第165話ティオール国の聖女の祈り

ティオール国内では、大国の進軍に備えて対策がされていた、ハル様も大国が侵攻してくるからと、従魔を派遣してくださり大国の動きを探りながら、国内の町や村、特に国境砦から王都までの街道にある町や村の民は、住み慣れた場所を放棄して王都から離れた辺境の村へ移動を始めていた。


王都城内では、大国の侵略に対する対策会議の話し合いがされていた


国境守備隊カントラが報告する

「クオーク帝国側ミルバール砦、バルサート教国側ケルケトラ砦共に兵の配置整いました!」


国防大臣のジークジルが報告をする


「グランブル国王、王都周辺の住民の避難は、ほぼ完了しました、辺境のユライナ村、モートス村、ヨートカ村、マリネ村にそれぞれ分散、移動した住民達は、各地域の辺境伯爵が仮設の住居を用意して防衛も辺境伯兵士が付いています」


グランブルは、宰相に訪ねる


「ベルネストよ、この状態で住民の不満は!どうじゃ?いくら戦争からの避難とはいえ、住み慣れた場所を離されたのじゃ不満も起こっておろう」



「はい!確かに多少の問題は、起こってますが、何故か住民達全体に女神ハル様の事が浸透しており、混乱は見られません」


エアロ王女が手を上げて発言する


「その件についてですが、聖女サリナトーレ様が中央教会の巫女と護衛騎士を連れて住民が避難してる各辺境地域を巡回して住民の不安を鎮めています」


「住民のためにもこの戦い何とかせねばならんのお、ネイルよ住民の避難は、終わったぞ!各砦の配備も完了しておるこれからどうする」


ネイルは、お菓子を食べながら立ち上がり意見を述べる


「はっきり言っていいですか?」


国王始め重鎮達もうなずく


「はっきり言ってクオーク帝国バルサート教国の侵攻次第、ばか正直に国境砦に侵攻してくれれば相手の兵力を減らせるけど、クオーク帝国には、智謀の将軍モルトムントがいる、モルトムントがバルサートの教皇を動かして連携されたら無理!大国400万以上の兵力、それにクオーク帝国には、強力な魔道具ある、バルサート教国には、魔物を従え強化する闇ティマーがいる、私達が勝てる確率は、0.1%」


集まった全員が絶句する


「やはり無理なのか………」



「大国は、国がどう荒れても関係ないからかなり強力な魔道具と魔物を使役して攻めて来るはず、私達は、戦うしかないけど……」


宰相のベルネストが訪ねる


「ネイルよ!けどなんじゃ!大国の侵略を防ぐ方法があると申すのか!」


「あるよ!聖女サリナトーレ様とエルフ族の女性達と、女神ハル様を差し出せば侵攻して来ないと思う…」


グランブル国王は、即答する


「その案は、却下する!」


宰相は、結果はわかっていてもあえて提言する


「グランブル国王様!ネイルの言う案で、ティオール国の民数千万の命が数人を差し出すだけで救われるのです!熟考してください!」


「確かにネイルの提案通りにすれば我が国は、救われるかもしれん、しかし我が国の民に多くの癒しをもたらしてくれた聖女、我が国を陰から支えてくれているエルフ族の者達、それに聖女と我が娘と多くの民を救ってくれた女神ハル様を差し出して、得た偽りの平和など民は、納得してくれると思うか?それに女神ハル様は、言われたでは、ないか!信じて待っててほしいと!必ず守るからと!だから我々は、ハル様を信じて最後まで諦めず戦うことじゃ!」


エアロ王女は、ペンダントを握りしめ密かに祈りを込める


「ハルちゃん私達を守ってください!」


国防大臣は、席を立ち


「私は、クオーク帝国側のミルバール砦に向かいます」


ネイルも立ち上がり


「じゃボクは、バルサート教国側のケルケトラ砦に向かいます」


エアロ王女も立ち上がり


「ネイル私もついて行くから」


〈バタン!〉


「グランブル国王よろしいのですか?エアロ王女まで戦場に向かいましたけど」


「エアロは、王族じゃここにいても、捕らえられたらどうなるかわかっておるのじゃろ、だから止めなんだ」


ベルネストも静かに立ち上がり


「私も準備して参ります、偵察部隊によれば明日にも国境砦で戦闘が始まるとのことです」


☆・☆・☆

ウィスラー新教会


「聖女様!早く私達も移動しましょう、ここは、砦から王都までの街道途中にある町です、砦が落ちたら敵兵士がこの町にもなだれ込んで来ます!」


サリナトーレは、首をふり


「この教会は、女神ハル様が守ってくださった聖なる場所です!わたしは、ここで祈ります!ハル様は、必ず私達を救ってくださるはずです!さぁあなた方も女神ハル様を信じるなら祈るのです!二つの大国は、人々を蔑み、非道な行いをしてると聞きます、そんな大国が侵攻して来たら私達がどうなるかわかるでしょう、どこにいても同じなら私は、女神様が救ってくださったこの場所で信じて祈るだけです、私のことは、いいから避難したいなら辺境のユライナ村に行きなさい」


サリナトーレは、教会の中で祈りを捧げ始めた


【女神ハル様、どうかこの国を邪悪な者達からお救い下さい】

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