第229話グリーンウッド国

ハルはその後数日子供たちと過ごした後大森林を経由してペントランに向かった。


ところが幻影の霧の影響を受け予定とは違うグリーンウッド国辺境の町シルトレインに来ていた。


獣人国グリーンウッドは無計画な伐採により森の様子が激変し森の木々による魔法結界が綻びそこに魔道具を使ってデストロイ帝国人が侵入しグリーンウッド国の女性獣人や子供が攫われる事態が度々起こっていた。



ハルはナギとマギと同じ獣人の姿で迷いながらも移動をして来たが、途中森の中で怪しい男たちを見つけ様子を見ていたら彼らは薬草を採取してた獣人の子供を襲い連れ去って行った。


『あの人達子供を襲ってるの!ぜったい許さない!』


ハルは怒り彼らを追いかける。


男たちは森の中を必死に逃げ仲間と合流する


「おい!レルト見つからずに攫ってきたぜ。」


「今日は黒猫族の子供か・・・まぁいいあのガキでも高く売れる。お前たちさっさずらかるぞ!」


子供は必死に縄をほどこうとする


「んーー!」


ほんと人間の男は屑だね。いまだに奴隷を求めるって・・・どこの国の人間なの。

鑑定・・・デストロイ帝国人 モロザ 暗殺者 A級犯罪者 LV.45

    デストロイ帝国人 ザギン 漆黒 A級犯罪者 lv.51

デストロイ帝国人 バラザス 闇 A級犯罪者 LV.53


「屑か・・・ナギ、マギ遠慮の必要ない!屑をやっちゃって!」


「了解!」

「任せて!」


☆・☆・☆・


ハルたちがグリーンウッド国の森で暴れている頃、グリーンウッド国王都コロロッカではハルがグリーンウッド国に入ったことが精霊によって知らされていた。


ヴェニス王妃は精霊のざわつきと自分に付いている精霊によって女神ハルがグリーンウッド国に入ったことを知らされる。


「来たのじゃ来たのじゃ!ついに女神様が来てくれたのじゃ!」


「ヴェニスよ。落ち着きなさい!まだハル様は辺境の町シルトレインに入ったばかりではないか!王都までまだどんなに急いでも20日はかかるのだぞ。」


国王になだめられるもヴェニスは優秀な部下をすぐに迎えに行くように命令する



「ホウセン!ムラサキ!精霊様から女神ハルさまがシルトレインに入ったと教えて頂きました。そなたらはすぐに迎えに行きなさい。」


王妃の前に突然現れた二人は頷きすぐに姿を消す


「「はっ!」」


☆・☆・☆

ナギたちは捕らえた帝国人を尋問するも彼らはにやにや笑うだけで答えない

ハルは帝国人3人のマジックバックを奪い消滅させ記憶も消して強力な魔物がいる大森林に転移させる。


「何もしゃべらず反省もしないなら死んじゃえ!」


シュン


ハルは涙目の子供に話しかける


「悪い奴は処分したからもう大丈夫だよ。お母さんのところに行こうか?あなたはこの先にあるシルトレインに連れて行ったらいいのかな?」


「うん。」



ハルは助けた黒猫族の子供を連れてシルトレインの町に入る。

町では子供が攫われたことで大騒ぎになっていた。


ハルたちが町に入るとすぐに警備隊が集まって来る。ハルはあまりにも早く兵士に囲まれたことに驚く。


なにこれ!兵士が集まってくるの早いんですけどぉー


ハルは一番大きな獣人兵に尋ねられる


「申し訳ないがお嬢さん達ちょっと待ってくれるか!その子供の事について尋ねたい!」


すると黒猫の子供が前に出て兵士に帝国の人間に攫われ森から連れ出されそうになったところでハルたちに助けられたことを伝える。


子供はこの町の町長の娘で昨日から行方が分からなくなっていた。町長がギルドや警備隊に連絡し捜索していたところにハルたちが入ってきて騒ぎになったのだ。


なるほどちょうど捜索してるところに来たからこんなことになったのね。


悪い魔力持った人いないから問題ないか・・・

後はこの子がちゃんとおうちの人に会えれば終了だね。


ナナシーが兵士に説明していると大柄な黒猫獣人女性が叫びながら走って来る


「ナナシーーーー!」


ドドドドドドドド


「ハズキ様お待ちくださいーーー」

「ハズキさまーーーー」


うわーなんか獣人女性がいろいろ従えてすごい勢いで走ってきてるよ。これはもうこの子の事兵士に任せて退散した方がいいかも


「ナナシーちゃんお迎え来たみたいだからお姉ちゃん行くね。兵士さんあとよろしく。」


ハルはナギたちに合図を送りスキルを使いその場から離れる


シュン


「わかった」


シュン

シュン


ハル達が消えた事に警備隊は慌てる


「おい!ナナシー様の恩人が消えたすぐに探すんだ!」


一部の護衛を残し警備隊はすぐにハルたちの捜索に動く


上手く混乱を利用してその場を離れたハルたちは町の反対側の門から別の町を目指していた


「危なかったぁ・・あのままあそこにいたらまた騒ぎになって拘束されてたね。多分あの子のお母さんかな凄い大きな人だったけど、あの感じからしたら凄く探してたみたいだからよかったね。」


「そうですね。ナナシーちゃんへの愛凄そうです。これからどうしますか?予定とは全然違う方向に来たみたいですけど・・・」


「アハハ・・そうなんだよね。ペントランに行くつもりだったんだけどおっかしいな・・・」


ナギもマギもハルの発言に呆れる


「お姉ちゃん!おっかしいなじゃないよ!ナギたちのアドバイス聞かずに走り出したのハルお姉ちゃんだよ。指示した方向と反対に走り出すなんて馬鹿なの?」


「そうそうお姉ちゃんあっちに優しい魔力感じたぁーっていきなり走り出して結局何もなかったじゃん!」


ハルは歩きながらナギに尋ねる


「この国って獣人国なの?知らずに国境超えたけど大丈夫なの?」


「ここはグリーンウッド国ですね。幸い私たち獣人です。それに冒険者カードも持ってますから問題ないです。」


「獣人は仲間意識が強いですから問題ないと思うけど・・・ただ私たち珍しい白狼族ですからこの国ではどんな扱いされるかわかんない・・」


ハルは今の自分たちの状態を確認する


確かにハルも変化で同じ白狼族の姿だしナギたちはこの国の出身じゃなさそうだしどうなるんだろう


「ナギマギ一応警戒しながらフード被って先に進もうか?」


ハル達は次の町は避け少し離れた町に入って様子を見ることにした。


「やっと町が見えて来たけど、ここならあの町から随分離れてるはずだから大丈夫?かな?わかんないけど」


「町の冒険者ギルドに行けば何か情報得られると思う。それまでフード取らなければ大丈夫」


「ハルお姉ちゃんは私たちより小さいから獣人族では完全に私たちの妹に見られるからそのつもりでいて後で獣人族の特徴も教える。この国にいる間はマギがお姉ちゃん。町にもマギが先に入る。」


ハルは獣人族は年齢に応じて身体的特徴があると教えられ素直に従う


ハルたちは森の中を数日移動したどり着いた町でマギがハルの手を引いて町に入る。


ハル達は何事もなく町に入ることができそのまま冒険者ギルドに向かう。


「ほんとマギの言う通りにしてよかったよ。でもあの門兵失礼だよ!ハルのこと5歳って!なんでよ。プンプン」


「アハハ確かに獣人族ならハルお姉ちゃんの身長なら5歳が普通だし諦めて」


ハルはマギに手をひかれ冒険者ギルドに到着する


「ここですね。入るよ。ナギしっかりハルちゃんの手を握ってて」


ハルは二人と手をつなぎギルドに入っていく。














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