第四回 時期外れの桃
彼が
「そういえばお二人はそこの木々から良い気が出ていると
「うむ。そうじゃな」
「ええ、確かに」
「そのせいかはわかりませんが、なった実は
照れくさそうにいう王倫だが二人は
「そうじゃろうなぁ。出来る事なら
食べられないのは今が実がなる
「間違いなく美味でしょうね」
「こちらは私が心から
と言い、さらに
「せめて良い酒を取り寄せそちらの
こう続けた。それに対し老氏の方は
「な、なに。良い酒か?」
「はい。これも贔屓目からでしょうが、その瓢箪に
「う、うむむ……」
王倫が手入れの為に
「おや
「ふと王倫殿の手入れの様子も
「……それはかまいませんがもう十分育っておりますし、別に大した事はいたしませぬぞ?」
「はっはっは。何、桃と瓢箪がやたらとせっつくものでしてな。お気になさらず」
「は?」
「! ああ、それもお気になさらず」
若氏が割って入る。老氏の最後の発言の意味は良く分からなかったがとりあえず王倫は桃の木の様子を見るため近付く。
「うむ。今日も調子は良さそうだ。葉のツヤも良い。ほのかに甘い香りも感じる気がするぞ。…………な、なに?」
王倫は二人の所へ
「せ、先生方! 驚くべき事が起こりましたぞ!」
手には二つの桃を持っている。
「今は時期ではないのに何故か二つだけ。
二人は桃を見せられ
「ほう、こういう事じゃったか」
「……ですね」
「?」
不思議がる王倫をよそに二人は笑顔で頷いていた。
その後王倫が腰の刀で桃を切り三人で味わうと老氏が突然語り出す。
「いやいや大変美味で感動しましたぞ。……その礼になるかはわかりませんが、ひとつ話をいたしましょう」
この時の話が王倫にとってその身に
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