第109話ハルの救出
ミロは、しっかりと答える
「母様、私に一人だけあてがあります」
そう彼女なら……
「ミシャル来て!」
デリスは転移してきた魔族の子供を見て、なるほどとうなずいていた
ミシャル・デラウェア
この子魔国滅亡事件の時、ハルが後少し遅かったら確実に死んでいた子供だった。
この子は、自分がそういう酷い状態にもかかわらず、誰に助けてもらったかを理解していた。
だからミシャルは、助けてもらった命をハルのために使いたいと、異常なまでの忠誠心を持っていた。
「ミロお姉ちゃん、来たのぉ♪」
「ミシャルこれからやってもらうことは、あなたしか出来ない事なのだけど、今ハル様が悪い奴に捕らわれて、危険な状態なの、助けに行きたいけど場所がわからないの、ミシャル行ってくれる?」
デリス達は、止めるようにミロに言っていた
「ミロよそれは無茶だ、転移先に確実に敵はいるぞ!そんな中に飛び込めばどうなるか」
「そんな事は、わかっています!狡猾な相手なんです、早くしないとハルちゃんが、私達の希望が…グスン」
ミシャルが、デリス達を見つめ語る
「ミシャは、覚悟してるの、あの時ミシャも妹のリシャも死んでたはず、だからミシャは女神ハル様のためなら死んでもいいの」
ミロは、ミシャルの手を握り涙を流している
「皆わかって!もうこの方法しかないの!早くしないとハルちゃんが!死んじゃうの!」
全員が無言で、ハルの衣服が見つかった倉庫に転移して積み上げられた箱を調べていく
するとルナが叫ぶ
「あったわ!箱の中に転送用の魔方陣が書かれてます!まだつながってます!」
ミロは、ミシャルが転送後の行動を話す
「ミシャルが転送したら、まずハルちゃんの確認して、周りに監視する奴らがいたら光玉を投げて相手の目を潰す、そのままハルの捕らわれてる場所から出て!恐らく建物全体に魔力が漏れないように魔法も使えないような魔道具が設置されてるはず!ミシャルは、建物から出てこの転移ポイントを示す魔道具を起動させて!私達は、全員この転移用の魔方陣でミシャルが転移ポイントを繋げるまで待機して、繋がったら転移してハルちゃんを救出する」
魔道具に詳しいカエデがミロに話す
「ミロちゃん転移用の魔道具って、起動させるまでかなりの魔力と時間かかるわよ、その間無防備だからかなりの危険が…」
「そのためにミシャルは、その近くで転移しながら逃げてもらって、魔道具を起動させてもらう、ほんとならミシャルにここまで転移してほしいけど、そこまでの魔力がないから、短い転移しかできない、転移なら相手が見つけるまで時間が稼げるから…」
デリスは、涙目でミシャルに近づく
「ミシャル正直に答えて!あなたが転移できる距離と、回数は、魔道具に使う魔力も含めて…」
ミシャルは下を向き答える
「ミシャル魔力少ないけど、頑張る…」
皆がミシャルを見つめるなかミシャルが
「魔道具に使う魔力を含めると、転移できる距離は100Mで1回だけ…だからわかりにくい場所にできるだけ転移する!もし見つかっても転移魔道具は、絶対起動させる!」
デリスは、ミシャルの覚悟を確認して頭を下げる
「ミシャルすまぬ!ハル様の場所になんとしても繋げてくれ」
ミシャルは笑顔で
「はい♪ミシャル行って来ます」
〈バタン!ブン!〉
「皆この転移陣に乗るのじゃ!繋がったらすぐ魔力を流す、何としてもハルちゃんとミシャルを助けるぞ!」
☆・☆・☆
ドレスコート国ポルトポ辺境伯は、食事をしながら、使用人達に指示を出していた。
「おい!屋敷の周りの警備はどうなっておる!」
「現在6名の冒険者があたっています!彼らは、ランクAですからよほどの相手でない限り大丈夫です!しかも全員が気配探知のスキルを持っています」
「全然たりん!町の警備詰所に行きすぐに待機してる者全員連れてこの屋敷を警備させろ!何か嫌な予感がする…」
すぐに屋敷の警備が増員され屋敷の外に100名中に10名が配置され、それを見て
「よしこれなら大丈夫じゃろ!どれガキの様子でも見に行くか」
拷問室では、ハルは手足と肩にミスリルの矢が刺さり血が流れていた
「あれだけ血が流れてもまだ生きてるけど、どうせまたお館様がまたポーション使って回復させて拷問続けるだろ、俺たちもいろいろやって来たけど、ここのお館様ほどじゃねえよな、ほんとゲスだぜ」
男たちが話してると、部屋の隅にあった箱が光出し一人の少女が飛び出て来る、少女は周りを見渡し、声をあげる
「ハル様!ハル様!」
少女は男たちを睨みつけ
「絶対許さない!」
男たちはニヤニヤして少女に近づく
「おい!このチビも同じように吊るして痛めつけようぜ!バカだろ転送先に人がいるの考えろよ!捕まえるぞ!」
ミシャルは持っていた光玉に魔力を込めて投げつける
〈ピカーーー!〉
「うわぁー目がぁー」
「ぎゃぁー目があー!ガキーー!どこだぁー」
男たちがのたうち回るのを見てミシャルはハルに近づき
「ハル様必ずお姉さま達を連れてきます、それまで死なないで!」
ミシャルは部屋を出て走る結界の外を目指して、誰にも見つからず1階まで上がる、でも屋敷が広く出口がわからない、何人かの使用人とすれ違い侵入がばれて騒ぎ出す
「はぁはぁ・・・外にでれない!ここの中やっぱ結界がある、魔道具反応しない、早く外にでないと・・」
「侵入者は、小さい女のガキだ!絶対逃がすな!外に出すな!外に出る扉を全てロックしろ!」
「おい!ガキ聞こえるか!外にでる扉は全てふさいだ!諦めて出てこい!今なら殺さねぇ!」
ミシャルは、魔道具を握りしめ絶対外に出る!この魔道具はハル様を助ける希望!命に代えても外に出て起動させる!
ミシャルが厨房の倉庫に隠れてると一人のメイドが近づいて来る
ミシャルは、息をころす・・お願いどこかに行って・・・
〈ガチャ!〉
「見つけた!」
ミシャルは、逃げようとするも掴まれた手は離せなかった
メイドはミシャルを見つめ微笑む
「大丈夫あなたを外に出してあげる私を信じて!」
「どうして・・・」
「私もあなたと同じよ、ハル様をお慕いしています、ハル様の使者が来るのを待ってました、私は元キスリス神聖国でハル様に助けていただいたレノアと申します、こっちです」
レノアは、ミシャルの手を握り走り出す
おい!そこのメイド待て!
レノアは走りながら執務室のようなところに飛び込み何かを捜す
「あった!」
〈バチ!ゴゴゴ・・〉
「隠し通路よ!」
レノアは、ミシャルを連れ通路に飛び込む
はぁはぁ・・・
「ここを登れば外に出れるはず!」
〈カンカンカン〉
「よし!誰もいない」
二人は近くの木の側に隠れミシャルは、魔道具を起動させる魔力を流す、早く満タンになって・・・
おい!いたぞ!
「見つかった!」
ミシャルはレノアの手を握り
「いい!ギリギリまでひきつける!」
「てめぇ!新しく来たメイドだな!そいつをよこせ!」
男たちがミシャルを囲み捕まえようとした瞬間
「転移!」
〈ブン!〉
「消えたぞ!」
男たちが騒ぎ出す
ミシャルが苦しそうに息をする
「はぁはぁはぁ・・・もう転移はできない あと少しで魔道具に魔力たまる・・」
レノアはミシャルに覆いかぶさりミシャルを守るように
「ハル様は私達の大切な方、あの方を助けたい・・・だからお願い・・ ミシャルは私が守る」
おい!こっちにいたぞ!
「おい!メイドどけ!」
「離さねえなら無理やり引きはがす!」
男たちは剣を振りかざしレノアを突き刺す
〈ザク!ザク!ザク!〉
「ぐぅ・・・ハル様は私達の大切な方絶対死なせない!この子も守る!」
「やかましい!さっさと離せ!オラァ!」
〈ザシュ!〉
「ぐ・・・・ ガク」
ミシャルは泣きながら魔力を込め続ける
「ちっ!死んだか?離れねぇ・・」
「ならこの女ごと突き刺せばいいだろ」
男たちはにやにやしながらレノアを見つめる
「じゃ同時に突き刺すぞ!死ねぇ!」
〈ザク!〉
「ぐう・・・・・ あと・・ 少し 」
〈カチ!ブーーン〉
「お姉さま ハル様を・・・ 」
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