第212話ハルの行方(改)
☆・☆・☆
メロディは情報を集めるようにお願いをし、心配している両親を安心させるため急ぎ領主官邸に戻った。
突然戻って来たメロディに父親のシエンドは号泣しながら抱きしめる。
母親のフォルティアもメイドにメロディが戻って来た知らせで、メロディの元に駆けつけメロディの無事な姿を見て涙を流しながらメロディに近づき抱きしめる
「よく無事に戻ってくれました…ぅぅ…」
「お母様…グスン」
暫く親子で抱き合い落ち着くと、メロディが今回の件を報告する。
メロディはホルンに行く途中で盗賊に襲われ捕らえられた事、その盗賊団は国賊として賞金もかけられている大規模な盗賊団レッドファングだった事
自分達以外も公爵家令嬢メリール様も同じく捕らえられていた事、そして自身達も、メリール達も一人の小さな少女ハルに助けられた事。
その少女は一人で盗賊団を壊滅させた事を報告した。
「なんと!それでその少女はどうしたのじゃ!親としてまず礼をせねばの」
「あなたその前にメロデその姿、先に着替えなさいローブだけですか?まさか…」
「はい!お母様…正直に話します、私達全員盗賊達にアジトに連れて行かれました、そこで私達は全て剥ぎ取られ盗賊達に…汚されました。」
それを聞いたフォルティアは黙ってメロディを抱きしめる
「いいのよ!メロディ私達はずっとあなたといた者達も我が家で保護するから心配いらないわ…」
「お母様、お父様信じられないかも知れませんが、私達の身体は盗賊に汚される前の綺麗なままですよ」
「え?どういう事かしら」
フォルティアはメロディの言葉に驚き問いかける
「メロディどういう事なの?わかるように説明して頂戴」
「はい!私達は盗賊に捕らわれ身体を汚され、絶望していました。
盗賊団のアジトの奥深くに捕らえられていたのですから、もう戻れないと、このままここで殺されてしまうのだと…諦めてました。
そこに小さな少女が現れ私達は眠らされました。
盗賊はその少女に全て倒されたと聞いてます。
そしてその小さな少女に私達全員の身体に奇跡を起こして下さいました。
その方の魔法で…その証拠がステータスで確認できます、これです」
メロディはステータスを表示させハルからのメモも見せる
名前 メロディ・デ・ティリム
年齢 15歳 ♀
身長 195cm 体重65㎏
種族 人族
スキル 風魔法LV1 身体強化LV.1new 状態異常耐性LV.1new
【ξΦΨηに保護されし者・汚れなき者・ΛΣξΦΨηの加護】
「なんだこれは!保護されし者?汚れなき者に加護?うーん確かにメロディも自分で身体を確認したんだろ」
メロディは頷く
フォルティアはメロディから渡されたメモを見て、膝をつきハルに祈りを捧げる
「女神様、娘たちを救ってくださりありがとうございます。
あなたこれを見て!間違いなく娘たちを救ってくれた方は女神様です!
娘たちにはステータスに女神様の加護があります。至急対応をお願いします」
メロディは自分たちを救ってくれた方を兵士が連行していった事を怒り報告をする
「お父様!私たちを救ってくれた方を初動対応した兵士が連行して行ったのです!
至急対応お願いします。手荒なことしてないと思いますが、万が一そんなことをしてしまったら・・」
シエンド・デ・ティリムは娘のステータスを見て確信した。
こんなことが出来るのは神託スキルを与えることが出来る女神様だけだと、しかし娘がその方を兵士が連行していったと・・・
なんてことをしてくれたんだ領主シェンドはすぐに騎士団長警備隊長を呼び出す。
そしてすぐに女神様に最大級の対応をと騎士たちに指示をする
「騎士団長アルトラストに命ずる!娘たちをここまで連れて来てくれた方が初動対応した兵士が連行していったらしい。
その方は娘だけでなく公爵家の令嬢の命も救ってくれた方だ!
至急対応してここに連れてきてほしいくれぐれも失礼のないように!慎重に丁重に対応し連れてくるように!
いいか決して無礼な対応をしてはならぬぞ!」
「は!すぐに!」
アルトラストは部下数名を連れ急ぎ門兵の所に向かう
詰め所に待機させていた門兵にアルトラスト達は問い詰める!
「それで、御者の席にいた者はどうしたのだ!」
門兵は答えるも歯切れが悪くアルトラストを苛立たせる
「我々が到着した時には、馬車を運んできた者はおらず、誰が初動対応したのかは・・・」
アルトラストは部下に情報を集めるように指示し、暫くして初動対応した門兵のバルドが連れて来られる
「君が最初に対応した門兵か!」
バルドは騎士団長や自分たちの上司警備隊長までいることに驚く
「はい!バルトと申しますこの春より警備局より門兵の任を任されました」
「私は騎士団長のアルトラストだ!重要な質問をする!この馬車を運んできた方を対応したのは君ともう一人と聞いている正直に答えてほしい、今その方はどこにいる?」
バルトは騎士団長と聞き驚きすぐ横の上司警備隊長のワルトス、周りに控えてる者もかなりの者達であることに気づき考える。
『騎士団長がわざわざ出向いて来るってどういう事だ?
それに控えてる警備隊長や他の者達もただの兵卒じゃねえ、一応見てた者もいるから地下牢までのいきさつを答えるか』
「はい!運んできたのはフードを深く被った怪しい少女でした。
馬もいない2台の馬車を運んできたので、いろいろ問い正しましたが正直に答えず、馬車の扉もその者の仕業で扉が開かず、呼びかけても返事がなかったため、尋問のため兵士詰め所地下の牢に連れて行きました。」
アルトラストはそれを聞いて怒鳴り散らす
「バカヤロー!紋章付きの馬車を運んできた時点で重要案件だ!
なぜ門兵ごときが勝手な判断で行動を起こした!
怪しい?扉が開かない?バカヤロー!
紋章馬車は中から魔法で解除しないと扉が開かないんんだ!
門兵なら知ってるだろうが常識だ!
それにだ、伯爵家の馬車と公爵家の馬車をわざわざ運んでくる奴が害をなすような人物なわけないだろう!
考えればわかることだ!バルトとか言ったな尋問とか言ってまさか手荒なことはしてないだろうな?」
さらに警備局のワルトスが問いただす
「警備局のワルトスだ!面接のとき以来だなバルト初動対応は何人で動いたんだ?
さっきの話し全て決めつけての行動だね。他の者はどうした?なぜここにいない?
こういった対応も学んでるはずだが・・
いったい研修で何を学んだのかな?他の者達はどうしたのかな?」
「・・・・・」
「なぜ答えん!バルト!」
「な・何もしてません・・・」
アルトラストは二人の部下に指示をすると、バルトは両腕を掴まれる
「その少女が連行された牢に案内せよ!」
アルトラスト達が地下牢に降りて行くと目の前で何が行われていたか想像ができる痕跡が残っていた。
分隊長クラスが牢に入り調べる
「これは酷い・・・」
床にまだ乾いてない大量の血と鞭棒にも血が付着している
「おい!バルト!これはどういう事だ!拷問したのか!説明しろ!」
「わ・私は知りません!同僚に尋問の指示だけして自分は現場に戻りましたから」
ワルトスがバルトを睨み冷ややかに質問する
「バルト君こうした行為は上司の確認許可がいるのわかってるよね!
知りませんではすまないよ!わかってる君?
それで君と初動対応したのはタランだろ?彼はどこにいる!」
「知りません・・・」
それを聞きワルトスが部下に合図を送ると数名の警備隊員が部屋を出て行く
バタン
ワルトスが今日のここの牢番を訪ねると誰かを追いかけて行ったと報告され、ら戻り次第領主官邸に来るように指示をする
アルトラストも自分の部下たちに指示をし警備隊と協力し関係者全員を探し領主官邸に連れてくるように指示し、バルトを官邸に連行していく
「君の言う事が正しければ注意勧告だけで済むがもし違ってたそれなりの覚悟はしてもらう」
バルトはがっくり項垂れ連行されていく
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