第213話ハルの行方の調査(改)

☆・☆・☆

ティリム伯爵領官邸ではバイシール公爵家のメリールが領主と話し合っていた。


「メリール様メロディからだいたいのことは伺いました。

お身体の方は大丈夫ですか?すぐにギルドに行かれたと聞きましたが、今回の件の事でしょうか?」


メリールは頷き答える


「はい!今回の件の報告で領地に戻るために護衛依頼をしようとギルドに行きました。

詳細報告はメロディ様と領主様に任せるつもりで簡単に報告したのですが、ギルドマスターが全く信用してくれず態度も少々・・・


それで護衛依頼は撤回しました。それで領地より護衛を送ってもらうまで伯爵領でとどまらせていただきます。

宿も手配しましたので、それで私たちを助けてくれた方はどうなりましたでしょうか?」


シェンド伯爵は騎士たちが今状況を把握するために向かわせ助けてくれた者も丁重に対応して連れてくるように指示してると答える


メリールもギルドで、自分たちを助けてくれた者を王族の者が情報を求めてることも報告した。


「なんとギルドの依頼ボードにその方の情報を求める依頼が張り出されていたと、それが公爵家の者でも依頼主を聞き出せないと・・」


「はい!ですから恐らく依頼主は王族かと・・確かエメラルド王妃様とシェリル王女様が例年この時期にペントランのファッションショップによく行かれてますので、たぶんエメラルド王妃様ではないかと・・」


「わかりました、こっちでの情報をまとめてから情報を伝えましょう。

恐らくエメラルド様はクライス公爵家にいるのではないかと思いますので、領主間で連絡の取れる通信魔道具で連絡を取ってみます」


領主官邸の裁定を行う議場では今回の関係者が集まっていた。


シェンド領主フォルティア婦人、メロディ、メリール公爵令嬢、ケアリー国家冒険者が一段高い場所に座る。


そこに初動対応したバルト、タランが入って来ると領主シェンドが、二人を見て裁定審議を始める始める前にこの件は全て審議高官のピレニーズに委ねる事を領主が伝え審議が始まる


「今案件は伯爵家メロディ様公爵家メリール様が乗った馬車を運んでくださった方への対応とその後について問うものである。


門兵バルト、タラン二人に聞く公爵家、伯爵家の馬車が運ばれてきた時の状況を報告せよ!」


二人は顔を見合わせ報告する


「はい!私たちが門でいつものように人流を管理していると、馬車が近づいてきました。

よく見ると馬がいないのに驚き、休憩中の者に門の管理を任せ、タランと二人で馬車を操作してる者に止まるように指示をし馬車を止めました」


審議高官のピレニーズが尋ねる


「その時馬がいなかったと?2台の馬車は御者は何人だった?」


「2台とも馬は繋がれておらず御者席には怪しいフードを被った者だけです」


「ふむそれで君は馬が繋がっていない馬車を一人で御者席でいた者を怪しいと判断したと、それでどうして連行までに至ったんだ?」


「私はあの者は魔族か何かだと思いいくつか質問しそれに全く答えませんでした。

馬車の扉を開けるように指示しても無視する小さな子供は、私を馬鹿にする言動で挑発してきたため私の判断で捕縛し連行しました。


あいつは怪しいフードを深々とかぶり、馬のいない馬車を動かす魔力を持った奴です!

人間ではないです!」


「ふむ、それで連行してからどうしたんだ?」


「連行し兵士詰め所地下牢に連れて行き尋問をしました。」


「尋問?二人でか?」


二人は顔を見合わせ答える


「いえタランが尋問し、私はすぐに馬車の方に戻りました」


メロディもメリールも二人を睨みつける、その視線を感じたのかバルトは視線を逸らす。

審議高官のピレニーズは地下牢の状況を尋ねる


「ほぉしかし地下牢には大量の血の跡があったと聞いてますが、これはどういう事なのか説明してくれますか?」


タランは何かを考えるように下を向き暫くして顔を上げ答える


「私が尋問を始めると突然暴れ出し危険を感じたため拘束具を用いて手足を拘束しただけです!血が流れるようなことはしてません!」


「ほぉ拷問はしてないと言う事でいいのか?」


「はい!」


「アルトラスト!」


「は!」


アルトラストに連れられ入って来る牢番トラッドと初動で動いていたヘルパー、二人を見て動揺する二人それを見てピレニーズはトラッドたちに質問をする


「初動のヘルパーに聞く、馬のいない馬車が現れた時、君も一緒に駆け付けたと他の者から聞いたが、間違いないか?」


「はい!少し遅れてですが駆け付けました。」


「よろしい、ではその時御者の席に座ってた者とバルトとの言動は覚えておるか?正直に答えよ」


「はい!そこのバルトが馬車を盗んできたと決めつけ御者に暴言を吐いてました。

それを御者の席に座る子供に注意をされさらに逆上し、馬車の扉が開かないことでさらに怒り子供を拘束しました」


「何!馬車の中にいる者に呼びかけは行わずか?」


「はい!扉をガチャガチャやって拘束しろです」


「・・・・・」


ピレニーズはバルト達を睨み今度はトラッドに質問をする


「トラッドよフードを被った子供が地下牢での扱いがどうであったか正直に答えよ!偽りを述べれば同罪の処分を下す!」


それを聞きトラッドが話そうとするとバルトがトラッドめがけて何かを投げる


ヒュン

ストン


警備隊はすぐに動きバルトを拘束する


「バルトなぜこのような物を投げた!」


ピレニーズは審議中に不審な動きをしたバルトを睨み問いただす


「いえそれはトラッドが落としたもので、私が万が一連行されたら渡せなくなるので慌てて投げました」


「まぁいい!バルトよ我々は状況を見て何が行われたかわかっている正直に話しなせば罪の軽減も考える!」


バルトは少し離れて立つドラッドにボソボソ話す


『カゾクガダイジナラ ダマレ』


トラッドは投げられたものを見バルトの言葉に真っ青になる


「トラッドよ地下牢で起きたことを話してくれるか」


「わ・私は何も見ていません・・・」


メロデイは驚きトラッドに話しかける


「どうしたのですか?なぜ見たことを言ってくれないのですか?トラッド!」


「メロディ様勝手な発言はお控えください」


それを見てニヤニヤするバルトが発言する


「シェンド様私は初動での対応が悪かったことは認めますがそれ以外は無実です」


タランも話し出す


「あのガキは拘束したのに俺たちを無視して逃げやがったんだ!だから俺たちは何も関係ないです」


黙ってみていたケアリーが手を上げ発言許可を求める


「ピレニーズ殿少し発言させていただいてよろしいでしょうか?」


「はいどうぞ!」


「ありがとうございます」


ケアリーは二人を睨み話す


「私はBランク国家冒険者のケアリーと言います。お二人に質問します。お二人は今日魔物とか狩りました?」


「今日は朝からずっと詰め所と門しか動いてない!タランも同じだ!魔物なんか狩に行けるわけないだろう!」


ケアリーは微笑み二人に話しかける


「そうですか・・私はBランク冒険者で普通の人よりはるかに匂いに敏感なんです。

それに見えるんですよ。たとえ綺麗にしても血の跡が・・・

もう一度聞きますね。お二人は地下牢に入って血を流すような行動はしてないんですよね」


ケアリーの発言に二人は顔色が変わる


「「・・・ああ」」


「ピレニーズ殿この二人は嘘をついてます!」


「な!」


「証拠を見せろ!」

「そうだ!そうだ!」


強気に出る二人にケアリーは二人の前に色のついた用紙をだした。



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