第141話ハルの行方、それぞれの思い

今回の根源を潰し連合国モーリスト州都に戻って来たハルファミリーは、連合国主要幹部を集め報告を行っていた。



この会議の様子は、魔道具にて連合国内全ての町にライブで伝えられていた


報告は、ファミリーを代表してミルルが行う事になった


「この度の大事件の根源となった組織邪黒神を崇拝するバビルス教は消滅した、この組織は、自分達の神を復活させるために、エルフや獣人の汚れのない女性の魂と、聖なる女神ハルの生け贄が必要で、この世界のどこかに転送させたのです幸い、彼らの神を復活させるための条件が揃わず復活する事はない」


それを聞いて参加者は安堵の声をあげる


「まず一安心か…で誰が何処に送られたのかわかるのか?」


連合国諜報部隊長マエラが報告する


「転送されたのは、エルフ王国の王女達と女神ハル様だけで、転送場所は不明、生死も不明です」


その報告に静まりかえる



「現在我々諜報部隊の最優先事項として、我々の女神ハル様の捜索にあたっていますが、現時点でまだわかりません、行方不明のエルフ王国の王女3名も、女神ハル様と同じ場所に転送されたと思われます」



魔王カミルスも立ち上がり発言する


「我々ワルプルス8魔将の部隊も捜索にあたっているが、まだ報告はない」


ミルルが放送用魔道具に向かってお願いをする


「連合国の全ての民にお願いする、我々の女神ハル様に関する情報を、何でもいいので提供してほしい」


この後いろいろ情報交換され、会議は終了した


索敵魔力探知のスキルを持つ全ての者が、ハルの捜索にあたっているが、行方は依然としてわからなかった


…………

…………

…………


ハルが行方不明になって1年、ハルの捜索は続いていた


ただユリが捜索を始めて1ヶ月たった頃


「このまま皆の生活を止めるのは、ハルが喜ばないから捜すのは、少数にして後は、ハルが戻ってきたときに喜ぶように、ハルちゃんが過ごした町や、住んでた大樹の家をハルちゃんが喜ぶようにしてあげるのが一番」


この意見で捜索は諜報部隊数名と、ハルの事が特に大好き魔族、幻夢のムムや魔妖精のマドラーや爆炎姫のウランが交代でハルの捜索を行っていた


☆・☆・☆


ミラーレ大森林大樹の家


「スミレこっち掃除おわったよ♪」


「レナご苦労様♪お茶入れたから畑にいるルナ達呼んで来て」


「OK♪」


〈バタバタバタバタ 〉


〈バタン〉


ルナ達が入ってくる


「うわー♪美味しそうなお菓子だぁ」


ルナ、レナ、スミレ、レンゲ、達は、テーブルに座り楽しくおしゃべりをはじめた


「今日はね……… 」


「ハルちゃんの畑でね…… 」


〈ガチャ〉



「ただいまぁ」


「あ♪セリスだ!どうしたの?」


「いろいろ調べたいことあってね、アトリエの町のダンジョン、ノームに行ってたの♪」


「あそこってセリス達と、ハルちゃんの出会いの場所だよね」


モカとレイチェがうなずき


「そう♪私達を絶望から救ってくれた場所」


「そう、最悪の体験だったけど、ハルちゃんと出会えたから… あの時の私達には、素敵な小さな王子様だった」



ルナが3人を見つめ


「私達みないろいろなかたちでハルちゃんに救われてるもんね、ハルちゃんがいなくなって1年かぁ… 」


「ほんと、生きてるって信じてるけど…やっぱそばにいないのは、辛いよね…」


「「「うん… 」」」


セリスが、ルナ達にアトリエに行った理由を話す


「私達は、ダンジョンの様子を確めることで、ハルちゃんがちゃんと生きてるのを確信したの、それにアトリエの冒険者ギルドには、ハルちゃんの冒険者としての扱いの注意事項が大きく張ってあって、各町のギルドの新人教育には、必ずアトリエの町で行う事になってるみたいなの、ハルちゃんなんかやらかしてたのかな、アハハ♪」


ルナは、空をみながらハルの無事を祈りながらつぶやいていた


「ハルちゃん、みんな待ってるから早く戻って来てね… 」


☆・☆・☆


幻魔の大森林に来たクルルは、周りを見渡し一人うなずいていた


「ここに来るのも久しぶりじゃのぉ… 」


SSクラスの魔物キラーコングが近寄って来ると


「お主らもハルがいなくて寂しいのか、心配せずとも大丈夫じゃ、ハルちゃんは、必ず生きておる、のドライアド」


すると大樹か精霊ドライアドが出て来て


「はい♪あの子が生きてるから私達ドライアドも魔力を感じこの森の物達に少しですが魔力を与えています」


クルルも同じように空を見つめつぶやいていた


「ハルちゃん…早く元気な姿を見せてほしいのじゃ… 」



☆・☆・☆

皆がそれぞれの場所で思いを巡らせてた頃ミルルと、ユリは現在連合国管理地域タイセル領レタース大森林に来ていた



「ミルル母さん、ここはハルちゃんがこっちの世界に転生してきて、子供で小さく、ステータスも現れないからと、捨てられた森なの… 」


「その話し、何度聞いても胸が締め付けられるわ… よく生き延びてくれたと思う… 」


「何処に捨てられたのかは、知らないけどずっと奥地の深い谷だったって… 」


「あそこか… 嘆きの谷と呼ばれてる場所ね、あそこは、私達龍族でも落ちたら終わりの場所で、成龍が何体か落ちたままね、飛んで谷から出てこれない、なにかあるみたいよ」


「谷底からは、大きな魔力を何体も感知してるけど、ハルちゃんの魔力は、感知できないって調査結果です」


「ユリ、じゃ何でここに?」


「ここに来れば、なにかわかるかなって思って… 」


「なるほどね… じゃもう少し調べて見ましょうか」


「はい! 」


☆・☆・☆


バルパス領クレール森林の大樹にデリスとカエデとモーリストの元王女アリスが来ていた


「カエデよ、何であの娘がおるのじゃ」


「アリスとダリアの二人は、ハルちゃんが冒険を始めた頃に絡んで、困らせたらしいの、それでその後のハルちゃんの活躍ですっかり信者になって、今ではハルちゃんの僅かな魔力も、感知できるスキルを身につけたらしいの」


「それでか、しかし困らせてたようには、見えんのぉ… 素直ないい娘達ではないか」


アリスが何かを見つけてたらしく呼んでいる


「デリス母さん、カエデお姉ちゃん、この小さい穴から僅かですが、ハルちゃんの魔力が感じます」


それを聞いてダリアが目覚めたスキルを使って地面に手をあてている


「魔力照射!スキャン!」


〈……………!〉


「どうじゃ、何かわかったか?」


「はい!デリス母さん、この地表から少し下を大きな地下水が流れててそこからハルちゃんの魔力が微量ですが感知できました」



「ダリアもアリスもすっかりハルファミリーの一員じゃな、楽しい家族が増えるのはいいことじゃ、ハルちゃんも喜ぶじゃろ」


「ここは、ハルちゃんがこの森の魔物達と過ごした場所だから、ハルの魔力が地下水付近まで浸透したのかもしれません」


「そうじゃの、もう少し調べたら皆のいるミラーレに戻るかの… ハル… 早く妾達のところに戻って来ておくれ…」


デリスの言葉に皆ハルを思い森の大樹を見つめていた




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