね。ここも、本当にあの街なわけではないですし」
イキシア:「『臆病者』でしたかね」
レイン:「あと、『半端者』」
アンプレゼント:「ええ。おわかりですよね。半端者は私です。そして臆病者は……出会った頃のウィンプです」
イキシア:「ウィンプが、臆病者?」
アンプレゼント:「当時は彼の父親がスカボローを治めていましたから。ま、人族との戦闘に負けて、色々あって彼にお鉢がまわってくるんですが。今思い出しても懐かしいですね。反抗する人族と戦ったり、言うことを聞かない蛮族を叩きのめしたり……。そういうわけで、私は人族にこき使われるのをやめて、ダークナイトになったんですよ。角、折れちゃったのでわかりにくいかもしれませんが」
GM:そういって頭の一部を撫でます。「角が折れたら死ぬ」って描写がないか、がんばって探しました。
イキシア:指切断とか、そういう感じの感覚かと。しんどいけど、生きられなくはない、みたいな。
レイン:「で、そんなお前さんがなんでこんなことをしてるんだ? 何が目的なのか全くわかんねえ」
イキシア:「……勇士への復讐ですか?」ぼそっと。
アンプレゼント:「あら正解」クス、と笑みを浮かべます。「『三つ子の魂百まで』とはよく言ったもので、もう棄教したんですけどね。神様は他に何も教えてくれなかったの。口を開けば『復讐復讐』って、うるさい連中に育てられたしね」
イキシア:「敵である勇士を求める理由なんて、それしか思いつきませんからね」少し目を伏せます。「それ自体は……まあ、わかんなくもないですよ」
ユズハ:ナイトメアである自分としても、理解出来てしまう部分がある。ぎりっと歯噛みしつつ、オルソラの様子をうかがう。
GM:オルソラの表情は良く読み取れません。ただじっと話を聞いてる。
アンプレゼント:「外の世界の事は又聞きでしか知らないけれど、ここって昔のスカボローに……『大破局で蛮王が倒れる前』とやらの世界によく似てるのよ。『蛮族は我が物顔で人族を迫害してて、人族は奴隷にされるかレジスタンスみたいになるか隠れ潜むかを選ぶしかない』。『大きな街は破壊されて、もはや往時の影もなし、魔神がちらほらちょっかいかけてくる』、なんてところとかもね。ま、私も生まれは大破局の起きた後だから、魔動機文明時代の事はあんまり知らないんだけど。でも、良いでしょう? わかりやすくて。どんな生まれだろうと、ここでは力があればいいんだもの」
レイン:「それだけで、この世界を繰り返し続けてるってのか?」
アンプレゼント:「そうだけど?」 なにかおかしい? と言わんばかりの表情を浮かべています。
レイン:「……そうか、俺はあんたを尊敬していたんだが。残念だ、アンプレゼント」
イキシア:「イキシアは……復讐を求める気持ちはわかりますです。けど、だからといって、本人でもない相手に復讐し続けるおままごとなんて、理解はできない。それに巻き込まれる身にもなってくださいです! イキシアたちも、生徒たちも、皆も、あんたのための登場人物じゃないですよ!」
GM:イキシアの怒声に、アンプレゼントはゆっくりと頷きます。
アンプレゼント:「そうねぇ。当時の勇士はあのあと殺したし。おままごとなのはわかるのよ。でも、ほら、仕方ないじゃない? 腹の虫が治まらないんだから。『汝の為したいように為すが良い』。神様もそう言ってる。なら続けるしかないじゃない。復讐を」
GM:といってアンプレゼントは、懐から聖印を取り出して首にかけ直します。そこにはラーリスの意匠が彫り込まれています。
ミミ:「これだから宗教は……」唸る。
レイン:「そうか。わかったよ。……それじゃ、俺たちも暇じゃないんだ。勇士じゃなくて悪いが俺たちに倒されてくれ」ヒュペリスカを鞘から抜く。「迎えに行かなきゃなんねえ奴が、いるんだよ」
アンプレゼント:「うーん、そこなんですよね。君たちちょっとよくわからなくって」
GM:レインの言葉に、アンプレゼントは気の抜けた声でゆっくりと首を傾げます。
アンプレゼント:「今回の勇士は、キリト君になったはずですよ? なんで似たようなのが後から来るんですか? 毎回勇士は1組だけなんですけどね」
イキシア:オルソラをちらっと見る。
GM:相変わらず表情は伺えません。
ユズハ:オルソラの母から娘に繋がって現れた、レインの存在そのものがこの世界のエラーだったということか。
レイン:「俺たちの中に、勇士なんていねえよ」
アンプレゼント:「そうですか。勇士じゃないなら、ただのレジスタンスですね。レジスタンスがどうなるかはご存知ですか?」
レイン:「違う。俺は……」睨み据えながら、ヒュペリスカを突き付ける。「英雄だ」
アンプレゼント:失笑をこぼします。「そんな人は、あの時、居ませんでしたよ」
レイン:「だから今来たんだよ。導きの星と、母娘の絆に呼ばれてな」
アンプレゼント:「わからない人ですね。『英雄』だなんて、子供っぽい。蛮王を討ったわけでもあるまいに」
GM:ふっと、アンプレゼントが視線を宙に外し、独り言を言い始めます。誰も聞いていなくとも、一人だけ別の時間に魂が飛んでいるかのような表情で、ぶつぶつと。
アンプレゼント:「ええそうです。蛮王が討たれたと噂がたって、徐々にあちらこちらで人族が反抗しだして……スカボローでも、近隣の人族の生き残りは叩いていたはずなのに……あの日、魔神の討伐に向かって、レジスタンスが……急いで戻って、城にたどり着いた時はウィンプは、もう……だから……だから……」
アンプレゼント:「勇 士 に は 復 讐 し て や る」
GM:アンプレゼントは君たちから目を離し、キリトに向き合います。
アンプレゼント:「あの日のようにお膳立てはしてあげたでしょう? 必死に準備して城まで攻め込んで、魔王を打倒したでしょう? さぁ、ようやく復讐の、幕引きの時間です。始めなさい。いつものように」
GM:アンプレゼントがそう告げると、君たちの前にレジスタンスの生き残りが立ちふさがります。見知った顔も、たくさんいることでしょう。
レイン:「っ!!」
ユズハ:「貴方達……!?」
キバオウ:「嘘や……なんかの冗談やろ。あんたが始めたレジスタンスやんか!?」
アンプレゼント:「だって、レジスタンスがいないと勇士が見つからないじゃないですか」
GM:君たちの前に立ちふさがったレジスタンスは、みるみるまに姿を変え、魔神の姿になります。
キバオウ:「いつの間に!?」
アンプレゼント:「最 初 か ら」
イキシア:「……なんて、なんて…………」
ミミ:「この人たちも役者だったってことっスか……」
GM:ここで、視点が少し飛びます。
GM:街中のギュンギュスカー商会。オルガが皆に指示を出しています。
レイン:嫌な視点がきた!?
イキシア:もーーーー!
ミミ:ふーーーーーん……。
オルガ:「この調子なら、街中の大半は制圧できそうだな……」
GM:被害も出ていますが、制圧は進んでいるようです。
ミカヅキ:「オルガ」
GM:そこに、ミカヅキが現れます。
オルガ:「おう、ミカ。休んでたのか? このまま行けば大体予定通りに行きそうだ」
ミカヅキ:「そっか。……ところでさ、あれ、何かな?」
オルガ:「あん?」
GM:ミカヅキが指差す方をオルガが見ますが、何もありません。
オルガ:「何もないと思うが、ッ!? ……っ……!!」
GM:その胸からは、刃が突き出ていました。
オルガ:「ミ……カ……?」
GM:そこに、相変わらず 返 り 血 で 血 ま み れ の ミカがやってきます。
ミカヅキ:「オルガ。次は何を……オルガ!?」
GM:オルガを刺していたミカは、魔神の姿になっていました。
GM:似たような事は同時刻のあちこちで起きています。人族に化けた魔神が人族を襲い、蛮族に化けた魔神が蛮族を襲い、そして、人族と蛮族はそれでも相争うことをやめられません。勇士への復讐と、舞台のお掃除のお時間が始まりました。
GM:外ではそんな騒ぎが起きていますが、君たちはつゆ知らず。知っているのはアンプレゼントだけです。
アンプレゼント:「ま、街中もすぐに片がつくでしょう。では、勇士よ。始めましょうか」
GM:ノルニプスを弄び、ピッと構えると、キリト達に襲い掛かります。君たちにもレジスタンスに扮していた魔神が襲いかかっていきます。さぁ、闘いの時間だ。
レイン:「くっそぉぉぉぉ!」
イキシア:「とっとと片付けて、生徒たちを……!!」
ミミ:「もう、やっぱりこうなるんスから!」
ユズハ:「アンプレゼントを止めるぞ、急げ!」
【エネミーデータ】
アンプレゼント:http://www.pumpukingdom.com/ytsheet2/sw2.5/?id=ktNMk4
GM:アンプレゼントのデータです。
イキシア:高レベル不屈持ち!! 殺すまで止まらないぞこの人!!!
ユズハ:フェンサー11にプリースト10、レンジャー9スカウト5エンハンサー5……特技は防具習熟を達人まで取ってて、マルチアクションと斬り返しか。ポーションマスターもあるし、流石に強い。回復力が高いから相当粘れるデータ構成だ。
ミミ:「当たったら死んじゃう」って書いてあることはわかった。ノルニプスのC値8なんですけど。クリティカル連続したらミミさん一撃で消し飛んじゃう。
イキシア:殺したいわけじゃ、なかったんだけどな……!! 生き残ってくれ生徒たち……。
GM:アンプレさんには、死ぬまで戦ってほしいんだ。
イキシア:わかるけどもーーーーー
ミカサ:「……アンプレゼントさん。どうして……」うろたえながら構える。
イキシア:「生徒たち! 戸惑うな!!! 殺さないと止まらないぞ、目の前のやつは!! ためらうな!!!」必死に叫ぶ。
ミカサ:「ロリ先生……」言葉の意味はわかるけど、頷けない。
キリト:「……くそっ! やるしかないってのか……!」
エレン:「くそっ……くそッ!!!!」
アルミン:「皆、構えて。敵は強大だよ……」
GM:さぁ。勇士には舞台設定通りご退場いただこうか! 戦闘開始だ!
――――――――――
『操、第二階位の付。魔力、抗力――抗魔』
アルミンによる「カウンターマジック」の詠唱が響いた。続いて、ゆっくりとした、それでいて特徴的な練技による呼気が立てる音が響いて、マナがキリトやエレン、ミカサの体に染みわたっていく。
アンプレゼントはその様子を、笑みを浮かべて見守っていた。油断なくノルニプスを構えているものの、まるで身動きせず、ただ静かに見守っている。
――バカにしやがって――
キリトとエレンが頷きあい、アンプレゼントに躍りかかった。キリトが緑の最上級カードを手に取り『麻痺』の効果を載せて射出する。狙いは狂わず、アンプレゼントの体に刺さった。即座にざらりと砕けて体内に吸収されたのを確認し、突如乱心したアンプレゼントを制圧すべく、剣の峰を急所に向かわせる。
「遅い」
「な……!」
峰打ちを狙ったとはいえ、速度は一切殺していないはずの一閃は、易々と見切られた。それどころか、カウンターで自身が切り裂かれそうになり、必死に身を翻す。先ほどまで身体のあった空間をノルニプスが通過した。剣圧に風圧、そして何よりも迸る殺気。アンプレゼントの瞳の奥に漲るそれに、キリトは一瞬目を閉じた。開眼と共にミスリルソードの向きを戻し、刃を構えなおす。
「エレン! ロリ先生の言う通りだ! 殺す気で行け!!」
キリトの叫びに、エレンもすかさず従った。キリトを攻撃するために踏み込んでいたアンプレゼントの脚目掛けて右手で薙ぎ、右が当たれば倒れこむ位置に左手を振りぬく。
アンプレゼントも即座に反応した。脚を斬られないよう盾で勢いを殺し、ガードを巻いた腕で受け止める。打撲程度の傷を与えた感触はあった。しかし、即座に胸元に挿していたポーションの栓が抜かれ、その軽微な痛みさえも治されてしまう。
「くそっ、早すぎる!」
「取り柄ですから」
軽口を叩きながら、アンプレゼントは舞うようにその体を揺らめかせた。隙を見て懐に潜り込んできたミカサの腕を取り、社交ダンスのエスコートでもするかのように回転させる。無理な力がかかり、低く保っていたミカサの重心位置が崩れた。即座にアンプレゼントの蹴りが飛ぶ。重い一撃が入った。ミカサが息を詰まらせながらも姿勢を整える。転がるように間合いを脱した。そこでようやく一つ咳き込める。逃げるのもやっとのその姿に、アンプレゼントが笑い声をあげた。
「からかわれている……!」
ミカサの悔しそうな声を聞きつけたのか、アンプレゼントがその笑みを更に深めた。ゆっくりと口元が動く。
『神よ、神よ、愛おしい方、我の声聞きとどけたもれ。汝の愛し仔に力を貸し与えたもれ』
「まずい!!」
キリトが表情を変え、詠唱を阻止しようと接近するが、わずかに届かなかった。
音と同じ速度でマナが走る。
アンプレゼントの呼び声に応えた狂神の力が、至近距離にいた3人の体を軽々と吹き飛ばした。全てを薙ぐように走ったマナが全身を襲い、強制的に地面に膝をつかされる。ミカサとキリトはすぐに立ち上がった。だがエレンが、起き上がってこない。
「エレン!!」
「人の心配してる場合です?」
自身も傷ついたにも関わらず、幼馴染みの姿を目で追うミカサの前に、冷たく微笑むアンプレゼントが再びノルニプスを振りかぶりつつ現れた。
「ぐ……! ああっ!!」
その刃が、寸分違わずミカサの腕を切り裂く。太い血管に傷が入った。心臓の拍動と共にドバッと真っ赤な鮮血が溢れる。
『始祖神ライフォス様に乞い願う。御光、御威光、あまねく降り注ぐ主の恵み、今ひととき我が戦友達に与えん』
すかさずアスナのキュアハートが発動し、傷が塞がった。完調にはほど遠くとも心体を立て直し、殺意を漲らせたミカサが、すかさず拳の乱打戦を仕掛ける。
「あらあら、タイミング良かったですねえ。死ぬ前に間に合ったようで。『間に合う』……『間に合う』。ああ、これも、嫌な響きです」
アンプレゼントが宙に視線をやり、誰を見るでもなくぼやきながら応戦した。キリトとミカサを同時に相手取り、いなす。その間にエレンが起き上がった。しかし応援に入る前に、ミカサが再び地面に叩きつけられる。
「次」
「ミカサ!!!! くそお!!!」
頭に血の昇ったエレンが、逆上のままにアンプレゼントに切りかかる。アンプレゼントはそれを軽々と受け止めて笑い声をあげた。それどころか「まんまと騙されて切り伏せられた、かつてのレジスタンスの仲間達のこと」も、名前をあげて嘲笑う。目を見開いたエレンが、キリトの静止の声も聞かず一直線に駆け出した。再び狂神への祈りの声が響く。魔法をまともに浴び、膝をついたエレンの上から、更にけたたましい笑い声が降り注ぐ。
―――掌で転がされている。
冷静でいられたのは、アルミンだけだった。
戦いぶりをジッと見つめ、分析し、脳内で動きをシミュレートして、繰り返す。
何度も何度も行った思考演算の果てに、ポツリとアルミンがこぼした。
「ダメだ。僕たちじゃ、アンプレゼントさんには勝てない」
「え……」
アルミンの言葉は、努めて平坦だった。考えないようにしていたことをはっきりと断言されて、アスナがびくりと体を震わせる。
「それじゃ……私たちはここで、全滅……嘘でしょ……」
「違う!」
震え声のアスナに喝を入れるように、アルミンが大声を出した。怒鳴りつけられたように感じたアスナが、困惑のままにアルミンを睨む。しかし、アルミンの目から光は失われていなかった。
「はい、最後」
「……っあ!」
キリトが切り捨てられる。周囲を飛び回っていた3人をのし終えたアンプレゼントが、唇端を歪に引きつらせながら引き上げ、アルミンとアスナを見た。アスナがアルミンの指示を求める。すぐさま、アルミンは口を開いた。
「アスナ、まずミカサを起こして。はやく!」
「う、うん! 『始祖神ライフォス様に乞い願う。我が同胞にどうか慈悲を』」
「……ぅ……」
ミカサがびくりと体をしならせ、猫のように跳ね起きる。そのまま、虎のようにアンプレゼントに飛び掛かった。「ガンッ」と、チェインスティックが盾に阻まれる音が響く。叩き潰したはずの害虫が生きていたのに気づいたかのような顔で、アンプレゼントが振り向いた。そのまま再び乱戦状態に陥る。
「ミカサ! 時間を稼いで!『操、第二階位の快――』」
アルミンがミカサに声援を送りつつ、アースヒールの発動所作に入った。忙しなく動かす目と口と手の狭間で、アスナにも視線を向ける。
「アスナ、あとの二人にもアウェイクンを」
「う、うん」
命じられるままに、覚醒を促す。キリトとエレンも、目を開くや否やアンプレゼントの間合いに飛び込み、絡んだ。再び3人を相手取る形になったアンプレゼントが、不快さを隠さずに応戦する。後衛の二人が駆け寄った。魔法をすぐに飛ばせる位置取りを崩さないよう気を付けつつ、小声で会話を交わす。
「アルミン、さっきのって……」
「僕たちは、アンプレゼントさんに勝てない。キリトもエレンもミカサも、『防御を軽くしてでも速度を重視して一撃必殺を狙う』戦法だ。自分達より速い上に、魔法も使えるアンプレゼントさんと僕たちは相性が悪すぎる。その上、ずっと一緒に戦ってきたから手の内も知り尽くされてる。僕たちじゃ、勝てない。だから、次に託す」
最後の言葉に、アスナは一瞬虚を突かれたような表情を見せた。だが、それもすぐに戦闘中のそれに戻る。視線を、瞬間だけ背後に向けた。イキシアが唱えたファイアボールが魔神に降り注ぐのが見え、轟音も響く。
「レイン達に、任せるのね?」
「うん。……僕たちに出来る最善を。アンプレゼントさんは人族だ。大型蛮族とか魔神とか、そんなんじゃない。マナも体力も、限りがある。耐えて粘れば、いつか息切れする。レイン達がアンプレゼントさんの隙を見つけるまで、僕たちは……!」
「わかった」
エレンとミカサが、アンプレゼントの一閃に弾き飛ばされた。アスナがすかさず覚醒魔法を唱える。かぶりを振りながら二人が立ち上がった。「健気だこと」と、アンプレゼントが溜息を放つ声も響く。
「キリト! エレン! ミカサ! 耐えるよ! 一分でも一秒でも長く!! 全員そのつもりで動いて!!」
「わかった」
「了解!」
「おう!」
今までのアルミンの指示ならば『耐えて』の続きの言葉は『反撃のチャンスを伺う』だった。変化した言葉の意味をすかさず酌んだ前衛達が、防御寄りの体制に変わり、アンプレゼントを取り囲む。
「何度も何度も……。目障りですねぇ。大人しく気を失っててさえいれば、静かに消滅出来ますよ? 私が手を下すまでもなく、どうせ幕は引かれるんですから」
アンプレゼントが溜息をつき、半眼になりつつノルニプスを構えた。再び、並の人間ならば気圧されるほどの殺気が押し寄せる。知らず汗が滴り、顎からこぼれ落ちるほどの重圧の中で、三人はキッとかつての恩人を睨み据えた。
「……そんな未来、来させない」
再び、ミカサがアンプレゼントの懐に潜り込んだ。腰で速度を乗せた拳の一撃を見舞い、半月盾で受け止めさせる。
「貴方の思い通りになんか、させない!!」
キリトがミスリルソードを振りかぶり、ミカサを相手取るアンプレゼントの視界の外側から現れた。借り物とはいえ長く愛用してきたノルニプスとは違い、重く、重心も異なるミスリルソードを技術で制して、アンプレゼントの上体を横に薙ごうと間合いに足を踏み入れる。
「出来もしないことを、ぬけぬけと」
スルリとミカサの腕を弾いて避けたアンプレゼントが、姿勢を低くしてキリトの一撃をも空振らせる。そのままキリトの足を払った。すんでのところで跳ねて躱したキリトが空中でバランスを崩す。アンプレゼントの手が伸びる。その手がキリトを掴み、ノルニプスで串刺しにしようと右手が動く。
「いまだ!!」
キリトの声が響き、アンプレゼントの背後からエレンが姿を現した。狙うはアンプレゼントの首一つ。エレンがあげる雄叫びの中で、両手に握られたブロードソードが光を反射してきらめいた。アンプレゼントが視線だけをそちらに向ける。「チッ」と舌打ちが響く。
『フォース・エクスプロージョン!!』
キリトを鷲掴んでいた手が離され、即座に詠唱が響いた。衝撃波が全員を襲い、アンプレゼントを中心に円を描くよう全てを弾き飛ばす。その一手を読んでいた各々は、腕や盾で頭を庇い、身体を守ったが、それでも至近距離で炸裂したマナの直撃は、全身がミシミシときしむほどの痛みを与えてくる。
ゴボッと、一番近くにいたキリトが、血液混じりの胃液を吐き出した。それでも、笑みを浮かべる。震える脚を御して、ゆっくりと立ち上がった。再び剣を構える。
「はは……大きめの魔晶石、砕いてやったぞ」
笑ったままゲホゲホと咳き込むリーダーを庇うように、エレンとミカサも立ち上がった。
「いってぇなホント……割に合わねぇ……」
「……でも、まだ、生きてる……」
「はーっ。一撃でかいのくらったら諦めるかと思いましたのに、頭の中どうなってるんです? ああ、でも、キリト君以外、出身スカボローでしたっけ。『死ぬまで戦う』以外の選択肢がもてない、可哀想な街のお産まれでしたねぇ? ま、私がそこから一切進歩しないようにしているんですけど。その必要、全くないですし?」
再び視線を宙に放ち、アンプレゼントが嘲笑する。その独り言の間に、アルミンのアースヒールが届いた。じわじわと腹の底から滲み出るように湧く力に、呼吸が整うだけの癒やしを得た三人が素早く視線を交わし合う。
「あいつらってどうやって戦ってたっけ」
「レインが前線に突っ込んで身体張る。攻撃が集中しないように、ミミが散らす」
「足留めしたところを、ロリ先生が撃ち抜く」
「最近だとユズハセンセーも攻撃に回ってるんだっけ」
「オルソラが補助かけてるって聞いた」
「タンクと回避盾と手厚い魔法。はは、うちと全然戦い方違うな。俺達の戦い方見て、参考になるのか?」
「あいつらなら、出来るさ」
「そうか。なら、長引かせるぞ」
「ああ。かすり傷一つ分でも多く、消耗させてやる」
キリト達の目にも、レイン達の動きが見えていた。
他のレジスタンス達では十秒ともたず敗北するであろう上位魔神を相手どり、蹴散らし、こちらに駆け寄ろうと常に視線をこちらに向けている姿が全て見えていた。あくまで目標をこちらと定めている目に、「アンプレゼントの闘い方」を見せつけるべく五人が動く。
明らかな囮がいれば、奴はどう動くのか。
防御を捨てて懐に潜り込む敵がいたら、どう対処するのか。
奴の視界はどこまでを捉え、どこからが死角となるのか。
血が噴き出し、骨を折られ、何度地面に叩きつけられても、アスナが唱える神の奇跡の力を借りて三人はアンプレゼントの前に立ち続けた。
パリン、パリン、と、小さな、それでいて聞き覚えのある音がアンプレゼントの背負う背嚢から響き続けていることを心の支えにして、組み付き、切りかかり、踏みとどまる。
一つでも多くの情報を渡し、一つでも多くの魔晶石を砕くために。
およそ三分、キリト達は奮戦した。
アルミンの狙い通りに生き残り、体力を消耗させ、マナを削り取る。
しかしそれでも、アンプレゼントとこのパーティの力量と相性の差はけして縮まることはなかった。
「まずは、一人」
「……っあ!?」
「ミカサ!」
「遅い」
「ガフッ!?」
「キリト!!」
「往生際が悪い」
「……っあ」
「エレン……!」
「アルミン、もう、魔晶石がない。三人は、起こせない」
「ミカサを起こして。ミカサが一番はやく動ける。足でかき回して、一撃でも……」
「あ、ああ!? ……っ、い、た、い……!!」
「いいでしょ、ノルニプスの切れ味。ああ、可哀想なミカサ。死ぬことも出来ず、倒れることも許してもらえず、何度も何度も起こされるなんて。アイツら、後ろの方で魔法唱えてるだけなのよ? 人族って、ホント残忍よねぇ」
「だ、ま、れ……! お前が、アルミンとアスナを、かたる、な……!」
「はぁ、やっと静かになりましたか。アスナも、もうマナも石も無いみたいですねぇ? 顔色、悪いですよ?」
「アルミン。私が前に突っ込んで囮になる。少しでも削って……!!」
「……わかった」
「来なさい!!!」
「では遠慮なく」
「あ……っ……! アル、ミン……」
「ごめんね、アスナ」
「さて、あと一人。いい運動にはなりました」
「ごめんね、みんな。悪あがきだ。『スティールマインド』」
「効くとでも?」
「……ごめん……みん、な……」
マナを絞り出して最後の魔法を唱えたアルミンが、諦めたように呟く。魔王の手がその喉を捉えた。コヒュ、と、空気を求めて鳴る首を解放しようと腕に爪をたて、アルミンが藻掻くが、その力は一向に弱まらない。
酸素が尽きた。呻いていた身体から力が抜け、腕がだらりとぶら下がる。アンプレゼントがその身体をポイと投げ捨てた。床に転がる五人の身体は、もうピクリとも動かない。
「やっと静かになりましたか。……結末は変わらないというのに、物好きな……」
ノルニプスを鞘に納めるべく振ろうとしたところで、騒々しい足音が届いた。「ああ、まだですか」と呟き、アンプレゼントが振り向く。
「魔神、全部倒しちゃいましたか。今回は粘るなぁ……」
呆れ顔のアンプレゼントの目の前には、倒れ伏したキリト達をその目に写し、怒りに震えるレイン達の姿があった。
――――――――――
GM:OK、16ラウンドよく戦った。アンプレゼントの勝利だ。
一同:お疲れさまでした……(リアル時間で3時間半戦闘した)
イキシア:よく耐えました、みんな……!!
GM:魔晶石が12点15個、8点15個、3点30個もあったのに、12点4個、8点15個まで減らされてしまった。ほかにも、ポーションがいろいろと……。
イキシア:本当頑張りましたですねえ……。
GM:視点をレイン達に戻すぞ。君たちは襲いかかる魔神を退ける事に成功する。君たち自身は無事だが、先程まで肩を並べて戦っていた仲間が魔神であったことを受け入れられず、レジスタンスの大半は奇襲に等しい状態で次々と倒れていった。なんとかすべての魔神を退けるが、そこでアルミンが倒れ伏す。
アンプレゼント:「あら? あなた達、生き残ったんですか?」
GM:振り返ったアンプレゼントは、返り血にまみれてすらいない。その手に下げられたノルニプスから、血がぽたぽたと滴るばかりだ。
ユズハ:「アン、プレゼント……!」
レイン:「くっそぉぉぉお! ちっくしょぉぉぉぉ!!!」
イキシア:「エレン! アルミン! ミカサ! よくも、よくもイキシアのかわいい生徒たちを……!!」
レイン:キバオウは?
GM:キバオウはんは生き残ってる。呆然とはしているが、それでもかつての仲間を斬り殺すことを選べるのは、彼がベテランだったからだ。
レイン:「キバオウ!! 何とかまとめてくれ! 俺は、あそこに行く」
キバオウ:「……生き残りはこっちに集まれ」
GM:力なく彼は生き残りをまとめ、倒れた者達の救助に向かう。助かりそうな者はそう多くない。それほどの激戦だったのだ。
ミミ:流石キバオウはんやで……。
GM:アンプレゼントは、そんな様子の君たちを見て、呆れたように首を傾げている。
アンプレゼント:「大体いつも、ここで全滅するんですけどね。今回は、予定が狂うなぁ……イアのことといい……そういえば、あの子を拾ってきたのはあなた達ですもんねぇ……ほんっと、イレギュラー……」
レイン:「イアが、イレギュラー?」
ユズハ:「どういう意味だ」
イキシア:「あの子は、違うんですか? あなたの駒じゃない?」
ミミ:「そうっス! イアはそっちの仕込みなんじゃないんスか!?」
アンプレゼント:「あの子はラーリス召喚のための生贄ですよ。私の仕込みじゃなく、魔神の仕込みですが」
GM:イアちゃんの神聖魔法はLv15だ。
レイン:「コールゴッド、か」
アンプレゼント:「そうです。最後はいつもラーリスが片付けるのが契約ですので。その時にね。皆忘れるんですよ。レジスタンスが蜂起して、何があったのか。私も含めて。それで、次のサイクルでレジスタンスを結成して、魔王が倒されると思い出すんです。全部」
レイン:「……いつも神様の力で後始末ってか」
ミミ:「やっぱり、イアを独りにすべきじゃなかった……」
レイン:「ミミ、まだなんも終わってねえぞ。こいつ倒して、迎えに行って。魔神も倒して帰る。やることは何も変わってない。だからミミ、死ぬなよお前は。おまえだけは絶対に死ぬなよ」
ミミ:「……そうっスね。さっさと倒して、イアと一緒に帰るっス! もうちょっとだけ、頑張るっスよ!」
イキシア:「ミミ……」
レイン:「たのむぜ、お姉ちゃん。あいつ迎えに行くのはお前の仕事だかんな」
アンプレゼント:「ただの生贄に入れ込んでますねぇ? 別に街で食べられる食料と大して変わらないでしょうに。昔はたくさん居ましたよ? そんな子」
レイン:「だからなんだ。それを言ったら人間に殺された蛮族なんて山ほどいるぞ。忘れられねえのは、てめえも同じだろ」
アンプレゼント:「ああ、そうでした。忘れられないのは私も同じか。でもすぐ忘れるんですけどね? ふふっ」
GM:アンプレジョーク。
イキシア:「ねえ、アンプレゼント。……楽しいですか、それで。たいせつなおともだちのこと忘れて、何回も何回も、300年間繰り返し続けるの、楽しいですか?」
アンプレゼント:「別に?」
イキシア:「じゃあ、なんで……!」
アンプレゼント:「これしか知らないんですよ」
GM:こともなげに、返します。
アンプレゼント:「人族が他に私になにか教えてくれました? 物乞いのやり方? 自分より強い蛮族から物を盗む方法? カラダを使ったお仕事の仕方? 『復讐しろ』って教えてくれたのは人族でしょう? あっはは!」
イキシア:「忘れる前に、皆が教えてるじゃないですか。レジスタンスの皆が。キバオウはんが。生徒たちが。アスナも、貴方の勇士……キリトも。それを、貴方が、過去を思い出したからって、切り捨てて。毎回毎回毎回……自分で忘れてるんでしょう!? 教えてもらったものを、全部!! 我々だけじゃない、これまでのループの人だって……あんたに何かを教えていたはず! それを、あんたが、自分で捨ててるんだ!! 被害者ぶるんじゃねーですよ!!!!!!」
アンプレゼント:「そうして教えたものを積み上げて、ウィンプを殺したんでしょう? 捨てて何が悪いの」
GM:表情すら変えず、言い放ちます。
ユズハ:「イキシア」
イキシア:「…………」ため息をついて、先生の服の裾を掴む。
ユズハ:「ラーリスに魅入られた者はもう救えない。ルーンフォークにはわかりにくいかもしれない、だが、差別ではなく区別しろと私が言い続けたのは、そういう意味だ」
イキシア:「…………でもそれは……それを言ったら……」
ユズハ:「救え、ないんだ」その表情をみつつ、ぎりっと拳を握ります。
GM:イアちゃん……。
レイン:そんなことないもん。
ミミ:ほんとぅ?
GM:どんな言葉を投げかけても、アンプレゼントに響いている様子はありません。一見会話が成立しているように見えて、まったくそうではないことを、理解できるだけでしょう。そんな中、ふとアンプレゼントがレインの持つ剣に視線を留めます。
アンプレゼント:「んー? そういえば、その魔剣……先代の……?」
レイン:「っ!」
オルソラ:「……何の事です?」
アンプレゼント:「ヒュペリスカでしたっけ? 対魔神向けの魔剣ですよね。ああまぁ、なくなるわけないか。魔域に入ってきたものだし。どこで拾ったのか知りませんが、よく見つけましたね。前回は最後に逃げられたんですよね。悔しい思いをしました。あんな事は初めてだったので」
オルソラ:「……私の母の魔剣です」
アンプレゼント:「あら? じゃああなたがあの子の娘? そういえば同じ名前だったか。親子揃ってここで死ぬなんて、珍しい事もあるのね。ああ思い出した、あなたの事、よく話してたわ。『魔域を出たら会いに行くんだー』って。まぁ、私が殺しましたが」
レイン:「……『そういえば』、だと……?」奥歯が砕けそうな勢いでぎりっと噛み締める。
アンプレゼント:「そりゃそうでしょ。さっきまで忘れてたんだもの。致命傷でしたしね? 長くは持たなかったでしょう」
オルソラ:「……そう、あなたがお母さんの敵だったの……」今まで見たことがないほど殺気のこもった表情で、アンプレゼントをわなわなと見据えます。
アンプレゼント:「気に障りました? あーごめんなさいね。補足しておきますけど『先代は良い神官戦士でした』よ。それで、どうします? 生き残ったのは予想外でしたが、なんならしばらく最後の別れでも済ませますか? 勇士はこの通り討ち果たしましたし、見逃してあげてもいいですよ? どうせ、しばらくすれば皆忘れるんですから。あなた達見込みもありますし、次代の勇士になりますか?」
レイン:言葉を遮る。「あんたの復讐は、否定しきれねえよ。でもな、キリトも、エレンも、キバオウも……みんなアンタを信じてた。アンプレゼント、アンタには世話になった。けどもう、楽になってくれ」深く息を吐く。「オルソラ。あいつを倒すぞ。生きて帰るために、皆を助けるために」
オルソラ:「そういうの、今は考える余裕ないので。仇討ちです」
レイン:「そう、か。……でも」キレイごとだと自覚しながら言葉を続ける。「恨みに呑まれてああはならないでくれよ、頼むから。それは絶対、あの人が望まない」
オルソラ:「私はミリッツァの信徒ではありませんよ」
レイン:「そうか」
イキシア:「……先生、あのね」その背景でユズハさんに声をかける。「イキシア、アンプレゼントのこと苦手でしたし、信用してませんでしたし、超絶嫌いでしたよ。でも、殺したかったわけじゃないです。……ダメなんですか、どうしても」顔を見上げる。
ユズハ:その言葉を聞いて、殺気を抑えて普段の顔に戻ろうとします。その上で「ああ、ダメだ。どうしても。ただの信徒ならまだあるいは。だが、神の声を聞いたものは、聞こえるまでの努力をしてしまったものは、もう戻れない」そう告げます。
イキシア:ぎゅっと先生の服を強く握りしめて、黙ってうなずきます。そのまま指輪を構えて、戦う構えを取りました。
アンプレゼント:「……やる気ですか。ならいいです。前回の後始末だと思えば、自分の責任ですね」
レイン:「ああ、俺たちが相手だ。あんたを止めるよ、リーダー。命を救ってもらった恩を仇で返して悪いがな」怒りたいのか泣きたいのか、わからないけど、戦わなきゃだめだ。戦うんだ。ちらりとキリト達を見て、仲間の気配を感じて、手の中に重さを感じる。「託されたものが、俺にもあるんだよ」
GM:アンプレゼントは、冷めた視線を返すだけです。
アンプレゼント:「そうですか。私の知ったことではないですが、まぁやるというならお相手しましょう。ここは三日月島。魔王の治める土地。そして私の復讐の舞台。私の復讐のためだけの、小さな世界です」
GM:アンプレゼントが武器を構えます。さぁ、この舞台に幕を引きましょう。戦闘開始です。
GM:さっきの戦いでキリト達が君たちにアンプレゼントの戦い方を見せてくれました。魔物知識判定は省略で構いません。戦闘準備からやっていきましょう。アンプレゼントは鹿、虫、ケンタを唱えておきます。
イキシア:初期配置はレインのワントップですよね?
レイン:ミミは魔法使わんし、1ターン目後ろから前に出て殴ってもいいと思う。
ミミ:その判断は正しい。
イキシア:なら、いったんレインにバークメイルSS投げときましょうか。先制前にしか戦闘準備はできないのでね。防護点+8点です。
ミミ:同タイミングでミラージュデイズSSを投げておきます。
レイン:あざす!
イキシア:淡く光る緑のカードを構えて、宙を切るように射出する。「レイン、耐えて!! やりますよ!!」
レイン:「ああ! 恨みつらみをここで断ち切ってやる!! 今回は俺が前に出る、相棒は自分の判断に任せる。ダニィは最後の後詰、切り札だ。たのむぜ」
ダニィ:「きゅ!!」
GM:では先制判定。(ころころ)よっし18! 勝ったな!!
ミミ:泣いてる。(ころころ)16。割った。
GM:ぐおおおおお……同値先制か。PCターンスタート。
イキシア:ひゅう!
レイン:「ほんと毎回頼りになるぜ」笑った後「ミミ、ほんとにやばくなったら逃げろよ…一瞬だけなら離脱する隙は作ってやれるから」と視線を向ける。
ミミ:「『ここで倒して、みんなで帰る』っスよ。……ね?」
レイン:「……ったく、相棒が頼もしすぎる」
ユズハ:はじめるぞ。初手、オルソラバトルソング開始。
GM:(ころころ)出目3。動揺が隠せてませんね。だが発動した。武器を構えた君たちにオルソラの歌声が響いてくる。
レイン:「サンキュ、オルソラ」
イキシア:イキシア、パラミスSSを補助動作でアンプレゼントに。バイオレントキャストⅠを宣言後、エネルギージャベリン。きついんですけどねえ、行使は。(ころころ)
GM:やらせはせんぞ。抵抗だ。3点引いて7点くらう。
ユズハ:補助動作でレインにヴォーパルSS。物理+6です。
GM:レインに強化が重なっていくな。オルソラ関係のボスなので美味しい。
ユズハ:バイオレントキャスト宣言、ゴッドフィスト。(ころころ)行使は抜けず。
GM:イキシアと同じく7点だ。
レイン:「行くぞ!!」猫目に全力攻撃Ⅱ。三日月症候群が与えた力をくらえ!
GM:(ころころ)くっそまじかよ。レベル9だから1足りてやがる!? 事前シミュレーションの通りレインのレベルが8なら躱せていたのに!?
レイン:ダメージは42点!
GM:27点通る。威力が高い……!
ミミ:でかいねぇ。では「先導者」の効果をいただきます。ガゼルフッド+ドラゴンテイル。変幻自在で挑発攻撃ⅡとテイルスイングⅡを宣言。それと、私は今手ぶらです(強調)(ころころ)21で攻撃。
GM:(ころころ)回避1ゾロ! アンプレさんしっかりして!!!
ミミ:ダメージは13点ッス。「あんまり本気出しちゃ嫌っスよ?」
アンプレゼント:防護点ですべて弾いて0点。「目障り」
GM:こちらのターン。ケンタ更新しつつ補助動作でポーション。マルチアクション、キュア・インジャリー。(ころころ)回った。HPを満タンになるまで回復させる。
イキシア:わぁw
レイン:くっそぉ……!
ミミ:しんどい。
ユズハ:回復クリティカル可能な女性神官め。
GM:猫目と熊を唱えつつミミに攻撃。26-4で、22で命中だ。
ミミ:(ころころ)25で回避。
GM:基準値19の女なんだよなぁ……。ミラージュも食らってるし。
アンプレゼント:「随分身軽になったのね」
ミミ:「お陰様で、っス」
GM:PCターン。
レイン:「攻め続けるぞ! 攻撃魔法を使う暇を奪ってやる!」全力攻撃で23。
GM:(ころころ)20。かわせないぞどうなってる。-4さえなければ・・!
イキシア:サンキューパラミス!
レイン:(ころころ)1回転して49!「これ以上、だれかやらせてたまるか!! 俺に、守らせろよ!」
ミミ:ひゅー!
GM:かっこいいことしてんじゃねぇぞ! 34点通る!
ユズハ:ヴォパルSSを今度はミミさんに。物理+6しつつ、異貌。もっかいゴッフィスでバイオレントキャスト。
GM:(ころころ)抵抗だけは抜かせんぞ。半減して8点だ。
ユズハ:「レインに続くぞ。押し切れ……!」
ミミ:ミラージュデイズSSを更新して挑発。ドラゴンテイル重ね掛け。(ころころ)当たる。
GM:ぐ。さっきかけられてたヴォーパルウェポンのせいでダメージが弾ききれなくなったか。4点抜けた上に挑発される。
アンプレゼント:「ちょこまかと……!」
ミミ:「まだしばらく遊んでもらうっスよ!」
イキシア:挑発が通ると魔法攻撃が後衛にこないの、ありがたい。「先生も本気ですからね、こっちも頑張るしかないです。ミミ! 当たってもいたくないのおまじないです!」バークメイルSSをミミさんに。防護点+8。
ミミ:「効果を実感しないことを祈っててほしいっス!」
イキシア:自分自身は5点魔晶石割りながらエネジャベ、バイオレントキャスト。
GM:(ころころ)抜かせはしない。半減して9点。しかし削ってくる。
イキシア:ダニィは応援してます。おわり!
GM:こちらのターン。ケンタ更新ポーション。またキュアインジャリーだ。(ころころ)今度はクリティカルせず46点回復。
レイン:回復量がえぐい……! MPを使わせてるとはいえ、素でレインのクリティカルと同じだけ回復されちまう。
GM:そのままマルアクでミミに攻撃。
ミミ:(ころころ)やっべ、回避1ゾロ。
イキシア:はわー!!!!!
ユズハ:ミミー!! まずいぞ。アンプレゼントはフェンサーだからクリティカルしやすい……!
GM:(ころころ)チッ、1回転だけか。26点ダメージ。
ミミ:12点抜け。HP25%減で済みました。「っ! お守りがあって助かったっス……!」
イキシア:「よし、さすがイキシアあーんどミミ! ルーンフォークのコンビネーションですね!」
GM:PCターンです。
レイン:そのまま動くぜ。再び全力攻撃で44点ダメージ。
GM:ぐえー。29点。レインの攻撃は痛い……!
イキシア:パラミスS投げていつもの。5点魔晶石割りながらバイキャスエネジャベ。(ころころ)抵抗半減して9点。
ミミ:ミラージュデイズSSとドラゴンテイルで挑発。(ころころ)また通ったッスね。5点くらってください。
ユズハ:補助でヒールスプレーAをミミに。10点回復させつつバイオレントキャストゴッドフィスト。(ころころ)半減して10点だ。
GM:くそぉ。もうちょっとは苦戦させてよぉ! ケンタ更新&ポーション。キュアインジャリーで48点回復。マルアク攻撃がミミに吸い寄せられる。
ミミ:(ころころ)回避ッス。
GM:あかん……。「ミラージュさえなければ」って何回言ったっけ? レインミミの攻撃が外れれば、一気に反撃に行けるのに……! 確実に削ってくる魔法ダメージの分だけジリ貧に追い込まれている……!
レイン:実際、レインが2発スカっただけで、一気に全滅が見えるからな。怖いよ、アンプレゼント。
GM:そちらのターン。
イキシア:パラミスSSをペイッのあとで、いつもの。(ころころ)9点削ります。
ユズハ:ゴッドフィストだ。(ころころ)8点削る。
ミミ:ガゼルフッド+ドラゴンテイル。ミラージュSSを更新して挑発。
GM:(ころころ)ついに回避成功だ。ここでレインの攻撃さえ外れれば、フォースエクスプロージョンで範囲攻撃のチャンス。
レイン:(ころころ)やらせねえよ!(ころころ)ダメージも、回る……!「お前は強いよ! でも、やりすぎたんだよ!」54点のダメージ。「もう、やめて降参しろ、アンプレゼント!!」
アンプレゼント:「知ったことか……!」39点抜けてくる。
イキシア:「勇士は倒せても、うちの英雄は倒せませんよ。我々はおままごとの駒じゃないんですから。書き割り通りには動かない!」
ミミ:「うちの相棒は天下一品っスからね!」
レイン:「キリト達がいなきゃ、こんなにおせてないし、オルソラがいなかったらここにも来れてない。勇士がいて、先達がいて、だから俺たちがいる。ここで、終わらせてもらうぞ! どんな形でも!」
アンプレゼント:「英雄……英雄か。そんなもの、あの時代に……!」
GM:アンプレゼントがミミの挑発を振り切り、レインに攻撃を定める。
レイン:(ころころ)回避なんか捨ててる。避けられるわけない。
GM:(ころころ)クリティカルだ。2回転して、36点叩きこむ。
ミミ:「まずい、抜かれたっス!」
レイン:21点もらい。頑強の効果で、まだかすり傷だ。「その程度で俺を止められると思うなよ、アンプレゼント!!」
ユズハ:レイン本当強くなった……!
イキシア:血を流しながらでも立っててくれるです……!
GM:キリト達の最大の弱点は、軽戦士ばかりで戦士が居なかったことだよね。PCターン。
レイン:動くぜ。今ならパラミスSS効いているな。全力攻撃をぶちかます。
GM:(ころころ)今日は調子いいなぁお前!
レイン:ためにためてきた感じすらある。42点ダメージ。
ミミ:ドラゴンテイルとミラージュSS。これでドラゴンテイルは最大強化。挑発します。
GM:(ころころ)そう何度も挑発に乗り続けてはやれん。くそ、レインさえ躱せていれば大ダメージチャンスだったのに……!
ミミ:しょぼーん。
イキシア:いつもの。ダメージ7点。
ユズハ:ヒールスプレーSをレインに撃って20点回復しつつ、バイオレントゴッフィス。10点抜け。
GM:カードがゴリゴリ減っていく賦術とはいえ、スプレーが強い。ケンタ更新&ポーション。いつもの回復をしつつ、レインに攻撃だ。(ころころ)よし、出目腐ったけど当たった!! ダメージは4回転!! 50点アタックだ!!
レイン:ぐふ!
イキシア:うお!?
ユズハ:おおおおおい!? レイン以外だと全員一撃で吹き飛ぶぞ。
アンプレゼント:「いかがです?」
レイン:「まだまだ!」33点貰った。大丈夫。HP半減もしてないよ。
イキシア:これで半分削れてないのか、レイン。
ユズハ:強い……レインが強い……。「は、はは! 強くなったな!」無事を確認して半笑いを浮かべよう。
イキシア:「笑っちゃいますね、ほんと! グレムリン相手にひぃひぃしてた我々が、ここまでやれるとは。ほんとに笑っちゃうほど『英雄譚』です。さあ、やっちゃってくださいな!」パラミスSSで補助。
レイン:攻撃だ。(ころころ)出目10。またアンプレゼントに全力攻撃を叩きこむ。
GM:おかしいだろ。ほぼ出目勝負なんだぞ? レインの攻撃は多少かわせるはずが……。23点。
ユズハ:オルソラ、レインの回復に回る。ユズハもヒールスプレーで重ねがけ。
レイン:82点まで戻った。
ユズハ:次の頭でまた歌いだすからな。ゴッドフィストのダメージは10点だ。
GM:じわじわと削られる……。そろそろ、残りHPが危なくなってきたか。勝負に出よう。イクスプロージョン&殴る。前衛二人に範囲攻撃だ(ころころ)24を抵抗してみろ。
ミミ:きたか。(ころころ)1ゾロ。
レイン:(ころころ)失敗。
GM:がっつぽ! よし、ダメージは(ころころ)22点20点!
レイン:消魔の守護石を割る! ダメージ10点削る。
ミミ:しょうまだしょうまー。同じく10点削る。
ユズハ:わあ。全然平気。
GM:あかんやつ。アンプレゼントも「魔法が……?」って首傾げてるぞ。
イキシア:金の力ってすごいですね(素直な感想)
GM:そらな。普通消魔の10点なんて高くて買えんわ。1個1万ガメルぞ。レインを殴る。(ころころ)あ、回らない。
レイン:1点くらった。
イキシア:痛くなさそう。
ミミ:硬すぎて笑う。
GM:クリティカル君! 仕事をしよう! そういう設計だ!!
イキシア:「終わりが見えてきたんじゃないですか、アンプレゼント」
アンプレゼント:「……まだ、まだです」
ユズハ:「いい加減あきらめろ。お前は、私たちには勝てない」
アンプレゼント:「痴れ言を!」レインを、英雄を名乗る男を、殺さねばならん。それまで止まれない。
ユズハ:オルソラ歌いなおし。全員にバフ。
イキシア:レイン、やっちまえー!
レイン:全力攻撃(ころころ)6ゾロ!
GM:出目!! 28点抜けた!
ミミ:挑発とガゼルフッドー(ころころ)クリティカルッス! ダメージ、30。ミラージュ投げておわり!
GM:ぐおお……15点痛い。
イキシア:魔晶石割りながらバイキャスエネジャベ。(ころころ)行使判定、同値! 指輪割ります!
GM:まじか! ここで魔法ダメージ抜けてくる!? 防護点利かないのに!?
イキシア:(ころころ)くう、1足りません。回らず24点。
GM:あー! 17点……マントと鎧で凌いでるけど17点……! ちくしょう、レインの攻撃がかわせない上にこれは痛い……!
ユズハ:ミミさんを3点回復しつつバイオレントゴッフィス。(ころころ)お。GM、それは1ゾロですね?
GM:ふぁ!?
ユズハ:きた! キルヒア様、力をお貸しください……!(ころころ)回りはしませんが、25点です。HP、マイナス入ったな。
イキシア:HPが0以下でも気絶しない不屈マンめ……。
GM:もうアンプレゼントはヘロヘロだ。だがポーションはさっき使い切った。インジャリーと魔剣で頑張るしかない。(ころころ)回して39点の回復だ。攻撃はミミに向かう。
ミミ:むぅ、つよい。(ころころ)でも、スカート発動したッス! ヴォーパルウェポン乗って、21点。
GM:6点抜けた。まだだ、まだ終わらん……!
イキシア:残りHP、実質60点。猛攻で落とせる範囲に来ました。行きましょう。
ミミ:挑発しません。腰のロングソードを抜く。(ころころ)盾も持たず切り裂いて、26点。「……! あと、頼んだっス!」
ユズハ:動こう。変わらずゴッフィスだ。神の拳で殴り掛かる。(ころころ)半減して10点。「お前にとっての神はお前を救わなかったかもしれないが、なればせめて引導を渡してやる」
イキシア:「……おいで、ダニィ。今ならいけます。一緒に戦いましょう。先生に続きますですよ」
ダニィ:「きゅ!」抵抗上等で風の息吹。11点ダメージです。
イキシア:「さあ、英雄への道を開きますよ!」バイキャスエネルギージャベリン。もう石は砕きません。
GM:ダメージは9点……! 生き残れるか……!?
イキシア:「レイン!!」
レイン:猫目をかけなおして全力だ。「うぉぉぉぉ!」気合一閃、振りかぶる。
GM:出目が悪い……! 攻撃通る!
レイン:(ころころ)出目5。ひっくり返すぞ。
GM:ひっくり返して9だが、種族特徴強化が入って、10。クリティカルだ! さあ、とどめをかっこよく決めてくれ……!
レイン:出目10の(ころころ)10の(ころころ)10(ころころ)止まった。71点ダメージ!
イキシア:ひゅー!!!
ミミ:かっこいいいいいい!!!
GM:かっこよくとは言ったけどさ!! 56点くらって生死判定です。(ころころ)固定値が18で、そっから-46して2d6……。
イキシア:6ゾロだけですね。
GM:(ころころ)(首を振る)レインの一撃に切り裂かれ、アンプレゼントは口から血を流し、膝を付きました。戦闘終了、君たちの勝利です。
――
――――
――――――
昔々のおはなしです
奈落の魔域にとある街がありました
この街をある女性が治めていました
この女性は大変人族を憎んでいました
なので、魔域の中で人族を見つけたら殺していました
この女性は魔神の事も大嫌いでした
なので、魔神も見つけたら殺していました
しかしある日の事、魔神達が自分たちの神様を呼び出しました
魔神達は神様が女性を殺し、魔域の外へ出ていくことを望みましたが、神様はなんと女性と取引をしてしまいました
それ以来、この魔域は女性の舞台となったのです
役者は魔神や外からやってきた人族・蛮族が務めます
今回が、30回目の公演でした
しかし、永遠に続くと思われた舞台は、突如幕が引かれました
終焉を称える喝采はなく、それどころか観客はひとりもおらず
一人で踊り続けていた女性は、今は何を思うのでしょうか
――――――
――――
――
レイン:駆け抜けざまにアンプレゼントを切り裂いて、耳元で囁く。「アンプレゼント。いままでありがとう。せめてゆっくり休んでくれ」
アンプレゼント:「……認めて、たまるか……英雄なんて……」
GM:レインの囁きは届いたことでしょう。しかし、その言葉の全てを否定するように弱弱しく首を振ったあとそう呟いて……アンプレゼントは倒れ伏します。
レイン:腕で顔を一度拭う。「魔王、打ち取ったり!!」
イキシア:「うおおおおおおおおおおおお!!!!」後ろで治療している仲間たちや、なんなら外にも響けとばかりに勝どきの大声をあげます。物語は終わったのです!
GM:その声を聞きつけたキバオウ達が、君たちに近寄ってきます。
キバオウ:「……おお……おお! 魔王は討ち取った! 俺等の勝利や!」
ミミ:「ひゅー! さっすが相棒っス!」
レイン:「……ああ、だろ」 ミミにそう、力なく笑いかけよう。
ユズハ:騒ぎの裏で、そっとアンプレゼントの額のあたりを探る。
GM:髪で隠れていましたが、折れた角の跡があります。
ユズハ:目を閉じます。「次の世界では、お前を救う神に出会えたらいいな」口に出さずに祈る。淡々と、黙々と。気づかれる前にすぐ、勝どきの騒ぎのほうに戻りました。
GM:そんな中、キバオウがハッと表情を変えます。
キバオウ:「……キリトらは?」
イキシア:「生徒たち!?」はっと気づいて駆け寄る。
GM:全員かろうじて息があります。
イキシア:応急手当―!!!
ユズハ:演出で回復して、アウェイクンでどんどん起こしていこう。
キリト:「……うっ……」
アスナ:「……けほっ! ごほっ……!」
エレン:「い、痛い……生きてる……?」
ミカサ:「ロリ先生……?」
レイン:「よかった……生きててくれた」
イキシア:「おはようです。……聞こえますか、みんな。この、勝どきの声が」生徒たちを覗き込む。
アルミン:「アンプレゼントは……?」
イキシア:「…………イキシアたちが勝ったです」詳しいことは言わない。
ユズハ:「喋るな。まだ回復が終わっていない」と、割って入る。「全員、傷だらけだな。とくにミカサ……無茶しすぎだ」
ミカサ:「少しでも……なんとかしようと……」
GM:息をふき返しはしましたが、体に残ったダメージは甚大な様子です。しばらく戦闘は無理でしょう。特に、ゾンビ戦法で長時間戦っていたミカサがひどい。
イキシア:ダニィに重傷者を乗せていこう。そして、アンプレゼントさんの首元から、ひっそりと聖印をとる。
レイン:それには気づかなかっただろうな。「オルソラ、ユズハ。そいつらの面倒頼むぞ。俺は、周辺の応援に少し動いてくる。一人でも助けねえと」
ミミ:「あ、私もいくっス」
レイン:「おう、相棒がいるなら不意打ちも怖くねえな」
キバオウ:「……お前ら、ちょっとまて。話すことがある」
GM:駆け出そうとしたレイン達をキバオウが止めます。
レイン:「どうした、キバオウ」
キバオウ:「アンプレゼントさん……いや、アンプレゼントな。魔王との戦いで死んだことにせぇ。『レジスタンスのリーダーが本物の魔王やった』なんて、皆が混乱するだけや……」
GM:沈痛な面持ちで、そう告げてきます。
レイン:「……そう、だな」
ミミ:「……賛成」
キリト:「……わかりました」
アスナ:「……納得できないところもあるけど、先の事があるもんね」
レイン:「そうだな。それに、結果はどうあれ……あの人に生かされてたのも間違ってないんだ」
キバオウ:「せや、大人の判断ちゅーやつや。……すまんな」
GM:キバオウは他の生き残りにも「アンプレゼントが死んだのは魔王に殺されたことにしろ」と言い含めています。自分がこのメンバーの中じゃ一番世話になって一番ショックだろうにねぇ……。
ユズハ:心が痛い。
イキシア:みんなが話しているのを少し気にしつつ、こっちはててててっと先生のところまで来て裾を引く。ミミさんとレインの視線を避けながら。
ユズハ:「どうした?」と振り返ろう。
イキシア:「……先生。さっき、アンプレゼントと戦う前に言ってたこと。先生の中では、今でも変わりないですか。『ラーリスに魅入られたものは……』って、その……」口ごもる。
ユズハ:言いたいことを察して「変わらない」と辛そうに答える。「私はずっと、なんなら、はじめからずっと、そう思っていた」
イキシア:「そですか。そですよね。イキシアも、そです」アンプレゼントから取り上げた聖印を手の中で弄ります。「…………アンプレゼントの話だと、この後ラーリスが動きますです。契約者……みたいだったアンプレゼントがいなくなったから、実際今後どうするかはわかりませんが。こんな美味しい狩場を、見逃すはずがないと思うんです」
ユズハ:「ああ。そして、おそらくその中心となるのは……」
イキシア:言葉では答えず、ミミさんの背中を見る。ぎゅっと手を握る。「……早く、帰らなくちゃいけませんね」
ユズハ:「そうだな。今すぐにでも」溜息をついて、一度感情を廃した冷たい目になる。「殺しておけばよかったのだろうか。何かを成される前に、寝ている間にでも、一思いに」
イキシア:「それは、先生……」
GM:では、そんな君達に声がかかる。
キバオウ:「お前ら! 魔王に勝ったからってボサっとすんなや! まだ街では皆戦っとるかもしれん! はよ戻って街を開放するで! ここで止まるわけにはいかんのや」
イキシア:「……。キバオウはん。イキシアたち、先に、村にかえっていいですか」
キバオウ:「村に? なんでや?」
イキシア:「イアちゃんに会いに、です」そういって、ちょっと寂しく笑う。
キバオウ:「あの子か……流石に連れてこれんかったからな……戦えるもんもちっとは残してあるけど……。けど、キリト達もこの状況や。いっぺん街の連中と合流してから決めようや」
イキシア:「……まあ、そうですね。一度家に帰りましょう」
キバオウ:「おっしゃ! いくで!」
GM:といってキバオウは他のメンバーの尻を叩きに戻ります。そこに、キリトが体を引きずるようにして近づいてきました。目の前で座り込むと声をかけてきます。
キリト:「レイン……ノルニプス、持ってけ……。ミミかお前なら使えるだろ……」
レイン:「……そうだな。この後、ミミにその剣は必要だ。借りるぜ。この剣を託されてたのはお前だ。それも忘れるなよ」
キリト:「……魔王にか?」
レイン:「『アンプレゼントさん』に、だろ」無理に笑ってみせます。「……記憶を失ってたあの人は、間違いなくリーダーだったよ。『魔王に倒された』。ある意味事実だと、俺は思う」
キリト:「……そっか。そうだな……」
レイン:「……助けたかった」
キリト:「……ああ」
レイン:首を振る。「んじゃ、貰ってくぜ、けが人はゆっくり休んでな」
キリト:「悪いな」
レイン:「今度おごれよ」
キリト:「そうだな」
レイン:「……またあとでな。相棒が待ってるから」
キリト:「ああ、俺は……ちょっと寝る……」
GM:言うなり、キリトはその場で眠り始めました。レインが魔剣を取りにアンプレゼントのところに行くと、オルソラが遺体の前に無言で佇んでいます。
レイン:「えっと……」暫く言葉を探す。「大丈夫か?」
オルソラ:「…………さぁ。ただ、私の復讐は終わりましたね」
レイン:「そうだな」
オルソラ:「何も帰ってきませんよ。胸のつかえは取れた気がしますが、気持ちが抜けたような感じです。この人は、300年どんな気持ちでいたんでしょうか……」
レイン:「……たぶん、時間の感覚なんてなくなってたんじゃないか。イキシアの言う通り……全部切って捨ててたんだろ」
オルソラ:「そうですか……」
レイン:「……考えたくなかったんじゃないかな、なにも。なんとなく、そう思う」
オルソラ:「…………そうかもしれませんね」
レイン:軽く背中に手を添える。「お前は、泣いていいと思うぞ たまには、わめいたほうが楽になることもあるかもしれない」
GM:オルソラは、それには答えませんでした。少しぎこちない動作で祈りを捧げ、そのまま立ち去っていきます。ただ、レインの横を通り過ぎる時、鼻をすするような音が聞こえた気がしました。
レイン:無言で見送ろう。そして、改めて膝をついて、アンプレゼントの遺体と向き合う。丁寧に指をといて、胸の前で合わせて弔って、それから剣を拾う。抱きかかえるように一度剣を回して、静かに鞘に納める。
(アンプレゼントのことは、こうするしかなかった)
(アンプレゼントは、ウィンプが、『臆病者』が死んだときに一緒に死ねていたら、きっと一番幸せだったんだ)
(俺だって「守りたい者」がみんな死んでしまったら、その時は。その時は――。)
(――俺に「共感している」だなんて、言われたくも、ないよな)
(「本当はアンプレゼントのことだって守りたかった」なんてのは、もっと)
(でも、まだ、止まるな。まだ。俺はやらなきゃ。この人に『英雄』って名乗った分も、やらなきゃ)
レイン:ぺこりと一礼して「さようなら」と最後に告げて立ち去ります。
GM:その背中に、答える声はありませんでした。
GM:少しだけ時間が飛んで、スカボローの街です。君たち生き残りが街へ戻ると、戦闘はほぼ終了しており、落ち着きを取り戻していました。どうやら粗方の蛮族が打ち倒されたようです。まだ散発的に抵抗している箇所もありますが、上位蛮族がほぼ出払っている今、彼らにここから押し返す力はないでしょう。君たちは一旦、鉄華団の臨時拠点と化しているギュンギュスカー商会に向かいました。
イキシア:「ただいまです!」とひょっこり明るく入っていきます。
GM:鉄華団のメンバーは一様に暗い顔をしています。空気も重く、沈んで淀んでいるのが目に見えるようです。
イキシア:様子に気づいてびくりと固まる。「ど、どしたですか……」
ミカヅキ:「……あんたたちか。帰ってきたってことは、魔王は?」
ミミ:「魔王は、無事倒してきたっスよ」
ミカヅキ:「そう。良かった。手伝えなくて悪かったね」
キバオウ:「なんや湿気た面しとるのぉ。魔王は倒した、街中の戦闘も勝って終わりそうなんやろ? ……オルガはどうした?」
イキシア:「まさか……」
ミカヅキ:「……戦闘中、突然一部の人族と蛮族が魔神に変わったんだ。いや、違うな。もともと、化けてたんだと思う。それで、オルガは俺に化けた魔神に、背中から……」
ユズハ:「そうか……」沈痛な面持ちを浮かべる。
ミミ:「こっちでも……」
ミカヅキ:『外の世界に連れて行ってくれる』って、そう約束したのに……オルガがいなくなって、皆どうしたらいいかわからない。誰も、わからないんだ」
イキシア:「外のために、あんなに、頑張ってましたのにね……」
ミミ:はっと表情を変える。「……ってことは、もしかして村も危ないんじゃないっスか?」
キバオウ:「……確かに、村も早急に確認したほうがええかもしれん」
GM:キバオウは思考を巡らせるような表情を浮かべています。
ミカヅキ:「なぁ、アンプレゼントはどうしたんだ? そっちのリーダーの」
レイン:「俺たちをかばって、魔王に、やられた」
ミカヅキ:「……そっか」目を伏せます。「そっちは、これからどうする? ここも、蛮族の軍隊が戻ってくるかもしれない。俺はまだ戦えるけど、数が、だいぶ減ったから……」
キバオウ:「もう、村と鉄華団に分かれてる必要もないやろ。村の連中をこっちに呼び寄せて、戦えるやつ全員でこの街で守ったほうがええ。どのみちここを拠点にするために戦ったんや」
イキシア:「そですか……」ちょっとほっとする。
キバオウ:「村に早馬をださなあかんな。作戦の成功と、こっちに呼び寄せんと。今なら村から西廻りで街まで来れる。船だからすぐ移動できるわ」
ミミ:「迎えに……迎えに行っちゃ、ダメっスかね」
キバオウ:「お前らには正直残って欲しいんやけどな……」渋い顔をしています。アンプレゼントがいなくなり、キリト達もリタイアの今、最大戦力は君たちです。
ミミ:「護衛も必要っスよ、戦えない人も村にはいるっスもん!」
ユズハ:「本当に村の中で蛮族が現れて、防衛戦をしている可能性があるなら、ある程度の戦力はいかないといけないだろう。そうでないならば、すぐに戻れるはずだ」
GM:キバオウはしばらく迷う顔をしていましたが「わかった。行って来い」と、最後は折れてくれます。
キバオウ:「背中気にして戦えんわな」
ミミ:「うス!」
レイン:「……わるいな、キバオウ」
キバオウ:「お前らには助けられた。はよう行ってこい」
レイン:「ああ、すぐ戻る。最悪、逃げ回ってくれ」
GM:そこに、オルソラが割って入ってきます。
オルソラ:「私は残ります。鉄華団は知らない仲じゃありませんから」
レイン:「……そういう気が、してたわ」
イキシア:「好きにするといいです」
オルソラ:「ええ、そうします」
レイン:「なら、ピアスはお前が持っててくれ」手渡そう。
GM:受け取ります。
レイン:「何かあったら俺を呼べ。剣は、どうする?」
オルソラ:「護衛が武器手放してどうするんですか?」
レイン:「なら、借りとく。絶対返させろよ」
オルソラ:「ここのほうがもう安全ですよ」
レイン:「それでも、気をつけろよ」
オルソラ:「ええ。まぁ、その………………ありがとうございます……」
GM:たっぷり黙った後の、小さな声です。
レイン:「……礼言うのは、剣借りる俺だろ」
オルソラ:「……さっさといったらどうですか? 私、けが人の手当してきますので」
GM:ぷいっとして立ち去ります。
レイン:「……オルソラ!」
GM:立ち止まります。
レイン:駆け寄って、軽くハグする。「ほんとに、無理すんなよ。あと、頼りにしてる。みんなを、頼む! じゃあ、またな」
オルソラ:「ええ、また」
GM:そう伝えて、今度こそ立ち去るでしょう。ハグを返してくれたかは君たちの脳内におまかせする。
レイン:「もう、だれも、失いたくないんだ。俺たちも行こうぜ、ミミ、イキシア、ユズハ」
ミミ:もう駆け出してます。速攻で準備した。
レイン:「はええ……」
ユズハ:「遅れを取るわけにいかないな。行こう」
ミミ:死ぬほど休みたいが、死ぬほど急ぎたい。体に鞭打ってでも行く。
GM:わかった。では、ロクに休憩も取らず、君たちは馬に乗り、村に向かって駆け出した。森の中を大急ぎで進んでいくが、とはいえ1日でたどり着ける距離ではない。その日は野営になるだろう。交代で見張りをこなし、最低限の休息を得てまた駆け出そうとする。
そこに。
レインの通話のピアスに、着信が入る。
オルソラ:『ーーーもしもし?』
GM:オルソラの声だ。ひどく慌てている。
オルソラ:『街に、戻ってきてください。今すぐに』
レイン:「っ!! なにがあった!!」思わずピアスに向かって叫ぶ。
イキシア:「どうしました!?」レインの耳元に耳をぐいぐい押し付けて、無理やり聞こうとする。でも多分聞こえない。「誰ですか!? オルソラですか!?」
オルソラ:『村から人が来ましたよ。海路でね。村は魔神に襲われて全滅したそうです。攫われた人もいる、とか』
レイン:一瞬呆然とするが「村が、襲われて、全滅した」と、とにかくそれを伝える。
ユズハ:「なんだと……」
レイン:「攫われた人もいるらしい」
ミミ:「イアは!?」反射的に叫ぶ。
オルソラ:『ピンク色の、髪の長い女の子。……それが、イアって人ですか?』
レイン:「ああ、そうだ!」
オルソラ:『攫われたのはその人です』
レイン:「……く、そ、がぁぁぁぁ! 今すぐ、戻る!」
ミミ:「ちょ、結局どうなったんス!?」
イキシア:「何が、おこったんですか」
ユズハ:「レイン! オルソラが言ったことを伝えろ! 端的に!」
レイン:「イアが、魔神に攫われた。魔神に襲われた生き残りがこっちに来て伝えてくれたらしい。急いで引き返すぞ……イアを、助けるための作戦を立てる! 最速で、行くぞ!!」
ミミ:「……っ!!」泣きそうな顔で馬に跨る。
GM:村に向かって来た道を駆け戻る。道はわかっている。行きよりは早く戻れるだろう。
レイン:「俺は、強くなったのに……強くなったのに、何でこうも何もつかめないんだよ!!」
GM:魔王を打倒した君たちに、魔域最後の戦いが迫ろうとしていた。
GM:これにて第9話終了です。次回、最終回。
一同:お疲れさまでしたー!
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