第百九回 柴進、梁山泊で引き篭る
王進は母親と再会し、その回復を知ると涙を流して喜び梁山泊に恩を返す事を約束。史進や山士奇を始め希望する者には武芸の
樊瑞は
多くの仲間が加った事や
鈕文忠は
しかし良い事ばかりがあった訳でもなく、林冲と柴進が戻り
王倫はその後呉用から色々な書物を借りて読み
「
とは、呉用が
そして柴進は先祖代々伝わる土地を守れなかったという
ある日、
「こういう
「……ほう、そりゃまた……」
「……できそう?」
「ひとつ考えてみましょう。色々と役に立ちそうだ」
湯隆は職人系統の仲間達とも相談し瓢姫発想の道具の
「何? 瓢姫と
「はい。皆何かあったのかと心配していると……」
王倫は部屋で書物を読んでいたが訪れた林冲からその話を聞かされた。
「……気のせいではないのか? 私には特に変わらない様子に思えるが」
「それは
「他の者には違うのか? 瓢姫など
「実は私も良く分からないのです。きちんと武芸の稽古はしている様ですし、この話も私の妻が言ってきた事でして」
王倫は持っていた書物を閉じて机に置く。先程より関心が向いた
「どうも瓢姫様は以前と違い部屋に
「それはなぜだ?」
「妻が言うには心配して部屋に行ったところ、大丈夫の一点張りだったそうなのです。部屋の中にも入れてもらえなかったそうで」
「ふーむ。林冲はどう思う?」
「私からはなんとも。桃香様は以前からそんな感じでしたしね。学問関係や研究とかそういう……義兄上に似てますな」
「うん? それで奥方殿に心当たりはないのか?」
「なにも。
「思春期!?」
王倫は驚く。
「それが事実ならまた
彼は梁山泊の屋敷で現在引きこもっている柴進に対しても心理的な部分からくる繊細な問題として
「……義兄上がその事で自分を
思わぬ形で林冲に心配される対象が自分になってしまい王倫はばつの悪そうな顔をした。
「う、うむ。それは分かってはいるのだがどうしてもな……」
林冲から顔をそむけた王倫に言えるのはこれくらいしかない。いや、なかった。
「と、とにかく。私もそれとなく瓢姫の様子を探ってみよう」
「お願いします」
王倫に林冲。そしてもう一人の義弟、
桃香と瓢姫。これまで一度も問題を起こした事のない二人。今回話題に登った瓢姫は自身の内に一体何を抱え込んだというのだろうか。
梁山泊の冬の一日が過ぎて行く。
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