第七十四回 ある日の白勝夫婦
「お宝の為だと
看板には何かしら書いてあるのだが
「ぐずぐずしてると
王英の
「よし、右だ!」
二人は走りだす。
「お宝ならいいがな。いくぜ白勝」
「おうとも!」
「何も……ない?」
二人の
「うげっ! 林冲殿!」
「ようこそ白勝に王英。この先へは私を
「!? ……って事は……」
白勝と王英の顔色が悪くなる。二人は同時に
「ちきしょう! 左だったかー!」
……
「おやお帰りあんた。……その様子じゃ散々だったみたいだねぇ。
「うるせいやい!
「で、その権利とやらは誰が貰えたんだい?」
「……全員ぼろぼろになって終わりよ。今回はな。あちこちから
白勝の妻は笑い出す。
「
「次は俺っちが突破してやらぁ!
白勝は帰りに買ってきた道具を
「あんた、これ……」
「おうよ! これで文字を身につけてやるぜ!
「
白勝の妻は王倫の
(ああ、なるほど。
「……せいぜい
「はん。すぐにお前に本を読んでやれるぐらいになってやらぁ!」
……
「おう。お帰り」
「……ただいま」
彼女は短い一言を発すると白勝の横に腰を下ろした。
「
「ん? 昨日始めたばかりだからな。これからよ、これから!」
そのまま彼女は白勝の様に持ってきた荷物を並べ始める。
「お、おい。おめぇこれは……」
それは昨日白勝が買ってきた
「あたしもやる。今日から始める」
「おいおい一体どういう
「いらないよそんなもん。あんたと一緒にしないでおくれ」
「なにぃ!? ……なんだそれは?」
彼女は白勝の目の前に
「手紙だよ。……
「……お
「
「こんな
「ああ……そうだな。良かったじゃねぇか」
「それで
白勝は思う。
(なるほどな。お世話している桃香様からとなりゃこうなるのも無理はないか。しかし桃香様も今からこれじゃ王倫様顔負けの人たらしになるんじゃないかねぇ)
「早く返事が渡せるといいな」
「もちろんよ! 私はやってみせるから」
白勝は自分も手が抜けなくなったと考えつつも、
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