第百八回 滄洲からの離脱
「すごい船だな……
案内役の
「ははは。造りあげた
郭盛は笑いながら林冲にそう説明すると林冲も何度も頷く。
「砦か。いやまさに。初めて見る者は間違いなく息を
「孟康殿がきいたら喜びますよ」
「しかし何故こんなものが……」
「それは本人から説明があると思います」
そうして林冲と柴進は花栄の部屋ヘ、他の者は休める場所へと向かう。
「では林冲殿。私は
「うむ。貴殿には世話になった。必ず
「楽しみにしてます」
林冲は鈕文忠を
「林冲殿、柴進様。花栄殿はここにおられます。花栄殿! お二人をお連れしました」
その場所には花栄だけでなく孟康もおり、林冲と柴進を暖かく迎えてくれる。
「おお! お二人ともご無事で良かった。何かあっては私を信じて任せてくれた首領に顔向けできませんからな」
柴進と
「
「
二人が王倫の指示の
「首領の読み通りならばすぐさま支援に回れたはずなのですが予想外な事が起きました」
花栄達が到着した時、この場所はまさにうってつけといった場所であり、彼等はここを
「しかしそちらに何事も起こらない間に
常に強風が吹き、
「そういえば以前、
柴進がふとそんな内容を口にした。林冲と花栄、孟康は顔を見合わせる。
「……なるほど。地元の漁師しか知らぬような情報なら首領が分からずとも
「義兄上の策なのに不都合が出たのはその為であったか。……ではひょっとしてこの
林冲が疑問を抱くと孟康の説明が始まった。
「その通りです林冲殿! 最初は大小の
「お、おう」
孟康の
「私の
柴進により話は本題に戻され、翌日明るくなってから
そして翌日。現場に詳しい林冲と鈕文忠に加えて花栄、そして暴れられなかった
その屋敷はすでに引き払われたのか人の気配は感じられない。林冲が
「な、なんという事だ……」
その
「
劉唐が状況を
「……」
花栄と林冲は
「
花栄が言う。柴進はもっと詳しく調べたいと言ったが花栄の意見に林冲も
「ただの
確かに柴進殿からすれば自分の屋敷の惨状に目がいくのは当然としながらも、林冲は別の点に着目していた事を話す。それは実際敵を打ち倒した彼だからこその発言。
「敵の
相手にも
「
林冲が示したそれは
「一夜にして金目の物を奪うだけではなく、味方の遺体まで持ち去る
「うむ。我等は騎兵に追撃を受けたが自らの
柴進が青い顔をして言う。
「つまり今回の襲撃は
もし二人の言う通りだとすると、ますます柴進には襲撃される心当たりなどない。
「あくまで
「私も花栄殿に
「ちっ。じゃあ暴れ足りない分は貸しにしといてやらなきゃいけねぇかな」
鈕文忠はもとより劉唐も
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