第百二回 術合戦決着
三人が手下達に出陣の準備をさせるため部屋から出ようとしたその時、入り口が強風で開きその風が部屋の
「うわ!
軽い物は吹き散らされ
「これから
「我等を放ってどこへ向かわれるおつもりか」
「「「!」」」
三人は身構えた。明らかに仲間のものとは違う声が
「まだいたのか。どこだ出てこい!」
李袞が叫ぶ。
「そこだ!」
李袞は狙いをつけ
「な、なに!?」
だが
「う、うわぁ!?」
李袞が叫び声をあげる。驚いたのは樊瑞と項充も一緒だ。
どさり。今度は項充のすぐ近くに何者かの
「!?」
項充も驚き身体を
「お、お前は! し、首領! こいつらは
振りほどいて樊瑞のそばに寄ってくる項充。李袞も近くにくる。
「い、一体何が起きているというのだ!」
樊瑞は余りの出来事に混乱していた。
「……これはまさか!」
樊瑞は項充から一本の飛刀を抜き取るとそれを
「ぐうぅっ!」
しかしその痛みのおかげで樊瑞には先程までと違う光景が見れるようになる。そこは
「ほう。術にかかった可能性に気付き痛みで我にかえったか」
羅真人の言葉に
それでもたまに
(なんて事だ。俺達がまるで相手になっていないなどと……)
樊瑞は自分達の
李袞と項充を現実に呼び戻すには自身がやったように
術者同士の
公孫勝が絶命したのもその
「この樊瑞、先生の教えを実現する為に命は惜しまん!」
樊瑞は集中し、自身の持つ術の力を解放する!
「……樊瑞、樊瑞よ」
樊瑞は誰かに呼ばれ周囲を見渡す。何もない空間に自分だけが立っている。
「樊瑞」
「こ、これは先生!」
目の前に幼い頃から
自身の術が成功したならば現実に戻っているはずだ。だがこれは現実ではない。
「私は敗れたのか……」
だが最後にもう会えぬ相手に会えたのは悪い気はしない。樊瑞はそう思った。
「ほう、お主はこやつの弟子であったか」
「!!」
「よいか。お前に教えた術はくれぐれも弱い立場の者を守る為に使うのだぞ」
「変わらぬのう。お主らしいわい」
「な!? ご老人、私の先生をご存知なのか?」
あまりの発言に樊瑞は互いの立場を忘れて問いかけてしまう。
「かつての
同門。その言葉で樊瑞は敵意を失った。
「あ、貴方は一体……」
その瞬間。樊瑞の
何が何やらわからず
「下を見るが良い。ここがお主達が
芒碭山の
樊瑞、李袞、項充には誰もが笑い、お互いを助け合っている梁山泊の人々が強く印象に残った。そして公孫勝の口から梁山泊は
もしこれが事実なら芒碭山の人間の方がまだ
「我等は……なんという思い違いを……」
三人は
「みんなもくればいい」
その言葉に芒碭山の三人は
「て、敵対していた我等を許すと?」
「……? まだ戦ってない。それに誤解だった」
「いやいや。お嬢ちゃんの
まだ幼い少女にそんな
「ワシに言えるのはそなたらは元々集う運命にあったという事だけじゃ」
羅真人は権限がないと言い、公孫勝も笑いながら言う。
「樊瑞殿。我が師のもとで共に
「……私じゃない。
瓢姫は恥ずかしいのか王倫のせいにしてふいと横を向いた。
「王倫様に良い報告が出来ますな姫様」
「し、しらない」
こうして芒碭山の山賊、樊瑞、項充、李袞と約三千の手下が梁山泊へ合流する事となり、
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