第三回 挑む王倫
(いや、いやいやいや。
心の中で
(だがたまに
王倫は
(! 今のは
「引き分け…… ですね」
「どうやらそのようじゃな」
老人と若者は顔を見合わせ笑い合う。そこへ
「いやぁご
と、
「私はこの
問われた二人は少し
「私は『
続いて老と紹介された人物が口を開く。
「旅の途中この地で良い気を感じてのぅ。 それに引かれてここまで来たという訳じゃ」
「良い気…… ですか?」
「そうじゃ」
老は後ろを振り向いて、
「この
王倫は『気』などと言われて
「ふむ?
「ほう、お主が?」
「
王倫は二人を
「おう宋万、こっちだ」
宋万の方に向かって
「
その時すでに二人の姿はまるで今までの事が
~翌日~
またも刺される夢を見た王倫。だがいつもより気落ちする事もなく、早速昨日の
「お二人とも昨日はひどいではないですか。山寨に招待しようと思えば
それに対して若氏が柔らかい
「それは申し訳ない事をいたしました。されどそのような
老氏も続く。
「
「それはなんと…… 欲のない……」
王倫は道士の
「ではせめて私と一局お相手願う事も無理でございますかな?」
老氏と若氏は顔を見合わせたが、
「……たまには『人(ひと)』と打つのも面白いかもしれませんね」
と若氏が言ってくれた。王倫はその言葉でやはりこの二人はいつも一緒に打っているのだなと思い込み、
「そうでしょう! やはり碁は『他人(ひと)』と打ってこそ楽しみが増すというものですよ」
そうこたえた。
……こうして山寨の主王倫に日々の楽しみがひとつだけ増える事になる。
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